コラム1179 2017年11月24日
新しい現場
行政の世界ではやたら特区という名前をつけて経済を活性化させたいようです。その特区ですが市街化調整区域にもそういう地区があり制限ナシに誰でも土地を買って家を建てられるということなのです。場所が調整区域なだけに上水も下水も来ていないのだろうと思いきやそれも完備、実に恵まれた土地であります。
その恵まれた条件の土地に巡り会えた方が勉強会の相談者にいらっしゃり、ご自分たちの生活条件とも一致するということで契約購入の運びとなりました。ただ、ここはもと畑で接道面から50〜60cm低くなっているため、売主のほうで道路と平らになるくらいまで埋め立てがしてありました。
その畑は広い土地なので分譲区画のところで簡易な土留めがしてありましたが、それが不備だったのか隣地へ若干傾いていました。それはそれで現況ということで購入してこちらで工事を開始するときにやり直すということにしても割安な土地だったと言います。ただ、もう一つ問題点が出てきました。埋め立てに使った土の質が悪くコンクリートガラみたいなものが中に使われていたのです。
その旨を仲介不動産業者に話すと業者のほうで処分してくれると言うことに話しが決まり、畑を作るという場所と家を建てる場所の掘り起こしを行ないましたら3tダンプ2台分くらいのガラが出てきたそうです。整地した業者も住宅地として使うのはわかっていたはずですから二度手間になるようなことはやらければいいのにと思ったのですが現実は目の前のことしか考えなかったのでしょうね。
境目のよう壁を修正するのに掘り起こしたらわかったというのですから買主さんとしてもタイミングが良かったと思います。
トップページへ戻る
コラム1178 2017年11月22日
次の入居もビルダー
この2月に倒産したコンセプトハウスの実質上の本店は、常陽銀行ひたちなか市店の向かい側に立っている賃貸ビルでした。私の記憶では20年ほど入居していたと思います。倒産後、二ヶ月ほどは名前がそのまま残っていましたが、その後はすべての看板が撤去され寂しい空き室となっていました。
会社への通り道なので気になっていましたが、最近になって入口付近の植栽用花壇などが新設され誰か入居するのかなと思っていました。数日後に開店祝いの生花がずらっと並んだかと思うと、道路に面したガラス面には目立つ色の同業者の名前がありました。
なかなか今の賃貸は一度抜けると入らないといわれていますが、ここは場所も良いということで比較的早く決まったのだと思います。今の時代ですからビルのオーナーも気が気ではなかったと思いますがとりあえず入居が決まってほっとしていると思います。
この会社は今の時代に合った小規模開発の分譲方式を取っており、資金が土地購入で大きく固定化しないように心がけているようです。過去にはコンセプトハウスや茨城交通不動産部なども大型投資をして財務を圧迫したと聞いています。その点では回転率を高めて資金の固定化を避けているところなどは評価できると思います。とはいってもこのことが住宅の質とは結びつかないので要注意であることには変わりありませんが。
トップページへ戻る
コラム1177 2017年11月20日
広告塔の責任B
この業界でも広告塔はたくさんいます。代表的なのはタ○ちゃん・・みのもんた氏・キムタク、セ○スイなら阿部寛氏は有名、今はあまり見なくなりましたが東○本ハウスは吉幾三氏、ア○ネットは谷原章介氏・・など。私生活ではフライデー気味の方もおりますがその道ではたしかに名前が通っています。
みの氏などその代表格で、当時一棟分の内60万円はCM料、年間で億の金が流れたと記憶しています。「いいねえ、タ○ホーム」のせりふは誰に対していいねだったのでしょうか。
この方々に共通するのは受けたCMのハウスに住んでいないこと。すべてお金だけでつながっていて住んでみて良いから勧めているわけではないことです。そのほか、各業界の営業マンも同じでしょうか。
昔ですが、パ○ホームの仕事を長くやっていた大工さんに聞いた営業マンの話、
「俺、今度家を建てようと思うんだ」
「え、そうすか。もちろん自社発注なんでしょ」
「まさか・・、こんな高いだけ高くてきゃしゃな家なんていやだよ。地元の大工さんに頼むんだ」
「・・・・・・・」
自分で売っていて中身を知っているからこういうことになるのでしょうけれど、少なくとも自分の生活の糧を得ているところでこういう発言をしますかねえ。会社にというよりお客に対して失礼だと思いますが・・・。
業界の裏側なんてこんなものです。いかに消費者が手のひらに乗せられてころがされているかがわかるというものです。
トップページへ戻る
コラム1176 2017年11月17日
広告塔の責任A
モノを売って利益を得ようとする会社は、自分が健全でまじめであるというイメージを持ってもらうのに有名なタレントや俳優を使ってその信頼性を高めようとします。受けるほうもお金になるから契約するわけでその会社の人となりまで理解して受けるわけではありません。
かつての統一教会の広告塔、桜田淳子氏もそうでしたが、まだこの人は自分もメンバーになってその先頭に立っていたのですから良し悪しは別として他の人たちとは若干違いがあると思います。けして桜田氏を擁護しているのではなくあくまでも客観的な見方をして言えばということです。
対価を払う側の消費者はこういった売る側の計算に乗せられてしまってはいけないわけですが、もともとイメージを持つということは他人から見えない頭の中で判断することなので、冷静な立場で考えられる他人から見ればブラックボックスそのものになると思います。
一回限り支払いの小額商品ならば捨て銭覚悟で買えばいいのですが、高額、あるいは小額であっても継続的な支出を伴なうようなものであればかなり身構えてかからなければなりません。私もかつて、浄水器の無店舗販売のマルチに誘われたことがありましたが、これなども「一日コーヒー
一杯分の料金で・・」というのが謳い文句でした。
誘ってきた人が親しい人だっただけに断わりにくく、一応は勉強会みたいな囲い込み集会に参加しましたが、どう考えてもおかしいとしか思えず、話が終わる頃にすーっと帰ろうとするとその知人が必死になって引き止めに入り帰そうとしませんでした。高々、6万円くらいの製品を4年も分割で支払わせるなんて詐欺もいいところです。
コーヒーを安く見て250円で計算したとしても、払う金額は365,000円にもなるわけです。いくら無店舗方式の代理店だとかこじつけてもあまりにもぼったくりです。それ以来この知人には年賀状だけのつきあいになりましたが、主催したマルチの会社も一年ちょっとで消滅しました。その後、「コーヒー1杯分・・・」はどうなったのか知る由もありません。
あのときの熱弁振るっていた女講師、どことなく顔立ちがてるみくらぶの代表者と似ていたなあ。
トップページへ戻る
コラム1175 2017年11月16日
広告塔の責任
またもや健康食品販売会社の詐欺事件が起こりました。ここにも広告塔の役目を果たした人物がいて批判を受けています。しかし、批判を受けてもこの人に責任はあるのかと問われれば残念ながら的外れになると思います。
10年ほど前にも、紅白で超ド派手な衣装で話題を集めていた大物歌手が同じく広告塔を務めていたといいますから会社の姿勢がうかがわれます。いまのご時世健康食品と名がつくものは巷にあふれかえっていますから、その中で目立って勝ち抜いていくにはこういう方法が手っ取り早いのだと思います。
この会社も最初から詐欺をやっていたわけではなく、本業が思わしくなくなってから始めたものと思いますが、30万円もらって毎回客集めに加担していたと言われても言い訳にしか聞こえないと感じるのは皆同じだと思います。
3400万円もつぎ込んだと言う女性のコメントも出ていましたが、それだけ持っているのなら生活に困るような人ではなかろうとあまり同情する気にもなれませんでした。いずれにしても投資話は危険が伴なうもの、いくら有名人がいたって中身の判断には何の役にも立たないということを肝に銘じておくべきであろうと思います。
やったほうの側も食べるものまで取り上げたわけではないという気持ちは持っているでしょうし、取材を受けた画像を見てもそれは充分に計算済みだというのが見てとれます。刑だってせいぜい数年で出てこれると思えば隠しておいたお金と充分つりあいは取れると思っているのはアリアリです。
いまは何だかんだ言っても「やったもん勝ち」なんですねえ。
トップページへ戻る
コラム1174 2017年11月15日
粉飾決算
会社がおかしくなってくると借り入れ等をしている会社ほど対面を重んじて内容を良く見せようとします。その手口と言えば誰もがわかる現金・預金残高とかよりも、調べるのに手間ひまかかる項目をいじるのが一般的な常套手段です。
売上項目をいじる、各資産設備の減価償却を操作する、引当金の設定を低くする・・などがありますが、売上は相手があることなので債権照合を偽造しないと翌期の金額と合わなくなってしまいます。流通業界では扱っているものが商品なので期末の残高等をいじるのが手っ取り早いのですがこれも翌期の原価にからんできますのであまり意味がありません。
建築業界では期末仕掛かりがどちらの期に入るのか税務署ともめることがありますが、これはいずれ計上されるものですから大きな問題ではありません。これも最近では「出来高制」にして白黒はっきりさせられます。
事実と異なる数字を作ってしまうのが粉飾ですから、てるみくらぶも売上項目を操作したことは間違いありません。もうこれは「禁断の果実」に手をつけたことになり、一発でお縄頂戴になります。これをやって融資を受けたとなればりっぱな詐欺罪になりますので責任者が逮捕されるのは当然です。
ここであまり言われないのが国税のほうです。金融機関と国税と両方に粉飾した書類を出していたのなら、債権者は税の返還請求が出来るはずです。まあ、この場合は運転資金に困る状態だったのですから「儲かっています」とは申告しなかったはずです。いずれにしても債権者から見れば戻ってくるお金はほとんどないと見たほうがよいでしょう。
最初は小さなほころびだったにしても150億も膨大な金額になるまでやり続けるには並みの根性では出来ません。度胸の良いアホなのか、計算された上での結果なのか。経営が思わしくないのに3000万円も役員報酬を取り続けた厚顔さはどうみても後者にしかみえないのですが・・・。
トップページへ戻る
コラム1173 2017年11月10日
危険な前払い
何年かごとに同じことが繰り返されている感じに見える旅行業者の倒産ですが、今回の場合、てるみくらぶの代表者が逮捕される事態となりました。その中身と言えば、決算内容を書き換え、内容を良く見せて融資を受け、実質的に詐欺と同じようなことになったと言うのが理由。
それじゃあ、お金を振り込んでその翌日にビンタを食わされた人などはどうなのかと言うと単なる債権者でしかないというのもおかしな話しです。いずれにしても銀行でも個人でもお金が戻って来ないという点は共通しています。
先払いして踏み倒されるのは住宅業界でも同じこと、今年倒産したコンセプトハウスを初め、一昨年前の三市(みついち)ハウジング、ほか幾多のビルダー倒産でも数十名の方たちが先払いさせられ被害にあっているという点では同じようなものです。
銀行融資のほうは別として、対価物・サービスを手中にしていない時点でお金を払うということは前払い金・預け金・貸付金と同じ貸し倒れの危険性がある資産として会計上は区分けされます。一般の方々にこのような意識は皆無と思われますが、危険が伴なうという点は是非認識していただきたいと思います。
住宅は高い買物と言われていながら相手を信用しすぎるというのが日本人の特徴です。資材が現金でないと買えないというのはホームセンターぐらいのもので、通常では納品・作業して月締めで請求書を出してそれから支払いとなるのですから出来高以上に支払うということはほとんど過払いにあたります。
その過払いが必要だということは業者・会社の財務状況に何か異常な部分があると考えなくてはなりません。
トップページへ戻る
コラム1172 2017年11月09日
間違った木材活用B
岐阜県は木材の産地でもありますので、地域材を使うというのは悪いことではないと思います。しかし、その使い方で人間の頭だけで理解してこうなるはずだと思って使ってもそのとおりにならないこともあります。屋根に水が溜まっていると書かれていることを見ても計画(設計)通りにならなかったということであります。
薄いもので曲線を描き出すのですから当然部材は曲がっていながら他の部材と無理やり留め付けられている訳です。何段重ねにしようとも曲がりはゼロにはならず自重も増えてきます。すべての部材が組まれているのですから揺れたときの逃げと異質部材の熱膨張の違いをどのように考えていたかも気になります。
初期の頃の弁明も原因は結露が考えられ空調温度を28度にすれば問題は解決するはずだと言われていました。しかし、結露だけでは説明がつかない状況でのちに雨漏りも否定出来ないという見解を出したといいます。
昔からの大工さんなら重量がかかるところでは施工後に負荷による下がりがどのくらいあるかを予想し、あらかじめ反りがあるものを使うか別のもので支える仕組みを作るかで離れてみたときにおかしくない目視となるように先手を打ちます。木で施工するということはこういうことも必要になってくるのですが、はたしてこの設計士さんはそこまで計算できたのかどうかです。
一方で施工した側の器量ですが、図面に書かれたとおりの作業をして現場を一度は検査パスとなったと思うので責任を問えるかと言うとノーだと思います。最初から水が溜まる傾斜つまり逆傾斜になっていたのなら厳しい検査には通らなかったはずです。見えなくなる部分の施工不良も考えられますが段階ごとのチェックがある工事では考えにくいことです。
客観的に見てもこの欠陥は99%設計士のミスだと思います。それでも報道によれば折半で修理費用を持つと書かれていましたから施工業者としては「腹立つうww」と思っているのは間違いありません。仮にこれがワンドーム型だったら問題はおきなかったでしょう。でもそうなるとデザイン的に全然面白くない・・・。
つねに「デザイン」は高くつく・危険と隣り合わせということですかねえ。
トップページへ戻る
コラム1171 2017年11月08日
間違った木材活用A
ぎふメディアコスモスを見ていて印象的なのは考え方とデザインが斬新なことです。確かに洒落ていることは間違いないのですが、その採用されている工法と使用されている資材が問題であると思います。
大空間の屋根を支えるには細かに受ける梁か相当数の柱が必要になってきます。この建物の曲面屋根を支えるのは曲面なりに作った竹かごのような屋根受け面状梁です。詳しくは該当HPで見ていただくとして、受け材の組み方の問題があると感じます。
いわゆるホットケーキを焼くときのようなブツブツが表現されているような屋根なわけで、この曲面を木で作ろうとするとかなり無理が出てきます。素材がアーチ型になるところと逆アーチになるところが当然出てきます。竹かご編みを思い浮かべてみればわかりますが基本は三角形の多重編みみたいなものです。
一重ならぽこっと戻ってしまいますが幾重にもするとほどほどの強さが出てきます。これで屋根全体を支えられる厚みにして設計したのでしょうが、これでは不十分だったということになります。曲面屋根の原形は出来たとしても何で仕上げるか、どういう防水処理方法をとるかということです。
次は原形に沿って野地板が必要になってくるわけですが、ゆるいドーム状の曲面ですから柔らかく曲がる素材が必要です。しかし、張る野地板にはX軸方向かY軸方向のどちらかにはしっかり支える働きが必要です。そうでないととろけるチーズみたいになって屋根になりません。
ドーム型の球面がたくさんあるということはデザイン的には良くても、現場での施工は並大抵のことでは納まらないということです。野地がうまく張れたとしても肝心の屋根本体が何でやられたのか想像でしか語れませんが、この場合、金属系のコバ葺きで実行されたのではないかと思います。
この工法で作られたものはなるべく谷を作らず外へ外へと雨を逃がしてやらないと継ぎ目のハゼ折りから裏側に水が回ってしまいます。造形上、谷の部分になる所が数ヶ所出来る訳ですから傾斜がきつくないと水溜りができるような構造になってしまいなおさら裏に水が回ってしまいます。
そのほかに、何本の柱で支えたのか不明ですが、掲載されている写真(イラスト)ではかなり大空間の所もあるようです。設計上問題がないとされたザル状曲面梁も途中で自重による垂れ下がりを起こした可能性もあります。この場合、さらに屋根面の水たまりを作ってしまった可能性も否定できません。
トップページへ戻る
コラム1170 2017年11月07日
間違った木材活用
政府が木材活用を主導するようになってから公共の建物建築ではずいぶんと木材が採用されるようになって来ました。ただ、こういった設計をリードしているのはコンペに勝ち残ったデザイン優先のものが多く、その結果完成後の不具合が出るなど問題も抱えています。
我々木材販売業の立場からみる「木を活かす」ということと、設計士などからみるそれは少しズレがあると感じます。ただ単にいままでのものを木に変えれば言いというものではなく、使用場所によって木が適しているのか、また何の木が適しているのかが熟慮されていないという点です。
横浜みなとみらいの海辺に設置してあるウッドデッキは南洋材であり腐りにくい木材でありますが、国産の杉ひのきのように絶対量が豊富にある物ではなく、一般材から見たら同寸法で比較したら5倍もする非常に高価なものです。これらが解体されるまでの長い経緯の中で選ばれたものなら良いと思いますが、単に木材の活用ということで決められたものなら少々違和感を持ってしまいます。
建物には住宅と非住宅という区別した言い方があります。非住宅は字の如し人の住んでいない建物のことで体育館・集会所・図書館・美術館などを指します。漏水トラブルで有名になった”ぎふメディアコスモス”という建物も設計士主導の非住宅建物ですが、これなどを見ても木のいじり過ぎと過信が感じられます。
まあ、人の住まない建物空間ですから多少実験的な使い方や挑戦は必要だと思いますが、何事かあったら修理が効く・対応が出来るというケースでの挑戦が行なわれるべきだと思います。この建物も税金で作られたものですから一個人が全面被害を受けるものとは違いますが、そのへんの危険性をアドバイスする人はいなかったのでしょうか。
トップページへ戻る
コラム1169 2017年11月06日
今月の勉強会
ひたちなか市昭和通のイチョウ並木も半分くらい葉が落ちて、秋から冬の景色へ変わろうとしています。今月は商工会議所の部屋都合で一週間早まりましたが、予定通り5日に勉強会を開くことが出来ました。参加者は9名、遠方よりお越しの方もいらっしゃり大変お疲れ様でした。
今回のテーマは「資材・素材の話し」ということで予定時間をオーバーして行ないました。実際に巷で使われている資材がどのように取り扱われているか、木造と言いながら木の性質を無視した使い方がされていることなど消費者の方が実際に耳にすることのない情報をお話しいたしました。
来月12月は平常の第二日曜日に開ける予定ですので今月ご都合の悪かった方もご参加下さい。なお、新しく現場がスタートいたしますので次回に案内資料を持参いたしますのでご期待下さい。
トップページへ戻る
コラム1168 2017年11月02日
スマホの必要性
ちょっと前に、NHKのEテレでシニア向けのスマホ番組が放送されていたので録画して見てみました。いまや総人口の二人に1台は持っていると言われる道具ですが、機種がありすぎてどのように判断したらよいのかイマイチわかりませんでした。
全8回を見終わって感じたことはデスクトップのパソコンが小さくなって持ち運べるようになったものだということ。アプリという利用して便利な機能が充実していること。カメラの性能が良くなったこと。よくわからなかったのは実際の料金がかなり複雑。全体的にみても最終の支払い金額が安くないことでした。
これらを総合的にみてみると自分にとってはガラケーのらくらくホンで充分に間に合うことでした。月額5千円以上の通信費を支払うだけの価値があるかと言えば、ビジネスで必要としている人は別として私のように年金需給の年齢になったものが年間6万円からの対価を支払うだけの魅力はないということ、これからもそれは変わらないだろうと思いました。
売る側としては月々3000円も行かない携帯料金を相手にしているよりは2倍近い稼ぎのあるほうが良いに決まっています。CMには「ファミ割なら学割なら何万円もお得!」とか言われていますが、払ってもいないものが戻ってくるはずでもないのに何かお得だと感じさせる手法に引っ掛かり契約した人も多いのではないかと思います。その「お得な金額」以上に支払っているのは間違いないわけで得られるものと支払う金額を冷静に判断しないと利用貧乏になってしまいます。
今の携帯利用料でスマホが使えるならすぐにでも換えてしまうのですがねえ。
トップページへ戻る
コラム1167 2017年10月28日
どうしたらそんなに・・
日本建築士事務所協会連合会(日事連)の会長を務めておられるO氏のご自分の事務所が破産となったと興信情報に出ていました。関連会社も入れると負債総額9億6千万円と言いますからさすが東京銀座に構えていただけあり半端ではありません。
ピーク時では17億円以上の売上を上げていたが直近では7億円どまりになっていたとのこと。さすがに年間売り上げ以上の負債があったら息の根も止まります。主な取引先としては大手不動産会社といいますから主力はマンション設計管理と書かれているのも納得がいきます。
それにしてもバンザイして支払えなくなった金額が9億以上とは、何でこういう数字が積みあがったのでしょう。通常であれば我々流通の支払い構成というのは売上の85%が外部に対する仕入れ商品の支払いです。でも、この方たちの形態は人件費要素は高いですが外部支払いはもっともっと低いはずです。
