2001年度熱力学(松井哲男)試験問題

制限時間90分、教科書・ノート持ち込み不可。問題用紙2枚、両面答案用紙1枚、計算用紙1枚


第1問

pV図上で、3つの異なる状態(1,2,3)を等圧線(A)、等積線(B)、そして断熱線(C)で結ぶサイクルを考える(図1)。この熱機関の作業物質を1モルの理想気体としたとき、以下の問に答えなさい。必要であれば次の関係式を計算に用い、計算の過程も明記せよ:[50]
dU = TdS - pdV , pV = RT , U = CVT + const.

ここで、U,T,S,p,Vは、それぞれ気体の内部エネルギー、絶対温度、エントロピー、圧力、体積を表す。Rは気体定数、CVは等積モル比熱である。また、数値計算で必要であれば0.11.4 = 0.040を用いなさい。有効数字桁数は2とする。

1)3つの状態の絶対温度T1,T2,T3の大小関係を不等式で表しなさい。

2)等圧膨張過程Aで作業物質が外界にする仕事WAと内部エネルギーの変化ΔUを、始状態と終状態の絶対温度T1,T2を使って表しなさい。また、そのとき作業物質が受け取る熱量QAを熱力学の第一法則を使って求めなさい。

3)等積過程Bを温度T3の熱浴との接触で行う時、作業物質の失うエントロピーΔSと熱浴の得るエントロピーΔS'を求め、その大小関係を熱力学第二法則を使って説明しなさい。

4)断熱圧縮過程Cで、体積比V2/V1 = 10のとき、温度比T1 / T3を計算しなさい、但し、作業物質の定圧モル比熱と定積モル比熱の比はγ=Cp/CV=1.4とする。

5)上問の条件のもとで、この熱機関の効率η = W/QAの値を計算しなさい。ここでWは1サイクルでこの熱機関が外界にする仕事の総量である。

図1:問題1の図

第2問

次の関係式は理想気体でない場合も含め一般に成り立つ。その導出方法を1つ述べなさい。[10]
(δU/δV)T= T(δp/δT)V - p

第3問

図2のように同じ容積Vの3つの容器の両端の2つに2種類の気体A,Bを、それぞれnAモル、nBモル入れる。ただし、気体の温度はどちらも同じTとし、どちらの気体も理想気体の法則に従うものとする。また、全ての容器はノズルも含め断熱壁で覆われているとする。以下の問に答えなさい。[20]

1)ノズルaを開いて、左側の容器の気体Aを真ん中の真空の容器に拡散させたとき、気体の温度、圧力、エントロピーはどう変わるか?

2)次に、ノズルaを閉じてから、ノズルbを開き、右側の容器の気体Bを真ん中の容器に入っている気体Aと混合させる。このとき、混合によるエントロピーの変化を求めなさい。


図2:問題3の図

第4問

ある液体をシリンダーの中に閉じ込め(図3a)圧力をp1で一定にして熱を徐々に加えたところ、ある温度T1で一部が気化し始めた。さらに熱を加えたところ、期待の割合が徐々に増え(図3b)、気化し始めてから熱量をΔQ加えたところで全ての液体が気化し体積がΔV増加した。次に、ちょうど気化が完了したところで熱を加えるのを止め、圧力を少し増加させたところ、気体の一部が再び液化した。(図3c)。以下の問に答えなさい。[20]

1)液体が気化し始めてから気化が完了するまでの内部エネルギー、エンタルピー、Helmholtz自由エネルギー、そしてGibbs自由エネルギーのそれぞれの変化量、ΔU,ΔH,ΔF,ΔGを求めなさい。

2)図3cで、圧力の増加をΔpとしたとき、気体・液体の温度変化ΔT=T2-T1を求めなさい。


図3:問題4の図

第5問

講義で最もおもしろいと思ったこと、あるいは、自分で勉強して熱力学について一番興味を持ったことについて自由に書きなさい。[最高で+20]その他、講義に関する意見が合ったら書いて下さい。ただし、これは試験の点数には影響しません。