ドナルド・トランプ
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「暴言王」といわれたドナルド・トランプ。2015年に彼は大統領選への意欲を示します。しかし、この頃に彼が本当に第45代アメリカ大統領になることを予想した人は多くはなかったことでしょう。
我々日本人は、大統領選に投票権は持っていませんが、防衛、経済などアメリカ大統領に誰がなるのかは日本にとっても超重要!では、このドナルド・トランプとはいったいどんな人物なのでしょうか?
ドナルド・トランプは、1946年ニューヨーク州のクイーンズで産声を上げます。父は、不動産業で成功をおさめたお金持ち!ドナルドは姉2人、兄1人、弟1人で4番目の子でした。
最初は、名門の私立小学校へと入学しますが、8年生の時にニューヨーク・ミリタリー・アカデミーに転入しています。ミリタリーという名前が付くぐらいなので軍隊式の学校です。軍服風の制服で生徒たちには少尉、中尉、大尉といった階級が付けられていたそうです。お金持ちなのに軍隊式の学校とは・・・。おそらく、父親は裕福な家庭で育ってきたドナルドに厳しい教育が必要だと考えたのでしょう。
この学校を卒業すると地元のフォーダム大学に通います。この頃からドナルド・トランプは、父の不動産業を手伝うようになっています。
2年後、不動産の専門学科のあるペンシルベニア大学経済学部に転校し1968年に卒業。そして、父の経営するエリザベス・トランプ・アンド・サンに入社しました。
ですが、トランプは4番目の子ですよね。2人の姉以外にも兄がいます。後継者としては難しい立場なはずです。たしかに父親は当初、兄のフレッド・ジュニアを後継者に考えていたようで彼も父の仕事を手伝っていました。しかし、兄は不動産という仕事が合わなかったようで退社。その後、航空機のパイロットに転身しています。しかし、残念なことにその航空会社を解雇されてしまい、アルコールに溺れていくようになり、43歳という若さでで亡くなっています。
この事が原因なのでしょう。ドナルド・トランプはお酒を飲まないので有名です。(タバコも吸いません)
1971年にドナルド・トランプは父から会社を譲り受け、社名をトランプ・オーガナイゼーションに変えています。25歳の時です。
さて、ここまでは、まぁ、オヤジがお金持ちの子供って感じですね。世間にはそれほど知られていません。彼が有名になったのは、高級ホテル「グランド・ハイアット・ニューヨーク」をオープンさせた頃です。
ホテルの再開発で手腕を発揮
ニューヨークのマンハッタン。日本人でも誰もが知る有名な場所ですね。しかし、当時のニューヨークは衰退の道を歩んでいました。生活保護を受ける人も多く、1966年~1973年の間はニューヨーク市の殺人件数は130パーセント増加しています。父親は、マンハッタン以外の地域にて不動産業を行い成功していましたが、マンハッタンには手を付けていませんでした。しかし、ドナルド・トランプは、このマンハッタンに目をつけるのです。
「廃墟したこの地は金の卵だ」と父親を説得。父親は、「マンハッタンへの投資はタイタニックに乗るようなものだ」と反対しますが、結局はドナルドの説得に応じます。
そして、コモドアホテルという経営が傾いていたホテルにドナルド・トランプは目をつけるのです。
駅にも近い、このホテル。ドナルドは、ニューヨーク市に対して「このホテルを新たに街のシンボルといて再生させます!そうすればニューヨーク市の発展にもなると思うですよね~。だから、税金を免除してくれませんかね~」とお願い・・・。
もちろん、このホテルを狙っているのはドナルド・トランプだけではありませんでしたが、父親の政治的なコネも利用し、結局40年間税金の免除を受けることになります。
そして、父親の資産を使いビルを改装。1980年、ガラス張りの派手なホテル「グランドハイアット」がオープンします。
このホテルが街の再生を象徴させる建物となり、街の景気は好転。ドナルドは功績を認められるのでした。
まぁ、生活保護を受けている人にとっては、街が再生しビルでも多くの人が働けるようになったのでドナルド・トランプ最高~って感じですかね。
ただし、ちょっと手荒い手口も使ったようです。ニューヨーク市に対して契約書がまだ出来ていないのに契約書に見える書類を提出して計画を遂行したり、ホテルを所有していた鉄道会社に対してホテルの運営を任せる会社との契約がまとまっていないうちにまとまったかのような説明をしたりしていますよ。
トランプタワー
そして、彼が次に目をつけたのがマンハッタンにある経営不振の古い百貨店のボンウィット・テラーというお店。ここを高層ビルに建て替えることを考えます。これが有名なトランプタワーです。ここでも、この土地を有効利用するということで多額の減税を勝ち取っています。