もっとも、今の設計士さんは紙の上の仕事だけではお金にならないと現場を直接手がける人が多くなっていますからそういった経営上の都合もあったのでしょう。過去においてもかの有名な黒川紀章設計事務所が民事再生で実質行き詰まりましたが、なかなかこの業界も厳しいようです。
現場でたたく大工さん職人さんは3Kといわれ敬遠されますが、設計士は頭脳労働だし業界の上部に位置するものとして評価されていますから前者よりは目指す人も多く、それゆえに供給過剰気味であることも事実です。会社で言えば取締役ばかりで現場の人間がいない・・というような感じでしょうか。
人間、頭だけ良くてもだめなんですねえ、世間の市場性を判断できないとはじき出されてしまう。
トップページへ戻る
コラム1166 2017年10月27日
PCが重い・・
最近、やたらとクラウドという言葉が聞かれますが、このPCのセキュリティーソフトもいつの間にかクラウドという文字がくっつくようになってました。要はPCでそれそれ別々の管理をしているものを中央で一括するというものらしいです。
そういったシステムの向上については反対しませんが、それによって監視される側のPC動作がぐっと遅くなってしまうようです。よその人の事情を聞いたわけではないのではっきりとしたことは言えませんが、自分なりにあれこれやってみるとどうもそのセキュリティーソフトが関係しているようです。
それがどのくらいPCに対して負担になっているのか素人の身ではわからないのですが、ちょっとコントロールパネル内を見てみると980メガバイトという容量でした。ほかのアプリケーションソフトと比べると群を抜いた大きさなのです。そこで少しでも軽くする方法を考えてみました。別のクラウド型ではないセキュリティーソフトと入れ替えて見ることです。
今まではひどい症状の中、ガマンしながら使っていましたが、ちょうど今月末で更新時期が来るためダメもとでやってみました。
計画の手順どおり別のソフトを入れておいてクラウド型を削除してみると・・・、やっぱりでした。以前のようにサクサクとまでは行かないですが三分の一くらいの症状に改善されました。
客観的にみてみると4トン車に10トンの負荷をかけているみたいになっているわけで処理能力の大半をセキュリティー部分に食われていたわけです。しかし、このHPアップ用の文字変換だけは大差がないようなので原因不明の後遺症が残ってしまったのかもしれません。同じ文字変換をメモ帳でやると何事もなかったかのようにすらすら動くのですからそうとしか考えられません。
頭のいい人って最新のものにはどんどん力を注ぐのでしょうけれど、旧型の機械にはどうでも良い・・・早く最新型に切り替えろとでも思っているのでしょう。あの勝手にWin10にアップされたのもそういう下心があるからではないかと思います。
トップページへ戻る
コラム1165 2017年10月26日
ZEHと言うけれどA
詐欺の真髄には「疑いを持たせない」というのが存在します。最近あったセキスイの60億強の地面師サギも劇場型と言えるほどの騙しスタッフが登場しました。この事件は金を払ったセキスイが何も手に入れられなかったから犯罪にあたるのでしょうけれど、60億払って実際は30億あるいは40億しか価値がないものだったら事件として取り上げられたかというと難しいでしょう。
私はこの「ZEH」を推進している行政とHMも、買い手側の消費者に対して同じことをしているのではないかと思っています。もちろん、買い手側の消費者が納得しているなら何の異論もないですが、得られる価値のあるはずのものが得られないとなると、それをどこの時点で自覚したかは別として、売った側の責任はどうなのかということなのです。
ZEH(ゼロエネ)で暮らせますよと言ったけれど暮らせない場合は誰がその責任をとるかということですが、訴えを起こさない限り世間では問題がなかったことになっていますから、最初からきちんとデータをとっている人でもない限り第三者である裁判所には証拠書類さえ提出できないことになります。
ただ、訴訟をするといっても一個人と企業ではもてる体力が違いますから、かなりの人数がチームを作って団体戦で戦わない限り勝ち目はないでしょう。私の考えではそこまでして勝訴しようという人はいないと思います。結局はやったもん勝ち、売ったもん勝ち、そこから税金を吸い上げた国の勝ちです。
何かを新しく作って、そのものから作ったとき以上のエネルギーを得られるのはこの世にはありません。あるならエネルギー問題はとっくの昔に解決しています。単なる先食いしたエネルギーの何割かを得られただけでエコだとか言っているのはまやかしに過ぎません。やるなら行政が実務上で実績を作り、データを公開した上で世間に広めるべきです。
トップページへ戻る
コラム1164 2017年10月25日
ZEHと言うけれど
ネット ゼロ エネルギー ハウスと読むのだそうですけれど、これらの性能を備えた住宅を2020年までに50%以上とする目標を掲げたHメーカーには資源エネルギー庁HPに掲載して世間に公表うんぬんと書かれております。
それじゃあ、目標を達成できなかったHMは何かペナルティーでもあるのかと思い隅々まで見ても何も書かれていません。いかにも役人的な表現だなと思いましたが、逆に考えれば自社PRの手段だと思えば名前を出せるだけ得かなとも思います。
このZEH住宅が役人の思い通りにはいっていないようで、どうも目論見が大きく外れ看板倒れになるようです。この現象は最初からわかっていたことで、勢いで予算を取ってしまったから・・、世の中の気運がそうだったから・・とでも言いたいのでしょうけれども、あまりにもやろうとしたことが矛盾の塊でありました。
「外皮の断熱性能を大幅に向上させ・・高効率な設備を導入し・・室内環境の質を維持しつつ・・再生可能なエネルギーを導入することにより・・」と書かれています。これのどこがゼロエネルギーなのでしょう。もうそろそろ自分の言っていることに対しての矛盾に気付くべきだと思うのですが、それも出来ずに行くところまで行って国民が忘れる時期までだんまりを決め込むのでしょうか。
普通とか標準とかいう言葉はあまり好きではありませんが、これまでにやられてきた住宅建築に対して、質の向上というものは確かに大事ですが、今までにないようなエネルギーの先食いまでして作った製品を導入して表面のつじつまを合わせることがZEHなのでしょうか。
断熱といっても数万円から百万円以上かかるものまでたくさんあります。給湯設備だって数万円から数百万円するものまで、太陽光発電等再生可能エネルギーにいたってはまだまだ二百万円以上します。各製造メーカーでは製品の品質向上に努力をしていますが従来のシステムから見ればかなり高額なものになっています。
ここで二歩も三歩も引いて住宅を見たときに、省エネルギーという名前ばかりの「先食いエネルギー住宅」になっていないかということです。
トップページへ戻る
コラム1163 2017年10月24日
木と木質系A
建材を含めた素材にはメリットもあればデメリットも持ち合わせています。メリットは誰でも言ってくれますからここではデメリットを書いてみたいと思います。
よく新建材多用のビルダー・ハウスメーカー(HM)は耐震性を強調していますが、これらに使われているのは壁倍率の有利な合板や面材です。共通弱点は水濡れ膨張と建材そのものの通気作用がほとんど期待できないこと。もちろん生活臭なども通してくれません。
気密性が高く作ってあるので設置した24時間換気でもこれらまで解決することはできません。手っ取り早いのは窓を開け放って空気を入れ替えてしまうのが一番なのですが行政の考え方はそうではなく換気装置のほうを優先して考えています。
柱と柱の間には断熱材をみっちり入れて性能を強調しているのですからたとえ内装から透湿して裏側まで行ったとしてもそこで止まってしまい呼吸するなどというまでにはいかないものでしかありません。理論と現実は違います。
湿気・人間の排気ガス・生活臭が神様のように解決できる素材はありません。たとえ、透湿性があっても排気ガス生活臭まで同時処理できるものなど自らが触媒機能でも備えていなければ無理な話です。
以前に透湿性能を備えた断熱材が出たと言うので見学に行ったことがありますが、そこの工事仕様には構造用下地合板がバッチリ使われており息の根がとまっているにもかかわらず透湿性が保たれていると説明され納得できませんでした。
単品素材の性質は良くても組み合わせ方法でせっかくの性能が生かされていないことは単品素材を一方的に過剰評価してしまうから全体が見えなくなってしまうのかもしれません。多分この設計者は木質系という素材をムクの木と同じと考えていたのでしょう。こういう人はもう一度試験をやり直してきて欲しいと思います。
全体を見渡したらおかしいなと思う建物はたくさんあります。
トップページへ戻る
コラム1162 2017年10月19日
木と木質系
展示場のチラシなどを見ていると鉄骨系・木質系・軸組み木造など住宅の呼び名が書かれています。要するに骨組みが何で出来ているかという構造体の違いを表しているのですが、その中でも区分が良く理解できないのが木質系だと思います。
その木質系の住宅というのは、素材に木から作った製品を使用しているという意味があり、合板や木屑圧縮板などが主に使われています。ツーバイ以外の枠組み工法がこの言い方をしている場合があります。代表的なものにはミ○ワホームがあります。
ミ○ワホームはツーバイ工法だと思っている方もいると思いますが、構造用と認定された壁材を使ってスタッドと呼ばれる補助桟を組み合わせたものでないと正式なツーバイとは言いませんからミ○ワの場合は該当しないのです。いずれにしても枠組み壁工法の理屈は同じですので大差はありません。
名前のごとく、確かに木を原料として作られた合板類ですからまったくの木ではないとは言い切れませんが妙に違和感を持ちます。たしかに金属系ではないし窯業系でもないのですが「木質系」と言われると何か木が全面を支配しているような感じで納得できません。
私の中では「木を原料とした工業製品」と受け止めていますので合板が主体の家が木質系と言われることに素直になれないのです。しかし、業界の中では木で出来ているのだからそれでいいじゃないかという人もいます。特にHM・ビルダーと納材関係者はそれを売り看板にしていますから否定する人はいません。
しかし、石油系樹脂で固められたものには身体に良くない揮発成分は出しても、呼吸性も透湿性もほとんど期待できないしムクの木と同等に扱うには無理があります。言葉の一人歩きとでも言うのでしょうか、チラシやCMで宣伝されている中身の真贋を問うには難しい点があります。
トップページへ戻る
コラム1161 2017年10月13日
カビ型問題行為
ここのところ連日のようにマスコミに騒がれている大企業のごまかし問題、中でも日産と神戸製鋼の場合は群を抜いています。そのどちらにも共通していることは「安全に問題はない」というコメントです。
日産の場合は最終検査のところでの問題ですから、それ以前の作業で間違いがなければ確かに言われているとおり品質にバラつきが出ることはないでしょう。工場品質に自信を持っている関係者であればそうも言いたくなるのはわからないでもありません。
もともとこの完成検査は国がやるべきところを数が多くて対応できないからわざわざ資格を作ってその企業に任せていたわけです。ということは、検査の最終責任は国が行なったことと同じになるはずです。なのにそこの部分にはどこのマスコミも触れず日産だけを吊るし上げると言うのは公平ではないと思います。
(別に日産を擁護しているわけではなく悪いのはあくまでも日産です)
国民の安全を・・・とか言っているのはいいのですけれど、それならばなぜ長期間にわたって身内検査をやらせていたのか。検査行為のチェックなら数ヶ月に一度ぐらいは出来そうなものですが、それでも無理なら最初から民間検査機関を作ってピラミッド型の維持を出来るようにすれば良いだけの事です。
民間の自由競争の中で利益を確保し競争に勝つというのは至上命令であり、そのための現場締め付けがあるのは当然のことです。消しゴム一個、鉛筆一本まで管理し数字を上げようとしてなすべきことをやりつくしてしまったらその先はどこへ行くか想像がつきます。これはカビの繁殖状況に良く似ています。
神戸製鋼もなぜこうなったかを遡っていけばカビ型問題行為が結果として出たに過ぎないと思います。くれぐれも擁護するために言っているのではありません。
これらカビ型問題行為は揶揄的な表現ですが、我が住宅業界は本物のカビに脅かされている現実型カビ問題を抱えています。空気の淀んだ床下、簡略化された厚合板一枚の床下地でカビ発生条件の整ってしまった家はまさに病気発生の源となっています。
ただ、マスコミも大手HM・ビルダーから可愛がってもらっているから、そこを突っつくわけにはいかないのですね、これが・・。 お金はカビよりもペンよりも強し。
トップページへ戻る
コラム1160 2017年10月11日
狭いながらも機械化
今の時期、当事務所の周辺の畑地ではホシイモ用のさつまいも収穫が盛んに行われています。数年前ですと全面に植えられた畑に何人も張り付いて作業をしていましたがいまは様相が違います。畑の真ん中に搬出用の車と掘り起こし用作業車が入れる通路を確保しておいて左右に広がって作業します。
昔のように腰を曲げてイモを拾うというようなことはなく、土ごと掘り起こしたものがエスカレーターのように階段を上っていき、土だけがふるい落とされ、残ったイモを人間の手で選別し袋に入れるという段取りです。機械の通り過ぎたところを見てみると育ちすぎた形の悪いものや小さすぎるものが取り残されています。
これらはもったいないようですがこれ専門に加工する人がいるらしく、それでも残ったものは後日ロータリーという機械で撹拌され畑はきれいになってしまいます。
作業をしている人たちは移動する機械のステップの所に立って背筋を伸ばした状態で仕事が出来ますので一昔前よりもずっとずっと楽になったと思います。畑に来ている人が4人なのですがそのうち3人は機械に乗って作業していてもう一人は機械では処理できない端の部分の作業をしています。
完全機械化とは行かないまでもかなりの部分を処理できますので大きな進歩だと思います。森林もかなりの機械化が進んでいると聞きますが農作業のほうが大きくリードしていると思います。ただ、こういった作業は年に一度しか出番がありませんが、山の機械は一年中使おうと思えば利用できますから稼働率は断然山のほうに上がります。
人間は確かに楽になりますがお金がみんな機械屋さんに流れていってしまうという農家の方のボヤキもわからないではないです。
トップページへ戻る
コラム1159 2017年10月09日
今月の勉強会
この時期、学区内の市民運動会があちこちで行なわれています。しかし、どこの地区でも参加者募りに苦労しているようで、町内の役をやっている人や子供会の役員の親など、参加を半ば強制的に割り当てられてしまうそうです。そんなときほどケガが怖いですが・・・。
さて今月も予定通り勉強会を開催いたしました。時期的にいろいろな行事が重なるときでもあるし少ないのかなと思っていましたが12名の方の参加をいただきました。いつも遠方よりおいでくださる方もおりお疲れ様です。
今回は「工法の話し」ということで実際に巷で行なわれている工法の進め方の問題点を取り上げ2時間お話しいたしました。
次回は11月の第一日曜日に行ないます。いつもの第二日曜日が商工会のほうの都合で全館使えず一週だけ繰上げました。お間違えのないようおいでください。テーマは「資材・素材の話し」です。
トップページへ戻る
コラム1158 2017年10月06日
見ただけではわからないD
アパートなどで行なわれていることが一般の住宅にもスライドしてきていることがあります。収納部分がそのケースです。どのように省略しているかを書いてみます。
まず、従来の住宅の場合
収納部分(押入れも含めた)を作る場合、基礎の立ち上がり、土台・柱をたててそのスペースを作ります。当然ながら頭の部分(桁・梁)の部材も作られます。考え方は大きな部屋と同じように骨組みを作るということです。開口部は敷居と鴨居が入り建具が取りつかるように設定します。
同じように見えて省略した作りにする場合
収納・押入れ部分の基礎は作らず部屋の床組みをその部分まで拡張して作ります。床・天井が出来てから収納部分の壁受け材を上下につけ、間柱で形を作ります。最後にメーカー製の出来合いセットをつけそれで終了、見た目には何らわかりません。
大壁でクロス仕上げなら何の苦労もなくこの方式で仕上げられます。構造体は簡略できるし使う部材も手間もかなり省くことが出来ます。この違いを見抜くには基礎図と平面図を見比べるとわかります。柱が立つ下には必ず土台があり土台は基礎に緊結しなければならないという決まりがあるからです。
収納というものは部屋側は建具が入り解放となりますから壁強度には影響しません。だから部屋を作った後で収納を追加したという考え方でも違反にはならないわけです。
これらが家中で行なわれればかなりのコストダウンになります。仕上がったところを見せられれば私だってわかりません。
ただ、2F作りの1Fではやれない場合もあるのでしっかり図面を確認して充分な受けの梁・桁でカバーされている必要があります。
トップページへ戻る
コラム1157 2017年10月04日
見ただけではわからないC
家には見ただけもわかる部分もあります。ローコスト住宅では窓枠を設定しません。窓枠とはサッシの内側に入る見切りのような役目をする木枠のことです。
小窓なら左右上下で壁と窓の開口部をおさめる枠のこと、大きな掃き出し開口なら左右上部の三方に入るものです。従前は大工さんが壁厚に合わせて木を削って取り付け、後日塗装屋さんがクリア仕上げなどをしていました。
これらがサッシ寸法の統一化により、今まではミリ単位で違っていた枠寸法がどこのメーカーでも同じになりサッシメーカーが枠まで製造するようになりました。使うか使わないかは自由ですがきれいに仕上がった化粧シートが貼ってあり見た目には本物かと思うくらいです。
この寸法統一化によって現場ではこのような省力化の製品を使うことが多くなりましたが、ローコスト住宅はこれさえも省略して現場を簡略化しています。どのように簡略化するかというと壁に貼るクロスを枠の部分にまで延長して巻き込むだけです。
クロス屋さんの料金というのは平米いくらの契約なので住宅会社はほとんど追加ナシでやらせていると思います。この仕上げはビジネスホテルのような場所では当たり前に行なわれていますので見ても違和感が感じられるのは少ないと思います。このように資材と手間の省力化は涙ぐましいほど進んでおり、一般の人が見ても気づくことは難しいくらいです。
見た目がまあまあであれば耐久性としては疑問が残っても勝負に勝つことが大前提ですからこういうことはどんどん進んでいくでしょうが、はたして建て主さんのためかと考えれば答えはノーです。住宅はどんどんアパートレベルに落ちて行きます。ずっとアパートの住んでいる人が戸建てを求めるのですからアパート仕様でも違和感を持たないのは無理もないことだと思います。
トップページへ戻る
コラム1156 2017年10月03日
見ただけではわからないB
一般的にはハウスメーカー(HM)・ビルダーが採用している床材は合板またはMDF木屑圧縮板を基材としたものに化粧シートが張られております。従来ですとこれらの表面材には突板という本物の木を薄く削ったものが使われていましたが、近年ではこの化粧シートが紙でできているものが多くなってきました。
そのシートに木目の模様が印刷されているのですが、これがまた精巧に描かれていて製品状態で見るとほとんど見分けがつきません。私らでさえ張られた面積のほとんどをチェックしない限りわかりません。まあ、生活にどういうふうに影響があるかといえば、表面の呼吸性がないだけで特に支障はありません。
支障がないことは良いとしても描かれた絵を見て本物であると錯覚しているのですから「木のような工業製品」を見て生活していることになり何となく違和感を持ちます。これらの印刷物はインクで描かれていますから経年変化としては年々色が薄れてくることでしょうか。しかし、その中で生活している人にとっては毎日見ていることでありその違いに気付く人はほとんどいません。
一方、突板を貼った建材は本物であるがゆえ独自の収縮を繰り返すので15年くらいするとヒビ割れ・剥離が起こります。これらはすでに多くの方々が経験されており「体験済み」となったにもかかわらず、新しい家に使われる資材として再度登場してしまい同じことが繰り返されようとしています。
私はけしてこれらの建材を粗悪品だとは思いません。ただ、10〜15年で劣化がはっきりしてくるものを住宅に使うことがコストダウンには貢献しないということを知っているから推奨しないのです。
畳の場合も同様です。確かに表面はゴザが見えているのですが、すでにそのベースとなる「とこ」にはワラが使われているというのは少なくなりました。これもワラ不足・軽量化の流れから言えば当然このようになるのでしょうけれども、住まい手側からの肌に触れる昔からのあの感触は建材畳では得られないものであり貴重な生活感であったと思います。
座ったときに座り疲れをしない絶妙な硬さ、新建材にはない肌感触、目には見えないですがすばらしい調湿機能、そしてふわっとした断熱性能。これらのものが同じように見えて中身が違ってしまった現在、家は見ているものと得られる感触は別のものになってしまいました。
トップページへ戻る
コラム1155 2017年10月02日
見ただけではわからないA
自分がこういう職業についているから見える部分があるのですが、これでまったく違う業種であったら見抜けないだろうなと思うところがいっぱいあります。
