歴史年代ゴロ合わせ暗記  

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イランの国家体制


 現在、イランという国は国民によって選ばれた大統領が存在する共和制国家です。しかし、普通の共和制国家とはだいぶ様子が変わっています。



 まず、イランという国の大統領を知っている人が日本にどれだけいるでしょう?あまり、知られていませんよね。代わりにホメイニ師やハメネイ師の名前は聞いたことがあるという人の方が多いのではないでしょうか?

 彼らは、最高指導者という立場にいた、あるいはいる人です。

 初代の最高指導者がホメイニ師で1989年から彼の後を継いだのがハメネイ師です。

 イランという国は大統領の上に最高指導者という人がいるんですね。「師」というのはイスラム法学者に対する敬称です。この最高指導者は大統領と違い終身制。つまり、一度選ばれたら死ぬまで最高指導者の地位にいられるということ・・・。

 では、なぜイランでは、このような最高指導者という人が存在するのでしょうか?イランという国はイスラム教の国家ですね。この事と深い関わりがあるのです。

 イスラム教にはスンニ(スンナ)派とシーア派というのがあるのは多くの人が知っているでしょう。

 アラブの多くの国ではスンニ派が多いのですが、イランはシーア派の国家です。

 スンニ派、シーア派。聞いたことあるけどなんだっけ?という人のためにおさらいです。イスラム教の創始者はムハンマドですね。神のお言葉を授かった人物です。キリスト教でいうところのイエスというとわかりやすいかもしれませんね。

 さて、そのムハンマドが亡くなると後継者を誰にするかが問題となります。西暦631年のことです。この後継者はムハンマドのように預言者とはいいません。神からお告げを直接授かったわけではないですからね。あくまで代理人。ですから、カリフといいます。

 さぁ、そのカリフを誰にするか?「ムハンマドの血筋であるアリー(ムハンマドの従弟)がいいんじゃない?」という人と「いやいや
、血筋とか関係なくみんながいいと思った人を話し合いで決めればいいじゃん」という人とで意見が分かれます。

 ムハンマドの血筋を重んじる人たちがシーア派です。血筋には関係なくふさわしい人物になってもらうべきと考える人たちがスンニ派というわけです。

 結局のところ、ムハンマドの後継者は血筋とは関係のない人物が選ばれました。ですが4代目のカリフでやっとアリーがカリフとなったのです。シーア派の人たちにとったらやっとのことで正統な血筋の人物がカリフに選ばれた!ってところです。

 ですが、このアリーは暗殺されてしまうんですね。この暗殺の中心人物がムアーフィアという人物なんですが、この人はアリー暗殺の後、自分がカリフにふさわしいとしてウマイヤ朝を創始します。教科書で出てきますね。ウマイヤ朝・・・。

 これで完全にイスラム世界は分裂です。ムアーフィアが創始したウマイヤ朝を支持するスンナ派。アリーを支持していたシーア派。

 シーア派の人たちにとったらもはやカリフなんぞ認められないんです。でも指導者は必要なので「イマーム」という地位を新しく作りました。イマームはムハンマドの血筋であるアリーの子孫たちが務め上げていくことになります。

 しかし、12代目イマームが5歳の時に突如いなくなってしまうんです。そうなると信者たちは考えます。なぜ、突如、お姿を隠されたのか?きっと、最後の審判。つまり、この世の最後の時に再び現れ私たちを導いてくださるはず。それならばイマームの位は12代目イマーム様で保っておこうではないか!

 この理論が十二イマール派という人々の考えです。実は、シーア派といっても色々あるんですね。まぁ、アリーの血筋なら誰でもイマールにふさわしいってことでもないので分裂したり、考え方が違ったりしてきました。しかし、シーア派の多くが十二イマール派であり、イランも十二イマール派の国です。

 さて、しかし、これでイマールの位も現実的にはいなくなってしまった・・・。では、どうしたものか?

 これに結論を出したのが1979年のイランイスラム革命の指導者となったホメイニ師でした。ホメイニ師は12代目イマームが再臨するまでの間はイスラム法学者が国を統治すればいいではないか。と考えました。

 その中でもホメイニ師はイスラム法科学者の最高位である「大アヤトラ」という称号を持っていましたので最高指導者となります。

 イランでの最高指導者は大統領の上にいますが、三権の長の更に上にも君臨しています。また国軍の実質的には最高司令官でもあるのです。

 さて、これほどまでに権力が集中するイランの最高指導者の座。ホメイニ師が1989年に亡くなると大統領であったハメネイ師が最高指導者としてホメイニ師の後を継ぐことになるのでした。