キラさんが泣いているのを初めて見たのは、キラさんがザフトに入ってすぐのことだった。


彼の消せないものが彼の未来を消すという皮肉



 最近俺はすごく頑張ってる。好きな人がいるからだ。好きなんてもんじゃない、大好きで愛していてずっと一緒にいたい。最初は憎しみしか抱いていなかったけど、一緒にいる内にどんどん好きになって惹かれていった。いつの間にか俺の中はあの人でいっぱいになってもう駄目なんだ。俺は本当にあの人が好きだ。
 だから俺は頑張ってる。頑張ればあの人に褒めてもらえる。少しでも俺を見てほしい。
 今週の模擬戦で俺はまたザフトレッドの中で一番になった。キラ隊長は凄く可愛い笑顔で「シン、おめでとう。また君が一番だね。最近成績が上がっていってて僕も嬉しいよ」なんて言ってくれた。俺はキラ隊長に話しかけられただけで胸が凄くどきどきして、その上笑顔まで向けられたらもう身体が震えそうだった。俺は「はい、これもキラ隊長の指導のおかげです!」なんて俺にしては殊勝なことを言って、キラ隊長は「そんなことない、君の力だよ。でも、ありがとう」とまた笑ってくれた。ルナ達はそんな俺を奇怪な目で見ていたけどそんなことどうでもいいんだ。ああ、俺はキラ隊長が好きすぎる。
 でも俺は知ってる。キラ隊長には好きな人がいる。それは俺じゃない。俺がいくら頑張ったってその人達には到底かなわない。そういつも思い知らされるんだ。いつもいつも。




「私の息子はあなたに殺された。頑張ってプラントを守ろうとしていただけなのに」
 その悲痛な声が基地の中にこだましたのは、キラさんがザフトに入ってすぐの頃だった。内容が内容だけにぎょっとしてそちらを窺ったらキラさんと女性がぽつんとフェンスの傍に立っていた。女性は溢れる悲しみのまま涙を流していたけれど、キラさんの顔は能面のように何も映していなかった。ただ青白い顔で「ごめんなさい」と頭を下げて謝っていた。でも俺にはわかっていた。キラさんはあの時心の中で泣いていた。たぶん泣きながら自分を殺していた。心の中で本当に自分を殺していた。そうして誰もいなくなった後、一人涙を流していた。キラさんが泣いている姿を俺はその時初めて見た。その姿を見て俺はふと思ったんだ。きっと俺もこうやってキラさんを泣かせてきたのだろうと。俺自身はキラさんと和解した後はもうキラさんを責めなかったし、そんな気持ちもなかった。でもたぶんきっとキラさんは泣いていた。そう思った時、この人を守らなきゃと思った。何故か知らないけど、憧れだった白服の後姿がちっぽけでどうしようもなく哀れな子供に見えたんだ。
 それから俺はキラさんをどんどん好きになっていった。きっかけなんて些細なものだ。とにかく好きだと思った。愛しているとさえ思った。実際、愛していると思う。
 キラさんに笑ってほしくて、俺は頑張った。ザフト内での対抗模擬戦でもキラさんのために頑張って一位になった。キラさんはザフトの中で立場が不安定だったから、俺が一位になることで俺の上官で隊長であるキラさんを守りたかった。「ほら、キラさんはこんなに優秀なんだぞ、ザフトにキラさんがいることは素晴らしいことなんだぞ」って皆に分かってほしかった。事実、俺が一位になった時、キラさんは本当に嬉しそうで、「君を誇りに思うよ」とまで言ってくれた。だから俺は表彰式のときに「俺が一位になれたのはキラ・ヤマト隊長のおかげです」って言った。キラさんは驚いていたけど、照れたように笑っていた。それだけで俺は嬉しくて嬉しくて、一位になったことなんかどうでもよくて、ただただキラさんを笑わせたことが嬉しかった。もっともっと笑顔にしたいって思って、俺はそれからはキラさんのプライベートにもでしゃばって、キラさんがいいと思うときは一緒に過ごすようになった。それから俺達は急速に仲良くなっていった。
