「はぁ〜っ…。」
「どうしました?山吹先生。盛大にため息なんてついて…。」
「あぁ、石見先生…。どうもこうもありません。」
「さては…長老衆にこってり絞られましたね。」
「えぇ、そりゃあもう、身も細るぐらいにこってりと!」
「今日はまた、なんで?」
「また、やってくれたんですよ。うちの御子様連中が…。」
「ほぉ。」
「クラス編成にまで、手を出してくれました…。」
「そりゃまた、大きく出ましたね。」
「鷹取氏が、新2年のクラス編成を大々的に改変したいと…。よりにもよって、あの紫上女史を伍組に入れると言い出しました。」
「紫上女史と言えば、あの九条参事の分家にあたる…。」
「そうです!あの紫上女史を、伍組に編入すると!九条参事の分家ともなれば、参組までが限度です!
それを、伍組にですって!」
「ははっ…。」
「それを提案したのが、九条参事…あの九条の御子ですよ。
鷹取氏も『あぁ、それもおもしろそうだねぇ。』なんて承諾したに決まってます!」
「くすくすっ…それは、容易に想像できますね。」
「もう…笑い事じゃありません!そのおかげで、私がどれだけ苦労しているか!」
「執行部顧問も、楽じゃありませんねぇ。しかし、今回はまたどういう意図でそのような…。」
「わかりません…ただ、九条の御子は、何らかの行動を起こそうとしているような気がします。」
「鷹取氏も、それに気付いて手を貸しているということですか…。
まぁ、あの2人の言う事には、いくら長老衆と言えども文句は言えないでしょうが。」
「えぇ、なんせ、将来の鎮守人のホープと稀代の御子との2トップですから。でも、その矛先は、私に来るんです!
『顧問として、彼等をちゃんと指導しなさい!』…ってね。」
「それは、難儀なことで…。」
「あ〜ぁ、執行部の顧問なんて、引き受けるんじゃなかったかも…。
聞き分けのいい”御坊ちゃま御嬢様”しかいないと思ってたのに…。」
「まぁまぁ、そうくさりなさんな。それも、教師としての務めですし…。」
「彼等を信頼し、離れた処から大きな愛情で見守ると…。」
「ふふっ…もし道を間違えたり、その信念に迷いが生じた時は、正しい方向へと導くのが我等の役目…。」
「文字通り”命がけで”…ですね。」
「そんなところでしょうか。」
「あぁ、その前にしたいことが山ほどあるってのにぃ!買い物したいしぃ、デートもしたいしぃ、それから……。」
「……山吹先生…。」
「はぁ…言ってみただけです…。」
「……。そう言えば、綾女が戻ってきたそうですよ。土産話のついでに、一杯やりませんか?」
「割り勘にしてもらえます?給料日前でピンチなんですよぉ…。」
「それは、お互い様でしょう…。」
「だって、石見先生って、貯めてそう…。」
「どういう意味でしょうねぇ、それは…。」
「へへぇ、どうでしょうね♪」
「……。」
「石見先生…私、前から思ってたんですけど…鷹取氏は絶対に九条参事に甘いんですよね!
だから、九条参事のいうことなら何でも聞いちゃうんです!多分、何も考えてないですよ!」
「あのぉ…?」
「いえ…なんでもないです。そういう私も、彼等には甘いですし。」
「かわいい、生徒達ですから。」
「本当に、世話のやける、かわいい生徒達ですよ。」
END
<2005/1/5>
教師としての、生徒に対する”慈愛”ってとこですか。
時期としては、前総代 鷹取氏の壮行の宴の前。
飛鳥達が2年生に進級する時のクラス編成ということで。
無茶な事する執行部に、世話がやける顧問の夏ちゃん。
その愚痴を聞く石見先生…すっかり会話のみ。
さりげなく、鷹取氏×九条参事っぽいらしい(-_-;)
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