その後何をするでもなくカガリの邸宅の庭をぶらぶらしたりアフタヌーンティーを貰ったりした。オーブの友人たちは仕事中だったり宇宙コロニーに住んでいて会えそうもなく、キラは結局一人で時を過ごしていた。そうこうしている内に赤く燃える太陽が地面に近い場所まで降りてくる。ラクスから連絡が入りやはりアスランはプラントに着いてすぐにオーブへと逆戻りしたようだった。ひどく慌てていたとラクスはキラを案じるように言っていたが、キラは微笑んでお礼を言うだけで電話を切った。キラの中でアスランに会いたいという強い欲望と、こんなことでみんなに迷惑をかけてしまったという強い罪悪感が同居していた。キラの頭で色々な思いがごちゃごちゃと騒ぎ立て、そんな中でもやはり拭いがたい寂しさがわき上がってくる。キラはあてがわれた広い客室のベッドで一人ぼんやりと寝転んでいたが、とうとう我慢できなくなって不意に立ち上がった。気持ちを変えたくて何かに誘われるようにキラはそろそろと部屋を抜け出してアスランの部屋へ向かう。実はカガリとアスランから個室と邸宅の両方の合鍵と暗証番号を貰っていたので屋敷やアスランの部屋へは自由に出入りできる身分だった。キラはアスランの部屋の鍵を開け、暗証番号を入力して扉を開ける。部屋に一歩足を踏み入れると、そこは整然としていてキラが前に来た通りのまま何一つ変わっていなかった。その生真面目さがまたアスランらしくてキラはここにはいないアスランを感じて胸がときめいた。しかしあまり見て回るのは悪い気がしたので、キラはアスランの寝室に一直線に足を向ける。そして寝室の端っこに鎮座しているアスランのベッドにそのまま思いっきり倒れこんだ。寂しさを紛らわそうとアスランの枕を抱き締めるとその瞬間そこから爽やかな匂いが漂ってきてキラの顔が赤く染まっていく。(アスランの匂いだ)キラは昨日の夜の事件で萎えてしまって以来ずっと放置していた自身の性器がその匂いに刺激されてまた立ち上がってくるのを感じた。
「もう…最低でしょ…」
 そんな自分の節操のなさにキラは躊躇いなく悪態をつく。しかしキラもまだ年若い青年だったので下半身がお盛んなのは仕方がなかった。まだ淡白な方ではあったがそれでも数週間も触っていなければ本能がうずきだす。(それにしてもこのタイミングって最低じゃない…)キラは自分で自分を恥ずかしく思ったが一度火がついてしまった欲望は止められそうもない。しかも昨日と違って今日はこの部屋には確実にキラ一人しかいなかったので誰にも見咎められはしない。それにアスランのベッドにいるせいでさっきからまるでアスランに抱き込まれているようで下半身に欲望がたまっていった。キラはごくりと唾を飲み込み、あっさりと誘惑に負ける。そろそろと手を下に伸ばして下着もろともズボンを引き下げ、自身をするっと撫であげた。
「……っ…」
 途端に喜んで跳ね上がった性器から早速透明な液体が溢れ出した。キラは心臓がドキドキしてきて体中に熱が集まってくる。自身の性器を今度はもっと強く撫でてみたら、更に気持ちよくなってキラは目をつぶった。(止まらない…っ)そのままキラは手を上下に動かして自身の陰茎をしごいていった。陰茎がぶるぶると震えだして先端から透明な液体がびゅくっと溢れだし、それが更に手の滑りを加速させてキラは耐えるように顔をしかめた。
「ふぅ……ぅぁッ…」
 いつもアスランにやってもらうように先端の小さな穴を親指の腹でぐじゅぐじゅといじってみると気持ちよくて体が弓なりに張った。もう達しそうな勢いだが何かが足りなくて、キラは息を乱しながらも爪で鈴口を引っかいてみる。
「…ん…ッ……」
