*****************************************************
《 スイス旅行記 T 》
*****************************************************

チューリッヒ・ベルン・ユングフラウヨッホ・インターラーケン・ジュネーブ
シヨン城・ツェルマット・ゴルナーグラード展望台・ルツェルン

********************************************************************************



旅行日程 2001年9月6日(木)出発―9月12日(水)帰国

行     程
6日
(木)
成田 ⇒ ソウル経由 ⇒ 18:45チューリッヒ
チューリッヒ泊
7日
(金)
チューリッヒ市内観光後、ベルンへ移動、
世界遺産の旧市街などのベルン市内を観光
ベルン泊
8日
(土)
ユングフラウヨッホへ日帰り観光
登山電車に乗り トップ オブ ヨーロッパ の景観を楽しむ
夕食はショーを見ながらチーズフォンデュ
ベルン泊
9日
(日)
レマン湖観光へ
ジュネーブ・シヨン城散策など
ベルン泊
10日
(月)
ツェルマットへ日帰り観光
ゴルナーグラード展望台へ登山電車で登り
マッターホルンを目前にランチタイム
ベルン泊
11日
(火)
ベルン ⇒ ルツェルン市内観光 ⇒ チューリッヒ空港
チューリッヒ発19:35 
20日
(火)
アムステルダム経由 ⇒ ソウル乗り継ぎ ⇒ 
20:55成田国際空港着





*********************************************************************************


《 旅行記 》



旅行前の準備


今回の旅は山岳地を廻る為、電動車椅子の方が便利だと言う情報を得て、
ヤマハのJW−1電動車椅子ユニットを購入し、既存の車椅子に取り付けた。

車椅子の電動化は自分が楽をするだけではなく、もうひとつ理由があった。
足の悪い妻を乗せられる台車を作り、車椅子で牽引しようと思ったからだ。

妻は自力歩行出来るが日常の買物ぐらいが限界で、あまり沢山歩く事は苦手であり、
また歩くスピードも速くないので、スケートボードの様な物に乗れれば楽だろうと思い、
電動車椅子で牽引できる台車の製作に着手。出発前日の午後9時にやっと完成した。


台車の裏側                  台車を車椅子に取付けた様子



9月6日(木) 成田⇒ソウル乗換え⇒チューリッヒ


09:30成田発ソウル行きの大韓航空に乗るため、04:20に家を出た。

首都高の事故渋滞等を考え3時間を見込んでいたが、渋滞は無く2時間で到着した。
エレベーターで4階の出発ロビーに出ると、大韓航空の人がすぐに声を掛けて来てくれた。

INT(今回の旅行会社)が、車椅子の人が行くので宜しくと、
連絡を入れておいてくれたそうだ。

出発までの待ち時間の間、ラウンジに通された。
通常Cクラスに乗る人達が利用出来る施設だが特別扱い。

お飲みの物はいかがですか?と聞かれたが、過去にこの様な経験は無く、
コーヒーいくら?タダ?とも聞けないし、ちょっと高級そうで戸惑う。

『頂けるのですか?』と言う適当な言葉が頭に浮かびホッとする。

コーヒーを貰うと続いてサンドウィッチとトーストも御座いますが?と聞かれ、
すかさずサンドウィッチを頼む。

早く到着したので車内でおにぎりを食べてきたのだが、
タダ・貰う・拾うが大好きな二人、くれる物は断るはずが無い!