 でもそこで俺は気が付いた。キラさんには好きな人がいるって。俺には到底届かないレベルで、キラさんにとって大切な人がいるって気付いた。それでも俺はキラさんが好きだった。一方的な恋はつらかったけど、キラさんを笑顔にするのは俺の喜びだったんだ。
 キラさんは優しいけど、素直じゃないっていつも思ってた。自分の感情を手のひらに包んで隠してしまう。それでいていつも悟ったような顔をして穏やかに微笑んでいる。手のひらにある重みを分かっているはずなのに、そんなもの何も知らないという顔をして笑ってる。それは俺にとっていい笑顔ではなかった。そんなキラさんの顔も可愛いと思うけど、俺がキラさんにあげたい笑顔ではなかった。だから俺はあえてキラさんに悪戯なんかもして、素顔を引き出そうと頑張るようになった。一度、キラさんのベッドの中に、「貴様ー! 抱き締めたら許さんぞォ!」って書かれた俺特製の特大イザークさん人形を入れたら、凄く喜ばれたこともあった。それからはそのイザークさん人形を抱いて眠ってるらしいけど、自分であげておきながら、それはちょっと妬いてしまったな。あとは、休日一緒に出かけて、ごく普通のことをするのも楽しかった。普通に買い物を楽しんで、色々な珍商品に笑い合って、途中から白熱するあまりどっちがより面白いものを発見するか勝負みたいなことになって、大体引き分けで終わるんだ。その後はご飯を食べてくだらないお喋りで盛り上がって、アイドルの誰々は可愛いとかいう話になるんだけど、キラさんはやっぱりラクス・クラインが一番可愛いって言って話を閉めるんだ。でも俺はそういう話をしながらも、心の中ではキラさんが一番可愛いって思ってるんだ。そうして映画を見たり、ゲームセンターに行ったりする。ゲームセンターでは俺達は職業軍人なのでもちろん戦闘系のものはやらない。でもカーレースとかはやったりして、悔しいけど俺はいつもキラさんに負けてしまう。今度は絶対に勝ってやると毎度思うんだけどどうしても勝てない。悔しい。いつかモビルスーツの腕前もカーレースも全部キラさんより上になってやるんだ。
 夜になると、キラさんはラクス・クラインの家に戻っていく。キラさんはそこに住んでいるらしい。キラさんの母親もそこに一緒に住んでいると聞いている。俺はというと、自分のマンションに戻る。家に戻っても、電気はついていない。真っ暗だ。当たり前だけどそこには誰もいない。俺の家族は皆死んでしまったから、一人暮らし。寂しくないといったら嘘になる。軍人だから自宅で生活する期間はほとんどないけど、たまにこうして過ごす一人の夜はとても寂しい。だから俺は休暇はあまり好きではない。軍の中で過ごした方が皆周りにたくさんいてわいわいとしていて楽しいと思う。一人は嫌いだ。オーブで家族を失った後は家で一人の時に思い出すのは家族のことばかりだったけど、今はキラさんのことも思い出す。今何やってるのかなとか、今楽しく過ごしているかなとか。でもやっぱり寂しい。早く休暇終わらないかな、なんてそんなことも考える始末だ。
 休暇が終わると、また艦での生活だ。終戦して大きい戦いはもうないけど、小さないざこざや危険な地帯はまだたくさん残ってる。そこを平定させたり、基地やプラントを守備したり、要人を護衛したり、新人を教育したり、軍はいまだに忙しい。忙しいとキラさんに会えるから、俺は嬉しい。でも戦争が再開してくれとかは全然思ってないけどな。これは心地の良い忙しさだ。
 そうして艦でキラさんと再び会った。キラさんは俺を見てにこりと笑い、手を振る。久しぶりに見るキラさんはやっぱり俺の頭の中で生きていた通り、とても可愛かった。
「キラさん、コーヒーお持ちしました」
「ありがとう、シン」
