ムンクの叫びに隠されたメッセージ
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ムンクといえば「叫び」という作品が有名ですね。しかし、このムンクの叫び、実は叫んでいなかったというのはご存知でしょうか?
ムンクは、次のような体験を挙げています。
ムンクが友人と歩いている時、夕日に染められた燃えるような赤い雲が目に飛び込んできます。友人たちは気にも留めず、そのまま立ち去っていったが、ムンクは恐怖に怯えそのまま立ちすくんでしまっていました。そして、自然を貫くような終わることのない叫び声を聞いたといいます。その恐怖を描いたものが「叫び」という作品だというのです。
つまり、叫んでいるのは絵の中の人物ではなく、ムンクが聞いた自然を貫くような終わることのない叫び声だというわけです。絵の中の人物は耳を塞いで恐怖におののく姿なんですね。
ちなみに、このムンクの「叫び」という作品は世界に5点存在しています。その中でも2点は盗難にあっています。1994年にオスロ国立美術館の作品、2004年には同ムンク美術館所蔵の作品が盗まれているんです。それほど、人気が高い作品ということもいえますね。
さて、ムンクの叫びを見るとちょっと怖いとか陰湿といったイメージを持つ人もいるのではないでしょうか?
ムンクは、早くに母と姉を亡くしており死の恐怖に怯えながら育ち、最後の家族であった妹も精神に異常をきたすという悲惨な経験をしています。
また、若いころには、同郷の美しい女性、ダグニー・ユールと恋に落ちますが、結局は別の男性と結婚してしまうなどの失恋もしています。
このダグニーは「マドンナ」や「吸血鬼」などのモデルになったともいわれていますね。
<マドンナ・1895年>
<吸血鬼・1895年>
その後は、アルコール中毒になったりして、神経を病み、被害妄想や強迫観念に取りつかれていたともいわれていますが、異国での放浪生活をやめ母国に帰ると静かな制作活動に入り1944年に亡くなりました。
繊細な心を持ち、つなに恐怖や不安と戦い続けていたムンク。叫びの絵画のなかの雲の中央部分には、彼によって小さく「こんな絵を描けるのは狂人だけだ」と記されています。
ムンクの自画像
ムンク<煙草を持つ自画像>1895年
ムンク<地獄の自画像>1903年
ムンク<時計とベッドの間の自画像> 1940-1943年
80歳になろうとするムンクが書いた自画像。ムンクの横に置かれた時計とベッドは限られた時間を意味する死の象徴とされている。
ムンクの叫びシリーズ |
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1893年 パステル |
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1893年 油彩・がゼイン・パステル |
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1895年 パステル |
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1910年 テンペラ |
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