最近、集団的自衛権の行使容認について報道等でも盛んに騒がれていますね。当ホームページは歴史のホームページな訳ですが重要な問題なので少しだけ、この問題についてふれてみたいと思います。
安倍総理は５月１５日。「今後、私たちは、憲法の解釈を変えることによって集団的自衛権の行使ができるよう動いていきます！皆さんも理解してくださいね」ということをマスコミを通じて国民に呼びかけました。
なぜ集団的自衛権が必要なのか？ということもわかりやすい例を２つあげて説明しています。
1つ目が日本人が外国にて紛争（戦争）に巻き込まれてしまった場合。同盟国であるアメリカが彼らを救助し船で日本に連れ帰ってくる途中に攻撃を受けたとします。この場合でも今の憲法では自衛隊は、このアメリカの船を守ることすら出来ないんですよ！と伝えています。
２つ目がボランティアにてアジアやアフリカなどの地域で、その国の平和や発展のために活動している日本人が突然、武装集団に襲われたとしても日本の自衛隊は彼らを救うことができない！こんなのおかしいでしょ！と訴えかけました。
確かに、これらの事態に何もできないというのはおかしいですよね。安倍総理は、この事態に巻き込まれたのがあなたのお子さんやお孫さんだったら、どうでしょう？といった言葉を交え、親身に考えてもらえるよう報道を通じて国民のみなさんへ伝えました。
また、北朝鮮の脅威や領土問題などを踏まえ、日本も決して安全な状態ではない。しかし、現在ひとつの国で平和を守れるという国はないので国際社会と協調しながら集団的且つ積極的に平和を維持していく方向に動いていきますとしています。
国民の皆さんが心配しているような、日本が戦争をする国に進んでいってしまうのではないか？という疑問、誤解についても、イラク戦争や湾岸戦争のような戦争に日本の自衛隊が武力行使を目的として参加することは今後ともぜったいにないので安心してくださいと訴えかけました。
確かに現在の日本を取り巻く安全保障上の環境は大きく変化していますので集団的自衛権、抑止力の強化は必要不可欠ですね。まぁ、戦争に日本が巻き込まれることは今後もないと断言しているわけですから、その心配もないし集団的自衛権に反対の人って何で？？？って思いますよね。
では、この集団的自衛権に反対の人々の意見も見てみましょう。
今回、安倍総理は、憲法改正ではなく、憲法の解釈を変えて集団的自衛権を行使できるようにしたいとしています。なぜ、憲法改正じゃなく、解釈を変えるなど中途半端な決断をしたのでしょう。
実は、憲法改正には大きなハードルがいくつもあるんです。まず、憲法改正には衆議院、参議院の総議員2/3以上の賛成を得なければならない。これがすでに難しい。その上で国民投票をして半分以上の賛成を得ることができなければ憲法改正にはいたらないのです。
この高いハードルがあるから現在にいたるまで憲法改正は行われませんでした。ですから、このハードルを少し下げましょうという議論があったわけですが、それでも時間がかかるし、大きな反対も予想される。なので憲法の解釈を変えるという決断にいたったんですね。
憲法改正でなく憲法解釈を変えることで集団的自衛権の行使が出来るようにするということは国民に賛成？反対？と聞くことなく、こんな重要な問題を自民党と公明党だけで話し合って決めてしまうということではないか！メチャクチャ重要な決断なのに、そんなのダメでしょ！というのが反対派の人の意見のひとつです。
また、憲法とは、そもそも国家権力（政治家の横暴）を制限する為のもの。政治家が憲法の解釈を変えることができるという前例をつくってしまうのは危険じゃないか！それでは、政権、内閣が変わるたびに憲法の解釈が変わってしまう可能性だってあるぞ！ともいいます。
安倍総理は、イラン戦争や湾岸戦争のような事態に自衛隊が武力行使を目的として参加することはないとはっきり約束をしました。しかし、政権、内閣が変わった時にあれこれ言い分をつけて、「やっぱり、日本も国際社会との同調のために中東で起きている戦争に参加します！」と再び憲法解釈を変えて戦争に加わる事態も想定できなくもありません。憲法を改正せずとも政府が解釈を変える事ができるということは危険も伴うわけです。
さらにいえば、安倍総理は、日本が再び戦争をする国になることはないと断言しましたが・・・。しかし、安倍総理の持ち出した例であるアメリカの船が日本人を救出した上で攻撃を受けた場合・・・。この場合、集団的自衛権が行使されれば自衛隊はアメリカの船を攻撃した相手に武力行使することができるようになります。敵の戦艦や戦闘機に攻撃することができるようになるのです。もちろん、攻撃された戦闘機や戦艦は反撃に出るでしょう。
ん？これって、すでに戦争なんじゃ？？？さらに本格的な戦争に発展する心配ないの？？？
皆さんは、この集団的自衛権の問題についてどのように考えますか？政府が勝手に決めるんでしょ。どうせ・・・。または、俺、私、まだ選挙権ないし・・・。とあきらめてはいけません。
まず、自らがこの問題について考え、お父さん、お母さん、先生、友達、会社の同僚、お子さん達と雑談の中でもかまいません。話し合ってみましょう。深い知識など必要ありません。感情論や素直な不安をぶつけ合うだけでも大切なことです。
未来は見えない以上、何が正解で何が正しい決断なのか誰にも分かりません。しかし、何かの問題についてみんなで考えるということは決して無駄なことではなく、世の中をいい方へ導いていってくれる可能性を持った行動であることは間違いないはずです。
2014/05/19
*追記：7月1日。安倍政権は憲法解釈を変え集団的自衛権行使を可能にする閣議決定をしました。今回の憲法解釈を変えることによる集団的自衛権行使容認については、安倍総理も苦肉の策といったところで本来、総理自身が思い描いていたかたちとは違っているはずです。安倍総理は以前から憲法改正を訴えていましたからね。恐らく、安倍総理自身も心の奥底では今回の憲法解釈を変えるという行為に違和感と不安を抱いているのではないでしょうか？
集団的自衛権に賛成の人も反対の人も、今後安倍政権がどのように国民や海外に対して説明をし、それらの人々の不安を払拭する為の努力、行動をしていくのかを注意深く見ていく必要があるでしょう。
|
学ぶことから始めよう・・・