「60センチ水槽への道(前編) 〜金魚道入門の決断〜」
今回は再び私の飼育履歴のお話です。時系列で言うなら、第7話の続き、ということになりますかね。では早速本題に・・・。

平成15年夏に、ふとしたきっかけで始めた金魚の飼育。しばらくは小さい金魚4匹に36センチ水槽で、さほど窮屈そうにも見えない飼育環境で飼ってました。しかしHPや本なんかでいろいろ調べていくうち、自分の36センチ水槽が、将来的に金魚を飼い続けるには、ちょっと小さすぎるということがだんだんと判ってきました。

「金魚ってそんなに大きくなるものなんだ。」
とはその当時の感想。最初はホントに知りませんでした。昔金魚すくいでもらってきた金魚はずっとそのままの大きさなのかと思っていましたからね。幼稚園〜小学校の頃、友達の家などで大きい金魚をみかけると、母親が「あれは大きくなるタイプの金魚だ。ウチのは小さい種類なんだよ」と教えてくれたのをおぼろげながら覚えているのですが、母が大嘘つきだということに、最近気づいたわけです。

本やネット等の情報によると、大型の金魚を飼育できるのは幅60センチ以上の水槽で、それ未満の大きさだと、成魚は無理とのことでした。しかし、ウチの2DKアパートに夫婦+子供1人(H15.11からは2人)の生活では、絶対60センチ水槽なんて置くスペースも無いし、無理だな〜と最初からあきらめていたのです。

でも一方で、当時ネットでお世話になってた方々から、60センチ買えよ〜みたいな誘惑のコトバが乱れ飛んできて、結構調子に乗りやすい私としては、そのつどユラユラと心が揺れ動いていたのでした。

そもそも我が家では水槽置けるのが、玄関のシューズボックスの上しかない(当時はそう信じ込んでいた)んですね。そこには当時36センチ水槽が置いてましたし、そのほかにもいろいろな外出用品(靴ケア、虫除け、折り畳み傘)が置いてあり、とても狭く感じたので、当然60センチなんて置けないと信じ込んでいました。

でもある日のこと、ふと魔が差して、メジャーを持ってシューズボックスの上のスペースを測ってみたのです。すると幅80センチ、奥行き40センチくらいありました。「おおっ!置けるでないの!」今まで無理と信じ込んでいた60センチ水槽も、十分置ける広さであることに気づいてしまったのです!

これでその時まで全く現実味が無かった「60センチ買いたいぞ〜的な気持ち」が、一気にふくれあがってしまいました。ただ、少しだけ気がかりなことが・・・。水槽を置いたときの底板(シューズボックスの天板)の強度です。我が家のシューズボックスは、後ろの壁と両側の壁に天板を固定しているのですが、間には筋交いのようなものは一切無しなんです。重い物を上に置いたら、当然たわみそうです。そこで、実際に私が全体重(65kg)をかけて真ん中あたりを押してみると、やはりわずかではありますが、たわんでしまいます。やはり無理か?でも、なんとかなりそうな気もするし・・・。

そんなこんなで相変わらずユラユラと心が揺れ動く毎日を送っている頃、行きつけのショップで、NISSOの60センチ水槽4点セットが、月末まで3,980円という特価で売り出されているのを見てしまいました。
「おおっ、これはもしや神の啓示では?」
あと残る障害は我が家の大蔵大臣(奥さん)でした。でもこちらは、ある日おそるおそる切り出してみると、意外にあっさりとOK。ただし、彼女の話としては
「どうせ最終的に買うんでしょ?迷っている時間がもったいないからさっさと買えば?」
・・・う〜ん、見透かされています(^^;
またカタログ鑑賞やネットサーフィンで無駄な時間を過ごす日々が来ることを予期していたのでした。私よりも奥さんのほうが私の行動パターンを理解しています。恐るべし、マイ奥さん。

あとは私自身の決断だけだったのですが、やはりこの狭い家に60センチは不相応では?という思いが心の奥底に残っており、以後は、60センチと45センチのどちらにするか?という意味で迷う日々でした。

当時は本当に、脳みその中の5割以上が水槽のことで占めるような状態になり、生活や仕事に支障がでるくらい真剣に悩みました。
「やっぱり45センチにしようかな?」
と思いはじめていた矢先に、ネットの金魚友達のみなさまに
「45センチよりは絶対60センチ!」
などと言われてさらに迷ったり・・・。
「ダメだ!このままでは身の破滅だ!なんとかこの状況を打破しなければ。」
と思い始めたとき、ある方から、
「自分は60センチを購入したけど、今から思えば90センチでも良かったくらいだと思っている。45センチでは絶対後悔すると思う」
というメッセージを頂いたのが決定的となり、最終的に60センチ購入を決断しました。そしてとうとう行きつけのショップで、購入とあいなったわけです。
(毎日ウロウロしているだけの客がいきなり水槽セット購入したもんだから、みんなビックリしてたかも。詳しくは第8話参照)

ということで事は落ち着きました。でも今から考えれば、家の事情も確かにあったのですが、それ以上に、私の中で無意識のうちに、「60センチ購入」=「金魚飼育を以後将来やり抜く」という図式ができていて、その決断ができないことが60センチ購入になかなか踏み切れなかった原因かなと思うようになりました。いつも心の奥底で、飽き性の自分に、
「本当にこれからずっと金魚飼う覚悟ができているのか?すぐに飽きて飼育もやめちゃうんではないの?」
と問いかけていたような気がします。でも、ネットで出会った多くの人々たちに励まされ、またみなさんの金魚をかわいがる気持ちに触れ、金魚といっしょの充実した生活をかいま見るうち、自分の中にも、「なんとかやっていける」という自信と決断が芽生えたような気がします。逆に言うなら、最初からこの気持ちがあれば、もっともっと値段が高くても60センチ水槽すぐに買っていたでしょうね。

つまり、この「60センチ購入」という決断がなされた瞬間、私は初めて本当に「金魚道に入門」したのです。(ってそんなに大げさなものでもないですかね・・・)
でも、金魚道の修行は厳しいものでした。このときは知る由もありませんでしたが・・・。

(続く)
  
 
語り部(かたりべ)ぷーさん