変形性膝関節症は膝の軟骨が磨り減る病気です。原因は不明ですが特徴として

  • 若い人には少ない
     
  • 女性に多い
     
  • 膝に無理を掛ける人に多い
     
  • 肥った人に多い
     
があります。ですが男性でも、あまり無理をしない人でも、痩せた人でもこの病気になることがあります。

症状は膝の痛みです。特に歩き始めの痛みというのが特徴的です。 酷くなってくると膝の伸びや曲がりも悪くなってきますし、膝に水が溜まることもあります。内側の軟骨が磨り減ることが多いので、だんだん膝はO脚になってきます。 でも欧米人では外側の軟骨が磨り減ってX脚になる人も多いのだそうです。日本人でもたまにX脚の人がいます。

程度はいろいろな分け方がありますが、私は北大分類で評価しています。

  1. 変形性膝関節症ではない
     
  2. 軟骨は少し磨り減っているが、レントゲンで見ても関節の隙間が狭くなっていない
     
  3. レントゲンで関節の隙間が狭くなっているが、正常の半分までは狭くない
     
  4. 関節の隙間が正常の半分以上狭くなっている
     
  5. 関節の隙間がすっかりなくなってしまった
     
  6. 骨まで磨り減ってきている
こんな分け方をします。

一度磨り減った軟骨は元に戻りません。だから2の人が1になるとか、3の人が2になるということは残念ながらありません。 でも2の人を何とかいつまでも2のままで、3になるのをできるだけ防ぐことはできます。これが治療で一番大事なことです。 こうやって何とか悪くならないように努力すれば痛みや腫れはかなり治ります。

では、何とか悪くならないように保つにはどうするかですが、

  • 日常生活での無理を減らしましょう
     
  • 正座はできるだけ避けましょう
     
  • 肥らないように気をつけましょう
     
  • 膝の筋肉の力を落とさないようにしましょう
     
ということになります。和式のトイレよりも洋式のほうが良いでしょう。膝を冷やさないことも大事です。 ただし、逆に冷やしたほうが良い場合もありますから、何でもかんでも冷やさないと決めてしまうのは危険です。適度に歩くことは大事なのですが、歩き過ぎると無理が掛かります。 どれくらい歩けば良いかは人それぞれで、膝と相談しながら痛くならない程度に歩くことが大事です。 また大腿四頭筋訓練という体操も大事です。この体操は一番最後にアニメーションで説明しておきます。 それから楔状足底板という履物も大事です。この履物は履いた途端に痛みが消えるような魔法の履物ではありませんが、 普段これを使うことで膝に無理が掛かる場所を少しだけずらして軟骨が磨り減るのを防ぎます。保険も使えますからできれば作った方が良いでしょう。杖を使うことも大事です。

ただ、こういった治療は効いてくるまでに時間が掛かります。 とりあえず今の痛みを何とか楽にするためには、やはり痛み止めのお薬(湿布、飲み薬、座薬、注射など)が必要になりますし、膝に溜まった水を抜くことも必要になります。

こういった治療で程度が2くらいまでの人はかなり楽になります。ほとんど痛みが消えることもあります。でも、どんなに痛みが楽になっても軟骨が元に戻ったわけではないので、 上に書いたような注意点を忘れないようにしましょう。大腿四頭筋訓練は痛みが楽になった後も続けた方が良いでしょう。

さて、程度が3以上になると、こういった治療をいくらやっても良くならない場合があります。 日常生活もいろいろ気を付けている、大腿四頭筋訓練もちゃんとやっている、楔状足底板も使っている、お薬や注射もしている、だけど良くならないということがあります。 こうなってしまうと手術を考えた方が良いかもしれません。手術にもいろいろあって、患者さんの年齢やお仕事、身体の具合、膝の悪さの程度などすべてを考えて方法が決まります。 3のなりかけくらいなら関節鏡視下デブリドマンという膝の中のお掃除程度の比較的小さな手術で何とかなるかもしれません。 本格的な3で、まだ高齢者ではないなら高位脛骨骨切り術という手術が適しているかもしれません。4以上で高齢者なら人工膝関節が必要かもしれません。

いずれにしても、痛くなったら余り我慢をせず早いうちに整形外科を受診し、治療のやり方などについても主治医と充分に相談することが大切です。

では、最後に大腿四頭筋訓練のやり方とFlash ムービーを掲載しておきます。

  1. 反対側の膝を直角に曲げる
     
  2. 悪い方の膝を伸ばすように力を入れる
     
  3. 足首は少しそらしておいたほうが良い
     
  4. 膝を伸ばしたまま反対側の膝の高さまでゆっくり持ち上げる
     
  5. そのまま5秒間止める
     
  6. 膝を伸ばしたまま持ち上げた脚を降ろす
     
  7. 力を抜いて休む
     
  8. 目標は朝・昼・晩、それぞれ20回程度
     
  9. ただし、慣れないうちは無理をしない
     
  10. やり過ぎて筋肉痛が出ないように注意
     

(C) 2007 by Yuichi Tomiyama