カガリとラクスの努力もむなしく緊急協議は最悪な道筋の序幕という結果で閉会した。大西洋連邦とユーラシア連邦はオーブの代表首長であるカガリがどんなに否定してもカーペンタリアを襲った部隊はオーブ軍だという主張を撤回しなかった。そして大西洋連邦の代表はカガリに哀れみと嘲りの表情を浮かべながら、その場にひとつのディスクを提示してきた。疑わしげに二人がそのディスクに目を通すと、そこにはオーブの基地からカーペンタリアへと出撃するオーブ軍の映像がはっきりと映し出されていた。カガリに付き従っていたオーブの官僚とラクス側の付き人がそのデータに改ざんや偽造がないかすぐさま調べたが、日時も映像も工作のしようがないほど確実なデータであることが判明し、その場が一気に緊迫した。カガリは衝撃を受けた顔をして言葉を失い、一時的に協議の席からふらふらと退出してしまった。ラクスもそのデータを前にして顔を青ざめさせる。この映像が世界にどのような影響をもたらすのかは誰の目から見ても明らかであった。
 協議が終わり、大西洋連邦とユーラシア連邦が悠々と会見を開いた。そこで先ほどのデータが全世界に流されてしまう。オーブ側としては公表するのであればそのデータをきちんとオーブで調査してからにするよう申し立てたのだが、両者は聞く耳を持たなかった。しかし大西洋連邦は世界中にそのデータを公表した後でそのコピーをオーブへと渡してくれた。最悪なことにオーブでいくらそれを調べてもそのデータに改ざんの余地がないことは明らかであった。そしてその線から調べていった結果、オーブ軍の中に裏切り者たちがいてカガリや政府に嘘の情報を渡していたことが明るみに出る。カガリたちはすぐさまその裏切り者を捕らえようとしたが、すでに逃亡済みで全ては仕組まれていたとしか言えなかった。結果として中立国であるオーブという国は世界の中で立ち位置を大きく揺らがせた。そしてオーブの中でも市民たちが政府を糾弾して国中が紛糾する。プラントもまたオーブやナチュラルに対する怒りの声がコロニー中にとどろいて、世界は再び憎しみが渦巻いた最悪な道を辿ろうとしていた。







 キラはザフトの仕事を終えて帰途についていた。今日は仕事が早く終わったので気持ちのよい風に吹かれながらぶらぶらと街を歩く。そうしていたら病院の近くまで来てしまった。あれから何度か病院に行っていたおかげでキラの薬はまだたっぷり残っている。薬を使い切るたびに新しい薬をもらっていたが、今はもう前回処方された薬をすべて使い切る自信がなかった。それだけ体に限界が来ていることをキラはよく承知していた。であれば、やっておかなければならないことをキラはやらなければならなかった。ふと最近なじみになった喫茶店が目に入りキラはそこの扉を開ける。店主も心得たもので二人はいつもと同じやり取りをしてキラは同じものを注文し、店主は同じ席を勧めてくれた。ポケットから手帳とペンを取り出してキラはそこに迷いなく書き記していく。まずは両親への手紙を書いた。愛情と感謝の言葉だけがつづられていく。そして次にラクスへの手紙を書いた。
『ラクスへ
 ありがとう。僕の想いは君と共に』
 それ以外には何も思い浮かばなかった。それだけがラクスに伝えたいことだったしそれさえ伝われば後は何も必要じゃなかった。キラは最後にアスランへの手紙を書こうとする。しかし書こうとすればするほど何を書いていいか分からなくなった。店主が運んできてくれたカプチーノを飲みながらキラはアスランのことを考えて胸がきゅっと締め付けられる。
 店を出る時、キラは勘定を払って微笑を浮かべ、代わりに店主はぶっきらぼうな声で「ありがとうございます」と言う。それが二人のお決まりのやり取りだった。しかし今回キラが勘定を払って店を出ようとしたら、店主は何を思ったか声をかけてきた。