 キラさんにコーヒーを手渡す時、手が触れそうになってそれだけで俺の心臓は地に思いっきり投げつけられたボールのようにびょんと跳ね上がった。顔が赤くなってないか気になったけど、キラさんが美味しそうにコーヒーを飲んでいるのでそれが嬉しくてそんな些細なことは隅に追いやる。キラさんは書類をぺらぺらとめくりながら、俺に微笑んだ。
「美味しいね、このコーヒー。シンが入れてくれたの?」
「はい」
「ふーん、凄くうまいんだね。バルトフェルドさんみたい」
 そう言ってキラさんはふふっと笑った。その人の名前は知っている。砂漠の虎――確かコーヒー通で有名だった。そんな人に例えられるなんて光栄だ。俺はキラさんの隣に座って微笑みながらキラさんをじっと見つめていた。こうやって傍にいられるだけで嬉しい。キラさんは俺の視線に気づいて書類を手近のテーブルに置くと俺を優しく見つめ返してくれた。そしておもむろに俺に身体を少しもたせかけた。
「シンってすごい」
「何がですか」
「シンといると安心する」
 キラさんはそう言って楽しそうに笑った。俺はその言葉だけで心臓が一気に燃え立って幸せの波に襲われる。興奮しないようにと俺は必死に自分を制御していたけど、キラさんはそんな俺なんかつゆ知らずで尚も呟いた。
「僕はシンといると素直になれるみたいだ」
「そうだとしたら嬉しいです。キラさんはもっと素直になるべきです」
「シンほど素直になれたら怒って怒鳴ってツンツンして睨んでスカッとするかもなぁ。僕も昔はそうだったんだけどね」
 キラさんは茶目っ気たっぷりにそう言って笑った。
 昔のキラさんなら知っていた。アスランさんから聞いている。今よりも素直で純粋でまっすぐだったキラさんの子供時代。素直でいられるということは幸せなことだと思う。俺も家族の死から一度ひねくれてしまったけど、それでもその時の感情に従って素直に生きていたと思う。良くも悪くもあるけど、今は素直な方が幸せだと思える。だって自分に素直であれば、他のごちゃごちゃを考えず、ただ素直に今キラさんが好きだと思える。例え報われなくても、それって幸せなことだ。
 キラさんは俺にもたれかかったまま目をつぶった。キラさんはいつも色々なことを考えている。でも大体過去のことばかり考えている。俺だって過去のことは後悔することがたくさんあるけど、キラさんは度が行き過ぎてると思う。キラさんはもっと幸せになるべきだと思うし、幸せにしたいけど、俺は実際にはたいしたことは何もできないでいた。


 その後、また悲しいことが起こった。プラントの基地で公然とキラさんを責めた人がいた。その人は先の大戦でストライクに兄を殺されたと泣いていた。「兄はいい人だった。私のたった一人の家族だった。いつも妹の私に『お兄ちゃんがお前を守ってやるからな。今度帰ってきたら一緒にプラントで一番人気あるアイスクリーム屋に連れて行ってやる。だからいい子で待ってるんだぞ』って言っていたのに、ストライクに殺された。兄さんはもう帰ってこない!」、そう言って泣いていた。「何でそんな人がザフトにいるの、私があなたを殺してやりたい」、そう言って泣いていたけど、結局その人は何もしなかった。その人も悲しくて悲しくて仕方のない気持ちをキラさんにぶつけているだけだった。キラさんはそう言われている時、またずっと黙ってそれを受け止めていた。その背中はやっぱりちっぽけで、俺にはキラさんが強い人にはやっぱりどうしても見えなかった。ただ、悲しくて仕方なかった。その後キラさんは誰もいないところで泣いたと思う。俺にもキラさんを見付けられなかったから、実際のことは分からないけど。
 それでも艦の中のキラさんは相変わらず穏やかに微笑んでいる人だった。ザフトでは弱い立場のキラさんだけど、戦いでは強いから艦では一目置かれてる。キラさんは強いって皆が思ってる。
