(元)喫煙者の詩


私は、本当にタバコを愛していた。

いや、分かってるよ、何も言わないで。それがニコチン中毒による幻想であったとしても、

社会やタバコメーカーから植え込まれた間違ったイメージであったとしても、

今は語らせて、彼(?)への熱い想いを...



学校の帰り、隠れて吸うタバコの味。
この世のものとは思われない、酷い味だったはずなのに、
いつしか私はタバコの虜...

暗闇の中、揺らめく紫煙...時々赤く煌く火
けだるい空気、濃厚な時間。陰影を深める一人の部屋。
私をやさしく包み込む。

ある時は晴れた日の午後。柔らかな風が頬を通り抜ける。
青い空に白い雲。溶け込む白い煙。心が解されていく時間。

辛い徹夜明け、少しずつ明るくなる空を見ながら、非常階段での一服。
動き出そうとする街を見下ろしながら、私は世界を征服する。


でも、タバコをやさしいばかりではない。


タバコが切れた夜。タバコを求めて夜のコンビニを何軒も疾走。
雨が降ろうと、雪が降ろうと、血眼でタバコを求め彷徨う、その姿、狂女の如し。

どうしても吸いたい、出かける30分前。灰皿をかき混ぜシケモクを探す。
ああ!これがうら若きレディーの姿か?!どうなんだ?これでいいのか?!

電車待ち、え?後15分も?う〜ん喫煙所、喫煙所、何?終日禁煙!!??
辛い、辛いたったの15分、永遠に感じる15分。結局コーヒースタンドに入りタバコを一本
あれ、もう後3分?コーヒー熱くて飲み終わらない〜〜〜!
タバコ1本のために、コーヒー代280円、結局殆ど飲めず。

国際線も全便禁煙、バリ島までの10時間、ああ、タバコ、どうしよう、タバコ、
とりあえず寝る事にする。寝られるんじゃん!


私は疲れた。本当に疲れた。タバコを愛しているが、私はもう、タバコに振り回されたくない...


タバコとは、ダメな男に惚れた時と良く似ている。

これ以降はタバコをダメな男に置き換えて話を進めてみよう。

やさしい言葉で近づいてきて、私を虜にした。
でも彼は私を殴りつけ、最後には家財道具から預金通帳まで奪って去っていった。
あんな酷い男、もうやめなよと、友人は言う。
いいえ、違うのあの人は本当はやさしい人なの。
だって私を殴った後、いつも涙を流しながら、「もう絶対こんなことしないから」って言うのよ。
彼には私がいなくてはダメなの...
私も彼が必要なのよ。

ほら、だまされてるって!!!

疲れ果て、ぼろぼろな私は気づいてしまった。
私は彼に騙されている。
彼はやさしくなんかない。彼には私なんか必要ではない。
気づかないふりをしていた。気づきたくなんかなかった!
でも現実を直視した時、私の目の前に、自由への扉が開かれた。

そして私は、楽園だと信じていた地獄から、本当の楽園に戻ってきた。子供の頃のように。


時々あの頃のことを思い出す。彼と一緒のリラックスした時間。
濃厚な甘いひと時。

今ごろあの人、どうしているかしら。
ホントは悪い人ではなかったのかも...

いいえ!私は騙されない。
あんな日々はもう懲り懲りよ!あたしは解放されたの。

だって

彼なしでも、ご飯はおいしいわ。
彼なしでも、ドライブは楽しい。
彼なしでも、青空は綺麗だし、風は気持ちよい!

昔の男なんて、時々思い出して、ほんのりいい気持ちになる。
それでいいじゃない。もう関係の無い人。思い出は美化されるけど、
痛い記憶を忘れてはいけない。


これが私のタバコへの想い。そしてさよならの手紙です。
ありがとう、とても愛してた。でももう騙されない。




ちなみに、私がタバコをやめるきっかけとなったのは、
「女性のための禁煙セラピー」という本でした。
しかも実はやめるつもりなんて特別なく、喉の調子がたまたま悪かった日に
本屋で見つけたので、なんとなく買ってしまったのです。

でもやめるのが嫌で、しばらく放置しておりました。

せっかく買ったのだからと、読んでみたら結局やめられちゃった。
読み終わったとき、これでやめられると思ったら嬉しかった。

本にも書かれていますが、禁煙が何故失敗するかと言えば、
悲壮な気持ちで始めるからなのね。
私の人生の中の安らぎのひと時を、永遠に捨て去らなくてはいけないような気持ちで、
泣く泣く始める禁煙なんて、2日で終了です(笑)
考え方を変えるだけで、こんなにも禁煙が楽になるとは、本当に意外でした。
発想の転換ってやつですね。

だから、別に禁断症状で苦しむってこともあんまり無いですよ。
お菓子も今まで以上に食べるということはないですね。

やめたい人にはお勧めの本です!読んだらやめちゃうから(笑)、
ホントにやめたくなったら買って読んでみてください。

男性版も出ています。




**追伸の恐ろしい計算**

私が今までに使ったタバコのための費用はおよそ250万円でした






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