「君、最近よくうちの店に来るが気に入ったのかね?」
「はい、とても美味しいですし落ち着くので気に入ってます」
「そうか」
 店主は不器用ながらも嬉しそうに破顔させ言葉を続けた。
「わしも君が気に入ってるんだ。今時の若者にしては好青年だ。また来てくれるかい?」
 そう言われたキラの瞳がオレンジ色の蛍光灯に照らされて揺らめいた。キラは唇を噛んで思案げな顔をしたあと寂しそうに笑う。
「いえ…たぶんもう来れません」
「来れない?」
「はい。僕は…見ての通りザフトの兵士です。今度任務が変わって地球に下りることになっているので」
 驚いた顔をする店主にキラは白服を引っ張って軽く微笑んでみせた。店主は肩を落としたが直後優しく頷く。
「そうか。君を気に入っていたのに残念だよ。しかし立派な仕事なのだから頑張ってきなさい。わしもここから応援しているよ」
「はい。おじさんもどうかお元気で」
 キラは心からそう言って店を後にした。扉に備え付けられた鐘がカランカランと音を鳴らしている。この音を聞くのも最後かもしれないと思うと無性に涙が出そうになった。外はもう夕景色になっており、キラは自分の家までの道を海沿いにとぼとぼと歩く。夕空すらもあと何度見れるかと思うと深い愛情が沸いてきた。(アスランにキスをするという願いはとうとう叶わなかったなぁ)キラの体はもはやオーブに行くほどの体力が残されていなかった。(やっぱりあの時強引にでもキスすればよかった)しかし後悔したところでもう全ては過ぎ去った過去のことだ。だがアスランにもう一度会いたいという思いが胸に迫ってきてキラはその気持ちを誤魔化すように夕暮れの海に目を逃がした。しかしその過程でふと前方の道に誰かが立っていることに気付く。その者は白い柵に寄りかかっていたが、不意に体を起こしてこちらに近付いてきた。
「おかえり、キラ」
 夢かと思った。キラの脳内を漂っていたアスランが急に目の前に現れたのだ。キラは目をまん丸に見開いて絶句する。しかしアスランはキラの傍まで来て困ったような笑みを浮かべた。
「キラに会いたくなったからここで待ってたんだ。ザフトに出向いてもよかったんだが、ほら、俺が行くと色々気まずいだろ?ザフトには過去に何度もお世話になってるから知り合いも多いし…」
「君、脱走の達人だもんね」
 キラは内心まだパニックに陥っていたが、無意識のうちにぽつりと声を落とす。アスランは少しだけ顔を赤くさせて拗ねたように横を向いた。
「俺が脱走したのはいつだってお前が原因だっていうのに。最初の時も、二回目の時も…お前が…」
 キラの頭が夢から覚めたように出し抜けに混乱を脱した。キラはアスランに手を伸ばしてその腕を取る。気を取られたアスランがキラの方をもう一度向くと、そのエメラルドの瞳を待っていたようにキラは柔らかく笑った。
「うん、そうだったね。ありがとう、アスラン。今日も来てくれて嬉しい」
「キラ…」
「僕はこの前君やカガリにあんなこと言っちゃったのに…。まさか君の方から来てくれるなんて思わなかった」
 アスランは自分の腕に触れるキラの手を握って軽く笑った。
「そんなこと気にするわけないだろ?それにあれは確かに俺やカガリが悪かったしな。俺たちはあの後反省したんだ。カガリも大変な状況だが今は頑張って対処している。だが結局は……」
 アスランは憂鬱そうに視線を逸らして再び柵に寄りかかった。キラもアスランから手を離して悲しそうに俯く。
「うん、結局こんなことになっちゃったね。カガリもラクスもアスランも頑張ってるのに…また戦争になるのかな」