銀行でスイスフランに交換し09:30出発。1フラン75、04円。

11:55ソウルの空港に到着し、関空からのグループと合流し、
計11人で13:25チューリッヒ空港へ向かう。

チューリッヒまでの所要時間11時間30分は流石に堪えた。

現地時間、6日の18:45チューリッヒ空港へ到着。
天候曇り。気温18℃。まだ明るい。こちらの日の入りは19:40位だそうだ。

 

リフト付のバスでホテルへ移動し、長かった1日が終わる。



9月7日(金) チューリッヒ(曇り)⇒(移動中時々雨)⇒ベルン(曇り)


チューリッヒ湖畔の中世の面影ある街を軽く散策。

 

 

 

 

 

 



スイスの首都ベルンへ移動。

ここの旧市街はユネスコの「世界遺産」に認定されていて、中世の街そのもので、
風情を漂わせる景観である。石畳を歩き大聖堂の中へ入ったが、
インスブルックの大聖堂の様な煌びやかさは無く、地味で期待はずれだった。

 

 

         

からくり時計で有名だと言う時計台も見たが、午後3時と言う事もありさほどではない。
あの時代にこれだけの物を作ったと言う事は、確かにすごい技術だと思うが、
我が家の掛け時計の方が数段勝っている。

         

 


ベルン旧市街                  大聖堂

熊牧場を見学しホテルへ入る。



 

ホテルはベルン駅の横に位置し、
五星のガウアー シュバイツァーホフ ホテル。

夕食付ではないのでホテル周辺を散策し、食料の買出しに出る。

旧市街の石畳を歩いている時に電動車椅子のネジが緩み、ドライバーを買いに
デパートへ入る。デパ地下に食料品はないかと覗いたが食材は何も無かった。

外へ出て食材を探すが、繁華街なので有り過ぎて目移りがする。
レストランでも良いが、出来ればスーパーでハムやチーズ等の地元の食材を買って
食べたかったので、これらを買い込んだ。
美味しそうなパンが無かったため買わずに出て、
あちこち散策しているうちに午後6時になってしまった。

こちらの方の店は午後6時半には閉店すると聞いていたので焦り、
マクドナルドでビックマックを買った。

ホテルへの帰り道、ショーウィンドウを覗き込み
『マックよりこっちの方が良かったかなー』と後悔し、部屋で食べた。



9月8日(土) ベルン(曇り)⇒ユングフラウヨッホ(時々晴れ)⇒
            インターラーケン(時々雨)⇒ベルン



今日はトップ オブ ヨーロッパのアイガー3.970m、メンヒ4.099m、
ユングフラウ4.158mの名峰を見に、登山電車で
ユングフラウヨッホへ登るため、万全の冬支度で望む。

登山電車は急斜面を登るためレールの中間に
歯車が噛み合わさるレールがもう一本ある。

この歯車で20°近くありそうな急斜面を標高796mのラウターブルンネン駅から
標高3.454mのユングフラウヨッホ駅へ力強く登る。

歩ける人は約150フラン、日本円で11,000円位掛かるそうだが車椅子は無料だそうだ。
このため普段車椅子を使わない妻も、日本から車椅子を持って来た。

 
ユングフラウ               ギヤが付いたレール

 

 

 
ラウターブルンネン駅から見えた滝    ラウターブルンネン駅を出発し車窓より

 

 

 
乗換えをしたクライネシャイデック駅

 
クライネシャイデック駅からの風景

天候は曇りで時々陽が射す。山にはガスは掛かって無く、下から頂上までハッキリ見える。
誰の心がけが良いのか、絶好のコンデションだ。

こうして雄大な山々を見ながらアイガーの北壁の横を通り、
長いトンネルの先にあるユングフラウヨッホ駅に到着。

ここの展望レストランで昼食を摂る。軒先にはツララが下がっていて、とても寒そうだ。

私はそうでもなかったが、酸素が薄いと感じる人も居たし、寒さで固まっている人も居た。
若干吹雪始めたのか、窓の外に雪の固まりが着き、外が良く見えない。

 
アイガーの北壁                 ユングフラウヨッホ駅の展望台

 

 

グリンデルワルドの街へ登山電車で降り、インターラーケンへバスで移動。

 

夕食にスイスの民謡ショーを見ながらチーズフォンデュを食べ、楽しいひと時を過ごし、
ベルンへ戻ったのは23時近かった。

 

 
インターラーケンにて

 
ディナーショー                 ディナーショー

 