 でも俺は知ってる。キラさんはそんなに強い人ではない。たくさんの傷がついた心を誰にも見えないように手のひらに包んで隠している。それなのにいつも笑顔で確かにそれは強いとも言えるけど、やっぱり俺にはそう思えない。


 キラさんは今日一日ずっと上の空のようだった。いつもの穏やかな顔も引っ込んでいる。この前の事件からキラさんは糸が切れたみたいにぼーっとなる瞬間が多々あるようになった。そうして俺と二人きりになった時、キラさんはおもむろに俺に尋ねてきた。
「シンは今日、何の日か知ってる?」
「確か第一次停戦の日……でしたっけ」
「そう。世界にとっては記念すべき日、人類にとってとても大切な日だね」
 そう言う割には、キラさんの顔はとてもそんな風には見えなかった。じゃあ何でそんな悲しそうな顔をしてるんですか? と聞こうとすら思った。停戦の後にまた戦争が起こってしまったから? 結局は停戦が無駄になったから? よく分からなくて黙っていた。こんなキラさんは珍しい。まるで虚無だ。だけどキラさんはぼんやりとした顔のまま出し抜けに呟いた。
「でも僕にとっては、また大事な人たちを守れなかった日でもあるんだ。たくさんの人がこの日に死んだ。僕の力が足りなかったから。僕のせいで、たくさんの人たちが死んだ」
「キラさん……」
 キラさんは虚空を見つめて静かに言葉を宙に乗せていく。俺には届かない、遠いところにキラさんの思いがあるのが分かっていた。
「僕はね、いまだに自分が生きていることを不思議に思うんだ。僕は色んな人達の命を奪った。君の家族や大事な友人も含めて。そして僕は生きてる。君の傍で、笑って。君の大切な人たちの命を奪った事なんて何もなかったみたいに」
 俺は心臓をぎゅっと鷲掴みにされたみたいに苦しくなって、激しい動悸が起きて、拳を硬く握り締めた。吐き気がした。悲しかった。胃液がこみ上げてきそうになって、俺はそれを押し戻すようにごくりと唾を飲み込んだ。二人の空間に終焉の異物が入り込みそうな気配がした。逃れられない瞬間がやってきた気がして、俺はとうとう今まで絶対に聞かなかった質問をする。今までずっと避けていた質問だ。キラさんの顔を見るのは怖かったが、俺は拳を握り締めて正面からその顔を見据えた。できれば、声が震えないようにしたかった。
「キラさんは、俺が傍にいるとつらいですか?」
 キラさんはゆっくりと俺の方を向いて、じっと俺を見つめる。その瞳は涙の薄い膜で揺らめいていた。
「つらくないよ」
 俺が祈るような気持ちでキラさんを見ると、キラさんは自分自身が大嫌いだという顔をしていた。そしてふわりと微笑んで言葉を続けた。
「君と一緒にいると、つらくない。凄く楽しい。本当に凄く楽しいんだ。だから、全てを忘れそうになって、つらくないから……」
 キラさんは自分で自分を否定するように目をつぶった。そして目を開けて泣きそうに顔を歪めて俺を見た。
「つらいんだ。…ごめんね」
 俺は静かに息を吐いた。キラさんは急に涙腺が壊れたようにぼろぼろと涙を流し始めて、俺に見られないように手で自分の顔を隠してしまった。俺は黙ってそんなキラさんを見つめていた。いつかこんな日が来るのではないかと分かっていた。キラさんは楽しいと思う自分が許せないのだ。分かってはいたが、やっぱり悲しい。でも俺が悲しかったとしても、キラさんを悲しませたくはなかった。これ以上嫌な思いをしてほしくない。俺はキラさんを笑顔にするために一緒にいたのだから、こんな思いなんてさせたくなかったのだから。
「つらいんなら我慢しないでください」