 いつもならイけるはずなのに、陰茎は淫らに震えるだけで射精できなかった。(なんで…っ?)キラは涙目になりながらアスランの枕に顔を押し付けた。途端アスランの爽やかな匂いがキラの鼻腔をくすぐっていく。キラはそれにびりびりと脳が刺激されて、腰が自然と揺れ動き、導かれるように膨張した性器の先端にもう一度強く爪を立てた。その瞬間、体中に電撃が走り精液が宙に飛び散っていく。ようやく射精できて、キラははあはあと息を乱しながら白い液体で汚れた手を見つめて絶望する。これではまるでアスランの匂いに押されて絶頂したようで自分がどれだけアスランを求めているか見せつけられたようだった。しかしこれだけでは終わらなかった。キラの性器はまだ足りないとばかりにむくりと勃起して更なる快楽を求め始める。しかもアスランの匂いに反応したのか後孔まで疼きだしてきた。
「ちょっともう勘弁して」
 さすがにキラは青ざめて自身の興奮を収めようと頭に清らかな風景などを思い浮かべて心を沈めようと必死になった。これ以上乱れるのは自分のプライドに関わる問題である。しかしキラの努力もむなしく体は熱くなる一方だった。キラはもうこの熱をどうにかするしかないと覚悟を決め、自身の後孔に入れるものを探した。大人のおもちゃをアスランに何度か使われて腹が立った覚えがあるがこの部屋のどこにもそんなものは見あたらない。それにもしあったとしてもアスランが人に発見できる場所にそういうものを置いているとも思えなかった。キラがしょうがなく自分の口に指を入れて湿らせていたところ、ふと近くのテーブルにこの前見た芋虫のような機械が横たわっているのを発見する。一瞬迷ったがキラは立ち上がってその機械を手に取った。太さといい形といい、今まさにキラが必要としているものに見えてきてキラはそれを凝視する。だが、それを実際に使うのはアスランに対する申し訳なさもあるし、自身の意地が邪魔をした。そんなキラの葛藤を笑うようにキラの後孔の奥がまた猛烈に疼き出してくる。早くそれが欲しいと言っているようでキラは自身の醜態に顔を赤らめるが結局その機械を手に持ったままベッドに戻っていった。
「別に使わない…!ただ可愛いからベッドに置いておくだけだ」
 誰かに言い訳するようにそう呟いてキラは機械をベッドの端っこに置いた。そしてサイドのテーブルからローションを発見し指にローションを塗りたくっていく。深く息を吸ったあと後孔に指を一本、二本と入れていき、そのたびに体が痙攣を起こしたように震えだす。慣れた行為ではあったが自分一人でそこを触ったことはあまりないのでかすかな緊張感を伴った。
「ひ…っ…ぃあ…ッ…」
 キラは枕に顔を押し付けて四つんばいになって自身の後孔を自らの指で犯していく。アスランにされるようにゆっくりと慣らしていくが、角度の問題か普段自分でしていないせいか気持ちのいい場所に中々当たらなくてもどかしい。しかしそれにも関わらずキラの陰茎は後ろをいじっているだけで透明な液体をだらだらと垂れ流していった。でも肝心の一手がまだなので射精にまでは行き着かない。
「ふ…ア、スラン…ッ」
 じらされてとうとう大好きな人の名前を呼ぶが当然ながら手助けはやって来なかった。キラの内部で熱く疼く場所はまだかまだかと欲求不満げに際限なくキラを苛(さいな)んでいる。キラは三本目の指を差し入れて一生懸命抽挿を繰り返すがひどい快感と後一歩の苦しさがない交ぜになって頭がおかしくなりそうだった。そしてふと芋虫のような機械が目に入り、引き留めていた理性が崩れそうになる。枕からはまたアスランの若々しい澄んだ匂いが香ってきて、キラは我慢できなくなり自身の後ろから指を引き抜いた。
「…ぁん…ッ…」
