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おジャ魔女どれみ♯ 第40話 2000.11.26放映 | |
「春風家にピアノがやってくる!」 | |
脚本: |
栗山緑 |
演出・絵コンテ: |
五十嵐卓哉 |
作画監督: |
馬越嘉彦 |
この回は、演出が監督の五十嵐拓哉、作画監督がキャラデザインの馬越嘉彦という強力シフト、これで出来が悪いはずがない、といえばそのとおりだが、それだけにこの回自体の監督自身の思い入れを感じずには要られない。しかもこのエピソードは2000年の夏に公開された劇場版(監督はもちろん五十嵐拓哉)の話が前フリとなっているので、そちらをちゃんと見ていた人間には、さらに堪えられない味わいのある回だった。
内容的には、以前、ピアノを母親にならっていてけれど事情があってやめてしまったどれみが、ピアノを習いたいというぽっぷを応援する、という話。
いつもは、ギャグ担当のおばかな役回りのどれみが、ぽっぷがらみの話では、すっかりお姉ちゃんして、その上,母親や父親の気持ちや事情まで慮る様は、「おいちょっとまて、キャラちがくね-か?」と突っ込みたくなるが、それはご愛嬌。
どれみとどれみのお母さんとの間にあったわだかまりの心情とそれが解きほぐされていく様が、しっとりとした雰囲気で丁寧に描かれている。「一番の宝は家族です!」「今日ほど子供を持って良かったとおもったことないわ」など恥ずかしい台詞は秀逸の極み。
はなちゃんがらみの「本筋」とは関連のない、完全なサブエピソードではあるが、長いシリーズではむしろ本筋よりもサブでの方が傑作が生まれやすいという好例ではないかと思う。
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「たくさん欲しいです!」 | |
脚本: | 滝晃一 |
絵コンテ: | 大畑清隆 |
演出: |
木村真一郎 |
作画監督: | いちかわけいぞう |
最終回も良いのだが、ここではあえて、こっちをあげたい。
「はしご」をきっかけにかすみと早乙女和也の間にある「はしご=思い出」をメイも欲しがるという話。「思い出=メモリー」のキーワードを見る側に印象付けさせ、前フリとすることで最終回が2倍、3倍に生きてきているといえるのではないだろうか。
基本的にドタバタコメディで、パンチラその他エロエロな部分に終始している本作なのだが、所々みせるメイやかすみの心理描写が秀逸で、特にかすみのやきもちに俺的ツボをつかれてしまう。ハッキリいってベタベタな企画に始めは「うげぇ」とおもっていたが、そういったことも含めて、短い作品にも関わらず「女の子がたくさん出てる」だけの作品に終わらずに済んだといえる。この回をきっかけに作品への印象が大きく変わった。
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「新たな世界」 | |
脚本: | まさきひろ |
演出・絵コンテ: | 今村隆寛 |
作画監督: | 八島善孝 |
最終回。泣きました、マジで。
前回の続きから一気にラスボスを早々に倒し、後半、デジモンワールドから異世界へ帰る子供達とパートナーデジモンとの別れのシーンがそれぞれ、じっくり描かれる。別れのシーンというものに昔から弱い私は、「泣くかも」と思いつつ、さすがに25才過ぎて泣きゃしないだろうと、タカをくくってみていたのだが、最後の最後、パルモンが電車を追いかけて走り、ミミの帽子が空に舞い、OPの歌が流れ始めたとたん目頭がカーッと熱くなってしまった。
あまりのニクイ演出にしてやられた、というわけだ。
「デジモン」はアニメ作品として見たとき、正直全体のクオリティやバランスは必ずしもいいとはいえない。しかし、「十五少年漂流記」と「はてしない物語」のストーリ構造をベースに、出会い、冒険、対立、友情、などジュブナイルとしての要素をしっかりと盛り込みつつ、現代的な子供の抱える家族の問題もさらりと描いてみせ、ここ最近見ることの出来なかった、長編としての面白さがあった。一年間作品に、否、子供達の冒険にTVの前で付き合って見てこそ、「別れ」のシーンが胸に迫る。TVシリーズとして価値ある最終回の形として好例であると共に、クオリティー云々とは別に一年間の長編を作ることの意義を痛感させるに足る一本だったといえる。
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「胸を張りまっしょい」 | |
脚本: | 黒田洋介 |
絵コンテ: | 小寺勝之 |
演出・作画監督・原画: | 橘 秀樹 |
「リスキー★セフティー」はここ最近では、かなり「好きな」作品のひとつだ。ベストサブタイトルを挙げるとなると第1話から3話も捨てがたいのだが、ここではあえて特異な一本を選びたい。
「胸をはりまっしょい」は主人公(?)・桂木萌の彼氏・優雅に思いを寄せる同級生の女の子藤原美月の話なわけですが、この回、全編、無声映画仕立てという凝ったつくりになっている。この回の為だけに音楽の寺島民哉氏によって丸々作られた7分強の曲を使用(サントラに収録)、演出・作画監督・原画と橘秀樹氏が一人で担当し、映像と音楽を完璧に同調させてある。好きな男の子に思いを伝えられず、その気持ちを飲み込んで胸を張る、今や売れっ子の脚本家・黒田洋介氏は、女の子の少しひねた感情をかかせるとほんとにうまいと思う。
監督の舛成孝二氏によって全体的に丁寧でこだわりを感じさせる仕事の多い「リスキー★セフティ」の中でも一際、特別な感のある回といっていいだろう。1話10分弱という放映形態だったからこそ「無声映画」というスタイルが成立しえたのだろうし、放映媒体がWOWOWとはいえTVアニメとしては冒険的ではある。そういった点も含めて中々見ることが出来ない貴重な一品といっていいだろう。
「無声」なのでもちろん声優の出演はないので、声優ファンには不評だろうけど。
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