隣で眠っている先輩の、少し乱れた前髪を梳いてみる。
微かに眉を顰めるだけで、また眠りに引き込まれていく姿に、この人の疲れを感じる。
無理、させたのかなぁ……と、誰も見ていないのに苦笑して、さっきの会話を思い返す。
『この5年の差が、私達に定められた宿命にとって必然だとしたら…。』
先輩は、知ってるのだろうか?
輪廻転生とか、生まれ変わりとか、そんな宗教染みたことを言うつもりはないけど。
邪神に別たれた半身の魂が、お互いを求めて転生し、その都度また別れを繰り返していると。
邪神との戦闘は免れず、どちらかが命を落とすこともあっただろう。
半身を失われたものは、次の転生のために近いうちに後を追うことになる。
偶然か、必然か、事故か、故意か…それは、誰にもわからない。
次に転生するための魂を受け入れられる器は、先に転生した魂の器とのより深い縁が必要で。
転生を受け入れる力が必要で…半身を、待ち続ける。
そこに生まれる、タイムラグ。
それが、5年の差、だとしたら…。
****
オレは、以前もあなたの『モリ』でした。
その時のオレ達は、同じ時の流れの中で生きていた。
あの時も、あなたを守るためならば、オレは自分の命なんてどうなってもよかった。
ただ、守りたくて…あなたと一つになりたくて…。
半身とか、宿命とか、そんなもの無視してでも、あなたを守るだけに生きていた。
それなのに、不甲斐ないオレはそれを果たしきれず…あなたは…先に、逝った。
オレは、すぐに追ったのに…あなたに、追いつくために…。
もどかしく、転生の刻を待ったのに。
オレの転生は、あなたが生を受けてから5年も経っていた。
オレが覚醒し、半身であるあなたと出会うまで12年。
…なんて、長い時間だっただろう。
あなたに届かなかった、長い時間。
隣にいる今も、まだ届かない焦燥感に襲われるのに…。
****
運命とか、宿命とか、そんなものはクソクラエ!
オレがここにいる理由はただ、あなたに届くためだけにある。
END
まぁ、この理屈でいくのは、水支×ハニーに限られますが…。
邪神を倒すまでは、この転生は繰り返されていく。
カナテはカナテとして、モリはモリとして。
前世で守りきれなかった記憶が残る水支は、
なおさら、ハニーのモリとしての使命を感じていると。
でも、それだけではないのは、承知…(^_^;)
届かない時間 へ
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