管理人は、平成16年12月現在、金魚の産卵は経験すれど、まだ一度も一人前の金魚に育て上げた経験が無いので、一部を除いては先輩飼育家や書物の受け売りになってますが、参考までにごらんいただければと思います。 ★金魚の産卵★ ◆産卵時期について 金魚の繁殖期は、一般的には春〜秋です。特に水温がだんだんと暖かくなる春〜初夏がベストシーズンといえるでしょう。ただ、室内飼いの水槽で、ヒーターを使用している場合などは、年中時期を問わず産卵する場合もあるようです。またヒーターの設定温度が高すぎると、産卵しないことが多いようです。どうも金魚というものは、水温の上下変動や、日長(室内飼いなら蛍光灯の点灯時間)等から季節感を感じ取り、産卵活動を行うような気がします。 ◆産卵時期が近づくと・・・ 最も特徴的なのは、♂が♀を執拗に、しかもかなり荒々しく追い回すことです(これを追尾といいます)。本当に産卵直前の状態では、♂は何かにとりつかれたように♀の産卵口(肛門)に向かって突進を続けます。このため、♀は産卵が終わる時間帯くらいになると、もうフラフラで、観ているのがカワイソウなまでの状態になります。ただ、このときでも、激しく追い回す♂とそうでなくてボケ〜っとしている♂に分かれるので、同じ♂といえど、人間と同じように好き者とそうでないのがいるようです(汗)。我が家では、朝から昼前まで追尾が続いた後、ある時点でピタっと追尾が終わります。何か♀が発するホルモンか何かが影響しているのでしょうか・・・・。 ◆産卵の回数等 産卵は一回で終わりません。1〜2週間おきに、数ヶ月続くのが普通のようです。我が家では、昨年12月下旬から、きちんと1週間おきに、3月末くらいまで産み続けました。産卵期を経た♀は見た目以上に相当体力が落ちているようです。元気に泳いでいても、1匹だけ病気にかかったりすることがあります。なので、毎回あまりにも追尾が激しいようなら、産卵期に水槽を分けたり、セパレーターで♂と分離するのも手です。♀は一人でも卵を生むこともあるようですし、産まなくても、そのうち卵が退化して吸収されるので心配ないようです。 ◆産卵期が近づいた場合の準備 産卵期が近づいたら(水温自然任せの場合、水温が18度程度になる時期、ヒーター使用の場合は、追尾の兆候らしき行動がみられたら直ちに)、産卵に備えるべく準備を行います。 (用意するもの) ・卵を産み付ける魚巣 ※アナカリス等の水草を束ねたもの 荷造り用ビニールヒモを細く裂いて束ねたもの これらを水面に浮かせ、ヒモなどで固定し広げておきます。 こぼれた卵も回収するなら、底にも設置してやりましょう。 ・卵隔離用(稚魚育成用)ケース、小型の水槽 ・小型のヒーター(冬場の産卵でない場合、常温でOKなので必要無し) ・稚魚用エサ(ブラインシュリンプ乾燥卵または粉末稚魚用の飼料) ・ブラインシュリンプ使用の場合、孵化器とエアポンプ、エアチューブ ※孵化器はペットボトルで自作可 →本当は産卵させる♀とカップリング用の♂だけ別水槽に分けるのが良いが、スペース的な 都合等もあると思うので、本水槽で産卵させ、すぐに回収する方法で話を進めます。 ◆産卵の実際 ♀1匹に対して♂(追尾する者)2匹をカップリングするのが常套です。産卵の始まる夜中か未明あたりから、♂は激しく♀の尾部を追いかけ回します。♀は必死に逃げるのですが、そのうち隅に追いつめられたり、♂に挟まれたりしたら、観念したかのように、上を向いて体をブルブルッと一瞬激しく振るわせます。♂もこれに併せて体を震わせます。このとき、産卵と放精が同時に行われ、卵が受精します。これを一度行ったら、また追尾→追いつめられる→産卵&放精、これを数時間程度繰り返して、一回の産卵は終わりです。追尾する♂が一匹だと、♀が追いつめられないからかなかなか産卵せずに、とても効率が悪く感じました(追尾される時間のわりに卵を産み落とせない→消耗が激しい)このとき放出された卵は親魚がどんどん食べる場合がありますから、頃合いを見計らって、魚巣を取り出して、卵を用意しておいた容器に回収します(もちろん容器には飼育水を入れておいてください)。卵は魚巣に結構粘り強く張り付いていますから、先を丸めた棒(割り箸)やピンセットなどで、できるだけ傷つけないように回収しましょう。観賞魚用に売っているスポイド等もちょうど良い大きさで、回収に適しています。 ※なお、安全のために、卵を回収せずに、魚巣ごと別容器に移してやる方法もあります。この場合、稚魚が藻離れ(後述)した頃を見計らって、魚巣をとりだします。 ★卵の孵化★ 卵を回収したら、こんどはそれを孵化させるために準備をします。 ◆水温 高いほど早く孵化します。20℃で5日〜1週間、30℃で1〜2日くらいが普通です。