平成17年 5月21日(土)
第24回 (社)大阪府栄養士会 通常総会
『遺伝子診断・治療 テーラーメイド食事療法』
管理栄養士・栄養士に知ってほしい日本人肥満者の特徴と病態及び治療法
日本でも食生活やライフスタイルの欧米化に伴い肥満者(BMI25以上)が急増し、
2300万人にも達している。半数は糖尿病、高血圧症、高脂血症、膝関節症などの
生活習慣病を合併し、医師の治療を必要とする「肥満症」という病気である。
日本肥満学会は、体格指数(BMI)が25を超えるとき肥満としているが、WHOでは
30以上を肥満としている。この基準値の違いは、日本人の肥満の特徴をよく表している。
これは、日本人ではBMIが25以上を超えると糖尿病、高血圧症、高脂血症などの
合併頻度が正常なBMIの22に比べ2倍以上の高頻度になるからである。欧米ではBMIが
25ではこれらの合併頻度は1.2倍に過ぎず、30以上になって初めてその頻度が2倍に
なるからである。
★日本人は血糖値を下げるインスリンというホルモンの分泌能力が欧米人に比べて弱い
一般に、肥満者ではインスリンが過剰に分泌されている。これは脂肪細胞からインスリンの
働きを悪くする腫瘍壊死因子(TNF-α)などのサイトカインが多数分泌されるからである。
日本人肥満者の高インスリン血症は欧米人のように20年、30年も保つことが出来ず、せいぜい
10年でインスリン分泌能が疲弊し糖尿病が発症してしまうのである。すると、食べた物も
インスリン分泌能低下により脂肪細胞や筋肉へエネルギー源として蓄積されにくくなり、
尿から糖として出てしまい身体は痩せ始める。日本人は肥満に弱い民族と言える。
欧米人肥満者では、高インスリン血症が10年続くと体重は100kgに、20年続くと200kgに、
30年続くと300kgでもなれる。