日本書紀と古事記の違い
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古事記と日本書紀。共に7世紀に天武天皇の命令によって編纂された書物であることは学校などで習っていますね。でも、なんでわざわざ2つに分ける必要があったのでしょうか?そもそも古事記と日本書紀に違いはあるのでしょうか?
まず、古事記ですがこれは天皇家による支配を正当化するために国内向けに書かれています。ですから、日本人に読みやすいように漢文体を組み替えた「日本漢文体」というのが使われていますよ。そもそも、古事記以前にも歴史書として500年代に編纂された「帝記」といわれる天皇の系譜が書かれたものや「旧辞(きゅうじ)」という伝承を記した書物はあったのですが、修正に次ぐ修正で歴史書としての真実味は失われていっていました。その他の歴史書も焼けてなくなってしまったりしていましたから「正しい歴史書を後世に残さなければならない!」という理由で天武天皇は歴史書の編纂を命じたのです。
・・・というのは、表向きの理由。本当は、もっと天皇による支配に正当性を持たせよう。都合の悪いところは消してしまえっていうのが本来の目的!?だったのでは?と一般的にはいわれています。
ですから、天皇の先祖はアマテラスという女神ということになっています。日本列島を生んだのはイザナキとイザナミという神。そのイザナキの左目から生まれたのがアマテラス。そして、その子孫が初代天皇の神武天皇ってことになっているんです。日本を造った神様の左目から生まれたアマテラスが天皇の先祖なのだから天皇による支配は当然ってことですね。
さて、この古事記は「帝記」「旧辞」らを参考にし天武天皇の命によって編纂され(この最初の編纂は誰だかわかっていません)稗田阿礼(ひえだのあれ)というとんでもなく記憶力のいい人物に暗記させました。この稗田阿礼という人物は男か女かもわかっていません。古事記の序文に「一人の舎人(とねり・役職)がおりました。その氏は稗田、名は阿礼。年は28歳。生まれつき聡明な人で、一度目に触れたものは即座に暗誦し一度聞いた話は心に留めて忘れることがありません。そこで天武天皇は阿礼に仰せ下されて、「帝皇の日継」と「先代の旧辞」を誦み習わせなさったのです。」と書かれているだけです。もしかしたら、稗田阿礼という人物は記憶力が抜群だったのですでに焼けてなくなってしまった書物なども頭に入っており、編纂に大きくかかわっていた可能性はありますね。
その後、天武天皇が突然亡くなってしまったため、古事記の編纂は中断。およそ30年経った711年に元明天皇によって再開され、稗田阿礼に口述させた内容を太安万侶(おおのやすまろ)によって執記、編纂させたのでした。
一方の日本書紀。こちらも天武天皇によって命じられ、川島皇子(かわしまのみこ)ら6名の皇族、6名の官人らによって681年から編纂がはじまります。古事記の編纂はすでに始まっていましたので稗田阿礼がまとめた資料をもとに編纂は進められたようです。
古事記が全3巻であるのに対して日本書紀は30巻+系図1巻という多さ!古事記の完成が712年ですが、その頃、まだ日本書紀は完成していません。日本書紀の内容を見ると藤原氏の地位の高さが強調されている部分がありますので藤原氏をはじめとする有力者の意見などが、まぁ〜うるさかったんでしょうね。完成したのは720年になります。
天武天皇の子である舎人親王(とねりしんのう)によってまとめられ、やっと完成です。
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古事記 |
日本書紀 |
発起人 |
天武天皇 |
天武天皇 |
完成年 |
712年 |
720年 |
巻数 |
全3巻 |
全30巻+系図1巻 |
編纂者 |
稗田阿礼が語り、太安万侶が筆記、編纂 |
皇族、官人らが中心となって編纂。舎人親王により完成 |
特徴 |
天皇家の歴史を中心として物語風に書かれている |
年代を追って出来事を記す編年体 |
収録時期 |
天地初発から推古天皇まで |
天地開闢から持統天皇まで |
表記 |
日本漢文体 |
漢文体 |
目的 |
天皇家を中心とする国家統一の正当性(国内向け) |
国外に国家としての日本のアピール(国外向け) |
以上のように書かれている内容は重複する部分があるものの古事記と日本書紀には結構な違いがあるわけですね。さらに古事記は物語風に書かれているためドラマチックに感じるところもあるのですが、日本書紀は結構淡々と語られるような感じで書かれています。
大地が生まれ、神々が登場するくだりなどは古事記では、こと細かに書かれているのに対して日本書紀では、ダイジェスト版のような感じで駆け足紹介。また、内容としても三柱の神を古事記では性別のない独り神としているのですが、日本書紀では男神とされているなど、細かな点での相違はいくつかみられます。
また、古事記の参考文献は「帝紀」と「旧辞」だけですが、日本書紀では豪族の墓記、政府の公的記録、個人の覚書、手記、百済の文献など多くの資料を参考として編纂されたようです。
学校では、完成の年と編纂者、表記や目的くらいしか教わることはないと思いますが、実際に現代語訳されたものを読んでみると皆さんゲームや漫画でおなじみのイザナキ、イザナミ、アマテラス、スサノオ、ツクヨミ、クシダナ、ヤマタノオロチ、ヤマトタケルなどが登場し、物語としても面白いですよ。
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