ルネサンス
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ルネサンスとは、本来フランス語で「再生」とか「復興」を意味する言葉です。「文芸復興」なんて訳している本もありますね。
このルネサンスの基本的な発想のことをヒューマニズムなんて言ったりしますが、これは概ね「人文主義」「人間中心主義」といった意味合いです。
なんのこっちゃ?・・・ですよね。
まぁ、簡単に言ってしまえば、ルネサンスは、「人間が作り出してきた文化」「人間性」を再生、復興させましょうっていう動きのことです。
かつて古代ギリシア・ローマの時代なんかは、ある程度、この人間性に重きを置いていたんですね。宗教や神々は当然いたわけですけど、その神々も人間との恋愛や浮気なんかもするもんだから、人間味があったわけです。
しかし、その後は、教会などが力を持ち、雲の上の俗世離れした神様がすべての中心であり、それを信じる生き方がよいとされる時代へとなっていきます。
ルネサンスでは、別に神を否定するものではありませんが、神様は遠くから見守っていていただいて、現実の世界では人間を中心に据えましょうよっていう動きがはじまった訳です。
古代ギリシア・ローマ時代にはあった人間性に重きを置いた時代への「再生」「復興」ってことですね。
イタリアのルネサンス
この14世紀から16世紀にかけて巻き起こったルネサンスの波の発祥はイタリア。当時は、まだイタリアというのは地名であり国家の名前ではありませんでした。ミラノとかフィレンツェといった都市国家が多く繁栄していたんです。だから、1人の強力な権力者により一定の思想を押し付けられるようなことがなくルネサンスが開花していったんですね。
また、経済的な要因もあります。イタリアでは、貿易や商工業の発展によって富に余裕があったんです。メディチ家なんかは有名ですね。お金が余ってしょうがないので才能ある人たちのスポンサーになってあげたんです。ダ・ヴィンチなんかも彼らがいたから天才的な絵を描くことができたんですね。
さらに、イタリアは、東方の文化などの刺激を受けやすい場所にあったということもルネサンス開花の重要な要因です。イスラム文化やビザンツ文化なんかが入ってきやすかったんですね。
では、このイタリアでのルネサンスの有名な人や作品を紹介していきますよ。
まずは、ダンテ。14世紀初めに「神曲(しんきょく)」を著します。この作品はトスカナ語といってトスカナ地方の方言で書かれていました。現在のイタリア語の基盤となっている言葉です。お話の内容は、ダンテが死んでしまった恋人を探すために古代ローマの詩人ヴェルギリウスに導かれて地獄界、煉獄界、天国界をめぐるというもの。なんか、漫画なんかには似たようなものが多くありますね。
このダンテの神曲はルネサンスの先駆的な作品といわれています。まだ、完全にルネサンス側にはきていないんですね。舞台は、完全にカトリックの世界観ですしね。しかし、登場人物は、感情の赴くままに行動し人間的。というか人間。なので、この神曲は、カトリックとルネサンスの両方の要素を合わせ持ったルネサンスの先駆的な作品ということです。
完全にルネサンス側にきたのはペトラルカ。代表作は「叙情詩集」。彼はアヴィニョン教皇庁に仕えていた時期がありました。
次に登場するのは、ボッカチオ。代表作は「デカメロン」。14世紀半ばのペスト流行が時代背景にあり、そのペストから逃れるために男3人、女7人が森の館にこもるっていう内容です。ただ、館にこもっていてもつまらないのでひとり10のお話を披露しようじゃないかってことで、10×10で100のお話の始まり始まり〜っていうお話。このボッカチオは、ヨーロッパで最初の近代小説を書いた人とも言われていますよ。
あと有名なのは政治家マキァヴェリの書いた「君主論」。発刊されたのは1532年。彼が亡くなった5年後です。当時のイタリアは都市国家。都市同士の対立なんかもあった中で統一の重要性やイタリアを救うためにはどうすればよいのか?といったスタンスで書かれたもの・・・。そのためには一時的に有能な君主の独裁も必要である。といったことも書いています。こうやって書いてしまうと反民主的な内容のようにも思われてしまうかもしれないですけど、内容は実に現実的で現在でも通用、納得できる部分が多くありますね。選挙権を持っている、或いはこれから持つことになるなら一度は目を通しておきたい本です。
さて、ここまではルネサンスのイタリアの文芸。もちろん、文芸のみならず美術の世界でもルネサンスは影響を及ぼしていきますよ。
ルネサンス絵画の先駆者といわれるのがジョット。13世紀末から14世紀初頭に活躍した人物で作品ではイエスの生誕を描いた「東方三博士の来訪」や「聖フランチェスコの生涯」と呼ばれている一連の作品。このジェットは、ルネサンスの先駆者といわれたダンテの友人でもありました。
ダンテ同様、まだ完全なルネサンスとはいえませんね。だって宗教画ですもの。しかし、それまでの宗教画とは違い、ジェットの作品には感情が表現されていました。だから、ルネサンス絵画の先駆者といわれているんですね。
15世紀後半に登場するのはボッティチェリ。この人は、ダ・ヴィンチとも交流があった人。代表作は、「ヴィーナスの誕生」、「春」。
建築の世界では、ルネサンス様式と呼ばれるドーム型の天井と列柱を特徴としたものが登場します。ルネサンス最初の建築家で遠近法の手法を発明したといわれるブルネレスキが設計したサンタ・マリア大聖堂は有名です。
さぁ、そして誰もが知っているそう、レオナルド・ダ・ヴィンチ。彼の作品はいうまでもないけど「モナ・リザ」「最後の晩餐」これだけは、絶対に覚えておきましょうね。
ダ・ヴィンチと共にルネサンスの3大天才といわれているのがミケランジェロ。絵画では、「最後の審判」、「天地創造」が有名。彫刻では、ダヴィデ像、ピエタ、モーセ像ですね。
テストなんかでは、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」とミケランジェロの「最後の審判」を間違える人が多いから注意!最後の晩餐はキリストを中心に12人の弟子が集まってお食事しているシーン。最後の審判は、死んだ人に向かって神が「おまえは天国、おまえは地獄じゃ」って言っている場面の絵画ですよ〜。
3大天才のもうひとりがラファエロ。彼の代表作は「聖母子像」ですね。
おぉ、イタリアだけでかなり文字数がいってしまった!
次は、イタリア以外のルネサンスについても見ていきますよ。疲れちゃった人は、ちょっと休憩・・・。
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藤沢道朗さん訳の「ルネサンスの歴史」はおすすめ。
藤沢さんは、イタリア現代史や文学史の先生なので訳もばっちり。
ぜひとも本で欲しい一冊です。 |
>ルネサンスA 諸国のルネサンス
>ルネサンスB ルネサンス期の科学と三大発明
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