本題に入る前に、金魚の選び方についての注意点を少しだけ。 ★金魚の選び方 お店で金魚を買うとき、次のような金魚は病気にかかっていたり、弱っていたりする可能性が高いので、避けましょう ●底でじっとしている元気がない ●1匹だけ群れから離れている ●体やヒレに白い点やカビのようなものが付いている ●身体に寄生虫が付いている ●身体やヒレに傷がある ●ヒレが切れ切れになっている 姿形については、品種固有の良しとされる特徴がありますが、ペットとして個人的に楽しむ範囲ではこだわる必要は無いでしょう。むしろちょっとヒレが変形していたり、面白い顔をしている子のほうが、愛着がわいたりすると思います。 ★金魚の種類の組み合わせ 金魚の品種はすごくたくさんあります。これらは体型や性格によって、泳ぎやエサとりの上手下手があります。大きく次の3タイプに分けることができます。
いろんな種類の金魚を水槽の中で楽しみたいという気持ちもわからなくはないのですが、違う種類の金魚を同じ水槽内で飼う場合は、@〜Bのうち同じグループの中から選ぶようにしないと、泳ぎの下手な金魚がエサが上手くとれなかったり、いじめられたりして、成長しにくかったり弱ったりしてしまいます。例えば和金とランチュウを同じ水槽で飼ったら・・・運が良ければ育つかもしれませんが、最悪の場合ランチュウがエサを食べれず、またストレスを受けて死んでしまう危険があります。 さて、それでは、いよいよ買ってきた金魚の扱い方、購入から定着までの流れを解説します。 ★水温合わせ 店から金魚を連れて帰ったビニール袋の中に入っている水は、たいてい自宅の水槽の水とは水温が異なります。このまま金魚を水槽へ移してしまうと,水温の急変により金魚が体調を崩し、最悪の場合死なせてしまう恐れがあります。そこで次のような手順で水温合わせという作業を行います。
★水(質)合わせ 水温合わせが終わっても、いきなり金魚を水温にジャボンと入れるのは、ちょっと待ちましょう。金魚は、水温の変化と同様に、水質の変化にもとても敏感です。そこで、ビニール袋の中に少しずつ水槽の水を入れていき、新しい環境(水)に慣らしていきます。これを水あわせ(水質あわせ)といいます。ここでは参考としてかなり丁寧に行う手順を紹介します。
Hまで行うと、もうだいじょうぶですので、金魚を本水槽へ移してやりましょう。このとき一つだけ注意点を。ビニール袋の中の水には、まだわずかながら買ってきたお店の水が残っています。この水はお店の管理状態にもよりますが、病原菌や寄生虫の卵などが入っている可能性があります。ビニール袋の中の水は水槽に入らないように、金魚だけ移すようにしましょう。 これで金魚の引っ越しは完了です。最初に1/5だけ水を入れ替え、その後1/4→1/3→1/2と徐々に水の入れ替え量を増やしていくのは、金魚に対する刺激(水質の変化)をゆるやかにするためです。最初から1/3とか1/2の水を換えると、水質の変化が急になります。後の方になると、だいぶ水槽の水の割合が増えていますので、たくさん換えても水質の変化が少なくなります。参考までに、水の入れ替え方法(量)により、ビニール袋の中に水槽の水がどれくらいの割合で含まれるようになるかを計算してみたので掲載しておきます。 (参考)水の入れ替え方法と、袋に入っている水槽の水の割合
上の表は、ビニール袋の中の水の入れ替え方法の違いによる、新たに加わった水槽の水の割合を比べたものです。これをみてもらうとおわかりいただけるように、最初は1/5、次に1/4・・・とだんだんと水換え量を増やしていったほうが、ビニール袋の中の水質の変化が均等且つ緩やかになることがわかります。逆に最初から1/2ずつ水換えすると、最初の1回で大きく水質が変化し、その後は水質があまり変わっていかないのがわかります。 参考にしていただくために、敢えて上のような丁寧な手順を挙げてみましたが、実際にはここまで丁寧な水合わせは必要無いかもしれません。しかし、例えば水の入れ替えを2回する場合には、同じ量を2回するよりは、やや少な目の量で1回入れ替えし、2回目では逆にやや多めに水換えするというやり方のほうが、水質の変化が均一化するということは覚えておいて損は無いと思います。