見る側としては自分の中に何かの基準になる形を持っていないと、比較が出来ず見たものをそのまま受け入れるしかありません。住宅展示場の存在価値というのはここにあり知識・知恵・経験のない人に来ていただいたほうが仕事がやりやすいのです。
建売り分譲も出来上がった状態で公開するのですから流れは展示場と同じであると考えて良いと思います。基本的に写真で比較するとわかりやすいのですがこのページはテキスト(文章)だけで構成していますので難しく感じられるかもしれませんがご理解下さい。
私たちが推奨している基礎高510mmは住める状態の床の高さとグランド(外の地面の高さ)が750mmほどにもなります。この差を上がり降りするには玄関のタイルを貼る部分の高さと400mmくらいに設定し式台という小縁のような補助段を設けますが、基礎の高さを350mmにしてしまえばこの式台は不要になり基礎も安くなり手間もかからなくなり一石二鳥どころか三鳥になります。
ただし、床下はホフク前進でないと人間が動けませんから、管理面では難しくなり薬に頼ることにつながり人間の健康面については質が下がります。
いま、巷で行なわれている床を先に作ってしまう工法では厚い合板を土台の上にぺたっと載せますから基本的に平らでそこで作業する人は楽に動けるようになります。しかし、前回書いたように雨に対する弱点のほか、この合板に張られるものはすべて同じ厚みにしないと仕上がりに段差が出来てしまうことになります。
畳のような厚いものとフロアのような薄いものと一緒に張ればその差だけバリアフリーではなくなってしまいます。仕上げが平らになっていても当初の建て方を見ていない限りどこにマジックがあるのかわかりません。そこには畳を薄くしてしまい、さもバリアフリーにしているということが隠れているのですがそこまで見抜く力のある人はいません。
「見て決めている」という家の買い方をしている人はこういう失敗をすでにしてしまっているのです。
トップページへ戻る
コラム1154 2017年09月29日
見ただけではわからない
今まで巷で行なわれてきた家造りについてはとにかく早く仕上げてコストを下げる工夫がされてきました。
その結果、作業をしやすくすることが優先され、現場で加工することを極力減らしメーカー製の完成品をいれて簡単に組み立てられるようにしています。
現場作業では机上で決められた厳しい工程表のもと、雨で部材を濡らしてゆがみが出てしまっても完成を早めることが優先され、作業がどんどん進められるようになり本末転倒の家づくりとなってしまっています。
ただ、こういうことが行なわれている現場に頻繁に来ない建て主さんは当時の状況を知りませんから余程観察力のある人でもない限りどういう扱いをされていたのか想像もつきません。次から次へと資材が納入され現場があわただしく動いていると疑いすら持ちません。
建築現場には何度も足を運んだほうがいいと言われながらも現実としてそういう顧客はほとんどいませんから業者としては自分のやり方で都合よく進行できるわけです。要は仕上げさえきちんと見えていれば良いわけで引き渡してしまえば瑕疵以外のことなら裁判をやっても負けることはありません。
住宅建築の流れとして、まず展示場に行ってみることから始める建て主さんは相当な通でもない限り見ただけで良否が判別できる人はいません。そこは売る側もきちんと心得ていて「あなたは見て決めたのですから」という誘導をします。契約さえしてしまえば後はベルトコンベアに乗ったようなもの、良くも悪くも決められた着地点に行き着くだけです。
以前に、リフォーム相談を受けてお邪魔したお宅は和室に入った途端畳の感触が違いました。話の流れで部所別の適材はいろいろありましてねえという話になり畳のことについてもと話したら先方さんから実は以前の畳とこれの感触が違っていてと言われました。今はこれが標準みたいなものですよと言われその先が続きませんでしたと。
畳だけについてもこれですから何十種類とある住宅部材では絶望的な数に上ります。流れに任せて生活できる人ならいいですが大概は「言われてなかった」と不平不満が後からどんどん出てきます。とは言っても見て決めたのですからそれを後からひっくり返すことはほぼ不可能です。たとえ、裁判をやろうともほぼ負けます。
書面どおりに作っていれば第三者が判断するのはその書面ですから勝つということがいかに難しいかがわかると思います。
トップページへ戻る
コラム1153 2017年09月28日
省エネのための断熱義務化A
最小の労力で最大の効果を上げるというのはどこの世界にも通じることです。住宅分野においてもこの断熱という問題は同じことが問われると思います。
以前に、プリウスと燃費の関係を、生産して使用して廃棄するときまでの見地で判断しない地球規模の判断を誤ると書きましたが、住宅の断熱・気密化においても同じことだと思っています。
高性能窓・高性能壁あるいは床・屋根を含めてそれらを達成するために標準以上に費やしたエネルギーが、標準的な施工をして費やされたものに対してどれだけ多いのか、当たり前に暖房冷房をやって費やすエネルギーと比較してどれだけ有効的なのか。それらが今やることによってどれだけの貢献をするのかを数字で証明して説得しなければフェアではないはずです。
ところがそのような踏み込んだ数字の比較をしている行政も業者も見たことがありません。これでは何のために省エネをやるのかその意義の理解すら出来ないことになります。余計に先食いしたエネルギーが見込みの年月でもとがとれ、そこから先は充分な省エネになるという信頼できる数字があって初めて信じられるということになると思うのです。
しかしながら、使用される前には実に都合の良い数字ばかり並べられ欠点など皆無のような「良いこと尽くめ」の表現しかされていません。これでは専門家でもない消費者が正しい判断が出来るはずもありません。光と影の光ばかり見せて消費を煽るのは騙しの商売と同じです。
どんなに高性能な設備であっても無暖房で過ごせる家などありません。何らかの暖房・冷房装置が必要なのにその先の電気消費量・石油消費量だけをつかまえて多い少ないを論議して何になるというのでしょう。高気密・高断熱で余分に使ったエネルギーは忘れ去られてZEHと言われても納得できません。
以前にセルロースファイバーの建物をやったときには当初180万円の見積額が出ました。結果的には一部を変更して160万円で実行しましたが、これとて住宅の構造体金額をはるかに超えるものでした。そこまでしてもやりたいという建て主さんの希望がありましたから実行しましたが、全体見積りから言ったら相当な頭の切り替えが必要な内容です。
トップページへ戻る
コラム1152 2017年09月27日
省エネのための断熱義務化
2020年に義務化されると言われている住宅の断熱性能基準で、日本の住宅はますます大手志向の工業化が進んでいきます。S48年に起きたオイルショック以来、隙間は悪だと言われ続け、気密性を高めることが良い住宅だという概念を植え付けられています。
ここまで国が家の建て方をあれこれ言ってくると、確認申請という書類手続きを経ないことには家が建てられない現状としては国の方針以外の住宅はだんだん姿を消していくことになるでしょう。省エネの断熱化というと誰も良い事だと疑う人などいないと思いますが、本当に良い住宅なのでしょうか。
昔の建物は長期にわたって丈夫であり健康問題など出ていませんでした。ただ、隙間風が若干あり冬に寒いといった問題はありましたが150年、200年という長い間建ち続け解体するときも問題のある物質は殆どありませんでした。一方で今の住宅は使われている資材はハウスメーカーに都合の良い工業製品ばかりで揮発性の建材が多く、F☆☆☆☆製品であっても空気環境は最悪に近いものです。
解体時にも管理型の処分場へ搬入しなければならないものなどが多くとても難儀します。書類で問われるのは表面上のことばかり、優秀なのは気密性が良いことぐらいです。断熱効率をよくするには気密性能を高めることは大事なのですが、いまの基準はそのことによって別の問題が出てきてしまい、今度は強制的に換気しろという24時間換気を設置することにまでなっています。
推奨基準は数字ばかりが騒がれて実際に人間の肌で感じる心地よさなどどこにも問われていません。全体をマクロ的に見れば金をかけさせることばかり多くて基本的な素材の性質を生かすなどということはほとんど見えてきません。少しでも危険な資材なら使わせなければいいのにそれを使用禁止にはせずに別の策を持ち出してきます。
24時間換気と火災警報器などはその典型でしょう。そこには経済の混乱と停滞が生じることが隠れているから国としては税収減に直結するからやらないだけのことです。
生きている人間が快適に暮らせる家を造るというのは簡単なことで長年使われてきた資材・素材を継承すればいいだけのことです。実績のある素材を使って今の技術をプラスしていけば高度な高気密・高断熱の家が出来るのです。機械を動かさなければ生きていけないような家は異常です。そういう法律を作ってしまう国も異常です。
トップページへ戻る
コラム1151 2017年09月26日
ジョンレモン
オノヨーコといえばビートルズメンバーだったジョンレノンの奥さん。先日のネット情報によりますと、ポーランドのレモネード製造販売会社に弁護士を通じて抗議をしたそうです。事の次第はアイルランドの販売会社がレノンの顔を広告に利用したというもの。
商品名だけでも何かレノンをイメージしてしまいそうなのに、本人が出ていたらそれはもうれっきとしたパクリと言われても仕方ないところだと思います。このレモネード、英国のほか13カ国で売り出されていると言いますから数も相当なもののようです。
会社ではこれで裁判にでもなったら不利になるのは明白と見て、11月から商品名を変えて販売するとなったようです。しかし敵もさるもの、まったくの違う名前ではなく ON LEMON としたそうです。なるほど、これなら突っ込まれない。発音から言ってもジョが抜けただけで文字を見ればジョンレノンは連想しない・・。あっぱれです。座布団三枚!
外国の人って何かこういうジョークめいた表現が得意ですね。
トップページへ戻る
コラム1150 2017年09月21日
エコとCo2の先食いA
木材は自然界の中で育った「自然物」だからZEHの貢献しているという人がいます。別にその意見に対してイチャモンをつけるわけではありませんが、正確性を欠いていると思っています。
モノの言い方には「行なわれているすべての実体」を話して「他のものとの比較で言えば」と誘導するなら情報受信者側も正しい判断が出来ると思いますが、一部の実体だけ切り取って良いだの悪いだの言っても何の意味もないと思います。
これらCo2先食いのエコ・ゼロエネをいくら強調してみても後進国のもともと低いCo2消費地の人から言わせると「先進国のエゴ」としか見られないでしょう。
いま、中国ではエンジン式の自動車からEV電気自動車へ切り替えようという動きが出ています。これはエコ・とかゼロエネを実施しようというような気持ちではなく、単に空気環境が極端に悪化してきているからであり、健康問題が差し迫ってきているからに過ぎません。いずれにしても金魚鉢の中身が劣悪になってしまい自家中毒を起こす前に手を打たねばと思っているわけです。
それとは別に、本当に電気も充分にない教育も屋根のないような草葺日除け程度のような建物まで行かないような環境でやっている国から見るとエコという言葉自体が恥ずかしいと感じます。こういう思いをしている国と、すでに過去に栄華を享受し何事もなかったかのようにエコを声高に言っている国を比較したら、どちらがわがままかは一目瞭然です。
後進国の人が「地球温暖化はあんたたちがやったことだろう」「おれたちの責任ではないのだから勝手な言い分を言うのはやめろ」と言われれば返す言葉がありません。そう言われないためにも全世界の人が納得するようなエコの仕組みを説明実行していかなければいけないと思います。
木材だって、全製品が人工乾燥である必要はないのだし、ちょっと自然乾燥すれば大げさな機械を使って化石燃料を消費することもないのに、そこから出てきた製品を自然物のエコ商品だと力説することの必要性もないわけです。国だってグリン材は悪で乾燥品は良だというような考え方を捨てて、自然乾燥の場所と固定してしまう資金を補助してあげたほうがよほどエコなはずなのですがけしてそういう「形にならないもの」にはお金を出しません。
建築する業界全体も余裕を持って資材を乾かし供給していければ、ただ短期で早く乾燥させるだけのために油を大量消費することもないのです。ちょっとだけ乾くまでの時間を待つことが出来ればで何の設備も必要としない・・、これが一番のエコであるはずなのですが住宅を商品と言い始めたあたりから狂ってきたのでしょうかね。
トップページへ戻る
コラム1149 2017年09月20日
エコとCo2の先食い
近年、ZEHという文字が流行語みたいに使われていますが、私みたいなへそ曲がりにはこの言葉が詐欺のように聞こえます。特にこれらを「売り」にしているハウスメーカー(HM)は次世代の最新モデルとして営業の先頭に掲げています。
なぜ、詐欺のように聞こえるのかと言いますと、今までのように建てられた建物と、ZEHと言われる建物の性能の違う部分に対してスタートまでに消費された製造エネルギーの差がどれだけあり、またその先食いしたエネルギーが何年で元が取れるのか表示もないのにZEHと言われても納得が行かないと言うことなのです。
車で言えばプリウス(ハイブリッド)とエンジンだけの車があってその価格差と燃費の違いがどういう理由で何年でハイブリッド車に軍配が上がるとか明確な説明が出来ることが大前提だと思います。
太陽光発電であるならば製品価格と、得られる電気エネルギーの収入額の比較で、さらに修理費等を含めた維持費がどれだけエコ度に貢献するのかを比較したデータがまず提供されるべきであるはずです。発電パネルはタダで製造できるはずはありません。そこに消費された石油エネルギーはいくらだったのか輸送のために消費されたエネルギーはいくらだったのか、現場で取り付けられるとき解体されるときに消費されたエネルギーはどれだけだったのか。
そうして設置されてから稼ぎ出すまでのすべてのエネルギーを換算表示して初めてエコなのかどうかが比較できるスタート台にあがった状態であり、予想される期間を過ぎてみてやっとYES・NOの結果が出せるはずなのに、スタート時ですでに天下が取れたようなものの言い方がされており非常に不公平です。
現時点でも、特別なことはなく将来においても特にエネルギーを必要としないものであれば大賛成ですけれど、充分すぎるくらいのエネルギーを先食いしておいて「これぞZEH」はないと思います。地球温暖化という言葉も経済の活性化の余波でますます加速しているのがこの人たちには理解できていないのでしょう。
トップページへ戻る
コラム1148 2017年09月13日
仮登記だけでも
土地の権利(自分のものだという)主張をするには仮登記という方法があり、自分がこの土地を取得しますよという第三者への権利主張です。この仮登記をしたつぎの欄は空白となり自分が本登記したときに書き入れられるスペースとして確保されます。
悪意を持った売主などに二重売買されるのを防ぐ意味ももっています。この方法を利用すれば手付け程度のお金で現所有者または不動産業者に仮登記してもらい所有権表示甲区に自分の名前が載ってから正式に全額を払っても権利がほぼ確保されることから間違いない取引ができます。億からの今額であればこのくらいの慎重さが必要だったのでしょうけれど、だまされた積水にもほんのわずかなスキがあったのではないかと思います。
その積水は今期55億円の特損を計上すると発表しました。特損とは経理処理上営業行為以外で発生した損得を意味するものであり毎期発生するものではないという会計上の表現方法です。多店舗で多くの売上を稼いでいた店が店舗閉鎖するなどという場合も閉鎖費用などはこの特損扱いになります。
経理上の意味は別にして、権利の保全というのは金額が小さくても出来ることですから方法だけは知っておいたほうが断然有利です。ただ、これには登記費用が二度かかることになりますからそれがもったいないからと本登記で行なうというのも現実です。どちらが安全かを選ぶのは買い手の裁量です。
トップページへ戻る
コラム1147 2017年09月12日
触ると危険A
太陽光発電の受光パネルは光の当たる角度が直角のときが一番発電します。赤道上の国なら真上に向けておけば良いだけの話しですが、北緯36度ちょっとにある当地は年間平均の角度は55度くらいにしておかないと効率の良い照射角度になりません。
しかし、巷の設置角度を見てみるとどうもそこまでいっていないようです。現実的なことを考えると台風などの強風で煽られることを考慮しているのかもしれませんが、発電効率に影響が出ないはずはありません。
こういった設備は無人で運用されているのが普通ですので、余程、管理の人がきちんと見回りしていないと物理的損害を受ける可能性が出てきます。人間はドロボーのように故意に侵入する以外考えられませんが、動物は生活圏内の活動として当たり前のように入り込んできます。
いくら危険ですからと書かれていても理解が出来るはずはなく何の効果も期待できません。屋内なら少しくらいケーブルをかじられても接触しない限りショートしませんが、屋外ではそこに雨がかかったときなど危険極まりない状態になります。まして6600Vにつないでいる業務用ならなおさらです。
家庭用に載っているパネルも一枚当たりは240Wほどあるはずですから100V換算で考えても2.4A流れているわけですから無視できる数字ではありません。いずれにしても回路図もなしに取り扱うのは非常に危険であるので何があっても自分で処理しようなどとは考えずに業者に依頼するのが安全だと思います。
トップページへ戻る
コラム1146 2017年09月11日
今月の勉強会
季節の割には日照不足ぎみのお天気が続いていましたが、やっと平年並みになった感じがする日曜日でした。商工会議所でも今回は特に重なるイベントもなかったようで車をとめることにも余り苦労はしなかったようです。
周囲では稲刈りも始まったようで本格的な秋の収穫時期になってきました。そんな中、今月も勉強会を行ない18名の参加をいただきました。遠方よりお越しの方もいらっしゃり大変お疲れ様でした。
テーマは「設計の話し」ということで、専門知識は別として、家を考え出したときの初期行動の取り方、またどういうふうに流れを持って行ったらよいのか、どのように失敗を避けるか・・を業界の内側から見た意見をお話し致しました。
次回は10月8日に同じ部屋でおこないます。テーマは「工法の話し」です。
トップページへ戻る
コラム1145 2017年09月09日
触ると危険
あちらでもこちらでも設置されている太陽光発電パネルですが、今頃になって感電の危険性が言われ始めました。住宅の屋根に載っているものでも地震や災害で落下し人が触れる危険性があるのは小学生でも分かること。その名の通り、発電パネルなのですから光が当たれば電気を起こすのは当たり前のことです。
そういった「滅多にないことだが可能性はある」ことが身の回りには結構あります。私の事務所から100mも離れていないところにも350KW発電の業務用(売り専門)が設置されています。こういった発電設備には人間が直接触れて感電することがないように法律で電気的に遮断できる措置を取るようにしなければならないという決め事があります。人の背丈以上のフェンスが設置してあるのもこの規則があるからです。
住宅の屋根に載っている発電設備も通常ではそのような危険はないですが、上記のようなアクシデントが起これば住人の人が何の防護もしないで設備をいじることは大変危険なことであり、専門の業者に連絡して処置してもらったほうが安全です。カラスなどの鳥が電線にとまっていても感電しないのは他の線にまたいでいなからで羽や口ばしが他の線に触れれば一発でやられます。
人間がなぜ危険かというと、大概足は地面についていますから身体全体はゼロボルトの地球の一部と同じになります。そこへ発電している(つまり電位のある)設備に触るということはショート(短絡)させているのと同じことをやってしまうのです。いろいろな電気器具にはアース線が設置してありますが、あれは人間の導通抵抗よりも低くなっているから役に立つのであって、ちょっとでも人間のほうが電気を通しやすければ役に立ちません。
太陽光発電のケーブル線ドロボーの話を聞きますが、あれはなぜ夜なのかというと、夜は電気を発電していないからカッターでばっさりやっても感電死の心配はないのです。
トップページへ戻る
コラム1144 2017年09月08日
「地面師」A
いま、この勉強会の工事を主に担当してもらっている棟梁のところに、工事金の約9割を支払ってしまい、しかも工事進捗が2割ほどしか行なわれていない現場の相談が来ているといいます。いわゆる業者の倒産です。
以前にも書きましたが、これらの未完成建物は工事業者の所有物として扱われますので、建て主がいくら自分のものだと主張しても法的に通りません。裁判所から選ばれた管財人は破産者の残った財産をガラス張りにして、期日を決め債権者から届出された債権額をまとめその額に按分して分配しなければなりません。
建築中の家を放り出された上に処分が決まるまで手を出せないという何とも歯がゆい思いをさせられ一年以上も待たされると建て主さんは精神的にも参ってしまいます。当然のことながら、昨日今日突然に息の根が止まるわけではなく数ヶ月から数年かかってこういう事態になってきているはずなのですが、そこは経営者だってそんな顔はしないはずです。
