★飼育器具の準備 ミドリフグの飼育に必要な器具を順に説明していきます。例によって必要度の高さを★の数で表します。★★★が最高で、絶対必要なものです。 ◆水槽(★★★) これがないと話が始まりません。大きい方が水質の維持が楽というのが一般論ですが、管理面で大変です。ミドリフグは原則単独飼育ですから、さほど大きいものは必要でないと思います。フグは大食漢で水を汚すと言うことも一般的に言われていますが、金魚で慣れている方は、さほどおそれることはないでしょう。金魚と同程度と思っておけばおつりがくると思います。また、ミドリフグは金魚ほど遊泳力はありませんので、水槽の床面積はさほど考えなくても良いでしょう。規格タイプでも縦長や横長のインテリア水槽でもどのような形でも良いですから、水量が10〜20リットルくらいのものを用意すれば当面はだいじょうぶでしょう。ちなみに管理人は水量5リットルのプラケースで飼っています(汗)もちろん当座しのぎですので、そのうち36センチ規格水槽(水量20リットル程度)に引っ越ししようと思っています。 ◆ヒーター(★★★) これも必須です。常時25〜26℃を目標に維持しますので、安物の温度固定タイプでも良いですが、白点病の治療等で水温を上げる場合を想定して、余裕があれば温度調節タイプを購入しておくほうが良いです。 大型魚なら2本のヒーターで万一の故障に備えるという人もおられますが、比較的小型の水槽でミドリフグを飼う場合、水槽内に2本ヒーターを入れると邪魔でしょうがないですから(笑)、入れるのは一本だけにして、とにかくヒーターが故障していないかちょくちょく水温をチェックする癖を付けておけば良いと思います。そして、近所のコンビニで熱帯魚用ヒーターも売っているという人を除いて、できればヒーターは一本予備を持っておき、万一の故障に備えるというのが良いでしょう。 ◆ヒーターカバー(★★) ミドリフグはときおりヒーターの上に乗っかって休んだり眠ったりすることがあります。この場合、ヒーターの熱でフグが火傷してしまうので、できればヒーターカバーを付けておくほうが安心です。小型一体型ヒーター用のものは各社実売価格500円前後で売られていると思います。 ◆人工海水の素(★★★) 汽水を作るのに絶対必要です。食卓で使う精製塩や自然塩ではダメです。天然の海水に含まれるのと同じように、魚に必要な微量元素が添加してあります。汽水の作り方については、飼育方法の項で詳しく説明します。 人工海水の素は各社から各製品がでています。海水魚飼育の世界では、成分や添加物が飼育に及ぼす影響が大きくいろいろと語られていますが、汽水環境の場合は、そこまで細かい部分は要求されないので、とりあえず安いものを買えば良いと思います。 ちなみに管理人は安かったのでマツダという会社のマリンメリットという製品を使用していますが(海水25リットル用で600円程度)、超マイナーな製品のようです(汗)。普通の店でよく見られる「インスタントオーシャン」か「テトラマリンソルト」あたりが安くて良いと思います(テトラ〜は保護材のようなものが添加されていて、これがプロテインスキマーという器具に悪影響を与えるため、海水魚飼育の世界では否定的な意見が一部にありますが、汽水で飼育する場合は気にしなくて良いと思います。それよりも同製品の「小袋分けされていて劣化しにくい」というメリットのほうがはるかに高いと思います) なお、人工海水の素は、空気中では水分をどんどん吸って、非常に水に溶けにくいかたまりとなりやすいので、使用するとき以外は、できるだけ乾燥剤等といっしょに密封して保存するのが望ましいです。 ◆珊瑚砂(★★) 底砂は大磯砂等でも良いのですが、ミドリフグが弱アルカリ性の水質を好むので、できれば底砂に珊瑚砂を使用してやると良いでしょう。珊瑚砂は天然の珊瑚の死骸を採取したもので、炭酸カルシウムが主成分であるため、水中に入れておくと水をアルカリ性に傾ける性質があります。 また、次に書きますが、底砂としてではなく、フィルターの濾材として使用する方法もあります。濾材として使用する可能性があるなら、サンゴ砂は5〜10mm径くらいのものを選べばよいでしょう。底面フィルターを利用する場合は、もう少し目の細かい砂の方が良いかもしれません(砂の目が細かいほど濾過能力が高い。一方で目詰まりもしやすい) ◆フィルター(★★★) これも絶対に必要です。フィルターの選択にあたっては注意すべき点が2つあります。 まず1点目は、魚の糞やエサの食べ残し等から発生するアンモニアについてですが、アルカリ性の水の中では毒性がケタ違いに増すので、発生したアンモニアは早急に濾過(硝化)してやる必要があります。 2点目は、水の中の塩分濃度が高くなるほど、濾過バクテリアが定着しにくくなります。汽水も海水ほどではありませんが、やはり塩分を含みますので、濾過バクテリアの定着は悪くなります。 以上2点から、金魚よりはさらに能力の高いフィルターを選択するようにします。上部、底面、外部、投げ込み、いずれのタイプでも構いません。ただし、塩分を含む水の中で使いますので、海水用を謳っているものを選択することが必要です。淡水用のものは、鉄の部分が錆びたり、電気系統への塩分の不着防止策をとってないため漏電する恐れがあります。 