平成17年2月6日(日) 腎移植勉強会
講演1 『腎移植の実際』
大阪府下でこの7年間(1994年〜2000年)に移植を受けた方は生体腎・献腎(死体腎)
合わせて289名おられます。この方々は全員が元気に社会復帰されました。
移植された腎臓が3年間ちゃんと機能している方の率(生着率)は、生体腎で90.2%、
献腎で88%と、これもすばらしい成績です。最近、移植を受ける方の高齢化が進んでいますが、
それをものともせずに腎臓の寿命は伸びています。
献腎は世界で30年をはるかに超えており、日本でも長い方はもう30年を超え、まだ記録を
更新中です。何も起こらなければ理論上、天寿を全うするまで腎臓は長持ちします。
現実には拒絶反応や腎炎の再発で移植腎がダメになる方もおられますが、10年前に移植を
受けられた方々でみると、ほぼ3分の2近くの方の腎臓が働いています。治療法の進んだ昨今、
移植を受けた方ではもっとよくなり、半数ぐらいの方が20年以上長持ちしそうな勢いです。
献腎は生体腎より若干悪条件です(府下の成績)。しかし若年者からの提供では、15年前に
移植した腎臓の85%がまだ元気で、いただく腎臓の良し悪しにもよります。
講演2 『新しく導入された技術の紹介』
拒絶反応を防ぐいくつかの優れた薬が登場したり、それに加えて、副作用をおこさない上手な
使い方も分かってきました。世界に目を向けると成績は確かに伸びていますが、日本の方が
欧米より数段上まわっています。移植後のケアがきめ細かいためと考えられます。日本の透析
の成績が欧米よりはるかによいのと同じ理由です。
2000年の全国の献腎移植総数は、146件であり、うち近畿地方では13件の移植が行われています。
これは、移植希望登録者数からみますと、まだまだ少ない状況となっています。今後いかにして、
移植医療を定着させ、ドナーを増やしていけるかが課題となっています。