 指が体内から抜け出いてく衝撃にすら体がびくりと揺れて先端からまた透明な液体がこぼれだしていく。もう限界だった。とにかく体内の疼きを治めたかった。恋人をこんなになるまで放置したアスランが悪いとキラは思い直し、その機械に遠慮なくローションをどばっと降りかける。そしてベッドに座り体勢を変えて足を大きく開いて壁に寄りかかった。自分で自分にこんなものを入れるのは屈辱だったが、ひくつく後孔と可哀想に震える陰茎を前にしてそんなことを言ってはいられない。キラは荒れた息を少し整えてその機械を自身の後孔に押し当てた。冷たく硬質な感触に手が止まりかけるが、その無機質さが逆に背徳的な気がしてぞくりと背筋が震える。それでもキラは目をつぶってアスランの顔を思い浮かべた。そして一息ついてから、ずぶりと機械を自身に突き入れていく。太くてところどころ勃起しているものが体内に侵入していってキラは大きく何度も息を吐いて機械で自身を犯していった。
「あ、あぅ…ッ…アス、ラ…ン…っ」
 割り開いた足の間に機械が埋まっていく。挿入している最中にも内部のいたるところに突起が当たっていってキラの陰茎からびゅくりと液体が染み出した。指では届かなったところもごつごつした突起物が遠慮なく擦っていきキラの全身を震えさせる。ローションでべとべとになっているキラの内部を妨げるものは何もなかった。そのまま最奥まで機械を突き入れたキラは機械の予想以上の長さと太さに体内がいっぱいになり、腹まで膨らんでしまっているようでわずかに苦しくなった。しかし息を整える間もなく、自身の手で機械を激しく抽挿しだす。今のキラはもう自分を気遣う気持ちよりも快楽への欲求が頭を支配しているようだった。とにかくイきたい。内部の疼きを治めたいということしか考えられない。抜いては突き入れ抜いては突き入れを繰り返していき、長くて太い機械が激しい圧迫感と快楽をもたらしていく。
「んん…あぅッ…ふ、あん…あぁ…っ」
 陰茎がびくびくと震えてキラは喉をのけぞらせた。機械を出し入れするたびに後孔の内部が淫らに疼きを増していく。(足りない…なんで…っ)必死で手を動かして確かに体内は満たされているはずなのに、キラは何かが足りなくて苦しいもどかしさを募らせていった。
「あ、アスラ…ッ…アスラン…っ」
 自然と流れ出す涙が止まらなくなってキラは顔を左右に振る。茶色い綺麗な髪がその動きにつられて宙を舞った。体内の淫らな粘膜全体が機械なんかではなく大好きな人を求めているようで、キラはその事実が信じられなくて唇を噛み締める。(僕だけ…こんなに君が好きだなんて…!)それでも今ここにはこの機械しかない。アスランが作った機械なんだから我慢してよと自分の疼きに言い聞かせる惨めさはたまらない。それでもキラが思い浮かべるのはアスランの顔だけだった。手の抽挿を激しくさせながら、涙に濡れた顔を歪めてキラは心の中で声を上げる。
 (僕は…どんなプレゼントよりも…アスラン、君が欲しい…っ)
 過ぎた快楽で体の力が抜け、キラは座っていることができなくなり、そのままずるずるとベッドに倒れこんだ。途端に足りなかった何か――アスランに繋がるアスランの匂いがキラの体全体を犯し、つま先から頭の上まで一息に全身があわだってキラは震えながら逐精していた。
「……ッ」
 荒くなった息を整えながら、キラはもういい加減本当に自分に嫌気がさしてくる。まだ体内はじくじくと疼いていたが、とろけきった体ではこれ以上動けない。段々と疲れてきたのでキラはそのままうとうとしかかったが、それを阻止するように突然ピコーンというくぐもった音が自身の体内から聞こえてきた。
「え…ひゃあ…ッ…うそ…!?」
 アスランが作った芋虫のような機械がキラの内部で起動を始めたようだった。前に見たときと同じように手足が何本も生えだしてきて、ただでさえいっぱいいっぱいだったキラの腹部が更に圧迫されていく。
「ちょっ……あぁ…ッ」
 その上その機械は体内をうねうねと這い回り始めてキラの奥へとどんどん侵入していった。キラでさえ無意識に抑制していた更なる奥まで芋虫の機械はうごめきながら強引に這い進んでいき、キラは気持ち悪さと痛みに嘔吐感がこみ上げてくる。
「う、ぇっ…やめ…!」
