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川端康成


 川端康成といえば、ノーベル文学賞を受賞したことで有名ですね。日本的抒情文学の最高峰ともいわれる文体で特に作品の冒頭部分が印象的で作品自体は読んでなくても冒頭部分だけは知っているという方も多いのではないでしょうか?

 特に有名なのが『雪国』と『伊豆の踊子』です。



 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなつた。信号所に汽車が止まつた。」

 まるで自分が汽車に乗っていて長いトンネルを抜けると、突然、真っ白い雪の景色が目の前に広がったような感覚を与えてくれますね。

 また、非常に短い文で、すべて”あった。””なつた。””まつた。”と文章の終わりを”た”で揃えています。リズムもいいですね。

 さらに、国境を越えて別の世界に入ることで主人公、島村の心境の変化なども表す役割もはたしているのでしょう。

 「夜の底」という表現にも引きつけられますね。「夜」ではなく「夜の底」。夜ですと、月明かりや星空などをイメージしてしまう場合もありますが、夜の底ということにより、真っ暗な世界を感じさせます。そして、その夜の底が雪によって白くなる。見事な表現です。

 『伊豆の踊子』の冒頭も非常に有名です。



 「道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思ふ頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追つて来た。」

 『雪国』とは違い、『伊豆の踊子』では、比較的長い文章で始めります。「雨脚」が私を追ってくる様子が伝わってきますね。具体的で写実的な表現のようですが、実は、抽象的で感覚的な表現で書かれていますね。この辺が川端康成のすごいところなんでしょうね。

 ノーベル文学賞を受賞するほどの評価を得た川端康成でしたが、72歳の時にガス自殺によってその生涯を終えることになりました。