金魚飼育を開始し、1ヶ月程度経過して濾過バクテリアも定着したら、特に難しいことも無くなってきます。これからは毎日のエサやりと観察、時々行う水替えと、ごくたまに行う大掃除、あとは濾過器(フィルター)のメンテナンス(水替えや大掃除と兼ねて行う場合が多い)くらいです。ここでは、金魚飼育が軌道に乗った後、日々どのような管理を行っていけば良いのかについて解説します。 ★ エサやり方法 ペットに食事を与えるのは飼育の基本であり、そこに飼育の楽しみがあります。しかしながら金魚は胃が無く食べたエサが直接腸に送り込まれるため、一度に多量に与えると消化不良を起こしやすくなります。そのような事情から、実は金魚の飼育管理の中で、エサやりの方法がいちばんわかりにくく難しいといえます。 エサの適量はよく「5分程度で食べきれる量」と言われたり、「金魚の頭の容積の半分くらいが適当」という表現をされることもあります。しかしながら、エサの形状や金魚の好みなどによって食べるスピードも違いますし、和金とオランダ・ランチュウでは、頭の大きさが違うため頭の半分の量といっても全然違ってきてしまいます。また、金魚を大きくしたいのか、それよりも管理の手間を省くことに重きを置くか・・・このような事情で全く給餌量は異なってきます。まずは、いかなる場合でも次の原則はあてはまるので覚えておいて損は無いでしょう。
では、実際にエサの適量を判断する方法をいくつか紹介します(必ずこの方法が絶対正しいというような方法は無いので、参考にして各自で工夫してみてください) ◆ケース1(オススメ) そんなに大きくしなくて良い。エサも金魚を危険にさらさない程度に抑えたい場合。
◆ケース2(上級者向け) できるだけ多量のエサを与え、早く金魚を大きくしたい場合。
ケース1よりもケース2のほうが確実に量が多くなります。私はケース2の方法で判断した量で半年ほど順調に飼育していたのですが、やはりエサの量が相当多かったようで、ふとしたことでアオコが大発生したり、金魚がマツカサ病にかかったりしました。相当な観察力&判断力がないと、やはりエサをたくさん詰め込むのは難しいと思います。ケース1の方法でも十分に金魚は大きくなると思いますので、ケース1の方法を参考にするほうが良いと思います。 なお、ここで紹介した方法で判断した量は、あくまで目安と考えてください。金魚の種類や個体差、その時々の体調等によっても、適量や限界量は変わってくることにご注意ください。 (参考1) エサやりと水温 金魚は変温動物で、比較的幅広い温度域で生存が可能です。しかしながらあくまで「可能」なのであって、やはり適した水温というのがあります。あまり低すぎたり、逆に高すぎたりすると、食欲が落ちたり、消化機能が低下したりして、消化不良を起こしやすくなりますので、次を参考に、水温に応じてエサの量を加減しましょう。
なお、広範囲の水温に適応できる金魚ですが、水温の急変には弱いので、水換えの際は十分注意しましょう。 (参考2) エサの種類と特徴 金魚は雑食性ですので、いろいろなものを食べます。エサもいろんな種類があります。それぞれ特徴などを簡単に記しておきます。
★水槽の管理(上部濾過器使用の場合) 次に水槽の管理(水の交換&掃除)についてです。水槽で金魚を飼っていると、濾過バクテリアによってアンモニアが分解されてできた硝酸塩がどんどん貯まっていき、水が酸性になって金魚に悪影響を及ぼします。また、フンやエサの残りかす等のゴミが貯まっていき、それが腐敗して病原細菌が繁殖する原因となってしまいます。また、たびたび水換えをしてやっても、底砂の底の方や、濾過器の濾過槽の底には、だんだんとヘドロのような汚物(バクテリアの死骸やフン、残りエサのカス等)がたまって、これまた病原菌の温床になってしまいます。よって、たとえ濾過バクテリアが定着して安定した水槽であっても、定期的に水を交換して、硝酸塩やゴミを水槽外へ出してやりまた、水槽や器具を定期的に掃除してやる必要があります。ここでは、普段の水換え、掃除等、水槽の管理方法について解説します。 なお、水換えの手順は、水槽の大きさや使用している濾過器の種類、水草の有無といった飼育環境で若干異なってきます。以下は、60センチ水槽で上部濾過器を使用している場合の手順ということで読み進めていただくようお願いします。 ◆水換え 水が汚れやすい水槽では1週間に1回程度、尾数が少なかった餌を少なめにしている水槽では2週間に1回程度、水槽の中の水の一部を交換します。