道草さんぽ      

てくてく むかし+むかし 

   毎年4月、うすむらさきのかわいい花を咲かせる“誰故草”の展示会が
  船越町誰故草保存会の手により開かれます。
  別名「えひめあやめ」とも言われているこの花は、船越町の町花です。
  いにしえの昔、雅人が 誰ゆえにこんな可憐な花を開くのだ、と賛美した
  という言い伝えのあるロマンあふれる花です。

                     ≪船越町誰故草保存会編集「誰故草」より」≫   

 
   『 かかる花のけうとき山ふところに
         たれ故に開くうすむらさきの
               ゆかりの色には咲き出るよ』
    

  今から六・七百年前、船越村大江谷に咲く「誰故草」を観て、冷泉前大
  納言 藤原為兼というお公卿さんが 「このような可愛らしい紫色をした
  花が人気もない山奥で誰の目に泊まりたくて、ひっそりと咲いているの
  でしょうか」 と口ずさまれたことが、1829年、頼杏坪らによって編纂
  された芸藩通志の中に伝承されているのです。    
 
  たれゆえそう(日本名)=えひめあやめ  (あやめ科)
  瀬戸内海西半を囲む山陽、四国、北九州の低山地にはえる多年生草本

  牧野新日本植物図鑑によれば、当時はタレユエソウの名前の存在が知
  られていなかったため、愛媛県伊予の腰折山に産するこの花を「エヒメ
  アヤメ」と命名されたそうです。
   
 
  花は径3〜4pの紫色
  外花被片は楕円形で水平に開き、中脈部は黄白色
  内花被片はヘラのような倒卵形で円筒、外花被片よりずっと小さく直立

 
  花柱分枝も紫色で、先端の裂片は長卵形
  さく果は小球形
 
  温故知新・・・・・・船越町の人々は、まちの昔を知り 先人の努力の跡を
  再確認して営々と築いた伝統を引き継いで、幻の花はふたたび蘇りまし
  た。 
   
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