9月9日(日) ベルン(晴れ)⇒ジュネーブ(晴れ)⇒シヨン城(晴れ)⇒ベルン


ベルンから南西へ向けて車を走らせレマン湖畔のローザンヌへ出る。

そこからフランスの国境に近い西の大都市ジュネーブへ行き、レマン湖畔の散策、
国連などの建物を車窓から眺め市内観光をする。

ローザンヌまで戻りモントルーへ。
この町のはずれにあるバイロンの叙事詩「シヨンの因人」で有名な
シヨン城を散策し、ベルンへ帰る。

 

 
レマン湖畔の街                 ジュネーブの大噴水

 

 

 

 

 

 
シヨン城

 

ホテルへ帰り、お風呂のお湯の温度を確かめてみる。
実は初日から混合栓の調子が悪く、熱いお湯が出なかった。

サーモスタットの故障だと思って、昨日の朝、ユングフラウヨッホへ出かける前に
フロントに話をして置いたのだが直っていなかった。
この日ホテルへ戻ったのが23時近くだったので再度我慢し、
今朝出発前に再び釘を刺して置いたのだが、また直っていない。
フロントに確認してみるとフロントには、その様なメッセージは残っていないと言う。

早朝のフロントマンとの連絡事項の引継ぎがされていない様だ。
五星のホテルの割には成っていない。

これもオーナーの経営方針か?部下への教育が悪いのか?部下が出来が悪いのか?
定かではないが、フロントマンとでは話にならずオーナーを呼び出し、話をつける。

結局1時間後部屋を換えると言う事で話がついた。

今日はベルンの町に早く帰ってきたので、ホテル周辺を散策しようと思っていたが、
この騒動でそれどころではなかった。

どうやら我家は水難の相が悪いみたいで、
ラスベガスのホテルでもシャワーが止まらず困った事があった。



9月10日(月) ベルン(晴れ)⇒ツェルマット(晴れ)⇒
         ゴルナーグラード展望台(晴れ)⇒ツェルマット⇒ベルン



今日はスイスのシンボル、マッターホルンを見に行く。

バスごと乗れる電車のカートレインと登山電車とでツェルマットの町1.620mへ到着。
一般の車を締め出し、馬車と電気自動車だけが走っている美しい町だ。

 

 

 

 
ツェルマットへ向かう途中の街             ツェルマットの駅前

駅前からお目当ての山、マッターホルンが見える。

 

 

ここからさらに登山電車(車椅子無料)でゴルナーグラードの駅3.131mまで登る。

目の前に天に突き刺さるかの様にそびえ立つ、
ピラミッドのように美しい稜線を持ったスイスのシンボル、マッターホルンがくっきりと見える。

 
ゴルナーグラード展望台                 マッターホルン

 

 

 
ゴルナーグラード展望台でランチタイム

 
マッターホルン                 マッターホルン

駅から展望台まで約100m。
後ろに転倒しそうな位の急な登り坂を電動車椅子はグングン登る。

ゴルナーグラード展望台でマッターホルンを間近に見ながら、楽しい昼食タイム。

この展望台が晴れていてもマッターホルンが、ガスっていて見えない時が多いと言うが、
我々は実に天気に恵まれている。

旅行に出る前にインターネットでスイスの天気を調べ、ガッカリして旅立ったが、
思っていた程でもなく、今回の旅行のメインであるマッターホルンを
しっかり見る事が出来て、満足した気分で来た道を戻り、ベルンのホテルへ帰った。

 


ベルンへの帰り道に沈む夕陽



9月11日(火) ベルン(晴れ)⇒ルツェルン(晴れ)⇒チューリッヒ空港⇒
アムステルダム経由⇒ソウル



とうとう帰国の日になってしまった。どうやら日本は台風で成田は危ないらしい。

韓国から関空へは飛びそうだが成田は台風の進路らしく、飛ばないかも。
と言う情報が入った。

チューリッヒ空港へ向かう途中ルツェルンに寄り道。
この町も中世の面影を偲ばせる美しい町だ。

「瀬死のライオン」として知られるライオン記念碑や屋根付の木橋、
カペル橋など街を自由行動で散策。

妻を台車に乗せ石畳の道をガタガタと走る。チョッと恥かしい。

 
ライオン記念碑                   街角で

 
カペル橋                  河岸の風景

 