しかし、あまり急いで孵化させると、その後の成長が悪いようなので、20℃くらいでじっくりと孵化させるのが良いようです。冬の産卵の場合、ヒーターを別に購入しても良いですし、親魚水槽に、ひっくりかえらないように浮かべておくのも手です。ただこの場合、親魚が稚魚を見つけて、食べようと突進してきて、稚魚がストレスで★になるケースがあるので中身が見えにくい丈夫なケースにするなどの方が安全だと思います。 ◆無精卵の除去 産卵直後は茶色っぽかった卵ですが、産卵後丸1日くらいたつと、きちんと受精していた卵は透明になります。逆に受精に失敗した無精卵は、白く濁ってきます。これをそのまま放置すると、病原菌が繁殖する基となりますので、無精卵はできるだけ早めに除去しましょう。取った無精卵は、そのまま捨てても構いませんが、卵は栄養価が高いので、私は親魚に食べさせていました(汗) ◆卵の発達 受精卵は、卵の中でどんどん細胞分裂&発生を繰り返し、産卵後2日くらいで、目になると思われる黒い点が2つ、そしてまもなく背骨となる黒い線が見えてきます。 孵化が近づくと、時折卵の中で、稚魚がクルクルッ、と向きを変えたりしてカワイイです。この段階になると、いよいよ孵化を心待ちです (^^) ◆孵化 産卵から順調に行けば、水温20℃では5日くらいで孵化が始まります。上手に殻を抜ける者や、しばらく殻をかぶったままもがいて泳ぎ回る稚魚がいたりして、とてもカワイイですね(本人たちは必死でしょうが・・・) 最初の仔が孵化してから、残りが全員孵化するまでは、丸1〜2日くらいかかります。孵化がある程度進んだら、殻がゴミとなって溜まっている場合があるので、これらをスポイド等で取り除いてやりましょう。 ★稚魚の育て方★ ◆稚魚の行動 孵化して3日くらいは、ビックリした時などを除いて、ほとんど泳がず、壁などにはりついてジッとしています。孵化したての稚魚は、まだ口ができあがっておらず、お腹についたヨークサックという袋に入った栄養分を吸収しながら育ちます。 そしてふ化後3日を過ぎた頃、口や消化器官もできあがり、ヨークサックの栄養分も吸収しつくして、「わ〜ん、お腹が空いたよ〜」とピョロピョロとエサを求めて泳ぎ出します。これを「藻離れ」といいます
◆エサの準備と与え方 ということで、稚魚に餌を与えるのは、ふ化後3日目くらいからにしてください。エサはブラインシュリンプの幼生、または市販の稚魚用粉末餌で良いと思います。ブラインシュリンプの幼生は、乾燥卵を自分でふ化させてGETします。孵化器にセットしてから孵化まで24時間以上かかるので、無駄になることを覚悟で、早め(ふ化後1〜2日目くらいから)準備しておくと良いと思います。 どちらのエサが良いかということですが、稚魚は生き餌を好むので、ブラインシュリンプのほうが当然食いがよく成長も早いので、多少手間がかかりますがオススメです。 稚魚用のケースは小さくて汚れも早いので、最初はちょっとだけ与えて、様子を見ながら増やしていき、できるだけ水を汚さないようにしましょう。稚魚がエサを食べると、お腹にエサの色が透けて見えるのでわかります。
ブラインシュリンプを2〜3週間ほど与えたら、その後は粉末の稚魚用のエサに切り替えます。その後は成長に伴って、エサを大きなものに切り替えていけば良いと思います。 ◆稚魚用ケース(容器)の水質管理について 稚魚といえど水を汚しますから、アンモニアの濃度はどんどん高まっていきます。本来なら濾過器を設置するなどの方法がとれればよいのですが、稚魚はきわめて遊泳力が弱いため吸い込まれやすく、ましてや狭いケースの中でエアレーションなどしたら、泳げたモノではありません。 そこで、方法の一つとして、親魚水槽の水を利用して、毎日少しずつ換水すれば良いと思います。もちろん、親魚水槽の濾過が順調で、水に問題ないという前提があっての話ですが・・・。 稚魚用のケースを大きいものにして濾過器も設置するという方法もありますが、あまり大きなものでは稚魚が分散してエサやりなどに不都合が生じるため、ふ化後しばらくは難しいと思います。 また、親魚水槽に設置できるタイプの稚魚隔離用のケースで、プラスチックの骨組みに、目の細かいガーゼ状の布のようなものを覆って、親魚の水槽と水が出入りできるようになっているものがありますが、金魚の場合にはこれはあまりオススメできません。というのも、骨組みと布の間に稚魚が挟まって死亡するというケースが非常に多いからです。 とにかく最初の1ヶ月を乗り切れるかどうかだと思います。私は昨年初めて実践したとき、粉末飼料の食いが悪く、なかなか大きくならずモタモタしているうちに、事故などが相次ぎ、結局最初の1ヶ月くらいでほとんどを★にしてしまいました。今年は是非とも稚魚の育成を成功させたいと思います。 |