第1回 グリーフケア講座



 今回、グリーフケアアドバイザーとしてご活躍されている獣医師の阿部美奈子先生をお招きして、飼い主さんのためのグリーフケア講座を行いました。

 『グリーフ』とは『悲嘆』と訳され、自分が大切にしているものを失った時に現れる感情です。ペットとの最期のお別れだけでなく、ペットの様子がいつもと違うとき、老齢になり今までできていたことができなくなったときなと、日頃健康を喪失したときに感じている気持ちもグリーフなのです。それは特別なことではなく、全ての飼い主さんが抱える感情です。
 当院では飼い主さんのお力に少しでもなりたいという思いから、グリーフケア講座を開催することに致しました。



『ペットが病気になった時、共に暮らす家族の心身が健康であるために』

・「grief」という言葉をお聞きになられたことはありますか?

・ペットライフを通して現れる「grief」のさまざまな反応とは

・最近よく耳にする「ペットロス」の正しい理解

・ペットの闘病生活に向き合う飼い主としてできること

・ペットライフの最終章を「良い看取り」につなげていくために
 阿部先生のお話では、お別れはつらいけれど、大事なことはそのお別れを考えるよりも、お別れまでの時間をどのように生き生きと過ごすことができるのかだということです。ペットとの暮らしの中で、愛するわが子とのお別れは必ず訪れます。今回のお話は、飼い主様皆様に聞いて頂きたい内容でした。



●講師:阿部美奈子先生のご紹介
獣医師/動物医療グリーフケアアドバイザー
麻布大学大学院修士課程終了
麻布大学付属動物病院研修医、動物病院勤務を経て
現在は複数の動物病院にブリーフケアアドバイザーと
して勤務


公式HPはこちら


 第1回グリーフケア講座では、阿部美奈子先生から「愛するペットと人の絆を永遠に断ち切らないために」という題でお話しをしていただきました。

 ペットがいなくなることを想像したときに感じる不安な気持ちは、ペットを愛しているからこその自然な感覚であり、ペットとの楽しい生活の最終ピリオドである「看取り」を良いものにすることが、旅立つペットと残される飼い主の両方にとても大切です。ペットが元気な時には「お別れ」についてはあまり考えたくないというのが飼い主としての気持ちですが、幸せにつながる「良い看取り」のためには正しい知識を持ち、飼い主が納得のいく方法で愛するペットにお別れを告げることができるように、ペットが元気な時からゆっくりと時間をかけて家族全員で考えておいたほうがいいとのことでした。

 当日は7名の飼い主さんにお集まりいただき、当院のスタッフも参加して、阿部先生を中心にして愛するペットのために「飼い主ができること」をみんなで考える時間を持つことができました。「ペットとのお別れを考える」というテーマではありましたが、阿部先生の温かいお人柄とお話に触れて、笑顔があふれるあっという間の2時間となりました。

 飼い主様からも、「阿部先生にお会いできて良かった」「相談できる人がいるということを知って安心することができた」という感想をいただきました。今後もグリーフケア講座を開催する予定ですので、ぜひ多くの方にご参加いただきたいと思います。

 最後に、「ペットは飼い主の笑顔が一番好き。だからこそ最後にペットが見るのは、飼い主の笑顔であってほしい。」というお話が心に残っています。難しいことではありますが、自分自身が飼い主として愛するわが子とのお別れの時には笑顔でありたい、また飼い主さんが笑顔で大切な子とお別れができるように努力していきたいと思っております。

                                (獣医師・野口)