以上のような手順で管理し、最低でも3日程度はトリートメント容器で過ごさせます。その後特に金魚の調子に問題が無ければ、水質合わせをして、本水槽に投入します。水槽とトリートメント容器を同じ場所に置いておけば、水温が同じになっていると思いますので、水温あわせは特に必要ありません。 ★飼育開始〜1週間後までの管理のポイント この時期は、金魚の体力もまだ落ちている上に、濾過バクテリアがまだまだ定着していないので、非常に不安定な時期といえます。買ってきた金魚を死なせてしまうのは、ほとんどこの時期です。逆に言えば、この時期を乗り越えれば、かなりの確率で金魚を生かすことができると言えるでしょう。 ◆水換え 水槽立ち上げ当初は、アンモニアや亜硝酸を分解してくれる濾過バクテリアがまだ水槽の中に十分定着していないので、水槽内にどんどん蓄積してしまいます。そこで蓄積した有害物質の濃度を下げるために、水換えは頻繁に行う必要があります。水換えの頻度は、金魚の大きさと水槽のサイズのバランスにもよりますので一概には言えません。まず2,3日おきに1/3程度の水を換えてみて、それでも水が白く濁ったり、金魚が鼻上げ(水面で口をパクパクし続けること)をするようなら、アンモニアの蓄積が思った以上に進んでいますので、水換えの回数を1日おきとか毎日とか増やして行う必要があります。 ◆エサやり 基本的に最初の1週間くらいはエサをやりらないようにします。理由は、金魚が弱っていて消化不良を起こしやすいことと、濾過バクテリアが定着していないので、金魚のフンから発生する有害なアンモニアが水槽の中に蓄積してしまうからです。金魚は1週間くらいならエサを与えなくてもだいじょうぶです。 ★飼育開始1週間後〜約1ヶ月後の管理 この頃には、金魚の体力はかなり回復してきていると思います。しかし、濾過バクテリアのほうは、まだ安定的なレベルまで定着していませんので、引き続き慎重に観察&管理することが必要です。 ◆水換え この時期になると、アンモニアは問題なく分解されていても、亜硝酸の分解が追いついていかない状態になっています。(詳細は「うんちく ろ過のお話@&A」参照)。亜硝酸はアンモニアと異なり、水中の濃度が高くなっても水は透明なままなので判断が難しいところです(亜硝酸濃度が高くなると金魚が鼻上げするという話しも聞きますが、我が家では亜硝酸濃度が危険レベルになっても鼻上げしませんでした)ということで、できれば亜硝酸の検査試薬を買っておき、毎日計測するようにすれば、亜硝酸が危険濃度になる前に1/3程度の水を交換するという対処方ができて便利です。試薬が無い場合、飼育開始から1ヶ月間、水換えの頻度を減らさないほうが安全でしょう。60センチ水槽くらいになると、水換えの労力もばかになりません。 ◆エサやり 飼育開始から概ね1週間経過して、金魚の様子におかしい部分がなければ、少しだけエサを与え始めます。最初はごく少量与え、1ヶ月後くらいかけて徐々に量や回数を増やしていきます。濾過バクテリアは徐々にしか増えないので、最初からエサをたくさん与えすぎると、バクテリアが大量のアンモニアや亜硝酸(特に亜硝酸)を分解しきれなくなる恐れがあります。(詳しくは「濾過のお話」の項参照)。 以上のように飼育開始後1ヶ月を乗り切れば、あとは徐々に水質も安定してきて、金魚も落ち着いてくると思われます。買ってきた金魚を長く生かしたいなら、この1ヶ月間は、とにかくしっかり観察&管理してあげることが大切です。 1ヶ月経過後の飼育管理については次項で。 |