 そんなに奥まで入られたら壊れるんじゃないかとキラは背筋が寒くなったが、しかしそれに反してキラの性器はゆるりとまた勃起し始めた。小さな手足で内部を押して歩かれ、前立腺の裏側もぐいっと踏みつけられキラはかすれた悲鳴をあげる。またしてもびくびくと震えて陰茎の先端からは淫らな液がひっきりなしに溢れ出す。どうにか機械を引き抜こうとしても、全てすっぽりと体内に収まってしまったせいでキラの手では機械を抜くことはできなかった。
「もう…や、だ…ッ…あぁん…ッ」
 それでもキラは限界までいっぱいの後孔に自分の指を突き入れて機械を取り出そうともがいた。でも何度やっても無理でキラは諦めて仕方なく指だけを後孔から引き抜く。そして代わりのようにアスランの枕を手でぎゅっと掴んでそこに顔を押し付けた。溢れる涙と唾液で枕が湿っていくがキラはただひたすらアスランの枕を掴んで快楽と苦痛を耐え忍んだ。




 ようやくオーブへと戻ってこれたアスランは自分の間抜けさを呪いながらカガリの邸宅に車を飛ばす。キラがそこにいることはカガリから連絡を受けて知っていた。オーブに着いてから当のキラに謝罪の電話を何度も入れたが、何回かけてもキラは一向に電話に出ないので心配が募る。怒っているのか、泣いているのか、どちらにせよ今日はキラの誕生日だったので早くキラに会ってやりたかった。アスランはキラにかわいそうな誕生日を過ごさせてしまったことで自分を責めたがいくら責めても時間は戻らない。だから急いで邸宅に戻り使用人にキラの居場所を尋ねると、キラはアスランの部屋に入ったきりでずっと出てこないと言われてしまった。
 (俺の部屋で待っていてくれてるのか?)キラのかつてない健気さにアスランは胸をきゅんとさせながら、慌てて自分の部屋の扉を開ける。
「キラ、いるのか!?…なんだ?真っ暗だな」
 アスランはリビングの電気をつけてキラを探すが見当たらなかった。ふと寝室のドアが開いているのに気付いて寝室に足を向ける。寝室に近づくにつれてひどく艶かしい淫らな匂いが充満してきてアスランは眉をひそめた。
「キラ、お前何して…」
 寝室に足を踏み入れた途端アスランの言葉が喉元で静止した。寝室も真っ暗だったが入り口から見ただけでもなんとなくひどい有様なのが窺える。ウィーンというくぐもった謎の音がどこかから聞こえてくるのがますます不気味に思えた。アスランはにわかに緊張を走らせながら部屋の電気を恐る恐るつける。そして光が部屋中を照らした瞬間、卒倒しそうなほどの惨状に目をまん丸に見開いて絶句した。
 理解しがたい現実を前にしてアスランはしらばく呆然と部屋の入り口に突っ立っていた。予想もしてない事態に頭の機能すら停止してしまったようだった。しかしややあってベッドにうずくまるキラの方から小さな声が漏れ出した。
「ア…スラン…?」
 キラは裸でベッドに横たわり淫液にまみれていた。何時間も泣いていたように目元が真っ赤に染まっている。キラの声でようやくアスランは我に返り、ひどい混乱に陥りながらもなんとか声を絞り出してキラをまじまじと窺った。
「キラ、お前…大丈夫か…?何がどうなってこんな…」
 アスランが近づいてきてくれたので、キラはぼーっとする頭でアスランを見つめた。ようやく会えた本物のアスランにキラは嬉しくなって花が咲くように微笑みかける。
「アスラン…ずっと…待ってた…」
「キラ…」
 ほとんどうつろな意識の上での言葉だとアスランにはすぐに分かったが、だからこそ心からの本心であるキラの台詞にアスランは胸が熱くなった。こんな素直なキラはかつて見たことがない。夢ではないかと思えるほどの嬉しい言葉に、アスランは愛しいという強い思いが湧き上がってくる。そしてそのままベッドに座って、キラの汗と淫液で汚れた体をぎゅうっと抱き締めた。
「あぅ…ッ」
 しかしキラは苦しそうに顔をしかめて首を振る。
「キラ?」
