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ゼロ戦の性能

  


 

零戦という読み方。「れいせん」という人もいれば、「ぜろせん」という方もいる。これ、どちらが本当かというと・・・。実は、どちらでも正解らしい。

ゼロ戦の正式名称は、零式艦上戦闘機。「れいせん」という読み方が正解とされていますが、戦時中でも多く「ぜろせん」と呼ばれていたそうですし、新聞報道などでも「ぜろせん」と記載されているものもあることから、どちらかといえば「ぜろせん」が一般的なようです。

日中戦争の半ばから太平洋戦争終戦まで前線で活躍したゼロ戦。

しかし、このゼロ戦。なぜ、ゼロなのか?戦闘機や戦車には九七式中戦車や九九式艦上爆撃機といったように数字がついています。これ、嘗ては、当時の年号を使っていたそうです。明治、大正の年号を使い、仮に明治9年に完成した戦車なら9式戦車といった具合です。しかし、それでは、大正9年に完成した戦車と数字がかぶってしまう。または、似たような数字になってしまうということで、初代天皇である神武天皇が即位した年を元年とし、そこから計算して兵器の数字が付けられました。ゼロ戦も皇紀2600年に海軍に正式採用されたのでゼロ戦です。

このゼロ戦は1939年(昭和14年)3月17日に完成し4月1日午後5:30頃、岐阜県の各務原飛行場にて初飛行に成功しました。当初は、三菱製のエンジンを搭載していましたが、速度不足のため、3号機からは中島飛行機のエンジンが搭載されます。

昭和15年に海軍に正式採用。型式名は零戦艦上戦闘機11型A6M2aとなります。このゼロ戦A6M2a機は重慶上空にて中国空軍と交戦。初交戦でゼロ戦13機で中国機27機を打ち落とすほどの性能を見せ付けました。

ゼロ戦の性能の優れたところは運動性と航続力。その為、「とにかく軽く、軽く」をもっとうに極限まで軽量化が進められます。しかし、いかに軽くするとはいえ、それが戦闘機である以上、攻撃の為の武装を減らすわけにはいきません。そこで、犠牲になったのが防御力のほうでした。防御装備については、海軍からも特に注文はなかったといいます。ゼロ戦に初めて防弾装備が装備されたのは昭和19年4月に完成したゼロ戦52型乙(A6M5b)から・・・。45mmの防弾ガラスが装備されましたが、もはや大戦後期ですね。これは、敵の戦闘機の性能が向上していき防御力にも力を入れないとどうにもならなくなってしまったようです。。ゼロ戦52型丙(A6M5c)では、操縦席後部にも防弾ガラスと防弾鋼板が取り付けられますが、同時に装備の火力強化も行ったため、重量が上がり飛行性能が低下してしまいます。後にゼロ戦54/64型丙(A6M8)では、52型丙に搭載されたエンジンを三菱製金星62型に換装し、運動性能を取り戻す機体を完成させますが、量産準備中に終戦を迎えることになります。(ちなみに54型は試作機、64型が量産期に取り付けられた)

このようにゼロ戦といっても初期の11型から21型、32型、52型など機体とエンジンにより型が多く存在します。一桁目が機体の型式で二桁目がエンジンの型式です。

ゼロ戦を開発したのは三菱でしたが、機体の数を増やす為に中島飛行機(今の富士重工ですね)にも生産をさせ、結果1万機にも及ぶ機体が製造されますが中島飛行機の機体が三菱製の機体よりも多く造られる結果となってしまいました。

また、ゼロ戦は量産には向かない機体だったとも言われています。軽量化のため機体骨格に多くの穴を開けたり、空気抵抗を減らす為に複雑な沈頭鋲を機体全体に使うなど、作業工程が多すぎたようです。しかし、この辺は、物づくり日本らしいといえば、らしいですし、この精神が戦後の日本を早期に復活させることになるのですが・・・。

ゼロ戦・主な機体の性能  

  11型・A6M2a   全長9.05m/全幅12m/全備重量2326kg/最大速度509km/燃料525l/武装20mm機銃×2(各60発)・7.7mm機銃×2(各700発)・爆弾2発 ゼロ戦1号機として海軍に正式採用
  21型・A6M2b  全長9.05m/全幅12m/全備重量2421kg/最大速度533km/燃料525l/武装20mm機銃×2(各60発)・7.7mm機銃×2(各700発)・爆弾2発 主翼折り畳み機構を採用し、クルシー式無線帰投方位測定装備が付く。
  32型・A6M3   全長9.06m/全幅11m/全備重量2535kg/最大速度544km/燃料480l/武装20mm機銃×2(各100発)・7.7mm機銃×2(各700発)・爆弾2発 エンジンが重くなり、燃料タンクが減少したため、速度は出るが長く飛べない。 
  22型・A6M3  全長9.06m/全幅12m/全備重量2675kg/最大速度540km/燃料570l/武装20mm機銃×2(各100発)・7.7mm機銃×2(各700発)・爆弾2発  燃料タンクを増加させ翼を21型当時の大きさに戻す。重量はあるが、大幅な速度低下を避ける。
  52型・A6M5  全長9.121m/全幅11m/全備重量2733kg/最大速度565km/燃料570l/武装20mm機銃×2(各100発)・7.7mm機銃×2(各700発)・爆弾2発  昭和18年に完成。排気管などを変更し、最大速度は565km/hにまで向上。
  52型甲・A6M5a 全長9.121m/全幅11m/全備重量2743kg/最大速度559km/燃料570l/武装20mm機銃×2(各125発)・7.7mm機銃×2(各700発)・爆弾2発    20mm機銃を各125発に増やし火力強化 
  52型乙・A6M5b  全長9.121m/全幅11m/全備重量2760kg/最大速度559km/燃料570l/武装20mm機銃×2(各125発)・7.7mm機銃×1(700発)・13mm機銃×1(230発)・爆弾2発   さらなる火力強化と初の防弾装備がなされる
  52型丙・A6M5c 全長9.121m/全幅11m/全備重量2955kg/最大速度540km/燃料570l/武装20mm機銃×2(各125発)・13mm機銃×3(動体に230発・翼に240発づつ)・爆弾2発    またまた火力強化と防弾装備も増やす。しかし、重くて長く飛べない。
  54/64型丙・A6M8  全長9.237m/全幅11m/全備重量3150kg/最大速度572km/燃料650l/武装20mm機銃×2(各125発)・13mm機銃×2(翼に240発づつ   エンジンを変え572km/hもの速度を実現するも量産準備中に終戦。