 キラの肩に乗っていたトリィが飽きたようにばさりと音を立ててそこから飛び立っていく。キラはザフトに勤務していたのでザフトの内情をよく知っていた。ザフトではもう戦争を想定しているようで現在急ピッチでモビルスーツや戦艦の製造が行われている。キラもシンが搭乗する予定の最新鋭モビルスーツのプログラミングを頼まれていてその処理に追われていた。基本の部分はもう終わっているので死ぬ前にシンに力を残せるのはよかったのだが、しかしキラの心配は治まらない。二人の間に物悲しい沈黙が降りていた。重いため息をつくキラに、アスランは海を眺めながら力強く言葉を吐き出した。
「何度でも繰り返されるなら、俺たちが何度でも止めてやるさ」
「アスラン…」
「そうだろ?キラ」
 振り返って微笑むアスランを見て、キラの顔にふっと笑みが広がった。
「うん、そうだったね。僕たちが…何度でも止める。何度でも」
「ああ、絶対に止めるさ」
 キラの心が急に活気付いて元気が沸いてくる。だからキラはアスランの腕を引っ張った。
「ねえアスラン、浜辺に下りようよ」
「え?だってお前」
「いいから。こんなところに突っ立ってたんじゃ通行の邪魔じゃない」
 キラは顔をほころばせながらアスランを伴って楽しそうに浜辺に下りていった。キラが歩いていくと軍服のブーツが砂粒の山にめり込んでいく。綺麗な砂浜に二人の足跡が刻まれていった。キラはそれが楽しくてアスランの手を引きながら浜辺をどんどん歩いていく。たまに後ろを振り返って確認すると、二人分の足跡が並んでどこまでも続いていた。
「キラ、そんなにはしゃいで大丈夫なのか?」
「どういうこと?」
「具合がよくないんだろ?この前も体調が悪そうだったし今もあまり顔色がよくないじゃないか」
 キラはぐるりとアスランを振り返って人差し指をアスランに突きつける。
「君ね、楽しんでる僕に向かってそういうことを言うのは駄目なんじゃない?僕の楽しいという気持ちを台無しにするつもり?」
「そういう問題じゃないだろ」
「そういう問題だよ。僕はいま楽しい。君もいま楽しい。だったらこのまま楽しもうよ」
「めちゃくちゃな理屈だ。それに俺は楽しいなんて一言も言ってないぞ」
 アスランはそれでもキラの隣を付いて歩きながら呆れたようにため息をつく。しかしその瞬間キラの足がぴたりと止まってキラは唐突にその場に立ち尽くした。
「キラ?」
 俯いて身じろぎもしないキラに気付いてアスランは驚き、急ぎ足でキラの前に戻ってくる。そして心配そうにキラの肩に手を置いて、アスランはいたわるようにキラの名前を呼んだ。
「キラ、どうしたんだ?やっぱり具合が悪く…」
 しかしキラは全てを言わせなかった。勢いよく顔を上げてアスランをぎっと睨みつける。アメジストの瞳がきらきらと夕暮れの光に反射していた。いつからかアスランの前では決して泣かなくなったキラの瞳は今は涙を含んで潤んでいた。それを受けてアスランの心が不思議に大きく揺さぶられ、たじろいだ。
「キ…」
「君は楽しくないって言うの?僕といても楽しくないって言うなら、君はなんでわざわざ今日僕に会いに来たの?来なきゃいいのに。アスランのばか!来なきゃいいのに!」
「キラ…」
 アスランは突然のキラの剣幕に訳が分からなくて面食らい、キラから一歩後ずさる。しかしとにかくキラの涙を止めようとポケットからハンカチを探るが、動揺した手ではうまく取り出せなくて手間取った。ようやくハンカチを掴んでキラに差し出すが、キラはそれには一瞥もくれず、ばっと顔を背けて走っていってしまう。
「キラ!」