「お、なか…いたい…」
「え?」
 アスランがキラの体をよくよく見ると何か不自然に腹部が膨れていた。まさかと顔を青ざめさせてアスランはキラの体をもう一度ベッドに横たえさせる。そしてキラの後孔に指を突き入れて探ると、そこに自分が作った機械が埋まっているのを確認して息を呑む。先ほどから聞こえる小さな機械音の正体が分かり、アスランは驚き呆れてキラを見やった。
「キラ、何でこんなもの…危ないだろ?」
「ごめ…だって、君が…いなくて…でも、君が…欲しかったから…我慢…できなくて」
 キラは恥ずかしがるようにアスランの枕に顔を埋めて表情を隠してしまった。その仕草と言葉にアスランはキラへの愛しさがこみ上げてくる。おまけに欲望までもたげてきそうだったが、こんなに消耗しきっている恋人に手を出したくなかったのでアスランは何とかその欲望を抑えて、キラの唇に優しくキスを送った。
「キラ、俺は別に怒ってない。それより俺こそごめん。キラにこんなことさせて…それほど寂しいと思わせて…」
「アスラン…」
 キラは枕からそろそろと顔を出してアスランを見上げた。アスランは現れたキラの前髪を指ですくい取り申し訳なさそうに顔を歪める。
「それに今日はお前の誕生日だったのに結局俺はお前を一人にさせてしまった。本当にすまない」
「アスラン…僕も…ごめ……」
 しかしキラは言い掛けた言葉を途中で止めた。内部でまた芋虫のような機械がうごめきだし、キラは唇を噛んでその快楽を抑え込む。
「ん…ッ…ぅ…っ」
「キラ!」
 キラの額から苦しげな汗が流れ落ち、キラは顔を赤らめてアスランを見上げた。
「アスラ…ン……おねが、これ…取って…僕じゃ…取れ、ない…っ」
 キラはそれだけ言ってまた枕に顔を隠してしまった。アスランにこんな姿を見られ、その処理まで頼まなければならなくなり、自業自得なだけに恥ずかしさと惨めさが押し寄せてキラは耐え切れずに泣いていた。しかしキラは泣いている事実をアスランに知られたくなくて必死に嗚咽をこらえていたが、それでも肩の震えのせいでそれを隠しきれていなかった。キラは変なところでアスランに対抗心を持っていて、アスランにだけ強い自尊心と意地を示すのだが、アスランはそんなキラをちゃんと分かっていた。幼いころから一緒にいたキラのそんな心境は手に取るように理解できるので、アスランは恋人の可愛い失態に愛情を込めた苦笑を漏らし、キラの頭をそっと撫でてやる。
「キラ、大丈夫だから。泣くな」
「泣いてな…い…っ…泣き虫なのは…君の方だ…っ」
「分かったから。それでいいよ。でも足を開かないと機械を取れないだろう?」
 キラは朦朧とする頭でアスランの枕を掴み、それを顔にぎゅっと押し当てながらおずおずと足を開いていった。そんな頑なな恋人の様子に、アスランは気付かれないように小さく笑ってキラの足の間の後孔にもう一度指を突き入れた。


 アスランはそのままぐったりしているキラをお風呂に入れてやり綺麗に洗ってやる。その間キラは時折起きてはまた眠りといった感じでひどく疲れているようだった。ベッドもシーツごと丸々洗い立てのものに取り替えてキラをそこに寝かせてやる。安らかな寝息を立てる恋人が愛しくてアスランはその姿を見ているだけで十分幸せな気持ちになった。そしてキラの来年の誕生日にはもっとこの可愛い恋人を幸せに過ごさせてやろうと心に強く誓う。
「すまない、キラ」
 アスランは寝ているキラの頬を優しく撫でてもう一度謝った。




 キラは眩しい陽光に起こされて、ふとまどろみから目を覚ます。頭がぼやけていて何も思い出せない。しかし徐々に記憶が呼び戻されて悲鳴をあげそうになった。顔が一気にトマトのように赤く染まり恥ずかしさに全身がほてっていく。パニックに陥りかけた時、隣から優しい声が降ってきた。
「キラ、おはよう」
「アアアアアスラン…!?」
