シェール革命
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シェール革命って聞いたことはあるでしょうか?この革命によって、今、世界のオイルマネー。石油をめぐる世界の動きが大きく変わりつつあります。
今回は、このシェール革命について簡単に説明していきますね。
そもそもシェールって何?って話ですね。日本では頁岩(けつがん)といわれます。本のページ(頁)のような岩。ミルフィーユのように薄い岩の板が積み重なっている岩のことです。
地中、だいたい2000メートルから6000メートルくらいの深さにあるシェール層にはシェールオイル(原油)やシェールガス(天然ガス)が眠っているんですね。まぁ、そんなことはわかってはいたんですが、抽出する技術が今までありませんでした。
今までの方法は、地層の湾曲した部分に原油や天然ガスが溜まっていることが多いので調査して、そこを掘って原油や天然ガスを抽出する。まぁ、これはわかりますね。
しかし、シェール層は岩です。ミルフィーユのような岩と岩の間にある原油、岩に染み込んでいるようなもんですのでこりゃなかなか取り出せない。抽出できてもちょっとだけ・・・。ってことだったわけです。
しかし、画期的な抽出方法が開発されたんですね。
シェール層まで掘り進んだら、今度は、横に穴を掘り進める。そしたら、高圧の水を流し込みます。すると、シェール層に亀裂が入るんですね。その割れ目からガスやら原油やらを取り出すという方法です。ただの水だと割れ目が元に戻っちゃうかもしれないので化学物質も水の中に入っています。その後は、水を回収すればガスや原油が抽出できるというわけです。
これまでの原油やガスの掘り出す方法ですと調査しても掘ってみたら全然出てこない・・・。なんてことがあったんですが、シェール層ならはずれなし!しかも、全世界で採掘可能なシェール層の埋蔵量は206兆立方メートル!これまでのガスの埋蔵量よりも多いんですねぇ。
ですが、残念ながら日本には採掘可能なシェール層はほぼありません(秋田にちょっとだけあるそうですが・・・)。
上の図は、かなりおおざっぱですが、だいたいアジアと北アメリカに全体の約半分ほどのシェールガス、シェールオイルが眠っているといわれています。
これまでは、原油といえば中東でしたね。悲惨な戦争の原因が石油であったことも多かったですし、アメリカの中東への介入も、この石油が原因であるともいわれてきました。
しかし、もはやアメリカは、この新たなシェールオイル、シェールガスのおかげでわざわざ中東に介入せずとも自国の埋蔵量だけでやっていけるようになっていくんですね。アメリカは自国で使う分だけなら100年分の埋蔵量があるといわれています。
このシェールガスやシェールオイルの抽出方法が本格化されたのが2006年以降。その後、アメリカは中東に対する関心を急速に失っていったようにも思えます。イラクからの撤退。イスラム国に対しても地上戦はさけ、空爆中心など・・・。コストや自国の軍の命を危険にさらす行為は極端に減らしているようです。まぁ、これは国民からの声の反映なのかもしれませんけどね。しかし、アメリカの中東への関心の衰えをシェール革命と結びつける専門家の方は多くいます。
以上のように新たな技術により、世界のエネルギー事情や関係する政治状況まで変えてしまう21世紀最大であろうともいわれるエネルギー革命が「シェール革命」というわけです。
しかし!この革命には大きな代償も心配されています。それが環境汚染です。
シェールガスやシェールオイルを抽出するために高圧の水を流し込みますが、その中には化学物質が入っています。その化学物質の入った水は100%回収されるのか?いいえ、およそ半分しか回収できていないそうです。つまり、半分は地中に流れ地下水が汚染される心配があるのです。
また、メタンを含むガスが大気中に漏れ出す危険もあります。さらにシェールガスを取り出すために横穴を掘るので、その上の地層が沈んだりする可能性も指摘されています。その為、すでにアメリカでは、シェールガスやシェールオイルの抽出に対して反対の声も多く上がっています。
革命ともいわれている新技術。しかし、その反面、新たな問題も多く残っており、今後、アメリカや世界はどのような決断をしていくのか、注意深く見ていく必要がありますね。
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