全ての水を入れ替えると、金魚にとって水質変化が大きくなってしまい、病気の原因となりますから、全水量の1/3程度を目安に交換します。以下手順について説明します。 @交換用の水を準備する 新たに必要となる量の水をバケツ等にあらかじめ準備しておきます。ポイントは水温合わせとカルキ抜きです。室内飼いの場合、たいてい水道水の水温のほうが温度が低いのでヒーターを使用したり熱湯を加えたりしてし、水槽の水と水温を合わせます。また水道水の場合、1日汲み置くか、ハイポ等を使ってカルキ(塩素)を抜くことを忘れないようにしましょう。 ※H17.5.5追記(私見なのであくまで参考にとどめて下さい。) 水温合わせは原則ですが、和金、琉金、オランダ等、特に難しい品種でない限り、1/3程度の水換えに際してあまり慎重にしなくても良いように思います。特に水温が低いときは水温の変化に敏感である程度慎重にすべきと思いますが、水温が高い(達観的に20℃以上)の場合は、水温差が多少あっても、そのまま水換えして問題になることは無いような気がします。 A電気器具のスイッチを切る フィルター、蛍光灯などの電気器具は、水槽の中の作業をする場合、必ず電源オフにしてコンセントも抜きましょう。また、コンセントやプラグの防水対策もだいじょうぶかチェックしておきましょう。上部濾過器や水槽のフタ等、水槽の上に設置してあり、作業の邪魔になるものはこの時点で取り外しておきます。 Bアクセサリー、流木などを取り出す 水槽の中にある作業の邪魔になるものは取り出しておきましょう。水草は植え替えると弱るものもあるので、そのままにしておいてもいいです。このとき、取り出したアクセサリー等が汚れたりコケむしたりしていたら、洗うようにしましょう。アクセサリー類は水道水でジャバジャバ洗ってもOKです。 Cコケを落とす 部分換水のたびに行う必要はありませんが、あまりコケむしているようでしたら、コケ取り用のヘラ(三角定規等でもOK)やスポンジ等で落としておきましょう。 D水を1/3抜き取る 水を抜き取ります。フンやゴミ等は底の方に貯まっているので、底の方から吸い出すようにします。底砂を敷いている場合は、少しだけかき回してゴミを浮かしながら吸い取りましょう。あまりゴミを巻き上げすぎると、金魚がゴミを吸い込んでよくありませんので、控えめに。サイフォン式のホース(写真)を使うと便利です。ホースの出水口が水槽よりも低くなるほど水が勢いよくでますので、これを利用して、流量を調節できます。 E水を入れる 最初に(@で)準備した新しい水をDで抜いた量だけ水槽に入れます。ひしゃくなどを使用して入れてもいいですし、灯油用の電池式ポンプがあれば楽に作業できます。水が流れ落ちる部分の水底に陶器製のお皿などを敷いておくか、手や板等に一度当ててから落ちるようにすれば、底の砂利が堀り上げられずに済みます Fアクセサリー、流木などを入れる 水に流れにくいアクセサリーなどでしたら、EとFの手順は逆でもOKです。 G電気器具類のスイッチを入れ動作チェックする 作業中に思いも寄らないところに水がかかったりすると漏電の危険がありますので、水に濡れていないか確認し、問題無いようでしたら全ての電気器具のスイッチを入れ、キチンと動作するか必ず確認しましょう。 水かえの方法は以上のとおりです。この定期的に行う水換えは、フン掃除くらいのつもりで考えればOKです。先にも書きましたが、ただ水を吸い出すのではなくて、底に溜まったゴミを水と一緒にしっかりと吸い出すよう工夫しましょう。 なお、飼育密度が低い場合、頻度は2週間に1界程度でもだいじょうぶかもしれませんし、逆に金魚の密度が高すぎると、1週間に2回くらい換水しないと、金魚が鼻上げしたりするかもしれません。ただ、このように1週間に2回以上、水を換えないと維持できないというような場合は、飼育密度が高すぎるかエサの与えすぎの傾向が強いと思います。このような水槽は、水換えの頻度を増やすことよりも、水槽をもう1本追加して、金魚を分けて買った方が病気等もでにくくなって良いでしょう。 ◆大掃除 普段は先に説明した水換え(簡単な掃除)でいいですが、それだけでは汚れは完全に取れず、水槽や器具の隅、底砂等に汚れが貯まっていきます。そこで、3ヶ月〜半年に1回くらい、水槽の大掃除を行います。私が行っている手順は次のとおりです。 @入れ替え用の水を準備 先の水換えと同じですが、必要な水の量が多くなります。