ちなみに、このトランプタワー建設にちょっとした噂が流れました。チャールズ皇太子とダイアナ妃がトランプタワーの部屋の購入を考えているというのです。もちろん、これはウソなんですけど、チャールズ皇太子も特に否定するようなコメントはしなかったんですね。なので本当だと思ってしまった人もいるようです。こんな噂を流して得するのは誰か?ってことになります。もちろん、一番得するのはトランプってことで噂はトランプが流したんじゃないか?とも言われています。
しかし、このトランプタワーも結果としては成功。ちょっと、荒っぽい手口を使ったようですが(真相はわかりませんけどね)、ニューヨーク市に対して多大な貢献をしたといってもいいでしょう。
ちなみに大統領になった後もトランプの奥さんと息子は、このトランプタワーに住んでいます。トランプ自身もホワイトハウスに住むようになってからも頻繁に戻ってきているようです。
しかし、そんなトランプも成功ばかりではありません。大失敗が待っています。
ドナルド・トランプの挫折
乗りに乗っていたトランプは、経営不振のイースタン航空のニューヨーク・ラガーディア航空発着のシャトル便の路線網と空港のターミナル使用権、ボーイングという飛行機を買収します。
しかし、トランプの持つ豪華なホテル同様に飛行機の内装を金ピカにしたり、革張りのシートにしたりとお金をかけすぎた割には儲けが少ない・・・。やがて撤退に追い込まれることになります。
また、カジノにも目を向けました。トランプ・タージマハールというカジノをオープンさせます。カジノといえばラスベガスですが、ニュージャージー州のアトランティック・シティというところにもカジノの街があります。トランプ・タージマハールはそのアトランティック・シティにありました。
派手好きなトランプは、1400万ドルのオーストリア製シャンデリア。ロビーの内装と従業員の制服に400万ドルと多額の資金をつぎ込みます。
しかし、1987年にアメリカでは株価が大暴落。景気が停滞すると1990年には完全に経済不況となります。
トランプは、そんな中、資金を調達するために高金利の借金をしていました。利子だけでもものすごい・・・。タージマハールは、建設中からきっとすぐに潰れるぞ!と噂されていたんですけど、噂の通り、オープンしてから1年後の1991年にはトランプは所有権の半分を手放すこととなります。
このカジノの失敗が30億ドルもの負債を生むことになります。当時のフォーブス誌に書かれた内容では、トランプの財産は17億円からゼロに急降下と書かれていました。
90年代前半は彼にとっても厳しい時代だったようです。その後は、不動産市場が再び熱を帯び始め1996年には5年間ランク外だったトランプは全米長者番付の373位に返り咲いています。当時の資産は4億5000万ドルでした。
成功も失敗も経験し、その間、テレビや雑誌などでも幾度となく彼のことをとり上げるわけですが、基本的にはニュース番組や経済系の番組が多かったようですね。なので、そういったことに興味のない人たちには、まだ名が知られているとはいえませんでした。
ドナルド・トランプの名が全米に知れ渡るようになるのは、2004年から始まる「アプレンティス(見習い)」という番組のホストになってからです。
テレビ番組で人気者に
この番組はトランプ・タワーで収録されています。番組に出場する一般参加者たちはトランプからの指令を受けます。第一回目は、「マンハッタンの路上でレモネードを売ってこい」というもの。トランプから出される指令を見事達成し、最後まで勝ち残ったものはトランプの会社に採用されるといった番組でした。結構な人気番組となります。
大統領選に出馬
実は、トランプは1999年頃からミネソタ州知事のジェシー・ベンチュラの勧めで大統領選に出馬を検討していた時期があります。トランプは改革党に入党し大統領選への出馬を検討していましたが、党が党首を誰にするかで混乱。結局、トランプは2000年2月に党の混乱を受けて出馬を断念しています。
そして、2015年、トランプタワーにて2016年の大統領選に共和党から出馬することを表明。この時は、皆、トランプがどれだけ本気なのを疑っていたようです。今までも自身の知名度を上げるために出馬表明してきたと考えている人が多かったからです。
しかし、彼は本当に出馬します。
そして、「アメリカを再び偉大にするのだ」と繰り返し演説をします。そして、過激な発言で注目を集めていきます。共和党の候補者選びの段階で女性候補の顔を貶したり、障害のある記者の真似をしてみたり・・・。
多くの人が彼が大統領に選ばれることはないだろうと予想していた中、最終的にはドナルド・トランプは、大統領になります。
しかし、大統領選中にトランプ陣営がロシアと連絡を取り合い、ロシアが大統領選に介入していた疑惑が浮上。FBIの捜査が始まるとトランプはFBI長官を解任。司法省によって特別検査官が任命され、捜査は継続されています。
ドナルド・トランプは、アメリカを救う救世主なのか?それともただの暴言王なのか?今後の言動に注目です。
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