対人恐怖症について(その壱)

○対人恐怖症とは

他人と同席する場面で不当に強い不安と精神的緊張が生じ、

そのため他人に軽蔑されるのではと案じ、対人関係から

出来るだけ身を退こうとする神経症(※1)の一種。

 例として、人前に出ると顔が赤くなったり、こわばったり、

緊張して震え出したり汗をかいたり、目のやり場に戸惑ったり、

自分の体臭が発散してきて心配になったりするという、

「症状」を人に気づかれはしないかと、人前でひどく不安になり、

恥を感じること等がある。

 また、恥ずかしがることについて苦悩し、

恥ずかしがってはいけないという強迫観念(※2)が起こるため、

それがまた苦悩となり悪循環となる。


(※1)心が原因で起こり(心因性)、身体的、精神的にある症状がおこる。

このため、社会的に適応しがたいと言う自覚がある。

しかし、持続性のあるものの治らない状態ではない

ヒステリー、二重人格、多重人格などがこれに属する。

(※2)@自分でも不合理でばかばかしいと思う考え行為が、

A自分の意思に反して

B執拗に浮かんできて自分の意思では止められない状態に

しばしば陥る神経症である。

頭の中で考えるだけでそれを繰り返すものを強迫観念という。



○症状の種類

1・赤面恐怖

顔面紅潮を悩むもの。
  
人前で赤くなり、顔のほてる感じが人に注目されるようで
 
非常に恥ずかしく、そのため人前に出る事を嫌がるもの。

赤面を隠すため、数々の小細工を行うこともある。

2・視線恐怖

@正視恐怖

主に、他人に見られる恐怖についていう。

人と面と向かっている時、視線のやり場に困って、うろたえてしまう。

その不快を嫌がって人前に出るのを避けるもの。

それではいけないと相手を見つめると、苦痛はますますひどくなる。

日本人は正視恐怖的な面を持ち合わせているのが普通である。

A自己視線恐怖
   
他人を見てしまう恐怖についていう。

自己の異様な視線に一時的に悩む。

たとえば、自分の視線が自分で統制できなくなり、

見ようと思わない人のことまで見てしまい、その事を

相手に気付かれないか、相手を威圧しているのではないかと悩む。

Bふるえ恐怖

人前で、体の一部または全身が震えるというもの。

たとえば、人前で字を書いたり食事をするときに手が震える事を悩む。

C自己臭恐怖

口臭、体臭などを異常なまでに気にして、対人場面を恐れて避ける。

悪臭が自分から発散し、それを自分の近くにいる人々の身ぶりや

言動によって分かるため、周囲に人に迷惑をかけている、と悩む。

D異形恐怖

自分の顔やその他身体の一部が形態的にたぐいまれな醜さをもっていると悩むもの。

Eその他

自分が喋ると、他人を白けさすので無口になる、

話題がなくて無口になると、その無口が人に嫌がられる、と悩むもの。