水槽のセットができて、1週間程度濾過器を回したら、いよいよミドリフグを迎えに行きましょう。 ★フグの選び方 親切なショップなら状態の良いミドリフグを店員が選んでくれるかもしれません。しかしたいていは、こちらが指定しなければ店員のほうも適当に選んでしまうでしょう。ミドリフグは網で捕まえようとするとすばやく逃げ回るので、元気のないのが網に入ってしまう可能性が高いといえます。一番ツライのは、傷ついたり元気のないミドリフグを買ってきて、自分の水槽で死なせてしまうことだと思います。やはり後悔しないためにも、できるだけ自分で選びたいものです。 ではペットショップに居るミドリフグの中から、どれを選んだら良いか、私個人の考えも含まれますが、以下に整理してみます。 @元気に泳ぎ回る。 A体色が明るく、黒色のスポット(斑点模様)がくっきりとしている。 Bカビや白点、寄生虫のついていないもの 以上はミドリフグの健康状態を表すものですので、最低条件ですね。性格からあまり泳ぎ回らないのもいますが、底の方でジッとしてたりフラフラ漂うように泳ぐものは論外です。あとミドリフグは体調や機嫌が体色や模様の鮮明度にあらわれるという一面があるようです。そのあたりも参考にすれば良いかと思います。 B水槽に近づくと寄ってくるもの フグの性格(性質)を表すものです。人間に慣れている、あるいは人間に対してストレスを感じていないということですから、連れて帰っても新しい環境に順応飼いやすいし飼い主としてもよりかわいく感じることでしょう。 C表情が気に入ったもの 結構重要な要素です。一概にミドリフグといっても、よく見ると一匹一匹、輪郭や目の付き方、顔の模様などが微妙に違います。あとで愛情をたっぷりとそそげるように、表情もチェックしたほうが良いでしょう。 金魚などではヒレがきれいがどうかも判断基準になるのですが、フグの場合、採取地からの輸送中やショップでは狭い中にたくさん入れられて、お互いヒレをかじり合ったりするので、あまりひどくなければヒレが傷んでいてもあまり気にしなくても良いでしょう。骨の部分が折れていなければじき再生します。 以上のあたりをチェックして、あとは五感を駆使して、自分のミドリフグと運命の出会いを果たしてください。 ★家に連れて帰るまで ショップでフグを飼うと、たいていは小さいビニール袋に飼育水少々と酸素を注入して密栓してくれます。この状態でしばらくは大丈夫ですが、フグにとっては小さい袋の中はストレスなので、できるだけ早く帰宅しましょう。おっと、店を出る前に、ショップのミドリフグ水槽の水温と、汽水の濃度を聞いておくのを忘れないように。水温はたいてい25〜26度くらいだと思いますが、汽水の濃度はショップによってまちまちです。中には淡水に入れている(酷い)ショップもあるようです。比重まで聞かなくてもいいとは思いますが、海水と比べて何%くらいの濃度か聞いておけば参考になります。もちろん最初は自宅の水槽の汽水濃度をショップに合わせてやりましょう(実は汽水の濃度は、水槽を立ち上げる時点で聞いておく方が良いでしょう。※汽水の作り方は「水槽セット編」を参照してください) 家に帰ったら、早速水槽に移す作業に入りましょう ★フグを水槽に入れよう ◆水温合わせ 他の熱帯魚と同じですが、いきなり水槽に入れたのでは水温や水質の急激な変化にミドリフグが耐えれないので、徐々に馴らしていきましょう。 まず飼ってきたビニール袋のまま、水槽に30分くらい浮かべておきます。これで徐々にビニール袋の水温が水槽の水温に近づいていきます。 ◆水合わせ 30分経ったら、ビニールの口を開け、中の水を1/3くらい捨てて、水槽の水を捨てた分だけ足してやります。この状態でビニールの口をしばってまた水槽に浮かべて20〜30分くらい馴らします。そしてまたビニール袋の中の水を1/3くらい捨て、水槽の水を捨てただけ足し、20〜30分くらい水槽に浮かべます。このように捨てては足し、しばらく待つことを計3回くらい繰り返すことで、徐々に水槽の水質にミドリフグを慣らせていくのです。 ◆ミドリフグを水槽に入れよう ここまで進めたら、新しい水槽の水温や水質にもミドリフグがだいぶ慣れてきていますので、今度はいよいよミドリフグを水槽に入れてやりましょう。このとき、ビニール袋の中にはショップの水がまだいくらか残っていて、病原となる原虫や細菌が含まれている可能性があるので、できるだけビニール袋の中の水が水槽に入らないように注意してください。 ★普段の管理方法 ◆初日からしばらくの管理 ミドリフグを水槽に入れてから1日はエサを与えないようにしましょう。また、その後もしばらくは、まだ最初は濾過バクテリアが定着していないので、エサは1日1回、ちょっとお腹が膨れる程度与えるだけにします。そして、毎日少しずつ水換えをしましょう。あまりたくさん変えすぎるとバクテリアの定着が遅れてしまうので、目安としては、10リットル以下の小型水槽の場合、毎日1/4(2リットル)くらい、〜30リットルの場合2日おきに1/4(4〜5リットル)くらい、30リットル以上の場合、2〜3日おきに1/5(7〜8リットル)くらいのの水換えをしてやるようにしましょう。特にフグは新しい水を好むことと、アルカリ性の水の中ではアンモニアが猛毒になる(※水槽セット編参照)ことから、淡水魚よりも少しずつたびたび水換えをすることがポイントです。このようにして2週間くらい飼い続けていると、徐々にバクテリアも定着してくるので、徐々にエサの量も増やし、水換えの頻度も減らしていっても構わないでしょう。 ◆ミドリフグのエサやりについて ミドリフグは動物性の天然(?)エサが好物です。というか、金魚用や熱帯魚用の人工エサはまず食べません。中でも生きたアカムシ等は大好物ですが、高価ですし、なかなか安定して確保するのが難しいでしょう。一般的には、ショップで売っているような、冷凍アカムシや乾燥アカムシ、乾燥クリル等は好んで食べるようです。また、すしネタや刺身など、天然のお魚・エビ系、またアサリ等の貝類も食べるようです。水草水槽に繁殖して困るスネール類等も好物みたいです。ただ、好き嫌いも個体差があるようです。気を付けないといけないのは、天然エサは人工エサと比べて栄養が偏りがちなので、何種類かを組み合わせてローテーションさせて与える方が良いでしょう。また、乾燥エサの場合は、キョーリンのFDシリーズ等、ビタミンなどの栄養を強化したものがありますので、そういうものを選ぶのも手です。管理人の家では、乾燥クリルを3日、冷凍アカムシを1日というローテーションで与えています。 慣れてくるとエサの用意を始めると水槽の前面で激しくねだったり、ピンセットでつまんで水面の上にエサをかざすとジャンプして食べたりするので、すごくかわいいですよ。 ◆飼育が軌道に乗ったら 1ヶ月もするとバクテリアも定着して、水槽もだいぶ安定してきますので、そうそう滅多なことではフグが体調を崩したりしにくくなります。水換えも10リットル以下の小型水槽で週に1〜2回1/4程度、〜30リットルの場合1週間に1回1/4程度、30リットル以上の水槽なら2週間に1回1/4程度くらいで維持できるでしょう。 水換えの際には、フグは特に大食漢で、しかもエサを食い散らかすので、底砂にたまっているこれらのゴミを取り除くようにしてください。なお、ミドリフグは飼育当初は薄目の(海水の1/4くらいの)汽水でOKですが、成長に連れ海水の濃度を上げていった方が調子が良く、体も大きく成長するようなので、成長に連れて汽水の濃度をあげていきましょう。 (例) 全長が5センチを超える→海水の1/2まで 全長が10センチを超える→海水程度に とりあえず成魚となっても海水の1/2程度で生存自体には問題は無いようなので、特に大きくしたいとかでなければ、海水の1/2程度でずっと飼育していっても良いでしょう。 管理人もまだまだ飼い始めたばかりで、わからないことだらけです。小さくても十分かわいいミドリフグですがある程度大きくなってくると、さらに味がでてくるようです。しっかりと飼い込んで、ミドリフグとの楽しい生活を送りたいものです。 |