「星になった金魚 〜罪無き金魚と罪深き人間たち〜」
(前回からの続き・・・)

とんだドタバタからあわただしく始まった金魚との生活。しかし水槽と投げ込みフィルターをセットしたら、もう大丈夫、と安心感がありました。セットの翌日、我が家の金魚たちには一見平穏が訪れたかのように見えました。

しかしその後も、3日間くらいの間に、さらに3匹が死んでしまいました。原因不明。とにかくわけがわからず、なんとかしなけりゃということで、本屋で立ち読みしまくりました(立ち読みばかりでは本屋に悪いので、一番良さそうなのを1冊だけは購入しました(汗))。また同時にネットでも金魚や熱帯魚と名の付くHPを片っ端から見て回りました。とにかく勉強して、して、しまくりました。金魚のこと、水槽のこと、器具のこと、水草のこと、熱帯魚のこと・・・etc。寝る間も惜しんで見ました。こんなに勉強したのは、大学受験浪人時代以来です。この頃になると、最初の目的であった子供の情操教育などというのは半ばどこかに追いやられ、とにかく自分自身の意地でやってたような感じでした。

さて、そんなこんなでたくさんのホームページを見ているうち、いずれにも共通して見えてくるものがあったのです。それは「生物濾過」という4文字。これが立て続けに金魚が死んでいったことの大きなカギを握っていたのです。謎が解けました。そもそもなぜ水槽にブクブクが必要なのか?一番先っちょにつける、あのなにやらわけの解らないスポンジと石の入ったタマネギ型のプラスチック製のでっかいもの。邪魔くさくてしょうがないあの物体が、実は、とんでもなく重要な役割を果たしてたのですね。

この先っちょについているのが、フィルターというもの。ここでフンやゴミなどを濾し取るだけが目的ではなくて、もっともっと大切な役割があったのでした。それは、このタマネギくんの中のスポンジや砂利にバクテリアを繁殖させることによって、そのバクテリアが金魚の糞から発生する有害な物質であるアンモニア(猛毒)を亜硝酸(猛毒)という物質に、そしてその亜硝酸をさらに硝酸塩(ほとんど無害)に、順にj分解してくれるということだったのです。

そしてそのバクテリアが完全に住み着いてくれるまでは、最低でも数週間、たいてい1ヶ月くらいは要するとのこと。我が家の水槽は、まだバクテリアが住み着いていなかったから、エサをやったらたちまち水中のアンモニアが濃くなって、それが金魚を死に至らしめていたというわけですね。そりゃ、私たち人間だって、オシッコとウンチまみれの部屋で生活してると、精神的にも参ってしまって、体調も崩れるというものです(食事中の方、すいません)。

ということで、とりあえずは、バクテリアが我が家の水槽に定着するのをひたすら待つだけ。それまでは水の汚れも抑えるため、エサやりも必要最小限に。まどろっこしい反面、バクテリアが住むって、どんな感じなんだろうと、何とも言えないワクワク感があったのもまた事実です。いずれにしもて、これからしばらくは、ただひたすら耐える(エサやりたくてもやれない&水をたびたび換えなければならない)日々が続くのでした・・・。

ところで、私は最初の2週間くらいで、9匹もらってきた金魚のほとんどを殺してしまいました。毎日毎日家に帰ると、金魚が身動きひとつせず水面に浮き上がっている。もう、しまいには「たかが金魚だしどうでもいいや」と思いかけたこともありました。
 でも、「子供のために、1匹だけでもいいから何が何でも生かしたい」という気持ちと、自分自身の意地もあって、我慢しました。このときから1ヶ月くらい、金魚を死なせたくないという思いから、本当によく勉強しました。必要と思われる最低限の飼育器具も少しずつですが、順次そろえていきました。そうしているうちに、金魚に対する愛着も湧き、また、金魚も我々と同じ1つの命なんだな〜と実感するようになったのです(息子ではなくて、私の方が情操教育されてしまいました)

でも、多くの人たちがあたりまえのように語っています。「金魚すくいの金魚は、もともと弱っているから、死ぬときはどうやっても死ぬんだ」と。また、こんなことを言う人もいます「金魚すくいの金魚なんて、ショップに行けば大型魚のエサじゃん。」でも、こういった死ぬのがあたりまえってニュアンス、どうもおかしいな〜と思います。何を今更ですが、敢えて言いたい。1匹何万円もする大型熱帯魚も、金魚すくいの小さな金魚も、同じ1つの命です。究極には、アリンコだってミジンコだって、人間だって、一人一人、一匹一匹はそれぞれ一つの命なんです。

以前ある方が「金魚すくいは狭い中で金魚が追い回されてかわいそうだから見るのがイヤ」って言ってたのを思い出しました。こういった感覚を金魚や、ほかのペットを飼っている全ての人に持っていて欲しいなぁと思います。

品評会にでるような「りっぱな金魚しか金魚と呼べない」と思っていない人や、「金魚すくいの金魚なんて、もともと大型魚のエサだろ」と思っている人って結構多いですよね。人間ってホントに勝手だと思います(私もですが)。飼い込まれた立派な金魚は、死んでしまったら飼い主もとても悲しむかもしれません。金魚すくいの金魚でも、誰かの家に持ち帰られた子は、まだ良いほうです。金魚すくいのたらいの中で追い回され、弱った挙げ句誰に看取られるでもなく死んでいき、ビニール袋に放り込まれて捨てられる運命の、かわいそうな金魚たちをだれが弔ってやるというのでしょうか。せめて今、この原稿を読んでいるみなさんくらいは、無数の不幸な金魚たちのことを少しでもいいですから、想ってやってほしいと想います。
語り部(かたりべ)ぷーさん