「お前お腹がすいてるんじゃないのか?カガリがもうすぐご飯だから一緒に食べようって呼んでたぞ」
「カカカガリが…!?」
 キラの真っ赤にほてった顔を見て、アスランは笑わないように努力した。昨日の可愛いキラを思い出すと自然と顔がほころんでくるが、それは同時に自分のふがいなさの結果でもあったし、キラをむやみに怒らせるだけだったので隠しておく。だからアスランは背中を向けて洋服を着ながら穏やかな声でキラをなだめた。
「キラ、落ち着いて」
 キラはまた何か言いかけたが、変なことを口走る前にそれを抑えて深呼吸する。数回ほど深く呼吸したら心臓も赤面も段々と落ち着いてきたのでキラはアスランをぎっと睨んだ。
「昨日のことは僕が悪かったけど、僕は正気じゃなかったんだ…だから昨日の夜の僕は…」
「分かってるよ。あれはいつものお前じゃないんだろ。それよりも」
 アスランは柔らかくキラの主張を認めてからすぐに話題を変えた。テーブルから大きな包みを持ってきて不審げな顔をしているキラにそれを手渡す。
「はい、これ。キラに」
 キラはぽかんとした表情で機械的にそれを受け取った。ふとキラがテーブルに目を向けるとそこには綺麗にラッピングされた包みがいくつか乗せられていた。アスランもキラの視線に気付いて言葉を足していく。
「ああ、こっちはラクスやカガリから。プラントに行った時にお前の家にあったものをラクスに渡されたんだ。あとおばさんやシンたちからもプレゼントが届いているぞ」
 アスランはキラの隣に腰掛けて不意に優しそうな微笑を浮かべる。
「遅れたけど、誕生日おめでとう、キラ」
 キラはアスランからもらった大きな包みを見て、今度はテーブルに詰まれた小さな山を見て、最後にアスランの顔を見つめた。アスランを見つめるキラの瞳が徐々に潤んでいく。キラは自分の誕生日なんて…と思っていたが、人から祝われることがこんなにも心にしみることだということを忘れていた。誕生日に祝われると、愛情に包まれたようで温かい気持ちになる。キラは自身の誕生に依然として複雑な思いを抱いていたが、それでも友人やみんなの優しさと愛情に胸がいっぱいになった。そして隣にいるアスランに嬉しさをにじませて微笑みかける。
「ありがとう、アスラン」
 キラはアスランからもらったプレゼントを抱き締めながら少し考え込み、数秒経ってから小さく声を漏らした。
「アスラン、色々わがまま言ってごめんね」
「お前が俺にだけ好き勝手なことをするのは分かってるさ」
 キラの少し傷ついたような顔を見て、アスランは悪戯そうな笑顔を見せる。そしてキラのあごをそっと掴んでその唇に軽くキスをした。
「でも俺はそういうとこも含めてキラが大好きだよ。俺に甘えているんだろ?」
「甘えてるんじゃなくて、君をいじめてるの」
 照れ隠しのように視線を逸らしたキラを見てアスランはおかしそうに微笑んだ。
「大丈夫、俺はちゃんとお前を愛してる。この世で一番。死んでもいいぐらいキラが好きだ。だから拗ねるなよ」
 キラは逸らしていた目をアスランにもう一度戻し、数週間前と同じようにアスランの髪の毛を掴んで正面から見据えた。
「アスラン、僕も君を愛してる。ずっと永遠に。君もそう思ってくれてるなら、誓いのキスをして」
 二人は目をつぶり、どちらからともなく唇に深いキスをした。










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ハッピーエンドに収まった!奇跡!一応ラブラブに終われて達成感!
っていうかエロ難しい。アスキラでキラ誕なのにキラの一人Hですみません。アスキラの本番なしとか\(^o^)/(でもどうせエロいエロ書けないしいいよね笑)
キラ誕生日おめでとーーー!!!誕生日ネタ難しいから書いたことないけど初めて完成したよ!おめでとーおめでとー!
(2012.5.18)