そんな見方をすれば倒産だって局面的な成りすましみたいなものですから地面師と大して変わりません。進捗が2割ぐらいで支払いが9割ということは精神的苦痛まで計算したら全部騙されたに等しいでしょう。通常でしたらここで諦めということになるのでしょうが、この建て主さんはそれを乗り越え、工事の完成を棟梁に依頼してきました。資金的に続行できるだけのものが残っているからできることでしょうが非常に稀なケースです。
まだまだ世間の建て主さんはガードが甘いと言わざるを得ません。どんな理由であれ、進行状態よりもオーバーして支払うということは大きな危険を冒しているということです。最悪の状態を考えれば簡単に支払ってしまうことそのものが大きなミスです。土地の取引であろうが建物であろうが基本は同じことです。
登記するまでは非常に立場が弱いからこそ慎重になるべきなのです。
トップページへ戻る
コラム1143 2017年09月07日
「地面師」
なりすましという意味は、さも本人のように振る舞い相手を騙すことです。その人の身分を証明するものにパスポートや免許証あるいは住民票などがありますが、積水の場合はこれらの偽造はもとより取り巻きの関係者までニセ者が存在していたというから驚きです。
もともと本物の所有者の顔がわかっていれば何をやってもバレるのでしょうが、そういった人間関係が希薄な都会だからこそ出来てしまうのでしょう。近所づきあいをほとんどしない・本人にほとんど会ったことがない本当の近所の人で数人意外は本人を知らない、こういう条件が揃えば彼らの絶好の餌食になるようです。
住民登録でさえ役所に本人確認されても生体認証システムでもなければニセの身分証を提示して移されてしまいます。そこから先は印鑑証明の改印届出をされ実印が簡単にすり替わってしまいます。こうなれば相手はやりたい放題、大事な不動産はいとも簡単に売り飛ばされてしまいます。
所有者本人も驚くでしょうが買い手だってそれ以上でしょう。土地の場合は売主が裏金を要求する場合もあります。表面上は疑われない程度の取引額にしておいて実際の時価相場の差額を表に出さないやり方で取引するというものです。よく田舎の土地などで地価の安いところなどでは取引価格もあいまいで突っ込まれにくい条件もあることなどから、売り手の「表に出せない事情」で売られる土地にはこういうケースがあります。
いまではもう時効になっていますので書きますが
私のところの事務所の敷地の一部がそれに近い詐欺みたいな売買にあってしまっていたという恥ずかしい話。それはある本当の地主さんがいて、そのごく近い親戚(兄弟)が権利書と印鑑を持ち出しここの事務所の隣接の土地を売るからと持ちかけてきたのです。そこは自分の土地だからということでうちの父親も信じて売買契約をして権利書をもらってきちんと領収書も保管していました。
30年以上経ってからだと思いますが、相手側に相続が発生したとき、あるべきはずの権利書がないということになり、その関係した本人が問い詰められ白状してわかったのです。そのときにはこちらも敷地を少しづつ買い足してその一部には倉庫が建っていました。やらかした本人は金はとうの昔に使ってしまい、ほぼオケラ、その時点では返済能力もほとんどなし。
当家も親戚のやった恥だからおおっぴらには出来ない・・ということで、地元の有志を間に入れ三者協議をすることになり、結局はうちが当時の取引した額と現時点での相場との差額の折半ということで落ち着き、その所有権が無事父側に移ったというお粗末なお話しです。
こういった事例は、相手も田舎ゆえに甘い所もあり、父もお金を払って権利書を手にすれば自分のものになったと考えていたこと、法務局の登記が絶対的なものだと理解していなかったこと・・などがありました。今思えば田舎版地面師詐欺事件と言えるでしょう。
トップページへ戻る
コラム1142 2017年09月06日
おとり○○ A
住宅業界ではどうかと言うと、まったくないわけではないと思います。かなり前の話ですが、あるローコストビルダーの土地情報を見て契約した人が、実際は二区画あってAが良いと思って仮契約したのにBにされていたという話がありました。若いご夫婦でしたが、当時勉強会に参加されてそのことを相談されました。
自分たちは間違いなくAで選んだのに「解約するなら240万円支払ってください」と半ば脅されたと言います。「こういう場合はどうしたらいいのでしょう」と言われ、、こちらとしては納得できなければ裁判でも何でもやりますと言ってやりなさいと助言しました。
こういうケースは買主を甘く見ているような営業体質なのでややもすると「はったり」をかけてくることがあります。ちょっと気の弱い人だと「仕方ないか」と諦めてしまうことがあるので、この対応した営業マンも味をしめていたのでしょう。その人たちはその後、その土地はお金を支払うことなくとりやめ、まったく別のところの不動産業者で良い所をみつけ家を建てました。
危ういところで「準詐欺」みたいな取引に引き込まれそうになったケースですが、大なり小なりこういうことは起こると思います。いまでは個人的にネットで事実公表をすれば大衆が味方についてくれますが、それでもきちっとした証拠をつかんで公表しないと逆に訴えられることにもなりますから慎重にやらなければなりません。
最近あったニュースでは大手の積水ハウスが63億円もの土地がお金を払ったのに登記できないという「地面師」詐欺にあい、大きな話題になっています。大手だってコロリと騙されてしまう時代なのですから弱い立場の個人ならなおさら警戒しないと人生そのものが狂ってしまうことになります。
いくら忙しいからと言って、信用がおける人だからといって任せないこと。手付けには捨ててもいい諦められる金額で支払い、窓口立会いをやるか登記簿が出来てきてから残額を支払うという基本行動を忠実に行なうことでしょう。
トップページへ戻る
コラム1141 2017年09月05日
おとり○○
釣りならおとりアユ、警察ならおとり捜査となるのでしょうが、これが不動産の世界だと「おとり広告」となるのですね。いわゆる現実に存在しない物件をあるように見せておいて、客がついたら別の物件を勧めるというやり方です。
勧められるほうも地方から出てきたような人ならおとりに気付かないで契約してしまう人もいるのでしょうが、プロが見ればわかることなのでしょう。実際に福岡市のミニミニ福岡が初の行政処分を受けたと出ていました。これは一種の「騙し」でやり方としては褒められたことではありません。
あることないことを掲載して客引きしてというのは別の物件できちんと提供したとしても倫理上許されるものではないと思います。このミニミニ○○には20年ほど前、私も苦い経験をしております。たしか、息子の大学下宿を探して東京の八王子に行ったときでした。
大学内にあったこの業者の案内を見て何軒か候補を決めたとき、「この物件は何とかで・・」とか、「こちらは表示のほかにいくらいくらの費用がかかりまして・・」とか言われ、結局はあちらの勧める物件に案内され予定より高い出費を強いられそうになりました。どうも納得できずこちらに戻ってきてから断わりの電話を入れましたが、今思えばこの会社はこういうことが営業の常套手段だったのではないかと思います。
「今決めておかないとあとからはどんどん少なくなっていきます」と言われましたから、こちらとしてもせっかく東京まで出てきて出なおすのはなあと思い気持ちが焦っていました。それでも気分がすきっとせずに帰ってきてから断りを入れたというのは正解だったと思います。
結局、息子は学生課の紹介で同じ大学の卒業生のあとにその部屋に住めるように手配してもらい事なきを得ましたがこの手にひっかかるところでした。20年前でこれですからわからなきゃいいということでずっと続けていたのでしょう。何事もばれたら今まで以上にバッシングを受けると思うのですが目先のことがよければそれで行ってしまうのは個人の責任というより会社の問題だと思うのです。
セットもののミニ丼はいろいろ選べていいですがこのミニミニ○○だけはいただけません。嫌なものを思い出してしまいました。
トップページへ戻る
コラム1140 2017年09月04日
国家試験の様相B
試験難度という点から見て見ると、たしかに世界の試験状況も変わってきています。欧米でもモールスの実技試験はないと聞きますし、日本でもそれに追随したものと判断しても良いと思います。出力についてもほとんどの国で1アマクラスは1KWが標準みたいになっています。
これには無線機製造メーカーの品質が格段に良くなってきたことがあげられます。国の技術適合基準(技適)というものがあってこれに合格しているもの(200W以下)を使うのであれば特別な開局審査は要らないということになっていて、その適合番号を書いて申請するだけで許可がおります。
いちおう基本理論を知っていてメーカー製の機器を使うなら大きな混乱を招くということは少ないという理由なのでしょうが、その裏ではテレビを操作するような感覚で無線機も扱えるようにして末端の需要を増やしていくという狙いもあると思います。
もうひとつ、災害時に大きな威力を発揮するというのもこのアマチュア無線です。よく、ネット回線やテレビ電話などで災害発生時の訓練などをやっているのを見ますが、あれなどは電気が止まればイチコロでほとんど役に立ちません。メールだスマホだといっても所詮内臓バッテリーがあがればそれで終わり。
それは過去の経験からしっかり学んだはずなのですが、相変わらず行政はネットを利用して・・というレベルから脱していません。そういった理由からも大事な通信手段だということは一部の行政では理解しているようで、その意味もあってアマチュア無線の普及に力を入れている面があります。
私らが小学校の時代には4級(電話級)であっても講習会方式で受けられる制度はまだなく、国家試験(いわゆる一発試験)というものでした。私の場合は4級がこの制度の出来初めのころで水戸の竹隈公民館で講習を受けて従事者免許をとりました。このときは高校の文化祭の代休日に本試験をやったように記憶しています。この交付日はS42年となっています。
その後、S60年に3級(電信級)をとり、当時20Wだった出力がのちに50Wに格上げされ、けっこう楽しめる範囲が広がりました。たとえ20Wでも条件さえ良ければ地球の裏側と交信出来ましたからそこそこ楽しめたのです。でも、人間てやっているとちょっとその上を目指してみたいと言う気持ちが出てくるんですねえ、これが。
トップページへ戻る
コラム1139 2017年09月01日
国家試験の様相A
自分ではこれまで生きてきて国家資格なるものは運転免許を除くとこのアマチュア無線の従事者免許以外は取ったことがありませんでした。今回6月に取った陸上特殊無線の免許にしても一応プロとして使えるものではありますが、65歳を超えたじいさまには何の恩恵も期待できるものではないと自覚しております。
そうなるとこういう資格も自己満足でしかありませんが、それはそれなりに職業とは関係ない分野で興味を示しやりたいことをやれたという証しみたいなものだと思ってます。
しかし、アマチュアとは言えども、周波数と出力の違いはありますがdocomoやauと同じように電波を出すことをやっているわけですから、他の無線設備に障害や妨害を与えるものであってはいけないわけです。その意味からも一定の知識を持った人でないと社会的な混乱を引き起こすことにもなるので必要な資格だと思います。
そういう意味では携帯やスマホなども電波で通信しているものなのですが、これは一定の基準の下で製造者・販売者が認められた電波法令の中で許された範囲での使用可能な条件の中で運用するものとして認められたいわば規格品を使っていることになります。
アマチュアの世界では、今の電子技術状況から見るととても無線機自体を自作出来るようなレベルではなく、同じ機能を有するものを作ろうとすると食卓テーブルのうえにドンと載るくらいの馬鹿でかいものになってしまいますが、それでも(基準値内のものを作れるなら)自作が認められている世界があります。
私などは工業学校の出でもないし、とても自作できる力などもっていません。したがって、手を出せる範囲としてはアンテナの分野程度しかありませんが、それでも理論を理解していないと電波障害をばらまくようなものを作ってしまうことになります。
そのアンテナの分野にしても製造メーカーの至れり尽くせりの部品・商品があるためにその性能を上回るアンテナを作ることさえとても難しい環境になっています。結局はそういった他の人(メーカー)が作ったもので楽しむという傾向はますます増えており、そういう事情が今の試験方法も内容が変わっていく流れになっていることは間違いありません。
トップページへ戻る
コラム1138 2017年08月31日
国家試験の様相
昨日、一アマの合格ハガキが届き、さっそく従事者免許の申請を行ないました。これは無線局の免許とは違い私個人の生涯免許ですので一度取得してしまえば電波法・放送法で罰金・懲役刑を受け免許取り消しを受けない限り一生更新が必要ないものです。
地元の郵便局で1,750円分の印紙を買って申請台紙に貼り付け、試験番号と合格日を記載し、返信用封筒をいれて郵送するのですが、はたして、こちらに新免許が届くのは1ヵ月弱程度かかるもようです。
今回の試験を経験してみて、やはり一アマは難しかったということでしょうか。まだ今回の合格率までは発表されていませんが、前回の4月の試験では28%という結果が出ていますから10人の内7人は落ちているということであります。
これが4級3級というクラスであれば過去の問題だけ集中的にやっていればほぼ合格となるのでしょうけれども、やはり上級となるとそう簡単にはいきません。それでも、以前と比べると通信術の実技試験がなくなっただけ簡単だと言う人がいますが問題数がふえて以前より巾広い知識と計算力が必要となり狭き門には変わりないと思います。
出題傾向としては過去問題が多いと感じますが数字や問いかけ方が変わっていたりしているのでそっくり暗記していても基本理論が理解できていないと解けません。何度もこの試験を受けたわけではありませんが、傾向としたら過去問6割・新問2割・昔問2割というような配分で出しているような気がします。昔問と書いたのは今では半導体の時代なのに真空管の時代の問題が出たりするわけで区別しました。
前回受験した一級陸上特殊無線の問題では、マイクロ波の分野が主になっていますが、この世界はもうほとんどデジタルシステムを理解していないと解けない問題ばかりです。しかし、最近はアマの世界でもデジタル方式が主流になってきていて今回の試験でも関連した問題が出ましたから陸上特殊無線の試験を受けておいてプラスに働き有利になったことは間違いありません。
トップページへ戻る
コラム1137 2017年08月30日
お隣の火災現場
さる9日の朝、母屋から出火した南側の農家では、やっと解体作業の目途がついたのか、作業用の重機が運び込まれました。大型の運搬車からおろされた重機はバケットに鋏と称される部材を抱えて入口から中に入っていきました。ここまでじつに20日の日数が経っていました。
火事で焼け死んだ現場は「事件性の疑い」がなくなるまで一切手をつけてはいけないのだそうです。ということはその疑いはなくなったということで動き出したのだと思います。こちらでも後からですが現状そのままでずっと同じ姿を見てきたので早くきれいになってほしいと思っていました。
いままでにいた人が居なくなってしまうというのは実に寂しい気持ちです。病気なら少しは諦めもつきますが火災で・・となると、しかも一度外へ逃げ出せたのに、もう一度戻ってしまったという、助かったはずの命が・・と思うと何ともやりきれない気持ちです。
当家の住人がお二人とも亡くなってしまいましたのでこれから先どうなるのか見当もつきませんが、お二人のご冥福を心よりお祈りいたします。
トップページへ戻る
コラム1136 2017年08月29日
○○を越えるA
今朝はずいぶん騒がしかったですが落下物等がなかっただけでも幸いでした。論評もいろいろ飛び交っておりますが、万が一どこかに落ちた場合は相手がミサイルだけにどこにいても死ぬでしょうね。どこかの自治体では避難訓練をやったといいますがただ伏せるだけというのも説得力を欠くものと思います。
わずか十数分で2700kmも飛行する物体でJアラートが鳴ったときには頭の上を過ぎているようでしたし、頑丈な建物に避難する前に着弾してしまい、素人考えでもヘタに動かないほうが懸命であると実感しました。それにあの何とも伸びきった様な話し方の防災無線を何とかしてもらいたいです。
「ただいまあ・・、ミサイルがあ・・、発射された模様ですう・・、がんじょうな建物にい・・、いそいでえ・・避難してくださいい・・」まあ、聞き取れなくては意味がないということでゆっくりなのでしょうが、理解できた頃には一撃を喰らっています。特に高齢者などは動けないし、動いたほうが危険になってしまうのは目に見えています。
行政としては何も情報を出さなかったと言われるのがいやなのでしょうが、こればかりはどうしようもない事態ですので、瞬間的な情報だけを伝えればいいのだと思います。過去のJCOの事故も福島の原発事故のときも市民が的確に行動を取れるものではなかったですから。
トップページへ戻る
コラム1135 2017年08月26日
○○を越える
この言葉は全体的に良い評価をされるより悪い言い方をされるほうが多いですね。何事も限度はあるでしょうが、堤防の水位が越えても良いことではないし、二年前に起こった鬼怒川水系の氾濫で常総市の多くが被害を受けました。その後にも九州でも、そして今度は新潟・秋田です。
秋田の雄物川上流で起きた洪水もひどいようです。私がよく秋田へ仕入れに行くときにこの大曲という地区を通っていくのですが一帯は水田が広がった割りと平坦な土地が多いと感じるところです。花火で全国的に有名な所でもありますが、今日のニュースではその敷地がまるきり水没していました。
大量に降った雨は排水路・支流・本流と基幹水系に流れ出ていきますから、そこのどこがあふれても困ることになります。ここ数年の豪雨という言い方のほうが正しいような降りかただと日本全国どこで被害が起きても不思議ではなくなりました。
岐阜県中央道の土砂崩れは人災のようですが、どこを走っていても危険はつきまとうということを肝に命じておくべきでしょう。
トップページへ戻る
コラム1134 2017年08月25日
一線を越える
どうも今年の流行語大賞はこの言葉がリードしそうな気がします。別に人様の揚げ足をとるつもりはありませんがちょっと前に話題になった野々村君と今回の橋本君、どうもこの打出の小槌には陰の魅力がありすぎ、誘惑に負けてしまったようです。
やったことをやっていないということと、やっていないことをやったということの違いはさておいて、争われている点において違うことの証明をするのは大変なエネルギーを要します。自分は確かにチラシを印刷したと言ってもそのチラシがないし依頼したとされる印刷業者にも「知らない」と言われてしまうとどう振舞っても歩が悪くなります。
印刷業者にしても「どうしても断われなかった」というくらいなら、墓場までもって行けばいいものを、事が荒立てられると否定するところなんかは優柔不断といわれても仕方ないのではないかと思います。もともとやってもいないものをやったようにするということは税務署から突っ込まれてもツジツマが合うようにしていなければいけないものだし、課税認定されても握りつぶさなければならない立場だということです。
その裏で何かの見返りがあったかないのか忖度が存在したのか、それが出来ないようならカラ領収なんぞ切らなければ良いだけのこと。それは「あるからやった」という反対証明でもあるわけです。
我々零細企業は必要経費をどう抑えるかで悩んでいるのに、この人たちは紙っぺら一枚で何百万円というお金がひねり出せるのですから、この錬金術を知ったら絶対やめられないでしょうね。
別の一線を越える越えてないの論議は人間の恋愛問題ですから政治とは関係ないことです。そこをメディアもきちんと線を引いて「一線を越えない」ようにしないといけませんね。
トップページへ戻る
コラム1133 2017年08月17日
久々の国家試験
今年は「山の日」と土日、それにお盆休みをいれて、さらに大企業は今日と明日も加算して20日まで夏季休業を実施したせいで、それに関連する業種も右へならいした様子で、我が家の孫たちも保育園が20日までお休みになっていて家でエネルギーをもてあましています。
そんな中、家族のひんしゅくを買いながら8/13に第一級アマチュア無線技士の国家試験を受けてきました。前回、第二級の試験を受けたのが2013年でしたので4年経った受験ということになります。しかし、今年の2月に陸上特殊無線の試験を受けて(不合格)再度挑戦で6月に合格してますので、頭の刺激度はほどよい状態でしたのでこのまま行けるかなと思い今回の挑戦となりました。
試験は電波法規30問、無線工学30問で各5点で計150点満点で合格ラインはどちらも105点以上を取ること。一昔前は実技試験があり試験官の前で電鍵でトンツーの実技が必要だったときは、次回免除がありましたがいまはその実技がなくなったためなのか法規・工学同時合格でなければパスできなくなりました。試験官の注意事項説明の後一斉に開始となり、午前に法規2時間半、午後に工学2時間半の長い時間でした。
予想はしていましたが、案の定法規の1問目でカウンターパンチを食わされました。過去問題では出なかったタイプのマニアックな問題でした。相手はこれで出鼻をくじくつもりだったのでしょうね。そうはいくかとこの問題はおいといて気を取り直して次々とこなしていきました。ある一定の時間を過ぎると退室できるのですが両方とも30分以上時間をかけて充分見直ししました。
もうこれ以上やりようがないというまでねばって退室しましたが、一発目のカウンターが相当効いていて帰りの電車でも頭から離れませんでした。まあ、それでも自分なりに出来たなという感触はありましたが、家に帰ってからその表情を読まれたのか顔をあわせたとたん「だめだったの?」と言われてしまいました。まだまだ経験が浅い!
