産業革命
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産業革命とは、それまでの職人たちによる手工業から機械を使う工場制生産へと生産方法が変わっていき、それに伴い社会、経済が大きく変わっていったことをいいます。
時期は18世紀末から19世紀前半です。初めに起きたのはイギリスです。
では、なぜこのような産業革命がイギリスで起こったのか?その辺りを簡単に見ていきましょう。
産業革命がイギリスで起きた要因
イギリスにて最初に産業革命が始まった要因ですが、まず@資本(お金)があったからA海外市場、海外マーケットの確保B労働力C資源D技術が他国に先駆けていたからといえます。
はっ?意味わかんないですよね。では、もうちょっと詳しく説明しますね。
まず@の資本です。イギリスでは、従来から毛織物産業が発展していて富の蓄積があったんです。フランスなんかも富はあったんですが、フランスの王様ルイ14世なんかは、そのお金でヴェルサイユ宮殿をつくったりしちゃいますね。でもイギリスでは、上流階級の人たちが、そのお金を毛織物の次に来るであろう綿織物工業などに投資するんです。
A海外市場ですが、イギリスはオランダ、フランスとの植民地争奪戦に勝利して広大な海外マーケットを確保しています。
B労働力ですが、これは、18世紀にイギリスでは、農業革命というのが起きるんです。四輪作法という画期的な方法が生み出されます。これは冬には食べさせるエサがないのでしかたなく殺されてハムやソーセージになっていた家畜にも晩秋から初冬に収穫できるカブや肥料もなるクローバーなんかを織り交ぜて大麦→クローバー→小麦→カブの順番で植えていこうという方法。クローバーとカブは肥料にもなるので穀物の増産と酪農にもメリットがあったので好まれますが、これは当時の解放耕地制といわれる耕地を細長い帯状の耕地で区分けしていた方法には不向きだったんです。そこで中小自作農から土地を安価で買いあげたりするんですが、これで土地を追われた農民が工業労働者にならざるを得なくなるんですね。
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従来の方法では土地が混合している。さらに休耕地を設けて
土地を休ませる必要があった。
四輪作法は、広い土地が必要だが休耕地もいらず、酪農も同時
にメリットがある。 |
C資源は鉄や石炭です。ランカシャーの石炭やミッドランドの鉄鉱石などにイギリスは恵まれていました。
D技術はですね〜。綿織物工業での新技術や蒸気機関による動力の発展です。これら技術の発展、発明によって機械化が進み熟練手工業者が職を失っていくわけです。では、次にこの技術の発展、発明を見ていきます。
産業革命での技術の発展
イギリスでは、従来の毛織物産業からより軽くて吸水性が高い綿織物が主流となっていきます。そこで新しい技術が発明されていきました。まずは、1733年にジョン・ケイが飛び杼(ひ)を発明します。これにより布を織る速度が2倍になりますが、原料である糸が不足、さらに織工の仕事を奪うことにもなります。2人分の仕事が1人でできるようになりますからね。
次に1764年頃にハーグリーヴスがジェニー紡績機を発明。これでスピードはさらにUP。大体6〜8倍の速度になります。1人で8本の糸を一気に紡ぐことができるようになりましたから。
1736年にはアークライトが水力紡績機を発明。水力を使い太くて強い糸を紡ぐことができるようになるんです。速度はもはや600倍くらいです。
1779年頃にはクロンプトンがミュール紡績機を発明。これはジェーニー紡績機と水力紡績機のいいとこ取りをしたような機械です。強くて細い糸が紡げるようになります。
1785年にはカートライトが力織機を発明。蒸気機関を利用したものです。大量の布の生産が可能になります。
ここまでが綿織物工業の話。では、次は動力の発明です。
それまでの動力といえば、風力、水力、牛や馬、人力といったものでした。まぁ、安定していないんですね。風力や水力は自然に頼っているわけですし、牛や馬も休ませたりする必要がありますからね。
これらに変わって発明されたものが蒸気機関でした。綿織物工業のところでもでてきましたね。カートライトの力織機は蒸気機関を利用したものです。
蒸気機関自体は、ずっと前から考案はされていたんですけど、実用化されるのは18世紀初めのイギリス人ニューコメンの発明から。1705年に気圧機関を発明し1710年ごろ実用化。そして1712年に蒸気機関を発明しました。
さらに、それに改良を加えたのがワット。1769年に特許を取得した彼の蒸気機関は当初、炭坑の排水ポンプに利用されていましたが、熱効率の大幅な改善とピストンの上下運動を軸の回転運動に転化させることに成功し動力革命を起こします。
このワットの動力革命のおかげで力織物など紡績工業などで機械化が進行し、大量生産が可能になったんですね。
さらに1807年にはフルトンが蒸気船を発明。1814年にはスティーヴンソンが蒸気機関車を実用化。交通革命が起こります。
さぁ、このように紡績機が進化し、さらにはワットの蒸気機関がドッキングして量産化が実現すると紡績機などの機械を製造するための鉄工業、また熱源として石炭産業も繁栄していくわけです。
こうしてイギリスは「世界の工場」といわれるようになっていきます。そして1830年以降にはベルギー、フランス、ドイツ、アメリカにも波及していくこととなるのですが、一方で素人でも簡単に商品の製造が可能となっていったため、本当の熟練工を除いては、仕事が無くなっていってしまうんですね。
また、資本家と労働者の格差も生まれ、労働問題や社会問題も発生していくこととなりました。
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