「へぇー」的な心理学  その2




その1に引き続き、もう一問やってみましょう。できるだけ直感的に答えてください。





エルスバーグの賭け問題。


あるつぼの中に、90個の玉が入っています。そのうち、赤玉が30個、黒玉と黄玉があわせて60個入っていることがわかっているのですが、その構成比率はわかっていません。

この壷から1個の玉を取り出す際に、ある賭けをします。あなたは、どちらに賭けますか?


A: 赤玉が出れば100ドルもらえるが、それ以外だと外れ。

B: 黒球が出れば100ドルもらえるが、それ以外だと外れ。


答えはでましたか?





それでは、同じ条件でもう一問やってみてください。


C: 赤玉か黄玉が出れば100ドルもらえるが、それ以外(黒玉)だと外れ。

D: 黒玉か黄玉がでれば100ドルもらえるが、それ以外(赤玉)だと外れ。



さて、こちらも答えはでましたか?








この問題で、A−Dと答えた方。見事にハマってしまいました。



実はこの問題、AとB、CとDの、どちらを選んでも、確率としては等しくなっています。

数式で書けば、A=B  C=Dみたいなかんじです。つまり、正解なんてないです。


そのため、A−Cと答えたり、B−Dと答えた場合、答えに一貫性が出ていて、心理学的に面白くないです(汗)


ここで、A−Dと答える人が多いというのが、心理学の面白い(奇妙な?)ところです。



どうやら、人間は不確定なものを好まない傾向がある、というのが明らかになっています。

そのため、Aの選択肢では30個は必ずある。
しかしBの選択肢では30個以上あるかもしれないが、30個未満かもしれないという不確実さのため、人間はAを無意識のうちに選んでしまう傾向があるようです。
(ここでの傾向とは、〜する人が多い、程度に思ってください。決して100%ではないです。)


これに対し、CとDを比較した場合、Dの選択肢は、60個は必ずある。
しかし、Cの選択肢だと、赤(30)+黄(?個)なので、60個以上かもしれないが、60個未満かもしれないというのを無意識のうちに考え、結果Dを選んでしまう傾向があるそうです。


というように、こんな答えのない問題からでも、私たち人間の脳はいろいろなことを考え、判断をしていることがわかります。

ヒューリスティックスとは、さまざまな条件を判断するとき、そのすべての可能性を網羅するのではなく、シンプルな方法、簡素化した方法でおおまかな判断をくだすことです。その1の問題も、その2の問題も、長い時間をかけ、あらゆる場合を検討すれば、誰もが正答できますが、瞬間的な判断をするときには間違いをおかす可能性がある、ということです。


こんな問題を何十題もやらされ、人間の脳がいかにいい加減で、間違いが多いものか、身をもって味わわされた講義もありました。