いまは実施日の2日後(夕方)にネット上で解答が出るために、私も問題に書き記した番号と照らし合わせてみました。結果は法規3問しくじり工学2問ペケで何とかライン突破。後は正式な合格通知のハガキが来ればOKとなりました。まだハガキが届くまでは喜べませんが、これで孫の面倒を見ながらの挑戦は一応達成しました。
トップページへ戻る
コラム1132 2017年08月10日
隣家火災
昨日の朝方、5時半頃、当事務所南側の隣家から出火、居宅と作業小屋をほぼ全焼しました。私は消防に勤める甥子から電話をもらいすぐに駆けつけましたがすでに二階は焼け落ち住人二人と連絡がとれていないとのことでした。
皆が心配して見守る中、約一時間後くらいにここのおばちゃんが玄関付近で見つかり、その一時間後くらいに奥から息子さんが見つかりました。一軒南側の人によれば、一度外へ逃げ出したおばちゃんが自分がもう一度消防に通報してくると家に電話をかけ戻ったらおばちゃんがいなかったと話していました。きっと息子さんを助けようとして家に入ってしまったのだと思います。
何時頃鎮火したのか覚えていませんが、お昼過ぎまで青白い煙は出続けており分団本署の消防車も引き揚げたのは夕方でした。私のところの駐車スペースが広かったので放水もここから行ない警察・鑑識の方の関係車両も最後に引き揚げたのが夕方6時過ぎになりました。
今も事務所の窓から焼け跡が見えるのですが、見慣れたおばちゃんの家が無残な姿になってしまい起こったことがまだ自分の頭に受け入れられていません。まさにドロボーは一背負い火事はすべて・・・でした。ここにお二人のご冥福をお祈りいたします。
なお、各方面の方よりご心配・お問合せいただきましたことを深く御礼申し上げます。
トップページへ戻る
コラム1131 2017年08月07日
8月の勉強会
今年は夜の寝苦しさがきついような気がするのですが年齢のせいでしょうか。それでもテレビでは39度を記録したとか聞くとここはまだ良いほうかと思ってしまいます。
さて、今月も暑い中ご参加いただきまして有難うございました。今回はお盆休みと重なる都合で一週早めて行ないました。事前申し込みの数では11名でしたのでプラスアルファの資料は用意したのですが実際は17名の方がおいでになりちょっとあわてました。
遠路よりご参加くださった方もいらっしゃり大変お疲れ様でした。今回は「業者の話し」ということで左官屋さんにきていただきました。現実では棟梁はじめ下職といわれる協力業者の方々が15種ほどおり、各自棟梁に指示のもとに現場に入り作業を黙々とこなしています。しかし、今の流れではこれらの業者の人たちに建て主さんが接する機会はほとんどありません。
しかし、家を建てるという行為の中では「顔が見えて作業をする」ということが非常に大事ですので、勉強会ではなるべくそういったチャンスを得られるようにスケジュールを組んでいます。呼び名は「下職」と言っていますが立場上ではりっぱな専門職の集まりです。これらのどの職種が欠けてもきちんとした家は出来ません。
専門屋さんだからこそ持っている現実の話を聞いていただくためにこのようなカリキュラムを組んでいるのでなるべく幅広く皆さんに参加していただきたいと思いながらやっています。また次回の順番には別の業種の方に出てもらえるようやっていきたいと思います。
たった2時間弱のお話でどこまで伝わるか不安な点はありますが、皆さんからすれば新鮮な情報として受け取ってもらえれば主催者として幸いです。
次回は9月10日に開く予定です。テーマは「設計」ということでお話ししますが難しい話は抜きで建て主さんとして何をどのように考えたらよいのかをお話ししたいと思います。お時間の許す方はまたご参加下さい。
トップページへ戻る
コラム1130 2017年08月03日
事務所荒らし
ここのところ、更新が滞ってしまいました。理由は事務所荒らしです。7月23日(土)朝、弟が事務所に出てきたところ、道路から死角となっていた事務所のガラスがドライバーのようなものを差し込んで割られ金目のものを物色されているのに気付きました。すぐさま警察に電話し、私も事務所に出てきましたが、引き出しはすべて荒らされ足の踏み場もないほど書類が散らばっておりました。
彼らは現金専門の完全なプロでした。書類等には一切目もくれず現金のみをかっさらっていきました。お店の釣銭用に使っていた五千円、千円と硬貨合わせて1万円ほどの被害がありました。店の奥には大きな金庫があり、それにもこじ開けようとした痕跡がありましたがバール程度では開かない堅牢なものでしたので未遂に終わりました。
ただ、大金庫の開閉レバーをかなり攻撃したようで引っ掛かりがなくなってクルクル状態になっていました。さて困った・・、会社の印鑑・小切手が入っているので仕事に支障が出てしまいます。そこで水戸の金庫やさんに電話して修理してもらうことにしました。いやあ、さすが専門屋さん、30分ほどで開錠、中身を確認して無事であることがわかりほっとしました。
古い金庫ですが部材は堅牢で金庫破りにあったらどこが破損しその先が保護されるかを計算したような作りでした。すべてが頑丈ではなくダメになるところがきちんと決まっていて肝心のロックは外れないようになっているなんてさすがだなと思いました。
以前も倉庫の奥に置いてあった買ったばかりの工具を数点盗まれたことがあり、、その後監視カメラを設置しておいたのですが、その肝心なレコーダー本体を持ち去られました。ヤツラは証拠隠滅を図ったのだと思います。警察が来て鑑識指紋検出や実況検分が行なわれましたけど手袋をしていたようで犯人はわからないでしょうね。
たぬきとキツネの騙しあいみたいですが、次回は一体どう出てくるのかそこへ網を張っておいて必ず捕まえてやると・・・。これからじっくり作戦をたてます。
トップページへ戻る
コラム1129 2017年07月12日
せっかくの新しい家なのに
震災後しばらく無人の家だったもと農家の建物が取り壊され、かなり広い面積だったので三区画にわけられ売り出されたところが部落内にありました。ほどなくして三区画とも家が建ったのでしたがいずれも地元業者ではなく名前の知らないビルダーでした。
まあ、それはそれで現実を象徴しているようなものですから別にどうでもよいのですが、その中の一軒が引っ越し以来草取りをしたことがないのかと思うほど庭の手入れがなされていないのです。別によそ様の家なので通りかかる私だけが気になっているのかもしれませんが・・・。
当初きれいに張られた芝が根づいて順調に見えていました。しかし、いつになってもその芝を刈る様子もなく、そのうちに雑草のほうが勢いを増してきて雑草の中に芝があるように見えてきて非常に道路沿いの光景としては見苦しい状態であります。一方で北側の家はきれいになっているので余計に比較してしまうので通るたびに状況を確認してしまいます。
ここの家の駐車スペースはきれいにコンクリートが打たれており3台とめられるようになっていますが常時2台が利用しています。そのうちの1台は見慣れないマークの車でした。先ほどネットで調べてみたら「某アメリカ車」というものでした。かなりの高級車に見えますが、それを引き立たせるのにわざわざ雑草を伸ばしているのかなと思うほど組み合わせが絶妙なのです。
トップページへ戻る
コラム1128 2017年07月10日
今月の勉強会
近頃のお天気は数十年に一度の・・という言葉がたびたび使われ「局地的大雨」が常態化しているような気がします。九州各地で被害にあわれた方々には心からお見舞い申し上げます。TVを見ていても目を覆いたくなるような流木が泥水と共に家にぶつかるのですからたまったものではありません。
その流木がまたきれいに皮がむけているのを見て家人が不思議だといっていました。私から見ればこれは木が盛んに成長している時期なので皮の下には新しい年輪の層が出来かかっているから簡単に濁流・砂利などにぶつかりながら流れてくるから皮がなくなってしまっているとわかるのですが、説明する気にもなれません。
当地では若干の雨はありますがこれほどひどい被害は出ておらず、他人事のようにしか見えません。同じ国なのにこれほど差が出ることに驚いています。
さて、今月も予定通り勉強会を開きました。テーマは予算の話しということで金額が出せるまでの書類の必要性・予算の練り直しの重要性、工事進行についての支払い比率のあり方など多岐にわたり心得ておくべきことを中心にお話しいたしました。参加は14名、遠方よりおいでの方もいらっしゃり大変お疲れ様でした。
特にここ半年あたりで私らが耳にした業者の倒産夜逃げが二件ほどあり、その被害にあわれた方から相談を受けた棟梁の話は切実な内容でした。また参加者の方からも「私の家もじつはスレスレセーフだったんです」というお話しも出るなど非常に現実味を感じられた勉強会になりました。
建て主さんもそれらの怪しげな空気を察知しながら良い業者を選ばなくてはならないわけですが、その方法がないわけではないので大変だと思いますが頑張って進んでいっていただきたいと思います。
来月は「お盆月」にもあたり、開催は第一週目の日曜日実施と致します。お間違えのないようご参加下さい。
トップページへ戻る
コラム1127 2017年07月04日
最近聞いた話
大工さんばかりではなくいわゆる建築業界のほとんどが元請先の下で動いています。最近この元請業者の競争激化・受注不振がもとで倒産・夜逃げがポツリポツリ起こっており他人事ではなくなってきました。
つい先日も名前だけは知っている大工さんが現場二つ分の手間をもらえず相手が行方不明になってしまったと聞きました。当然ながら当家の方もそれなりの被害にあわれていると想像できますが、なぜそのようになってしまうのかいつも釈然としないものを感じています。
破綻するというのは出と入りの計算が出来ていないほかにキャッシュフローも未熟だということであります。請負という言葉は簡単そうに見えて実際にはとても複雑な事務処理が必要なのですが、どうもそこの辺を軽くみているのか考えていないのか昔からの「どんぶり勘定」でやってしまうのか、いつまで経ってもなくなりません。
ちょっと前までは「腕はそこそこ、経理はまるっきりダメ」という人まで工事請負をやっていました。そういう人に限って儲かったら俺の腕、損したら世間が悪いというような考えで、高度成長の時期までは何とかやれてもそれ以後は暗闇飛行は長続きせず取引業者にしわ寄せを押し付けていました。
私のところにもそういう人が何人かおりましたが当然のように消滅していきました。しかし、なかにはよくよくずるい人がいて支払えるのに支払わない人もおりました。こういう人は私らに対して上から目線で「買ってやっている」というものの考え方をしています。まるで余裕が出来たら払ってやるという感じでした。
2011年の震災のときでした。いつものように催促に行くと作業小屋の先の土場にはこれから使うと見られる新品の瓦がパレットで10山以上置いてありました。私もその異様な光景を見て思わず口に出してしまいました。「こんな金があるならなぜ二年近くも俺らに支払わないんだ」「そっちがその気ならこっちにも考えがある」と言い放ち、毎日動かすトラックの差し押さえをしてやりました。
あちらもそこまでするとは思わなかったのでしょう「弁護士に相談する」と言いましたが、「そんなものいくらやっても無駄だ、こっちの筋のほうが通っているんだから費用がかかるだけだわ」と言ってやりました。結局は数日後に全額持って来ましたが私はそのとき留守だったので最後の捨て台詞を言えませんでした。
まだこの場合は回収できたからよかったですが、逃げられてしまっては可能性ゼロです。人間性は大事ですね。
トップページへ戻る
コラム1126 2017年06月30日
PCのホコリA
昔の電算室はクリーンルームのようにホコリ禁止でした。いまではPC自体が密閉度が高く、特にHDDなどはチリひとつ入らないような高密閉度の箱になっています。それでもたくさんのパーツがぎっしり並んでいるのでそれらへの影響がかなり出てしまったものと思います。
こういった電子部品の塊は熱発生器みたいなものでもありますので温度が高くなると部品性能が狂ってしまい、暴走を起こすことにもなるということで要注意です。今回の症状でそのことが良く理解できました。よくよく考えるとここの部屋は薪ストーブを焚いておりましたから、そのススがかなり入り込んでいたものと思います。
ススは炭素(カーボン)ですから、湿気を吸うと電気が導通してしまい回路を狂わせてしまうのだと思います。一般のホコリよりもその点では注意をすべきでした。まあ何とか壊れる前に掃除がされたということで一命を取りとめたのかもしれません。文字変換時間が遅いのはその後遺症かも知れませんので気を長くして使うようにしましょう。
とりあえずは「冷却ファンが頻繁に作動するようだったら要注意」ということで様子見でいきます。
トップページへ戻る
コラム1125 2017年06月29日
PCのホコリ
最近、このコラムを書いているアップ用PCが超スローな動きになってきて、作業に支障が出てきました。特にいろいろなアプリを溜め込んでいるわけでもないのに冷却ファンが大きな音で回り始めたり文字変換が極端に遅くなったりとイライラしています。おまけに画面までふいに暗くなったり明るく戻ったりして動作が怪しくなってきました。
精密機械なだけに昔のラジオみたいに中をあけて修理できれば・・なんてマネはとても出来ないので、せめてホコリくらいは取り除いてやるかと結線をはずし函体を外へ持ち出しブロアで一吹きしました。いやいや、こんな箱の中でもホコリってよくも入り込んで積もるものです。風量もかなりのものですが吹き飛ばしたホコリを見てなるほどと感心したくらいたまっていました。
やった掃除といえばそれだけなのですが、画面の不安定さはなくなりました。うなりをあげて回るファンも以前のように戻りました。文字入力の変換時間はだいぶ短くなってきましたが、それでもストレスはたまりますが以前と比べれば違うのがわかります。
このPCはこの後に買ったPCが2011年と本体に書いてありますから間違いなく8年は動いているはずです。それを考えれば良く耐えていると思いますが年数的にはいつダメになってもおかしくないくらいです。でも、使い慣れているものってなかなか手離せないし、今別の機種に換えるとしたらまた勝手がわからず難儀しますから多少のことはガマンしてダメになるまでと思っています。
そうはいってもHPの原簿(主データ)はみんなここに入っていますし、移すといってもすでにXPはなくなっているし、セブンでは互換性がなく受け付けてくれないし・・・悩みは大きいです。ああ〜神様、今度からもっとマメに掃除しますからもう少し働いてください。
トップページへ戻る
コラム1124 2017年06月28日
大手の某ビルダー
住宅を商業ビジネスと考えている人たちは当期売上と翌期の業績アップに命をかけます。別にそのことが悪いということではないのですが、住宅に関してはついて回る「目利き」というものがあり、そう簡単ではありません。
この目利きというのは形には表れていないので表現が難しいですが、要は密接な心遣いということになります。建て主さんとしては現場の大工さんよりも現場監督のほうが近い存在です。設計の段階でかなり話を詰めたとしてもそれは紙の上での話しですので現場に立ってみると感じることがずいぶん違います。
一軒につき一人の監督でさえ100%建て主さんの思いをくみ取ることは難しいのに、それを11軒も受け持たされたら気が回らなくなるのは当然のことだと思います。しかし、大手の某ビルダーはそういうぎゅうぎゅう詰めの中で仕事をさせていると聞きます。これでは希薄にならないほうがおかしいです。
通常、現場で働いているのは大工さんですが、今は手間請けで働くだけの現場作業員です。命令指示するのは現場監督になってしまって、材料の手配などはすべて監督を通して行なわれます。たまに建て主さんが現場に来ても大工さんは勝手にモノを言ってはいけないように止められています。
良かれと思って「こうしたほうがいいよ」などと言おうものなら監督からお目玉を喰らいます。現場を仕切っているのは監督であり住宅会社のほうであり取り決めをするのもすべてそちらだからです。そんなわけで完全組織化された家つくりでは図面以上のものは出来ないようになっていて、ほとんど現場にいない監督のもとで家つくりが進んでいきます。
こういう世界では書類上で決められたチェックの要らない工業製品が重宝されます。電話一本で資材の手配が出来るため、手薄になりがちな監督としてはありがたい存在になっています。建て主さんもそのことには気づいていないのできれいに見えて早くてよいという評価をしています。
本当はそんなものではないのですけれどねえ。
トップページへ戻る
コラム1123 2017年06月27日
ひとり劇団終了
ここ1,2週間「この〜ハゲェ・・・」で有名になってしまった豊田真由子氏の一人劇団も政治家特有の「入院」で幕がひかれてしまった感がありますが、その一流と言われる経歴学歴が特に味を引き立たせてしまったようです。
いまや街中には防犯カメラ、車にはドライブレコーダ、会話にはICレコーダと記録媒体が小型化してきたおかげで何でも後からわかってしまうようになりました。それにしても離党届と入院は素早かったですね。自民党も都議会選挙がかかっていたし出ていられると良いことはないと即断したのでしょう。
こういう事件が明るみに出るまで私はこの人を知りませんでした。まあ、茨城県の国会議員でさえ当地区の方以外はほとんど知りませんから当然なのですが。男女平等の世界になってから女性の活躍は目覚しいものがありますが、中には男気性のほうがぴったりしてる方もいるんですねえ。
怒るということはそれなりの理由があったと思うのですが、それでもきちんとした教育を受けた大人ですから、いくら仕事上のミスをしたと言っても他人である人に対して叱りつける言葉ではないですね。特に身体的特徴を言って罵りに近い言葉を発するのはNGでしょう。
特に「ハゲ」、「ハゲ」はいけません。男の方だってなりたくってなっているわけではないんですから。
トップページへ戻る
コラム1122 2017年06月26日
とりあえずは合格A
このゆりかもめという乗り物も今では年数が経ってしまってお世辞にも新しいとは言えなくなってきました。車輪も鉄ではなくゴム製のノーパンクタイヤみたいな乗り心地であまり良いとはいえません。建物は別として付帯物などの消耗もあるようで、今回行った時にはメインのエスカレーターが修理中で係員が別の出口へ誘導していました。
その工事の箇所で新人の研修のようなものが行なわれており、ヘルメットをかぶった大学卒の真新しい人たちが説明をする人のほうを向いて真剣に聞き入っていました。6月中ごろになっても研修が続くのかと脇目で見ながら誘導員の指示に従って出口に向かいました。
乗客の9割はビックサイトへ吸い込まれていきますが、その残りの約一割の人が左方向へ流れて行きます。このファッションタウンビル3Fにはあの有名な大塚家具が入っており、リッチに見える家族連れなどがエスカレーターにのって入店していくのが眺められます。
この建物はちょうど茨城県庁のように真ん中が空いていてお昼になると天辺から水が滝のように落ちてきて驚かされます。と言っても、落ちるスペースは柵で囲まれていて来客にはかからないようになっていますが、初めて訪れた人はちょっとびっくりするでしょう。
駅を降りたところが2Fなのでこの階に飲食店などが集中しています。本屋さん、SUKIYA、モスバーガー、飲み物専門店、うどんやさん、昼は食事、夜は居酒屋さんの店、などなどかなりの店舗数で結構賑わっていました。そのへんはさすが東京です。茨城なら客不足で一年くらいで閉店でしょう。
前回はうどんでツルッとこけましたから今回はカツカレーで行こうと思ってお店に入ったのですが、カキフライカレーがあったので肉よりは良いかと思って変更しました。でも、こういうところのカキフライっておいしくないです。何か味が違うんですよね。やはりこういうものは田舎の食堂に限ります。ま、試験がうまくいったからいいか。
トップページへ戻る
コラム1121 2017年06月23日
とりあえずは合格
前回、二月に受験した第一級陸上特殊無線技士は見事に電波法規をしくじり不合格でしたが、今月にもう一度チャレンジして来ました。苦手な暗記しかない法規ですが、今回は自分なりに工夫し出題者ならどんな所を出そうとするのかまで予測しながら覚えるようにしました。
試験は今回も同じく国際展示場前のファッションタウンビルで行なわれました。この手の試験はほとんどここみたいです。新橋から出ているゆりかもめで移動するのですが直線で行けばすぐのところを遊園地のコースターみたいに右へ左へくるっと回って橋を渡ってまたまた右左とタクシーなら訴えられそうな距離を走ります。
開始時間は前回と同じ13時からでしたので早めのお昼を済ませ30分前には会場へ入りました。どんな人が受験するのかと思えば、これはアマチュア無線の試験と違ってこれはプロの資格ですので現役の現場の人たちが多いのが特徴です。レーダーとか多重無線とか防災・タクシーの範疇なども入り、警官から携帯電話・スマホなどの民間通信事業の人など、年齢も若く私のようなじいさまは極端に少なかったですね。
このような資格を取ったからといって私などに就職の声がかかるわけでもないのですが、受験するに当たって年齢制限はなかったし、マイクロ波の世界も結構興味があったので勉強しておいても損はないかなといった不純な考えからでした。過去の試験問題集を見てもアマチュアの短波の領域とはちょっと違った性質を持つ世界であることがわかり、デジタルの理解をするにも大変参考になりました。