ただ、大掃除の場合は、金魚は別容器に待避させておくので、あわてて水を戻す必要はありませんから、溜めておく容器が足りなければ、不足分は最後に水を入れるときに水温合わせやカルキ抜きしながら入れていけば良いでしょう。 A電気器具のスイッチを切る 上部濾過器や水槽のフタ等、水槽の上に置いてあり作業の邪魔になるものはこの時点で取り外しておきます。 B金魚を待避させる 十分な水量を入れることができるバケツ等に水槽の水(上澄み?のキレイな部分)を入れ、ネットやたらいを使って、傷つけないように金魚を移しましょう。金魚は作業が終わる間、ここで待避させておきます。必ずエアレーションしておくようにしましょう。 C水草、アクセサリー、器具類を取り出す 大掃除、アクセサリー、ヒーターや濾過器など水槽内の全てのものを取り出して洗います。この時点で水草も抜いておきます。(今回紹介する方法では、底砂は水槽の中で洗いますのでそのままにしておきます) D水槽・底砂を洗う 水が残っている状態で、スポンジ等で水槽の内側に付いたコケ等を落とします。底砂は手でかき混ぜたり揉むようにしてしっかりと洗います。洗い終わったらプロホースやポンプを使って汚れた水を捨てます。そして水道水を水槽の1/3くらい入れて再び底砂を洗い、また水を捨てます。この作業を底砂の汚れに応じて2〜3回繰り返します。 上部フィルターを使用している場合は、底砂についている濾過バクテリアは死んでしまってもさほど問題無いので、水道水でしっかり洗って構いません(底面フィルターの場合は底砂が濾剤になるので、底砂に着いたバクテリアを殺さないよう、慎重に洗う必要がある。) E器具類を洗う 上部濾過器から濾材を取り出し、水槽の水をバケツか何かの容器に取り、それで軽く洗います。しっかり洗ってしまうと、せっかく濾材に住み着いている濾過バクテリアが減ってしまうので、軽くかき混ぜる程度にしましょう。また、濾材が乾くと濾過バクテリアに良くないので、洗ったらそのままバケツに入れておきましょう。上部濾過器本体やパイプ類、ヒーター等については、スポンジ等でこすり、水道水でコケやヌメリを洗い流します。 F水を半分入れる 最初に(@で)準備した水を水槽に半分だけ入れます。砂が掘れないようにする方法は、先述の部分換水の記述を参照してください。 G水草、アクセサリー、ヒーター等を戻し、水を入れる 水槽の中に入れるものはこの時点で入れておきます。ヒーター等のこの時点でセットしても構いませんが、くれぐれもまだ電源は入れないようにしてください。 H水を水槽に満たす 残りの水を水槽に入れます。 I器具類をセット 上部濾過器に濾材をセットし、水槽に設置します。ライトやなどもセットします。 J電気器具類の動作チェック&濾過器の稼働 各電気器具が濡れていないか確認した後、動作チェックを行います。上部濾過器はそのまましばらく動作させておきます。 K金魚を水槽に戻す 上部濾過器を10分ほど動かしたら、水槽に金魚を戻しましょう。この際、水槽の水は作業前と比べて水質が全く異なりますから、知恵袋コーナーの「金魚を買ってきたら」を参照して水合わせを行ってから、金魚を移すようにします。 ★ 濾過器のメンテナンス(上部濾過器の場合) ◆濾材の掃除 濾過器に入っている濾材の掃除を行う場合は、濾過バクテリアが一度に急激に減るのを避けるため、最低でも濾材を半分ずつに分け、1週間以上期間を空けて洗浄しましょう。例えば上部フィルターの場合は、濾過層の下に入れてある濾材と、上に敷いてあるウールマットは、洗浄&交換を一度に行わず、片方ずつ行うようにすれば、バクテリアの減少を最小限に抑えることができます。さらに下の濾材を半分ずつに分け、ウールマット1グループ&濾材2グループの計3グループで交換時期をずらすようにすれば、なお安心です。 ◆濾材の交換 濾材も使用しているうちに劣化が進んだりして洗ったくらいでは機能が回復しなくなる可能性もあります。また、多孔質の濾材ですと、孔がバクテリアの死骸等で詰まり、細菌繁殖の原因となることもありえます。よって、濾材は適宜新品に交換することが望ましいです。
今回は、飼育が軌道に載ってからの主な管理のポイントについて、私なりの考えを解説してみました。ただし、今回のような飼育方法に関する部分というのは、人によってやり方が様々で、どれが正解というようなこともありませんので、各自で工夫して行ってみることが大切だと思います。 |