ハミガキに関する問題




Q.あなたの所属するグループをなんでもいいので想像してみてください。家庭、学校、職場、同じマンションに住んでいる人、メーリングリストの仲間、何でもいいです。思い浮かべましたか?

そうしたら、質問です。そのグループに所属する人のうち、夜寝る前に歯磨きをすることを習慣にしている人は、何パーセントぐらいいると思いますか?0%から100%まで、10%刻みで答えてください。




真剣に考えてください。




もっと、真剣に考えてください。




答えはでましたか?





A.実は、正確にカチッとこれしかない!という答えは無いです。人によっては20%と考えたかもしれませんし、80%と考えたかもしれません。それは、全世界にアンケートをするしか明らかになりません。(サンプル抽出方法もあるが)

さて、これを心理学者の目で見てみましょう。

たとえば、ここにAさんがいたとします。Aさんは、毎日朝昼晩欠かさず歯を磨く人です。そうすると、Aさんにとって、歯を磨くということは、ごく当たり前のことになります。ということは、この問題をAさんが出されたときにはどういう思考をするかというと、「歯磨きなんてするのがあたりまえじゃ〜ん。私だってしてるし、他のみんなもしてるはず。だから、90%ぐらいかな、答えは。」なんて考えます。
ところが、ちょっとずぼらで朝寝坊のBさんは、朝はしっかり歯を磨く時間も無く出かけていきます。さて、このBさんに、この問題を出してみるとしましょう。Bさんの考えは、「まぁ、俺も磨く時間もないし、他の人も朝はギリギリまで寝てるよな。じゃあ、磨いているのはせいぜい10%ぐらいの人なんじゃないの。」と、考えます。

ちょっと強引ですが、普段自分がしていることは、他人も同じ事をしている。同じく、普段自分がしていないことは、同じように他人もしていないのだと私達は思ってしまう傾向があるようなのです。もちろん、上にあげた例はあくまで(かなり極端な)一例であり、普段歯を磨いていないBさんは、実は自分に自信が無く、「僕だけが歯を磨いていないんだ。僕だけが歯を磨いていない悪い子なんだ。」と考える可能性は十分にあるわけで、そのため、ここではあくまでもそのような’傾向がある’という結論しかいえません。

最後に、このように自分のしていることは他人もしていると思ってしまい、自分がしていない事は他人もしていないのだと思ってしまう傾向の事を、「総意誤認効果」といいます。これって、使いようによってはその人の生活習慣を明らかに出来るものかもしれません。

「日本の成人男性の何%が結婚していると思いますか」とか、「世の中の既婚男性の何%が、家事を手伝っていると思いますか」とか聞いてみたくなるのは、僕だけでしょうか。