 アスランが後を追いかけてくる音がして、キラは必死に走った。もう体力的に走れないはずなのに、興奮物質でも出ているのか今はぐんぐん走れていた。息を切らして浜辺を駆けながら何でこんなことになったのか当のキラ自身にも分からなかった。しかしアスランが悪くないことだけは分かっていた。だけどキラは泣いてしまったのだ。みんなを無闇に悲しませたくないから自分の病気をずっと黙っていたのに自分勝手な感情に任せて泣いて叫んでしまった。キラは先ほどのアスランの困った顔を思い出して胸が押しつぶされそうだった。このままでは死ぬ前に最低な置き土産をアスランに残すことになる。今すぐに走るのを止めてさっきのことをフォローしなければならないのにキラの足は止まらなかった。しかし走りすぎて肺が狂ったように悲鳴をあげている。キラの視界が揺らめいた。ぐらぐらとして砂浜も海も夕暮れも何も区別がつかなくなって溶け落ちていく。内臓から来る痛みがキラを襲い、体から力が抜けていってごく自然にキラはその場にくず折れた。
「キラ!」
 すぐにアスランが追いついてきてキラを抱きかかえる。キラはぜいぜいと荒い息をしながらアスランを見上げた。初めは黒と白が混ざり合ったぼんやりとしたものしか見えなかったが、視界は段々と鮮明になっていきアスランの形を結んでいく。キラは目を瞬(しばたた)いた。
「ごめんね…アスラン…」
「まったくお前は本当に…!本当に訳が分からない!」
 アスランは全速力で走った直後でもすでに息が整っていた。しかしその口からはほとばしる激情に任せて手つかずの感情がどっと吐き出される。それでもキラを抱きかかえるアスランの腕は思いやりにあふれたものだった。アスランに支えられているおかげでキラの息が徐々に治まっていき、その代わりにキラの瞳がまた潤んでいく。キラのすぐ傍にはアスランの戸惑いを載せた顔があって、アスランは確実に当惑しているのにそれでもその顔にはいたわりがこもっていてひどく優しいのだ。それを見たキラの瞳からぼたぼたと涙がこぼれ落ちていく。
「キラ…」
「ごめんね…ごめん…っ」
(泣かないって決めてたのに…カガリにも泣いちゃだめな時があるって…そう言ったのは僕なのに…っ)それでもキラの瞳からは際限なく涙があふれ出していく。アスランは狼狽と優しさを混じえながらそんなキラを見守っていた。とうとうキラは自分の感情が制御できなくなってアスランに腕を伸ばし、そうすれば願いが叶うとでもいうようにそのままぎゅっと勢いよく抱きついた。
「アスラン…君と離れたくない…っ」
「キラ…?」
 キラはアスランを抱き締めたまま想いがあふれてきて居ても立ってもいられなくなる。ずっと心の奥に閉じ込めていた感情が殻を破って、叫び出したいほどの奔流となってキラの中で荒れ狂った。アスランへの計り知れない愛情と離別への激しい恐怖が体中で爆発する。(本当は戦争なんかなければよかった。最初からなければよかった。そうしたら僕とアスランは月の幼年学校で離れることもなかった。ずっと一緒に時を重ねられた。こういう未来が待っていたとしても、それでもずっと一緒にいられた!こんな人生なんかよりもずっと!もっと君と一緒に過ごしていたかった…もっとずっと…)キラはアスランを抱き締めながら涙でぐちゃぐちゃの顔で叫んだ。
「アスラン…好き…っ…君が好きだ…!大好きだ!本当に大好き…っ…どうしようもないぐらい…君が好きなんだ…!」
「キラ…」
 アスランは呆然としてしばらく何も言えなくなる。成長していくにつれどんどん我慢強くなっていったキラだったがいまアスランの前にいるキラはアスランの胸にすがり付いてまるで子供のように泣いていた。そんなキラを見てアスランの胸が不思議にきゅっと波立っていく。アスランはふとキラが愛しいと感じた。アスランの心の中にただの幼馴染相手には抱けない強い感情が渦巻いていて、それが愛なんだとアスランは唐突に悟る。だからアスランはキラの髪の毛をそっと撫でてやり、泣いているキラを宥めるように穏やかな口調で言葉を落とした。
「キラ…俺もお前が好きだ…」