 俺はそう言って、キラさんのことを抱きしめた。抱きしめるなんて初めてだ。そんなこと今まで怖くてできなかった。キラさんは肩を震わせて、泣いたまま俺の服をぎゅっと握り締めた。そんなキラさんを優しく優しく抱きしめてやった。俺の気持ちがこの人に届きますようにと願いながら。少しでも愛してあげたかった。俺はキラさんを恨まない。許すも許されるもない。ただ俺はこの人を全身全霊で愛したかった。キラさんはずっと黙ったまま、俺の腕の中にいた。時折聞こえてくる嗚咽が俺の胸に棘を刺していく。やっぱりキラさんはちっぽけで孤独で哀れに見えて、強いなんて全然思えなかった。
 しばらく抱きしめてあげた後、俺の心は決まっていた。もう俺はこの人には必要ない。マイナスになるのなら、俺なんていらない。俺が抱きしめる腕を解いたら、キラさんは俺を見上げてきた。その瞳は赤くなってしまっていたが、俺はキラさんが自分の感情を隠さずに人前で素直に泣いたことが少しだけ嬉しいとも思った。だから俺は微笑む。
「キラさん、お別れです」
「え……?」
「俺は消えます。ザフトも辞めます。あなたの前からいなくなります」
 そう告げる。優しく言った。けど、キラさんは虚をつかれたように固まってしまった。
「俺はあなたが好きです。でもあなたは俺のことを好きじゃない」
「す、好きだよ。何でそんなこと……」
 キラさんに好きと言われて、俺の心はこんな時でも従順に喜んだ。でも俺にはわかっていた。だから諭すように微笑み続ける。
「俺の言っている好きとあなたの好きは違います。俺はあなたの心に住んでいる人達には勝てません」
「シン……」
 それでもいいと思っていた。今は叶わなくたって、いつかは叶えてみせると。キラさんが俺といて少しでも幸福に繋がるなら、ずっと傍にいたいと思っていた。でも、違う。俺はキラさんにつらさを与えていた。俺のせいでつらくない出来事すらキラさんにとってはつらいことに変わっていたのだとしたら、俺なんて全然意味ない。むしろ全然駄目だったんだ。そんなんじゃ傍にいる意味がない。悲しい、悲しいけど、俺は笑った。笑わないと、最後まで笑い続けないと、キラさんに迷惑がかかる。キラさんが悲しむ。この人は優しい人だから、俺も笑って終わりにしないといけなかった。
「大丈夫です。俺がいなくても、キラさんは大丈夫。俺も幸せになります。あなたもどうか幸せに」
 キラさんは何も言わなかった。俺の選択を尊重してくれたのかもしれないし、何も言う言葉が無かったのかもしれない。どちらにせよ、これで終わりだ。俺の大切な者がまた消える。今度は俺の心の中で消える。
「今までありがとうございました」
 そう笑って告げて、俺はキラさんの傍を後にした。これでいいんだってそう自分に言い聞かせて。そうじゃないと、今すぐキラさんの傍に戻ってしまいそうだったから。こんな時もやっぱり俺の胸の内にはキラさんの顔が思い浮かんでいた。俺が自分から背を向けたのに、皮肉にも俺の胸の内にはキラさんの顔が次々と浮かんだ。笑ってる顔、悲しそうな顔、傷ついた顔、怒ってる顔、楽しそうな顔、泣いてる顔、全部全部大好きだった。
 俺の目から、ぽろりと涙が零れた。大好きだ大好きだキラさん、そう思って泣いた。苦しい。でもお別れだ。キラさんは追ってこなかった。本当にこれで終わりだ。
 どうか幸せになってください。あなたはたくさんの命を消しましたけど、たくさんの命を救いました。たくさんの人に憎まれましたけど、代わりにたくさんの人に愛されました。そして、俺もあなたを愛しました。だから、どうかあなたはあなたを愛してください。







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悲恋とは!こんな話にするつもりはなかった。でもこの後キラがシンを好きだと気付いて復縁します。たぶん。設定としては。書けないけど。