一度ペケになっているので二度ダメだったらアホと言われますから今回は深く勉強しました。お蔭様で法規は満点(12問)、無線工学は一問だけ間違い(24問中)ということでネットに掲載される解答の照らし合わせをしたところ、試験についてはほぼ合格であろうということがわかりました。マークシート方式なので万が一試験番号とか記入順番を間違っていない限り大丈夫であろうと思っています。
合格通知のハガキは7月上旬に郵送の予定だといっておりましたから10日ぐらいまでにはこちらに着くものと思います。この無線技士資格は一度取ってしまえば終身有効ですので書き換えの必要はありません。ただし、住所は書かれていないので身分証明にはなりません。結婚して姓が変わるとか法的な名前の変更がない限り訂正の必要がありません。
さて、次なる挑戦は第一級アマチュア無線技士です。
トップページへ戻る
コラム1120 2017年06月21日
またまた、今度は「ご注進」
今回の加計・森友合同劇場はケツに火がついた「逃げ回るネズミ」のごとく、観客からは次はどんな役者が飛び出てくるのか、最後のオチはどうなるのか、まことに目の離せない展開となってきました。
またこの劇場は、我々庶民ではあまり使わないようなお言葉がポンポンと出てきて「う〜ん、なるほど」と感心させられます。これほどのストーリーは並みの脚本家では作れないだろうというくらいレベルの低さを露呈していますが役者のほうで充分すぎるくらいのカバーがされておりプレミアムタイムでも充分通用するのではないかという評価を得られると思います。
忖度という意味も曖昧でしたがご注進も同じでしたので辞書で調べてみましたら「ことの終始を上司に注進すること」「事件を書き記して上申する」となっていました。悪く言えばスパイ、よく言えば忠誠心の強い部下、忖度と同じように「このようにしたほうが上司(あるいは相手)のためになるのではないか」というこの詐欺のはびこる世の中での行ないとしては表彰ものの行為であります。
少なくとも忖度などと言う気持ちがあるのなら誰のためかをもう一度頭の中で考え直して欲しいと思います。四月に行なう入省式には「これからは国民のため公僕として働くつもりです」と言う人のコメントを良く聞きます。しかし、これから先、何年後に「組織のために・・」という意識に変わっていくのかをそのときに感じてしまう自分は心が寂しい人間なのでしょうか。
特捜も国会があろうがなかろうが怪しいと思ったらすぐ動けばいいものを・・・。それも忖度か・・・。
トップページへ戻る
コラム1119 2017年06月19日
今月の勉強会
梅雨に入って雨らしい雨が降りませんでしたが、やっとそれらしいお天気になってきました。事務所の周囲の畑では植えつけられたイモ苗がシナシナになっていましたがこれでやっと生気を取り戻したように見えます。
さて、今月はいつもと違って一週遅れになりましたが定例の勉強会を開きました。参加は11名、遠方よりお越しの方もいらっしゃり、大変お疲れ様でした。今回のテーマは「素材」ということで、普段納材している側の者として建築業界を内側から見て「違和感を持っていること」など2時間たっぷりとお話しさせていただきました。
来月は通常の第二週目に開催を予定しておりますのでみなさんお時間の許す方はぜひご参加下さい。
トップページへ戻る
コラム1118 2017年06月16日
ご意向と忖度
最近の国会はサスペンスドラマより面白そうな様相になってきましたが、演技力は役者さんの足元にも及ばないくらい低レベルで見るに堪えません。
特別室の中に入るためには基本的に票がモノを言いますが、その後押しに協力してくれた方々に恩義を感じ、その見返りに良い思いもさせてあげなければいけないという「涙が出るくらい義理人情に熱い行為」に対して本来ならば褒められるはずのものだと思います。
私ら平民には個人的なものならば個人のお金でお礼をするあるいはお金以外、別の形で義理を返すということをしますが、これを会社の金を使ってやるような行為は背任とみなされるわけです。しかし、この方たちには別のお考えがあるようで、内部から「ちょっとこれはいけないことじゃあないんですか」と言われると出る釘を打ち込んでしまえる万能カナヅチを持っているようです。
組織内で潰せるうちはフル活用するんでしょうけれども、そこは国も奨励したIT機器の発展で誰でも情報発信できる時代になり、足元からすくわれるようなことも起こせることに気付いてテロ防止法にひっかけた都合の良い法案を通そうとしているのではないかと思われるようなことになっているようにさえ見えます。
国民も馬鹿じゃあないですから全体ストーリーを想像することくらいはできます。報道を見るかぎりどう甘く判断してみても9割以上クロであろうと思われることでも、紙に書いた内容を間違えないように言うための発言みたいにしか見えないことを繰り返しているのは涙ぐましい努力であると評価できます。
ご意向と忖度の意味を間違うと大変なことになります。何事もほどほどに・・・なんてやっていると総スカンを食わされますからここは腹をくくって白黒つけていただきましょう。 今回だけは「野党ガンバレ!!」
トップページへ戻る
コラム1117 2017年06月13日
氷山の一角
ここのところ、福島原発除染作業の不正が明るみになり、安藤ハザマの株が安値をつけているようです。建設業界の力関係と言うのか、大手が下請けに対して過大な費用を支出したように見せかける手口は今も根強く残っており、元請・下請けの関係がなくならない限りこの手の不正はなくならないと思います。
費用の水増しというのは、自分は利益が減少するけれども相手はその分だけ儲かったことになってしまいますから、その先の税務処理が問題となってきます。そのまま何もしなければ差額分はそっくり利益になるので、財務状況に合わせた税率がかかってくることになります。
それではもらってもいない金額のために自分の会社が国に税金を払うことになるので方々から領収書をかき集めてツジツマを合わせようとします。しかしそれにも限度があり下請け自体にも孫請けに分担させたりしてシワをのばそうとします。
合わなくなったツジツマは下請けを駆け巡りますが、良い思いは元請がするだけで何の利益もありません。従わなければ無言で仕事を切られるという恐怖観念があるからで王様と奴隷の関係は奴隷が反逆しない限りはなくなりません。
問題は水増ししたお金がどこへ行くのかということで、わかりきった答えしかありません。今回のことはよほど下請けが腹にすえかねたのか時代が変わってきたのかわかりませんが対応し切れなかったからだと思います。特に除染という人の不幸を取り除くための行為にあってこのようなことが明るみに出たことは重罰に値すると思います。
一番罰せられるべきは「悪」を要求した元請でしょう。
よその世界ではありますがツブの小さい我が建築業界も似たようなことがあります。自分の仕事がなくなった現在の職人さんはビルダーの言いなりで仕事をするようになりました。。続けて仕事をもらうために監督にとりいって飲み食いをさせている・・という話しもききます。
なかにはあからさまに「今日、空いているけど・・」と向うから要求してくる人もいるそうです。この世界にも忖度はしっかりと生きています。
トップページへ戻る
コラム1116 2017年05月29日
トイレデビュー
大阪から孫たちが引っ越してきて2年8ヶ月経ち、当時4ヶ月だった一番小さいも孫も3歳になりました。2月頃に2回ほど「うんこ出る・・」と教えたもののその後またオムツにしてしまう日々でした。それがやっとここ二週間ほど「トイレ行ってうんこする・・」と言うようになり本物になってきました。
動きも活発になりオムツだと蒸れるみたいで、冬よりも痒くて寝ながらもボリボリやっていました。去年の夏は汗疹でひどかったので今年は何とかパンツになれるかなと期待しています。トイレで排便できるとアンパンマンのシールを貼るのが楽しみで「今日はおおきいやつ貼る」とか言って喜んでいます。
成長するのは喜ばしいのですが、いたずらも増えてきます。小さな部屋だけに手が届くのでトイレットペーパーはクルクル回すし、飾ってあるものは落とすし、収納の扉は磁石式で面白いらしく必ず押して開けてしまいます。最近は二つあるトイレの手洗いのあるほうに入りたがり終わったらそこで手を洗うと言ってききません。
身長も結構伸びてきてやっとスイッチに手が届くようになり、あちこちのスイッチをいたずらします。なんでこんなところが点いているのかなと思うとおチビの仕業だったりします。
まだまだ寝るときだけはオムツが続くと思いますが、けっこう夜中にお漏らしすることが少なくなって朝になってもまったく濡れていないことが多くなりました。そろそろ夜もパンツかなと言われますが、何しろ寝ているのは私のとなりなもので、果たしてやらかしたときオネショパッドだけで済むかどうか。
まだまだ心配な日々は続きます。
トップページへ戻る
コラム1115 2017年05月23日
消費エネルギー
人間の食というのは、脳ミソの考えている必要量と、現実に体を維持していける量には隔たりがあると感じているのですが、どうも脳の考えが優先してしまい結果として「食べすぎ」になっています。
若い頃ですと多少の筋肉もあり、代謝作用もあり何とかなっていましたが、年金需給の年齢を過ぎると途端に能力が落ち始め貯筋ならぬ貯脂状態に移っていきます。問題は脳がその現実を認識していないことです。自分の管理が出来ないものは他人の管理も出来ないと会社では言われますがまさにその状態です。
使わない筋肉は一週間で退化すると言われていますが、ついた脂肪は一年かけないととれません。それは孫たちを面倒見るようになってプール通いが出来なくなり順調に体調維持できていたものが最近はジリジリと腹のまわりに脂肪がついてきて以前の状態に戻ってしまっています。
消費するエネルギーが小さくなったのなら入力エネルギーも減らせばよいものを、目の前の食べ物につい手が行ってしまいその難しさに悩む毎日です。食べるものが余り豊富でなかった小さい頃とは180度違う経験をこの歳になって経験しようとは・・・。
傍らで孫たちがむしゃむしゃおやつを食べているとつい自分も手を出してしまう気の弱さ・・・、何とか克服せねば。
トップページへ戻る
コラム1114 2017年05月15日
今月の勉強会
周囲では田んぼに水が引かれ、早いところでは田植えが行なわれた場所もあります。個人的な感じですが平年よりも一週間くらい遅く作業がスタートしたような気がするのですがどうでしょうか。
さて、昨日は、予定通り5月の勉強会を開催いたしました。参加は18名、遠方よりお越しの方もいらっしゃりお疲れ様でした。今回のテーマは「工法」ということで、今街中ではどのように住宅が建築されているのか情報として出て来ない「知っておくべき重要事項」を重点的にお話しいたしました。
工法とそれに使われる資材は建て主さんの知らないところでどんどん変化していっています。それが必ずしも建て主さんの希望に沿っていないものであることが多くあり、やがて知らされる「重いツケ」となってジワーッと押し寄せてくるのです。「知っていればやらなかった」という過去形で悔やまないように前準備として現実を知るということを勉強する必要があるのです。
はたして、参加された方にどのくらい受け入れられたかわかりませんが、危険性があるということは理解できたのではないでしょうか。
次回はその工法に使われる資材のことについてお話しする予定です。またお時間の許す方は是非ご参加下さい。
トップページへ戻る
コラム1113 2017年05月12日
トレンドを追いかける住宅A
前述のほか、珪藻土・高気密高断熱・床暖房・外断熱・蔵のある家・ゼロエネ・長期優良・・数えたら両方の指では足りないくらい「住宅の売り」は強調されてきました。
住宅は経済指標を示すときに金額が大きいのでとても大きな影響力を持ちます。国の税制優遇策にも必ずといってよいほど住宅に関する軽減策が盛り込まれます。これらも住宅会社によっては「売り」に利用されます。相続税率のアップは逆にアパート建設の過熱を招きましたが、これらを取り込む民間力はすごいと思います。
太陽光発電はすでに旨みが薄れてしまったので滅多に見ることはなくなりましたが、耐震・制震は根強くPRされています。鉄骨・RCをのぞいて木造と言われるものはその9割以上が機械加工になっています。素材の適・不適は別として、これらの木材組み上げは大工さんの手加工との比較では肩を並べるには至っていません。
その決定的な要因はホゾの長さの違いです。プレカットと聞くと正確な加工とかイメージが浮かびますがこのホゾの長さで比較すれば未経験者であってもどちらが良いのかは判断がつきます。行政は補足金物でOKとか言っていますが、誰が考えても薄っぺらい金属板に釘・ビスで留め付けても地震で揺らされるテコの力学を考えたらそれが頼りにならないことはわかるはずです。
でも、行政は数字でツジツマが合えばそれでOKを出してしまいますから業者は水戸黄門の印籠をもらったみたいに胸張って使います。私らからみればそういう部分は建ててしまえば見えなくなってしまう場所なので地震後の検証すら出来ないのによく認めるなと思います。
今の住宅は行政の「認め」がないと何も前に進みません。その認めが出るには大金をかけて計測をし的確な数字を表示できないと認めに至りません。町場の大工さんなどいくら木組みのほうが良いと主張してもそんな真似はできませんから結局は「お上」の認めた方法に従わざるを得なくなってきます。
何か地震や事故があるとそのたびにマスコミ・民衆は行政もっと監視すべきだと言います。しかし、肝心のその行政が木造住宅の「木」に対して知識が足りないのですから的確な判断が出来ないのは当たり前といえます。建築確認に関しては金物指定には事細かく決め事が並んでいますが、土台には何を使えとか何がダメだとかの指定はまったくありません。
だから効率優先・儲け優先の住宅会社は、我々から見たら不適であると思われるような材を簡単に使ってしまうことが出来るのです。
トップページへ戻る
コラム1112 2017年05月09日
トレンドを追いかける住宅
前項にも書きましたが、今の住宅はいかに「我が売り」を強調するか競い合っています。古いものでは太陽熱温水器がありました。これなどは設置したほとんどの人が「もとがとれなかった」と言っています。当時は万能のように言われていたものですが実際に経験してみるとさほどのものではなかったと言うことです。
いまの太陽光発電も同じだと思っています。いつでもそうですけれど、最初に騒がれるときには情報として出てこなければいけない負の部分が必ずあるのにそれがほとんど言われていない・・ということがトレンド商品の共通点でしょうか。
太陽熱のときは(熱媒体というものがありましたが)実質、水という物質が主役で単純でしたが、太陽光発電は電気が主役です。電気をコントロールするということは見えないものを扱うということでもあり、その道にある程度理解がないとトラブルを起こしたときに自分でどう処置したらよいのかの判断が出来ず、結局は最初から専門屋さんに扱ってもらわないとお手上げになります。
そうなると何があっても管理する人の思うがままに動かなければなりません。別にそのことが悪いといっているのではなく、所有者としての「投資と得られる利益」の面で設置したはずなのに「想定」から大きくかけ離れてしまうわけで何のために投資したのかということがぼやけてしまいます。
すでにメガソーラーは国からハシゴを外された状態になっています。これで国策として原子力発電が徐々に復活していくと益々需給関係は「電気の余り状態」になって、比較的コストの高いものは排除されていく方向へ向かいます。それでもまだ太陽光をセットした住宅を売りにしている会社はありますが、少数派になり、やがて消えていくものと思います。
コストコストと気遣い、合板と集成材で固めた家で屋根に太陽光発電が載っていたりすると、この人の家造りって何だったのかと頭をかしげてしまいます。
トップページへ戻る
コラム1111 2017年05月08日
電気の世界A
通常の100Vで動作する電気製品は変圧器で電圧を下げたものを使っていますが、最近は200V仕様の製品も出てきており多様化しています。代表的なのは
IH電磁調理器と浴室の乾燥機能付換気扇や強力エアコンでしょうか。
これらの機器が単相3線方式で動かせるというのも電気というものは便利だなと思います。ただ最近気になるのが一般家庭の中の電気製品から発生する「人工ノイズ」です。携帯ラジオをつけてみるとわかるのですがパソコンや照明器具などから出ているノイズが障害とまではいかなくとも結構気になるのです。
なかでも知らないうちに進化?しているインバーターという言葉ですが、これは電気の周波数を任意にコントロール出来る機器ということでモーターのスピードを変えたり照明の明るさを変えたり出来るもので非常に便利ですが雑音のもとにもなっています。
近年はあちこちで見られる太陽光発電も雑音の発生源です。直接人間の耳に聞こえるような雑音ではないので表立っては問題になっていませんが、電気保安協会の人の話では各地で高調波問題が出ているそうです。これらの設備は一般家庭と違って発電量が大きいこと、したがってこれらの商用電源への影響はかなり大きく、出てはいけない「高調波の悪さ」でブレーカーが落ちてしまうという現象が起きるそうです。
そういえば、電磁波を遮断する「アース住宅」とかいうものがありましたが、いまはさっぱり聞かなくなりました。
これは家全体を金属のような導体で囲んでしまって、外から来る電磁波(つまり電波)から身を守るというものです。まあ、考え方としてはわからないこともないですが、電磁波からのがれて生活をするということは非常に難しいのではないかと考えます。
アメリカ北東部のアーミッシュのような生活をするならともかく、携帯もスマホも電気製品も使わず・・という生活が出来るかというと実質的に無理だと思います。すべての便利さを捨てずに都合よく電磁波から逃れることは今では不可能といえます。
電子レンジでお湯が沸くのですから電磁波障害を否定はしませんが、極端に家をアースしたからといって解決するレベルではないと思うのです。マイナスイオン、水素水も似たような類だと思っています。
トップページへ戻る
コラム1110 2017年05月02日
電気の世界
毎日お世話になっている電気なのに意外と知らないことが多いと感じ、最近までただ漠然とわかったような顔をしていたものをこの際だから徹底して調べてみようと思いネットなどで検索してみました。
すると今は学校の先生よりもわかりやすく親切丁寧に教えてくれるHPがあるんですね。おかげでこれまでもやもやしていたものがかなりの領域ですっきりしました。
我々、木材業者では利便性のために製材機をもっていますがこれは三相電気といって電線が三本結線されたモーターで動くようになっています。この電気は商用電源として発電所で作られるときの回転、つまり正弦波の山が360度を1回転とすると120度づつずれた山の電気が作られていて、三本それぞれに独立した電気が送られてきます。
大井川からこちらの関東地区ではこの電気が作られるのが一秒間に50往復(上下の動きが一山づつで1周期として)50回の動きをするものが50ヘルツで各電気製品などは作られています。関西はこれが60ヘルツ基準で作られているためこちらのものがあちらでは使えないということが出てきます。これも最近では共用できるものが出てきて問題はなくなりつつありますが。
通常ですと道路わき上の電柱のてっぺんに水平に張られた電線には6600Vの電圧のものが通っています。これが我々の工場に引き込まれ変圧器の中で200Vに落とされて動力の電源となります。
電気は「電気回路」というくらいですから、行きの電気と帰りのものと通路が必要になります。しかし、この三相電気というのは帰り道がなくても済んでしまう線のつなぎ方が出来ます。それが発電のとき電圧の山を120度づつずらした作り方が手品みたいなワザを可能にします。
おもちゃなどを動かす電池などもプラスとマイナスをつないでスイッチを入れないとモーターが回りませんが、この三相では出口の線を三本つないでしまえばお帰りになる線がいらなくなってしまうのです。この現象が昔から不思議でなりませんでした。
トップページへ戻る
コラム1109 2017年05月01日
ネモフィラ渋滞
事務所から1kmほどのところに海浜公園があるのですが、先日テレビでネモフィラが見ごろと放送されたのが原因なのか、休日の渋滞は半端ではありません。特に遠方よりおいでの方は高速を利用されるのでその出口からすでに混雑の渦中に入ってしまいます。
こんな何もない田舎なのに、特に昨日は混雑がひどかったです。勝田駅からまっすぐ東へ延びている昭和通も旧道の245号線交差点手前から渋滞。245号線は上下とも2km以上の大渋滞。車で来た人はそれから駐車場へ入り入場するとなると夕方になってしまうのではないかと思われるような長蛇の列でした。
こうなるといくら優秀なカーナビでも役に立たず、そのまま待つか引き返すかの選択しかありませんが、市内ならまた来ようと言えても遠い所からきた人は簡単には引きさがれません。この渋滞を見ていて何かどこかに似ているなと思っていたら海ほたるのある東京湾横断道路と同じだと気付きました。
あそこも東京側から千葉方向への通行は半端じゃなく渋滞します。何せ三方向から来る車が1カ所で合流してしまうのですから、もはやそれ自体が設計ミスみたいなものです。