濾材は何を使用しても構いませんが、珊瑚砂を濾材に使用することができます。多孔質でバクテリアも繁殖するし、水もアルカリ性に傾くし、価格もセラミック濾材より圧倒的に安いので、海水魚飼育では非常に良く使われています。もちろん汽水環境での使用もオススメです。 珊瑚砂を濾材として使用する場合は珊瑚砂自体を目の粗い(5〜10mm径)ものを選択しましょう。目が細かすぎるものは目詰まりしやすくなりますので。 あと、汽水は塩分を含むため酸素がとけ込みにくい特徴があります。このため、積極的に水に酸素を溶け込ませることを考える必要があります。 フィルターに上部や投げ込み式を使用している場合等は問題ないと思いますが、外部フィルター等を使用する場合は、別途エアレーションするなどの対策が必要です。 ◆エアポンプ&エアストーン(★★) フィルターの項で書いたように、酸素供給量が少ないフィルターを使う場合や、酸素の溶けにくい暖かい季節等は、エアレーションしてやったほうが良いでしょう。 ◆ライト(★★) 絶対に無いと飼えないというものでもありませんが、ミドリフグの生活にリズムを与え、体調を良好に維持するためには、やはりライトを設置して毎日規則的に点灯したほうが良いでしょう。あと、ディスプレイ効果もあります。ミドリフグ飼育に適する小型水槽用に、各社からオシャレなクリップ式ライトが発売されていますので、これを利用しても良いでしょう。自然光が部屋に差し込むような場所に水槽を置いている場合は無くても良いですけどね。 ◆水温計(★★) フグの健康管理の面と、ヒーターの故障の早期発見を目的として買っておいたほうが良いでしょう。デジタルのほうが見やすいですが、価格も高くてばからしいので、普通のアルコール水温計(ガラス製で中に赤色の線が見えるタイプ)でOKです。 ◆電子秤(★★) 人工海水の素を計量するのにあると便利です。ホームセンター等で、調理用の1g単位で計測できるものが2000円くらいで売っていますが、これで十分です。普通の台所用バネ秤は計量単位が大きく、小型水槽用に少量だけ計量するのには非常に使いにくいのでおすすめできません。またバネ秤でも計量単位の小さい精度の高いものもありますが、かえって電子秤よりも値段が高くつくことがあります。 ◆計量カップ(★★) 同じ汽水を作る際、水を計量したり、人工海水の素を溶かしたりするのにあると便利です。食卓用で一般的な500mlのものよりも、あまりみかけませんが1リットルタイプのほうがいろいろと使いやすいです。 ◆バケツ(★★) 汽水を作ったり水換えするのにあると便利です。水槽が小型ですからさほど大きくなくても良いと思います。 ◆灯油用ポリタンク(★) どこでもみかける18リットル用とかいう青いヤツです。私は汽水を作るときは10リットルまとめて作って、これに保管しておき、少しずつ少しずつ換水するようにしています。 ◆ペットボトル(★) 2リットルのペットボトルです。10リットル以下の小型の水槽で飼育している場合、汽水を一時保管しておくのに役立ちます。10リットル以上の水槽の場合、ペットボトルではちょっと役不足になりますので、都度汽水をつくるならバケツ、作り溜めするなら灯油用ポリタンクなどを使用すると良いでしょう。 ◆スポイド(★) ちょっとした底のゴミをとったりするのに便利です。私は100円ショップで売っているファンヒーターの灯油吸い取り用のものを飼っています。熱帯魚用のスポイドは、吸い取り量が少なすぎるし、値段が高いのであまりオススメできません。 ◆ピンセット(★) エサを与えるとき、ピンセットで与えると、飼い主として自己満足の世界に浸れます(汗)普通のものでも使えますが、できれば柄の長い水草用(アクアリウム用)のものが使いやすいでしょう。単につまんでエサを与えるだけなら、割り箸でも役目を果たしますけどね・・・。 ◆比重計(★) 汽水の比重を計測します。海水魚飼育では絶対必要なアイテムですが、ミドリフグを飼う汽水環境の場合は、毎回同じ量の人工海水の素で同じ量の汽水を作るようにすれば、あまり必要性はありません。またミドリフグが生息している汽水環境自体が、河川の河口など、水の流入により比重が大きく変動しますので、ミドリフグは比重の変動にはある程度適応力を持っていると考えられますので、さほど厳密に比重を合わせる必要は無いかと思います。ちなみに海水の比重が1.023くらいですが、汽水は海水の1/4〜1/2の濃度に設定しますので、1.006〜1.012くらいの範囲となります。 ◆エサ(★★★) ミドリフグは基本的に人工エサは食べません。(場合によっては食べるのもいるそうですが)私は乾燥クリルを基本食に、何回かに1度は冷凍アカムシを与えています。そのほかに、天然の魚介類などもよく食べるようです。イトメやアカムシ等の生エサは大好物のようです。人間が食べる刺身やすしネタの魚やエビ、あとアサリ等の貝類もよく食べるようです。 ◆タッパ(★) エサの保存等に使用します。100円ショップで売っているようなもので十分です。保存形態に合わせて大小何種類かとりそろえておくと便利です。乾燥エサを保存する場合は、中に乾燥剤(シリカゲル)をいっしょに入れておくと鮮度が長持ちします。 ということで、必要な飼育器具が購入できたら、セットしてみましょう。 |