カルヴァンの宗教改革
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前回は、ドイツ、ルターの宗教改革についてお話しましたね。
<ドイツの宗教改革
今回は、スイスの宗教改革について見ていきたいと思います。スイスの宗教改革といえばカルヴァン。この人は、ルターと同じくらいの知名度を誇る人物なのでしっかり覚えておきましょう。カルヴァンですよ!
このカルヴァンがスイスの宗教改革では有名ですけど、彼以前にスイスのチューリッヒで改革運動を開始した人がいます。ツヴィングリという人です。
ところが、このツヴィングリという人は「カッペルの戦い」という争いで亡くなってしまいます。当時のスイスは連邦制だったんですけど、その各州がルター派だのカトリックだのツヴィングリ支持派だの宗教が分かれていたんです。そのいざこざの中で内乱状態となり、ツヴィングリもカトリック派の州と争い亡くなってしまったんです。
その後登場するのがフランス人のカルヴァンだったわけですね。この人はフランソワ1世の弾圧を受けてスイスに亡命してきた人です。
では、このカルヴァンがどういったことを唱えたのか?
それが「予定説」
これは、ちょっと奥が深いです。
「その人が神の救済にあずかれるかどうかはあらかじめ神によって決められているものであり、生前に善い行いをしようが悪い行いをしようがそんなの関係ないですよ〜。」ってことです。
「なんじゃそりゃ」ってかんじですよね。
まぁ、もうちょっと言えば、「神様の前では、人間なんてちっぽけなもの。そのちっぽけな存在が判断する善や悪なんぞとるにたりない。そんなものを凌駕した存在である神が大きなところからすべてを決定しているのだ!」ってことです。つまり、天国にいけるかどうかは、生まれる前から決まっているので生きている内に人間ごときの善悪の判断で何かをしようが無駄ってことですね。
しかし!です。カルヴァンは、こうも言っています。
「しか〜し!ずるいことしないでちゃんと仕事してお金を貯めている人は、天国に行ける可能性が高いんじゃないかなぁ。自分の与えられた仕事を天職だと思ってまじめに働いていて成功した人は神様から選ばれている可能性は十分にあるねっ。」
まぁ、あなたが神様に選ばれている人間なのかどうかは知らんけど、もし選ばれている人ならば天から与えられている仕事、つまり天職と真摯に向き合って仕事をしているだろうね。天職である仕事に向き合えずにお金も溜まっていないようなら、まぁ、神に選ばれている可能性は少ないんじゃない?ってことなんです。
このカルヴァンの考えは多くの商工業者に受け入れられることになります。「まじめに仕事に取り組んでいる人が天国にいける可能性が高い人である」っていっているからね。「ズルイことしなければ、お金を稼ぐことはいいことだ」ってことにもとらえる事ができます。だから、商工業者の思考とぴったりと合って受け入れられてんです。
さて、このカルヴァン派では、長老制度というシステムがとられました。ローマ・カトリックでは、ローマ教皇から枢機卿→大司教→司教→司祭といったように上下の組織がありますね。こういうのを司教制度っていいます。
カルヴァン派の場合は、牧師と教会信者の代表者から選ばれた長老が中心となって教会を運営していきます。上下の関係はありません。
このカルヴァンの教えは16世紀に入るとヨーロッパ全土に広がり、いろいろな呼び名で呼ばれることになります。
イングランドでは、カルヴァン派のことをピューリタン(清教徒)。スコットランドではプレスビテリアン(長老派)。フランスでは、ユグノー(同盟者)。ネーデルラント(オランダ)では、ゴイセン(乞食)。
おいおい、最後変じゃない?ゴイセン、乞食(こじき)って・・・。そう、オランダはスペインから独立運動をしようとするんだけど、そのスペインのカトリック派からカルヴァン派は「乞食」って呼ばれてたんだよ。しかし、カルヴァン派は心が広い・・・。「ん〜。言わせておけば」って感じだったんですね。
>イギリスの宗教改革
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