所用で事務所に来たのですが、私らは地元なので混雑を避けて裏道を通って用足しできますが、それでもこんな田舎の渋滞にはあきれてしまいます。ある人の話では、入場券は自動販売機で買えるのですが入場門のチェックが限定されており中へ入るまでに時間がかかるとのこと。それならディズニーみたいに混雑程度にあわせて入門チェックをやればいいと思うのですが、そこが「国営」と言われるだけあってダメなところなんでしょうね。
私は地元であっても一度も行ったことがありません。あれはテレビで見ていたほうが安全です。
トップページへ戻る
コラム1108 2017年04月28日
行政の大失態A
行政の姿勢というものは前例にないことは認めない。これはどこでも共通していることだと思うが誰かの息がかかると「特例」と称して通らないものが通ってしまうというのも役所である。
それはさておき、この杉並の一件は誰がどう見ても役所の手落ちにしか見えない。民間の土地の売買は盗んできたお金以外の取引は自由に出来ることになっている。調整区域であろうがなかろうが所有権そのものは売買できることになっている。
しかし、それまでにあった抵当権や借地権も一緒についてくるのが世間の常識だ。そうでないと、今まで借地で住んでいた人や営業をしていた人は簡単に追い出されてしまうことになる。今回の一件でもそれを踏まえて言うならば、借地契約していたマンションの駐車場の借地権は吹き飛んだことになってしまう。
何の目的で使おうがマンションの建築条件を満たすために必要だった土地の分が建ってしまってからは不要だと言うことにはならない。あとから売ってしまってもよいなら最初から要らなかったわけである。そういう条件をつけさせたのは行政のほうなのだから何がどう動こうが特例は生まれようがないのだ。
たとえ、民間側が悪意を持って申請しようとも窓口で却下されるだけだと思う。普通はそう思う。それが確認が通ってしまったということは余程の裏を使ったか天の声が響き渡ったかしか考えられない。それにしても、後からすぐバレバレになるようなことをやるだろうか。それとも、凡人にはわからない解釈の仕方があるのだろうか。
その疑問はいつも頭の隅から離れない。
トップページへ戻る
コラム1107 2017年04月24日
行政の大失態
いま、東京杉並区で”ある問題”が持ち上がっていると言う。ことの内容は以下の様子。
昭和46年に11F建てのマンションが建てられた。当時、これらの容積率を満たすために3千平方メートルの敷地を要し底地で1700平方メートル、残りを1300平方メートルを駐車場として確認申請を行い建物が建てられたという。それが4年前の平成25年にある理由で競売となり、不動産業者Fが取得した。
と、ここまでは通常の所有権移転の話しです。しかし、この不動産業者Fが駐車場部分をGという不動産業者へ転売し、Gはここへ建売り6棟を建てて販売するに至ったというもの。
世間では所有権の移転は様々な理由で行なわれているがすべての土地がまっさらで縛りがまったくないなどというのは稀で何がしかの絡みがあるのが普通だ。特に地価の高い都会ではそう考えられる。
ここでなぜGが当初の容積率を満たすために借地した土地で建物の申請が可能だったのか疑問が湧いてくる。Fはこの土地を売る為にはマンションの建築条件として容積率を満たすための必要な土地であることを伝えておかなければならないはずである。Gはこれによって何の利益を売ることができるかと言うと、駐車料の収入を得るだけしかメリットがないことになる。
こういう縛りがあるにもかかわらず、建築確認を申請したら案の定行政から不可能であると蹴られた。そこでGは一旦Fに所有権を戻し、Fは関係のない第三者に名義を変更しそこからGが購入する形をとり、Gがふたたび建築確認を申請した。
するとどういうわけか確認申請が通ってしまった。駐車場の敷地であるところに戸建てを建築することは違法でないということで認められたという。同じ行政の中でありながらこれは一体どういうことなのか。要するに当該物件は書類上何の問題もないと判断されたのだろう。
同じ区の中で一度は確認証の交付を留保しておきながら売主が違っただけでOKとは何たる行政の手落ちかと言うことです。そして、建物が建ってしまってからもめているなどと言うこと自体、おかしなことで、それを行政指導に従わなかったとしてマンションのほうが建築違反となる・・などという。これはどうみても行政の大失態にしか見えない。
トップページへ戻る
コラム1106 2017年04月18日
雨降る中の上棟A
たとえば、四区画を売り出したとして、四区画がまったく同じ条件にはなりません。ここの土地ももともとひとかたまりだったのですが南面・東面・北面は道路に面していますが西側にはすでにギリギリの所まで家が建っておりました。
そういう条件の土地を四つに切って売れば一目で優劣が決まってしまいます。予想通り南東の角から南西、北東の角地と売れていきました。残ったのが今回の区画、土地に関しては残り物に福がつくことはなく、最後まで売れなかったのは当然と言えば当然のことでした。
今は昔ほど住宅地探しで苦労することはなくなり、よほど利便性が良くない限り生活環境のほうを優先しますからこのような土地は売れません。しかし、「安さ」を最優先に考える人もいますから、そのような条件を満たす人を顧客として抱えている業者はこういう土地を好んで買います。
地主としてはそこまで考えていたかどうかはわかりませんが、換金できなければ目的が達成できないのですから最後は「値引き」ということになり一件落着になります。買った業者はそこに「そこそこの家」を建てて売り払いビジネスとしての利益を上げていきます。
こういうことを出来るのは資本規模が大きくいろいろなグループ会社を抱えているところです。ここの物件もTVコマーシャルなどで知名度がそこそこある
I ホールディングスの販売会社と建築を担当する会社でした。ここまで書けばおわかりのように、建て主さんが買って建てた物件ではなく完全な建売りの家だったのです。
最初から建て主さんはいないのですからいつでも会社の都合のよい日に上棟ができるわけで、雨であろうが嵐であろうが組んだスケジュールどおりにことを運べるということです。屋根よりも先に作った床がびしょ濡れになっていようと誰も文句を言う人はいません。どんな種類の木材を使おうと見えなくなってしまうのですから誰も何も言えません。
おそらく、二ヵ月後くらいには「格安販売」のチラシが入って、安さで気に入った人が契約することになるのでしょう。その人にとってはメデタシメデタシです。
トップページへ戻る
コラム1105 2017年04月13日
雨降る中の上棟
一昨日のお天気はほぼ一日中雨降りとなりました。そんな中、団地内の一画で建て方作業が行なわれていました。時間はちょうどお昼前、片側一車線の道路を半分ふさいで警備員の人があちらとこちらに2名、通行の車をさばいておりました。
ここは以前にも書きました団地内の割りと広い農地で、しばらくは作付けをしていましたがここ数年は休耕状態でした。多分、相続が発生したのではないかと思われ、一年ちょっと前に四つに分けられ宅地として売り出されました。
最初に南東の角に平屋が建ち、二番目に南西の角に二階建てが建ちました。ほどなくして北東の角に二階建てが建ちましたが、北西の土地はしばらく空いたままになっており、雑草除けの黒いシートが地面いっぱいに張られていました。
土地の売れ方も教科書に書かれたとおりのよい場所から売れました。その様子を見ていて「なるほど、納得だわ」と思っていました。
この団地の手前の道路が舗装しなおし工事のためしばらく通行止めになっていたので3週間ほど表通りを利用していました。その舗装工事も終わり、通行止めが解除になったので久しぶりにこの裏道を通ったらこの上棟に出くわしました。
当日は間欠ワイパーではちょっと物足りないくらいの雨降りでした。道路を半分ふさいで何をやっているんだろうと思いましたが上棟作業をしているとは思ってもいませんでしたので驚きでした。合羽を着た作業の方が3人ほど上で忙しく動いていましたが、何せこの雨の中、作業は順調にはいっていないようで、私が通過して用を足して戻ってきたときもクレーンはまだ天高く腕を伸ばしたまま動いていませんでした。
一体どこの業者がやっているのかと思いましたが、行きはクレーンのかげに表示板が隠れており見えなくてそのまま通過、帰りにはしっかりと確認できました。「そうか、なるほど」と合点がいく社名でした。
トップページへ戻る
コラム1104 2017年04月10日
今月の勉強会
12ヶ月の別名”卯月”という言葉も普段ほとんど使うことがなくなりました。ちまたではサクラがほぼ見頃となりましたが昨日はあいにくの雨でせっかくのチャンスを逃した方もいらっしゃるのではないでしょうか。
さて、今月も予定通り昨日9日に勉強会を開きました。参加は12名、足元が悪い中遠方よりお越しの方もおり有難うございました。今回は「設計の話し」ということで家を建てるにあたって建て主さんとしては何を学んでおくべきかということに重点をおいてお話しさせていただきました。
次回は5月14日第二日曜日に行なう予定です。テーマは「工法の話し」です。最近、ますます効率が優先されて建てられる住宅の言われない欠点は何なのかということに重点をおいてお話ししたいと思います。お時間の許す方はご参加下さい。お待ちいたしております。
トップページへ戻る
コラム1103 2017年03月31日
詐欺電話ばかりA
毎日お世話になっている電気なのに意外と知らないことが多いと思います。特に製材所とか大型の設備を使っているところではキューピクルという受電設備をもって運用しているはずです。
私のところでも小さいながら製材設備が二基ありますので、いわゆる三相電力というものでこれらを動かします。以前ですと設備しているすべての機器を同時に動かしたときに必要な電力を基準に基本料契約がされていましたが、いまでは年間を通して毎月の使用量を計測してその中の最大使用量が次年度一年間の最低基本料となるような仕組みに変わりました。これをデマンド方式と言います。
私のところの受電設備は65KWhの初期契約でした。いまでは16KWとか17KWとかの数字になりましたので、基本料だけでも三分の一になった計算になります。これに実際の使用量を加算して全体の電気料金となるのですが、それでもピーク時から比べると半分以下になりました。
これらデマンド方式が実施される以前から電気詐欺の電話がかなりの頻度でかかっていました。回数は減りましたが手を変え品を変えこの手の電話は今も絶えません。「社長さんはいらっしゃいますか」「電気料金の安くなるお話ですが・・」で始まります。
私が事務所にいるときはなるべく自分で出て撃退しますが、事務員さんが出ると丁寧に話を聞いてしまいます。まあ、商売だから失礼になってはいけないと思いそのような対応になってしまうのでしょうが、相手にとっては「こいつは脈がある」と思わせてしまうことにもなります。最近では「わかるものがおりませんので失礼致します」と言って切るようにと話していますので面倒くさいことにはならなくなりました。
トップページへ戻る
コラム1102 2017年03月30日
詐欺電話ばかり
うちの電話番号は市役所の番号と似ていて、毎日のように「市役所ですか・・」とかかってきます。こちらも商売だからそれなりの受け答えをしますが数が多いと何とかならないかと思ってしまいます。
間違い電話は相手が間違ってかけてくるのですからまだ許せるとしても、詐欺の電話はすごく腹が立ちます。ひかり回線についての勧誘はどこの家庭でもあると思いますが、こちらでは仕事柄、高圧変圧器を持っているためにこの手の勧誘がほぼ数日毎どこからかかかって来ます。
「高圧をお使いの皆様に電気量が安くなるお知らせです」「東京電力ですが低圧電気の点検に伺いますから機械が動いているときに立会いをお願いします」とかわけのわからないような電話ばかりです。へたな鉄砲も数打てば当たるなのでしょうが、かかってくるということはそれなりに反応してしまう人がいるということなのでしょう。
今回の電話も「なんで保安協会が管理しているのに低圧の検査なんだよ、顔を洗って出直して来い」と言ってガチャンと切りました。その電話番号を見てみると東電以外に中国電力・九州電力の名前を出して全国規模で詐欺電話をかけている輩のようです。
ちなみにネットで調べてみたらうじゃうじゃ出てきました。番号は 050 3101 5712 とても全部は読みきれませんでした。NTTもこんな電話を使用禁止に出来ないなんて情けないの一言です。国もテロ行為には躍起になっていますが、これだってりっぱな電話テロ犯罪ですから同じように取り締まるべきです。
トップページへ戻る
コラム1101 2017年03月29日
アパートへの過剰融資A
商取引の世界では、当事者が決めたことは対等であると考えられています。契約書にかかれたものは第三者が判断することになれば一番先に引き合いに出されます。たとえオーナーが充分内容を読まないで契約しても第三者から見れば「見て納得して判を押した」と解釈されます。
前回書いたサブリースなる仕組みを考えたのは建築業者です。入居率の不安を持っているオーナーを説き伏せるために考え出されたもので、「我が社なら収入を保証しますよ」というもので最近の業者はほとんどこの方法でオーナーを口説き落としています。
しかし、もっともっと大局でものごとを考えれば、全体の八割くらいの入居率で計算すること自体、設定が高すぎるのですから、予想を下回っても支払いますという「保証」の裏側に何かあると勘ぐるのが当然だと思います。
天才がいかに努力しようとも不足分が賄えるなら苦労はしません。業者だって自分でオーナーになってやると思います。そんなことはどこにもなく単なるマジックです。金が湧いて出てくるはずがありません。
現実には保障期間の範囲内なのに減額されたとかのトラブルがあちこちで起きていてオーナーの集団訴訟まで起きているといいます。近年の供給過剰状態でサブリースそのものが数学的に成立しないものなのにどうして現存できるのか。そこのトリックみたいな文面を理解できれば踏み切る人もいないのでしょうが、そうさせないで囲みこむことが出来るのは「営業力」なのでしょうか。
銀行も世間の情報を知らないはずはないのですが、そこはお金持ち(資産のある人)にこそ融資をしたくてうずうずしているのですからノーと言うはずがありません。しっかりと担保をとっていますから支払いが滞れば物件を差し押さえて転売か競売にすればいいのですし、かといって残債は消えるわけではなくきっちりと取り立てますから、オーナーとしては資産もなくなってさらに借金も残ることになります。
銀行間・支店ごとの競争で、自分の在任中に成績を残したいばかりにこの手の融資に積極的な銀行もあり、その結果が3.7兆円と言う数字になっているわけです。晴れに傘を貸したがり雨に取り上げると言うお決まりのパターンで世間に被害を広げている元凶といえるでしょう
安易な提案に乗っかったばかりに元も子もなくしたという悲劇があちこちで生まれています。これだと人を信じて財産をなくした「振り込め詐欺」と大して変わりはありません。
トップページへ戻る
コラム1100 2017年03月28日
アパートへの過剰融資
ここ何年もアパートと歯医者さんは供給過剰だといわれてきました。歯医者さんは国家試験を受けて資格を持った人が開業するのですから過剰だとしても数としては突出することは少ないと思いますが、アパート建設に対しては民間対民間の商行為なのである意味歯止めがききません。
それがここ数年80年代のバブルを思わせるような勢いで全国的に膨張しています。その融資額が年間3.7兆円にもなるというのですからはるかに想像の域を超えています。この現象は国の政策の「相続税への見直し」があり、今までだったら課税対象にならなかったものがなってしまうという事態が出ているためです。
これを回避するために相続を受ける人とアパート建設業者の利害関係が一致し、市場(しじょう)を無視した建設が行われているというになっていきます。土地は更地であれば固定資産評価が高くなります。農地なら安いですが相続を受ける人が耕作権を持っていないと宅地並み課税にされます。
これらの土地を使って建物を建て賃貸にすれば土地評価がぐっと下がって相続時に納税額が減ります。一方でその建設資金を調達するには「借り入れ」をします。建物は資産ですがその建設資金は借り入れですから見かけ上プラスマイナスゼロで、土地評価が下がった分だけ節税になったことになります。
と、ここまでは紙の上で計算した「予想」です。もともと土地を持っている人たちですから銀行はほぼフリーパスでお金を貸し付けます。たとえ、それが少々怪しくても取りっぱぐれがないのですからこの金余りの時代ですから上玉の貸付先になるわけです。
土地の所有を知りたい場合は誰でも法務局へ行けば台帳を閲覧できます。どこにその候補がいるのか知ることは彼ら建設業者にとっては難しいことではありません。それを片っ端から当たっていけば何割かの候補者に行き着くのですからそこから先はどうなるか理解できます。
近い将来、起こるであろう相続を考えることは悪いことではありませんが、そこへ中立の立場ではない建築業者が入ってくるとプロとアマが戦うようなものでほぼ勝敗はついてしまいます。その決定的な要因は「サブリース」という摩訶不思議な取引方法です。
トップページへ戻る
コラム1099 2017年03月27日
建て主も債権者C
いまは何でもネットで調べることが出来ますが、それでもその会社の興信情報まで正確に知ることはできません。お金を貸し付ける銀行のような金融機関なら三年分の決算書を提出してくださいと言えますが、そういう立場にない一般の人は相手の財務状況を把握するのはまず無理です。
以前にも書きましたが、現場から匂ってくる下職業者の話しが一番近道になると思います。彼らは常に現場を見ていて、支払いが遅くなったとか施工するための資材がなかなか入ってこないとか、あるいはしょっちゅう業者が替わるとか、倒産に近づいていくキナ臭いマイナスの情報に触れています。
この世界では、今月の仕事をして締め切って請求を出し、翌月の締めまでに支払いがあるようなら簡単には潰れません。支払いがあると言っても手形の場合は別です。最終的にいつまでに現金化されるかの問題ですからこのサイドが実質六ヶ月などという時にはかなり黄色信号から赤に近い状態です。
そういった遅れるという情報をキャッチすることが出来れば、推測ではありますが近づいてよい会社なのかそうでないのかを判断するのにかなり役立ちます。これらを実行できるようになるのにはかなり余裕を持って何軒も現場を見て、下職さんと顔なじみになり、休憩等をしているときなどを狙って情報を聞き出すという「地道な行動」が必要と思います。
まるで探偵のようですが、我々も建築業者の中身を知ることはほとんどできないのでこのような関係業者からの情報を注視して取引をするかどうかなどの判断材料にします。建て主さん同様、我々も売掛金方式で商売をせねばならず与信管理というものには敏感にならざるを得ません。
はっきり言ってネット情報などはアテになりません。
トップページへ戻る
コラム1098 2017年03月25日
建て主も債権者B
世間の建て主さんを見ていると予想以上に純粋でものごとを性善説で考えています。相手は信じるなと言っているわけではありませんが、過信はいけないと思っています。特に金額の大きい家の取引では多くの人が借り入れを行なっていて支払っています。
このことは支払った相手がパンクしたら希望のものが手に入らなくなるうえに、借金だけが残るということで、その場合の被害を想定して回避できるようにしておかなければならないということであります。いくら親切丁寧な営業マンとはいえ、そうなったら建て主さんを保護してくれるわけではなく、何の助けにもならないということを自覚しておくべきです。
キャンペーンだからとか、エアコンをプラスしますとか、未来系のものを提示されてもそれは絵に描いた餅です。そんなことよりも主張できる権利にもとづいた支払いをすることです。被害にあわれた方は本当にお気の毒ですが、冷たい言い方をすればガードが甘いと言わざるを得ません。
前述のように、潰れてしまってからは建て主さんも下請けの業者も同じ扱いの債権者です。基礎しかやってない人も8割くらいまで進捗している人も前払いしている人は同じ債権者です。全体の方向が決まって各現場をどうするかと言う細かい話が始まるまでは動けません。
法的に言うと、債権者会議で支払われるべき金額はどのくらいあるのか届出をして総額をまとめて、処分できる資産でどれだけ配分できるかを裁判所が決めた破産管財人が判断します。大概は債権額の5%どまりになるのですが、これらが決まるまでは現場は動けません。しかも銀行から催促を受けたら自力で返済していかなければなりません。
こういう流れを最初から知っていたら、いかに契約をしたからといって大金を支払ってしまうことが危ないことか、いかに人柄を信じて・・がアテにならないか、形のないものへの先払いが危険かわかると思います。
トップページへ戻る
コラム1097 2017年03月24日
建て主も債権者A
自分がお金を出していても自分のものではないという不思議な立場の建築業界ですが、発注する建て主さんはこのことをしっかりと頭に叩き込んで契約にのぞまないといけないと思います。