 

 
街の風景                      街の風景

ロイス川沿いのオープンテラスでカペル橋を見ながら、
市場で買ったベリーをつまみにビールを飲み、昼食を摂る。

まるで映画のひとコマの様で気分が良い。

14:50ルツェルンを後にしてチューリッヒ空港へ向かう。17:30到着。
出国手続きをガイドさんに手伝ってもらい、楽しかったスイスともお別れである。

 

19:35出発予定だったがアムステルダムの天候が悪いと言う事で少し遅れた。

アムステルダム経由でソウルへ向かう。



9月12日(水) アムステルダム経由⇒ソウル乗換え⇒成田


アムステルダムからソウル迄の帰りの便は空いていて、
4席ある座席を占領し、横になって熟睡する。ファーストクラス並である。

来た時もそうだったが、飲み物のサービスは頻繁に来る。
その度にビールを貰い上機嫌。ビビンバやビーフ、チキンの料理も美味かった。

障害者にはサービスが良く、御絞りやスリッパ等も頂けた。

今回大韓航空利用と言う事で、靖国問題や教科書問題で
日本人にはサービスが悪いのではないかと懸念していたが、全くその様な事も無く、
空港内の移動から機内まで全ての面で万全のサービス体制だった。

こうして、来た時よりも楽にソウルへ16:05到着した。

ここで大阪組ともお別れである。しばし別れを惜しみ、出発ロビーへ向かう。

成田より数倍広いインチョン国際空港の出発ロビーへ向かう途中、
沢山のみやげ物店を横目で見ながら係りの人に車椅子を押して頂く。

心配していた台風も通り過ぎ成田への飛行は大丈夫そうだ。18:40成田へ向けて出発。

隣の席に座った人の新聞をチラリと見て、何かあったんですかと尋ね、
新聞を見せて頂き、初めてニューヨークの大惨事を知った。

20:55成田へ到着。

3人の女性空港職員に付き添って頂き入国。到着ロビーは閑散としていた。

ニューヨークだけではなくロサンゼルスやハワイまでもの
全米の空港で離発着禁止になっている影響だそうだ。

こうして空港の駐車場まで3人の女性職員に送って頂き、
無事家に着いたのが24時近かった。




********************************************************************************


今回の旅は心配していた天気にも恵まれ、同行者にも恵まれ、
空港職員やスタッフ等のサービスも良く、全く不自由を感じる事無く、
心行くまでスイスの旅を堪能する事が出来ました。

ありがとうございました。



また、ニューヨークの大惨事では、
不幸にも犠牲者となってしまわれた方のご冥福を祈りします。

テロ事件そのものは鎮静化して来ている様にも見えますが、
アメリカは軍事体制を着々と整え、軍事行動に移るのも間近ではないかと言った様子です。

今回のテロ組織が起こした、一般の旅客機をハイジャックし、
それを武器にすると言った卑劣な行為は、勿論許されるものではありませんが、
アメリカのこの様な報復姿勢を支持する事も、決して出来ません。

軍事組織ではないテロ組織に武力で制する事は、
何の罪もない人々が傷つけられる恐れがあり、また同じ事が繰り返されてしまう様に思え、
何の解決にもつながりませんし、かえってお互いの溝を深めてしまうと思います。

そんなのは正義でも勝利でもないと思います。

人は、戦争が愚かなものと分かっていながら、
どうして同じ過ちを繰り返してしまうのでしょうか?

21世紀最初の戦争だなんて言わずに、別の道を見出す事は出来ないのでしょうか?

早く問題が解決し、世界中が平和に成る様に願っています。