残夢 のこんのゆめ 様
兄貴が遠征先の下見をすると言って、俺に声をかけた。
最近は史浩さんに任せてたはずなのに、今回は自分で見に行くらしい。
FDのナビに兄貴を乗せて走るのは、本当に久し振りだ。
目的地に着くまでの間、少しシートを倒して静かに眼を閉じている兄貴。
卒論も大詰めであまり寝ていないと言っていたけど、こんな時でも寝られるのは才能としか言えないな…。
それとも、俺の運転を信用してくれてんのかな?なんて、自惚れてもいいんだろうか。
「着いたら起こせ。」と言ったきり眠っている兄貴の横顔は、少し痩せたような気がする。
大学とプロDと、どちらも手を抜かないのは性格上どうしようもないのだろうけど、どっかで手を抜かないと兄貴が壊れちまうんじゃ
ないかって不安になる。
目的地に着き、エンジンを切った振動で眼を覚ました兄貴は、車から降りて大きく身体を伸ばした。
下見をする時はすぐにコースのチェックを始める兄貴が、今日はぼんやりと眼下に広がる景色を見渡している。
俺は車から降りずに、そんな兄貴を眺めていた。
心なしか兄貴の表情が柔らかく見えて、俺は今日の目的が何となくわかった気がした。
メンバーの前では絶対に見せないような、そんな顔を見せてくれるのは俺の前だけでいい。
しばらく辺りを見渡していた兄貴が、ナビに乗り込んでビデオをセットする。
小型PCに繋げると、いつもの冷静な表情が戻っていた。
「2、3回、流してみてくれ。」
…もう、充電完了ってわけか…。
俺はその切り替えの早さも兄貴の才能だな、なんて変に感心しながら、FDのセルを回した。
兄貴は何においても完璧だ、と思う。
あえて言うなら…。
兄貴には、スタイリストが必要。
お知り合いになってからしつこくお願いしていた様な気が…。はぅ〜、すいませんです…。
でもでもっ!こんなに麗しい涼介様を描いていただいて…私は本当に幸せ者です!
たとえ、え○りテイストな服だとしても、やはり涼兄さまなら許されるんです!
我侭も言ってみるもので…ゲフゲフッ…。
文次郎様、いつも我侭ばかりですいません。本当にありがとうございました!
ちなみに、文章は私が浮かれすぎて、勝手につけてしまったものです(汗)
そこで、お礼といってはなんですが、
貰っていただけませんか、文次郎さま?
イメージ崩してたら申し訳ないですけど…(T_T)