生徒理解の諸傾向

ここでは、対人認識の基本的傾向について少し書こうと思う。

具体的に言えば、ある人に対するイメージを形成していく時に、私達は知らず知らずのうちに

あるセオリーに沿ってイメージ作りを行う傾向があるということだ。

このセオリーは、教師の生徒理解だけでなく、

職場や友人関係にも多かれ少なかれ作用している可能性がある。


(A)単純化傾向

無数の情報の中から、自分にとって意味を持つものだけを選択的に受けいれ、

情報を集約する傾向

(α)ステレオタイプ的認知

現実との対応をもっていないのに、

多くの人に共有され感情的に色づけられた固定観念
  
(ex)「レッテルを貼る」という行動…

相手のすべてが分かったような気になる。

しかし実際には相手の一部分しか見ていないことが多い

(B)一貫化傾向

新しい情報はそれまでの認識と矛盾しないようなものが選択されたり、

矛盾しないように変形させられてしまう

(α)初頭効果(第一印象)

イメージ(対象)が一度出来上がってしまうと、

後からの情報は最初のイメージに適合する形で受け入れられる

(β)光背効果

目立つ良い(悪い)特徴を持っていると、その人の持っているあらゆる特徴を

肯定的に(否定的に)見てしまう傾向  

(ex)通知表の成績と性格の相関関係…

通知表で良い成績が与えられた生徒 は、

同じように性格面でも高い評価をもらう事が多い。

(γ)寛容効果

その人に対して抱いている感情と、その人に対して持つ認識を調和させる傾向

(ex)「えこひいき」の現象…

好意を感じたり可愛げのある生徒を見る目は甘くなりがちで、

虫の好かない生徒を見る目は厳しくなりがちである。

と、このように対人認識には様々な傾向が絡み合っていることが分かってもらえるだろう。