 アスランはそう言ってキラを優しく抱き締め返してやった。しかしその途端キラの肩がびくりと跳ね上がり、キラは泣きながらも強い眼差しでアスランを見上げる。
「嘘だ…!君は僕なんか好きじゃない!」
「嘘じゃない。俺はお前が本当に好きだ」
「嘘だ!」
 キラはアスランを責める口調で叫んだ。しかしアスランがキラの瞳をじっとまっすぐに見つめると、キラはアスランから視線を逸らし、悔いるように眉を寄せて小さく呟く。
「嘘だ…。嘘に決まってる。嘘だって、そう言ってよ…アスラン…。君は僕を好きになっちゃいけな…」
 しかしキラの言葉は最後まで続かなかった。アスランが唐突にキラの顎を掴んでその口を閉じさせたからだ。アスランの唇がキラの唇に触れて、キラが驚愕している間にアスランはキラの口内に舌を忍び込ませていく。熱い舌が絡み合ってアスランの熱を直接感じて、キラの顔が真っ赤に染まった。ずいぶん荒っぽいキスだったが、それでもキスが終わった頃にはキラはほうけたようにアスランを見つめていた。そしてあくびれた風もなくアスランは微笑んだ。
「よかった。ようやく泣き止んだな、キラ」
「な…っ」
 キラは口をぱくぱくさせてアスランを凝視した。心臓は爆発的な鼓動を鳴らし、体中が熱で高まっている。何がなんだか分からないが、それでもアスランにキスされたことは理解した。これでキラが死ぬまでにしたかったことが全て叶ったことになる。キラはやり終えたのだ。キラの瞳がまた潤みだしてアスランは焦ったようにキラの目元に指をそえて涙をぬぐってやる。
「キラ、なんでまた泣くんだ」
「馬鹿…アスラン、君って大馬鹿者だよ…」
 (僕はもう死ぬのに。それなのに告白してしまった。キスされてしまった。僕はもう死ぬのに。アスランを置いて行かなきゃいけないのに)キラの瞳からまた涙があふれ落ちる。
「ごめんね…っ…本当に僕って、どうしようもない…」
 キラがアスランをもう一度抱き締めようとしたとき、キラの視界がまたぐらりと揺らいだ。ぐらぐらと揺らめいてぼやけていき、キラの体から力が抜けていく。
「キラ…っ」
 アスランはキラを支えて抱きかかえた。キラは上にいるアスランを見上げるが、キラの視界はもうはっきりとは見えなくなっていてうっすらと靄(もや)がかかったように白けていた。それでもキラはアスランを見ていたくてアスランの頬に手を伸ばそうとする。だが力が入らずにキラの手がぽとりと下に落ちた。それに気付いたアスランがキラの手を握ってくれる。キラはぼんやりした視界の中でアスランを感じられて安心した。もうほとんど何も見えなくなっている。だけどアスランが傍にいることはわかるのだ。それだけで十分幸せな気がしてキラはゆっくりと微笑んだ。
「アスラン、大好きだよ…君と出会えて…幸せだった…」
「キラ…!?」
 キラはまだまだアスランを見ていたかったが、しかし時は回りきったようだった。キラに残された時間は唐突にゼロになった。段々と眠くなってきて、キラは目をつぶる。目をつぶったら、もう二度とアスランが見えなくなることが分かっていたのに、目をつぶりたいという欲に抗えなかった。アスランの声が聞こえる気がしたがもう何を言っているのかもよく分からなかった。だけど握られた手からアスランの熱が感じられてキラは温かく幸せな気持ちで眠りに落ちた。


『アスランへ
 君に呪いをかけるね。この呪いは強力だから絶対に甘く見ないようにしてよ。君にかける呪いは、僕の愛だよ。君に僕の愛をあげるから、君はこれから先ずっと君の愛するものを守ってあげて。君の愛する守りたいものを守ってあげて。…それから僕が愛していた君自身をどうか大切にしてね。君自身をないがしろにしないで。お願い。これが僕の呪いだから肝に銘じるように!』





戻る




おまけ