建築時において、契約書に書かれている支払い条件の項目についてですが、世間一般には三分の一づつを三回で支払うとか書かれますがこれが定番ではなく、両者の任意で取り決めてよいことになっています。とは言うものの、営業マンと建て主の立場で考えれば前者主導で決められるのが世の成り行きです。
しかし、流れ上の立場が弱いとしても契約というのは対等ですから主張すべきはきちんと伝え合意の上でサインすべきと思います。そのバックとしては現実にどのように資金が必要になってくるかを理解していなければなりません。
通常、業者というものはまったく運営資金がなくてやっているところはなく、最低でも一ヶ月くらいの運転資金は確保しているものです。本来の所有権が完成登記してから建て主さんに移ることを考えればそれ以前に受け取るお金はみんな前受け金にあたるわけです。
現実として、どこの時点でどれだけ社外への支払いが必要かというと、契約した時点では現場サイドでは何もやっていないのですから業者は支払いはゼロのはずです。Hメーカー・ビルダーの場合、大概は契約が先に交わされます。ですからこの時点で何も手がけているものはないのですから完全にゼロです。
私らの場合は図面を検討して見積りがまとまって「これでよし」となってから契約していますから事務的な経費が少しかかっています。しかし、現場サイドでは何も始まっていませんからHメーカーとあまり変わりありません。せいぜい支払うとしてもこの程度のもので相手に負担をかけていることにはならないはずなのです。
このスタートの時点からしても建て主さんの支払い状況が先行しているかがわかると思います。
トップページへ戻る
コラム1096 2017年03月23日
建て主も債権者
先日も流通業界の人(問屋さん)と、この業界ってつくづく王様と奴隷の関係だよなあって話したのですが、それは昔からずっと変わっていないなと思います。製造メーカー対商社、あるいは商社対問屋の場合だと、通常、取引額に相当する担保を取り交わします。
一方で問屋と我々、販売店対ビルダー・ハウスメーカーを含めた建築業者とはそれがほとんどありません。つまりほとんど100%近くが信用取引なのです。ですから、相手が破綻したら現金化されていない手形・小切手・直近までの売掛金部分はすべて貸し倒れになってしまいます。
倒産破綻する側はフトコロ勘定が悪くなってくると、集金は早く、支払いはジリジリと延ばしてしのごうとするのですが、これとて限界があります。過去の例で見ると決済まで六ヶ月を超えたらその会社はアウトになっているようです。こうなるとまったくと言ってよいほど「他人のふんどしで相撲をとる」状態になっています。
営業マンたちも上からの指示で「早く集金して来い」と言われれば、仕事だからそのように動きます。ひどい人は契約しただけで全額支払ったと言うケースも過去に富士ハウス倒産の時にはありましたから、こうなると目も当てられません。
よく知られていないのが所有権(自分のものだと主張できること)問題です。建築中の建物は法律的に言うと未完成工事物件ですから建築会社のものです。発注者のものではありません。完成して登記されて初めて建て主さんのものになります。自分の土地に建っているものでも考えは同じです。完成引渡しがされない限りは建築会社のものです。
我々も、注文を受けてトラックで運んで現場に届けたら、使っていなくてもそれは相手の資産として扱われます。この辺が法律の厳しい所で第三者から見たときにお金が払われているかどうかの基準ではないのです。
建て主さんはお金を支払ったけどそれはお金が先に支払われただけという考えで単なる債権者であるということです。そこが問題をややこしくしています。
トップページへ戻る
コラム1095 2017年03月22日
大型倒産その後
先月24日の事業停止から約一ヶ月経ったコンセプトハウスのその後ですが、負債12億の中身が少しづつわかってきました。この半分の金額が金融債務、残り半分は業務関係の債務ということらしいです。
ざっと計算して6億と言うのは約30軒分の金額になります。仮に15軒の仕掛りがあったとすると、15軒分は完成したのに業者に支払われていないと言うことになります。各業者の占める金額割合は材木・建材関係の資材が総額の15〜20%くらいになるので少なく見ても9千万円ほどの貸し倒れが生じたものと思います。
これらを一手に納めていれば全額、半々ぐらいであっても4500万円はかぶった計算になります。いずれにしても小さな金額ではないので納入店は自滅の恐れさえ出てきます。そうなると流通の連鎖で問屋が二次被害を被ることになります。おおよそのルートはわかりますから「あそこの問屋か・・」となります。
外部に支払う比率が大きい我が木材・建材ルートは仕入れ金と経費の割合が85対15くらいですから従業員などの給料を社外流出額と考えれば実質的な支払額は95%以上にもなります。そうなると、自分の会社の資産を8550万円も倒産会社に盗られてしまったと同じことになります。
いくら買っていただいている「お客様」としても、あまりにもひどい仕打ちです。
トップページへ戻る
コラム1094 2017年03月13日
今月の勉強会
暑さ寒さも彼岸までという言葉の通り、だいぶ温かくなってきましたが、とても花粉が吹きまくりアレルギーのある人は大変な一日だったと思います。そんな中、今月も予定通り勉強会を開きました。参加は14名、遠方よりお越しの方もおり大変お疲れ様でした。
今月は久々に設計を担当していただいた方に来ていただき2時間たっぷりお話していただきました。今回は直近に工事を行なった水戸市上河内の(市街化調整区域における)Wさんの建物について、完成までのストーリーをお話しいただきました。
一軒の建物を建てるまでには様々な地域の縛りと行政の規制があります。市街化区域と調整区域の何が違うのか、誰が建てる権利を持っているのか、道路に接している条件、市道と県道の扱いの違い、住まいと非住宅の違い、農地転用に対する面積規制、自分の土地ゆえの区分け(境)処理の厳格化、非住宅における排水処理の違い・・などなど、今までの建築の中でも一番法的な障害が多かった現場ではなかったかと思います。
これらのお話しをわかりやすく噛み砕いてていねいに説明していただきました。
我々も木材のことならかなり知識がありお話しする自信もあるのですが、建築に関する法的な知識となるとやはり専門家の足元にも及びません。大変参考になったお話でした。
次回は、最初の分野に戻って建て主さんが考えるべき設計の基本についてお話ししたいと思います。
お時間の許す方はご参加下さい。
トップページへ戻る
コラム1093 2017年03月09日
繰り返す大型倒産C
毎回、毎回、HM・ビルダーの倒産の折には仕掛り建築で被害を受ける人が出ています。自分に置き換えてみたら計画していたものが一瞬で崩れたという心境に陥ると思いますが、それでも、現場の進行状況によって出来高払いをしていれば被害を最小に食い止められるはずです。
業者によっては完成保証に入っているから大丈夫ですという人がいますが、それだって保険の意味合いでいくらかの料金がコストとしてかかるわけで倒産間近の業者がきちんと加入していない場合だって考えられます。
営業マンが親切・丁寧だったとしても財務にまで明るく全体把握をしているわけではありません。給料をいただいているから言われたとおりに動いているだけで、契約までこぎつければその先は別の人が担当して自分はまた別の契約者を探すという作業をしているだけのことです。
世の中のお金の支払いの比較をしてみると、普段のスーパー等の買物はお金と品物の同時交換で取引がされています。車を買うにしても内金は払いますが、納車されて名義が自分になっていることを確認してから残金を支払います。(分割払いの場合は所有権が支払い完了まで自動車会社にありますが)
ところがこの住宅だけは完成してもいないのにかなりの割合で先払いしているのが現実です。正確に言えば登記されていない、自分のものだと第三者に主張できないのにほとんどのお金を先に払ってしまっていることです。正しく法律上の権利を理解していない建て主さんがほとんどです。
土地が自分のものであっても、建てる構造物は完成して引き渡されるまで業者のものです。中途で潰れられると工事はストップしたままで、立場としては一債権者の扱いです。つまり、債権者として届けて全体の負債が確定し残った資産を処分していくら返って来るか決まらないとその先に進めないということになります。
このように建て主さんは建物の登記が終わるまでは非常に弱い立場にいるということです。これらをガードしていくには相手の資産状況を把握するほかありませんが、それを知るということはほとんど不可能です。唯一わかるのが工事関係者から聞ける「黒いウワサ」です。
トップページへ戻る
コラム1092 2017年03月07日
繰り返す大型倒産B
「タダ銭」のお金を作るのが一番上手なのは銀行です。国庫金・地方行政の納税金など決められた日までに納めても即刻行政に納付されるわけではありません。その間だけでも金利を払わなくても良い「タダ銭」となり、このほかにも無利子の当座預金があり、これらが全国規模になれば天文学的数字になってきます。
住宅でも同じことです。顧客から預かった金をすぐに支払わなければ(見かけ上)手元にはたくさんのお金が残ります。これが家一軒だけならばそれまでですが、今回、前回の倒産業者のように15軒20軒となれば2〜3億の金が「タダ銭」となって手元に残ることになります。
顧客から前金のようにして集金し、支払先には5ヶ月先にしたとすると10億の金が簡単に浮く計算になります。HM・ビルダーによっては多少の違いはあるにしても、だいたいはこの金を展示場やPR費につぎ込みます。こうすることによって、本来なら自分で銀行に掛け合って「固定してしまうお金」を調達しなければいけないものを無利子で利用できるということになります。私はこれを時間差攻撃支払い方式と呼んでいます。
ただし、この方式が通用するのは業績が順調に伸びているか一定になっているときだけで、もし市況の変化で下降線になり出したらアウトになります。HM・ビルダーとしてはそれは大変なことになるのでお尻をひっぱたいても「契約を取って来い」「契約したらなるべく多くの金をもらって来い」とノルマをかけるわけです。
このようにして真新しいうちは何とか数字を達成できても、限りなく前年比以上に・・などということはどんな優秀な営業マンでも続かないものです。そのうえ、こういった優秀な人は他の会社でも即戦力として引っこ抜きされますからHM・ビルダー同士の戦いにもなります。まあ、引っこ抜き去れるような人はごく一部ですがされれば痛手になることは間違いありません。
それはともかく、年間受注棟数が下がりだすと、直近の収入金額が支払いに追いつかなくなり、財務ではさらに支払い期間を延ばす作戦に出ます。この辺からきな臭いウワサが出始めます。それでも目の前の仕事が欲しい職方・納材屋はしぶしぶ要求に応じていくことになりますが、自分の体力だってありますから限界が来てしまいます。
潰れないうちに足を洗える人・業者はいいですが、これといって営業力のない人たちは生命線を断たれてしまいます。そういったうわさが聞かれなくなると本物になってきて、ある日突然「弁護士に一任・・」と興信情報で報じられます。
今回の倒産も確実に10人以上の工事未完成者がいるという話しです。中には基礎だけやって数ヶ月も経つ人もいるそうです。それでも半分以上のお金を支払ってしまったと聞きますからお気の毒ですがガードが甘いと言わざるを得ません。
トップページへ戻る
コラム1091 2017年03月02日
繰り返す大型倒産A
純粋に、受けた工事に対して外注した費用を支払う大福帳方式で一軒づつ精算していけば、見積りが大きく狂っていない限り元請業者には自分の所へ取り分が残ります。
たとえ、現場進行状況にあわせて建て主さんが支払っていたとしても、毎月工事代金を締め切り請求書を出している下請け業者側にも翌締め日までには入金になるようになるはずです。
根本的に1件であろうと10件であろうとこれらを忠実にこなしていけばいいのですが、なぜこのような負債額を膨らませたような状況になってしまうのか、これは元請業者の財務管理に問題があるからなのです。
ビルダー・ハウスメーカー(以下HM)は、いまやどこの地区でもりっぱな展示場を構えて営業しています。この展示場は業界内で打ち勝てて生き残れるように「選ばれるよな造り」にしています。そこには常駐した係員と営業マン、それに維持するための諸経費がかかってきます。
大きな規模の所ほど各地に展示場を展開しますからかかる経費は比例して大きくなっていきます。これらは売れても売れなくても関係なくかかっていく(人件費も含めた)固定経費に入ります。展示物は一度作ってしまえば維持費以外それ以上の費用はかかりませんが、人件費は毎月支払わねばなりません。
一軒展示場を持ったとすると建物費2000万円、地代・光熱費・事務費・車両費などあわせれば50万円は下らないでしょう。営業マンが5人いたとすると人件費の想定は150万円くらい、これに展示場イベントなどがあればさらにプラス、チラシなどのPR経費がかかります。
これらの費用をどのように生み出すかがHMの錬金術です。
トップページへ戻る
コラム1090 2017年03月01日
繰り返す大型倒産
またまた建築業界に「台風」が発生しました。すぐお膝元のひたちなか市に本社を置く住宅会社コンセプトハウスです。24日で事業を停止し、弁護士に一任したということですので一年半ぶりの大型倒産となりました。
2015年の10月に書いた県北の業者三市ハウジング倒産のときのは6億、仕掛かり住宅は25棟でしたから、今度の倒産劇はその二倍、12億ということで久しぶりの大型倒産となりました。推測でもこれを上回るのは確実な建築途中の建て主さんがいるはずでその方々は路頭に迷うことになってしまいました。
ちょっと前からキナ臭いウワサは出ていましたから「やっぱり」という感じですが、逝ってしまうとその波及が心配されます。前回の倒産劇は納材していた販売店が耐えられなくて先にパンクしてしまい、その先の問屋も煽りを食らいましたが、今回、その二倍の規模ですから影響ナシとは行かないでしょう。
今では我々流通の仕入先になる問屋さんがちょっと大きくなったビルダーに直接売り込みをしていますから、今回の破産劇にも販売店以外の相当数の問屋さんが絡んでいるものと思います。中でも多いのが管材ルートと言われる問屋さんです。要するに水回りの資材を販売している問屋さんですが、今では建材も当たり前のように売っています。
彼らは「水回り」という工事が絡む分野を受け持っていますので、工事費で利益を上げて新建材等は売上のシェアを伸ばすための薄利多売をやります。他にもリフォーム分野に力を入れているためついでに売れれば儲けもの程度にしか考えておらず拡販などの布石としか考えていません。
たしかに売上が確保できるというのは魅力ですが、隣り合わせに危険もついてくるわけです。これだけ新建材といわれる「合板・木屑圧縮板・集成材」が出てくると誰でも取り扱いが出来るようになりますから社会の流れと言えるのかもしれませんが、相手にとって安く資材が買えることは利害関係が一致するとしても、財務管理の方法が違うという危険性を熟視しながらやっていないと往復ビンタを喰らうことになるわけです。
潰れるということは顧客にも大きな迷惑がかかりますが、その工事に関係している多くの業者にもまた迷惑をかけていることなのです。なんともやりきれません。
トップページへ戻る
コラム1089 2017年02月27日
行政の責任範囲はD
特別、法律にケチをつけているわけではありません。石油を節約・・・うんぬんはけして悪いことではなく個人的にもこれからずっと心がけていかなければならないことです。そのためにロスをなくするというのも間違いではありません。
しかし、ある部分だけを切り取ってそこへ注力したとしても全体のバランスはどうなのかということを気遣いながらやっていかないと理論のための理論でしかないということに気付かないでしまいます。
あるビルダーでは合板やOSBボードを使っていて、「ほら、こんなに気密性能がいいんですよ」と営業のウリにしています。これを見て「いやいや、素晴らしい気密性だ」と単純に喜べるでしょうか。私は逆です。
気密性という一局面だけを見れば優秀かもしれませんが、その資材は少なくとも化学物質を揮発させるものなのですから毒ガスの中に頭を突っ込むことと同じことをやるわけです。いくら1時間に0.5の容積の空気を入れ替えるからと言って安全などというレベルには到底ならないはずなのです。
揮発物は次第に薄くなっていくというけれど一週間や10日くらいでゼロにはなりません。年単位で考えなければならないのになぜかF☆☆☆☆マークの安全性ばかり強調され、害がないかのように扱われています。24時間換気もつけておけば安心のような言い方をされますがこんなことで解決などしないのです。
揮発性化学物質は何もフォルムアルデヒドに限ったものではなく、トルエン・キシレンほかたくさんの石油系物質があり、それを抜きにしたら業界が成り立たなくなってしまうからやっていないだけのことなのです。もし、これらが一切揮発物として含んではいけないとなったら製造メーカーはお手上げです。
出来ないからこそ国が出てきてどちらも歩み寄って真ん中で妥協しろと言って決められたのがこのマークなのです。本来、これらの揮発物は人間の住環境において存在してはいけないものなのに国が一線を引いてしまったものだから、Hメーカー・ビルダーは安全であるという使い方をし出してしまったのです。
これ以下で化学物質過敏症になった人が出たら完全に国の責任です。ところが、最後のほうの文章に「これに準じて作った建物でも家具や電化製品などから揮発物が出るから換気には充分注意して生活しましょう」と締めくくっているのです。これではまったくの骨抜き法律です。こういう文章を作るのは国の最も得意とするところですから鵜呑みにするのはやめましょう。
トップページへ戻る
コラム1088 2017年02月24日
行政の責任範囲はC
私はこのシックハウス対策マニュアルを見たとき、「何だ、このザル表現は」と思いました。F☆☆☆☆製品は使用制限なし、F☆☆☆マークだと一定の面積以上使用してはいけない・・との、イラストまでついたもので、換気方法までご丁寧に指導してくださる非常によく出来た作文でした。
第一種換気から二種、三種と事細かにどのように換気したらよいかも書かれていました。ところが四種となる方式については記述なしだったのです。この四種と言うのはただの穴をあけておくだけという自然換気の意味で設定されました。カタカナ英語の好きなお役人らしく、パッシブ換気とか書いてありましたが一定面積に対して自然の力で換気できる空間ならばそれもOKというものでした。
はて、そうなるともともとこの強制換気の設備を義務化したのはなんだったのか、熱エネルギーを逃がすな、そのためには気密を良くしろといったのは何だったのかと言うことです。
非常に断熱性能のよい壁・床・天井を作り、そのうえで四種と言う選択肢を選んだらどうなるのでしょうか。これは寒い冬にダウンというすぐれた上着を着ていて大きな穴をあけているようなもので暖かいという条件など吹き飛んでしまいそうな環境になると思うのですが。
一種・二種・三種も同じようなもので、揮発物がすべて同じ比重だったら紙の上で想像したとおりの空気の動きになるでしょうが、そんなことはありえないはずです。責任逃れのように入居後は揮発物の濃度が高いので積極的に窓を開けて換気を行なうようにと書くくらいなら強制換気など最初から要らないということになります。
計算上で1時間に半分の容積の空気が入れ替わることという規則を作って健康が維持できるというのでしょうか。ピストンみたいに空気を押し出すわけではないのにどこからそんな計算が出てくるのでしょうか。窓を開けて換気を行うときは暖かい空気が逃げていくエネルギー損失は目をつぶると言うことなのでしょうか。
面積制限ナシのF☆☆☆☆製品を使って24時間強制換気をしておけば100%大丈夫と言うなら別ですが、最終的に窓を開けて・・という程度のものを作るくらいならなくても同じだと思いませんか。このことによって多くの国民が誤解することのほうがよほど弊害が大きいと思います。
トップページへ戻る
コラム1087 2017年02月23日
行政の責任範囲はB
F☆☆☆☆マーク入りの製品なら面積制限なしに使っていいと言いながら、完成した建物は揮発物濃度が高いから充分な換気を必要とすると書かれたシックハウス対策マニュアルが出ています。国交省住宅局が中心になって作成した手引書です。
その中に、規制根拠となる指標というのがあります。
現状において入手可能な科学的検知に基づき、これらの化学物質への暴露(ばくろ)によっておこる各種の毒性を指標として、人がその化学物質に示された濃度以下の暴露を一生涯受けたとしても健康への有害な影響を受けないであろう、との判断により設定された値である。
実に言い回しが巧みな表現でありますが、要約すれば基準値以下のものであれば安全だということを言っているわけです。ならば何の心配もないはずなのですが、このマニュアルの最後のほうに「その他の汚染物質への配慮」という項目があり、室内にはガス状と粒子状の空気汚染物質があると書かれており、揮発性汚染物質以上に健康に影響を及ぼす恐れがあることを忘れてはなりません・・と締めくくられているのです。
何という親切な行政の配慮なのでしょう。これって結局は自分たちの決めた安全ですと言う基準値の不確実さを認めているようなもので、「アテにしてはいけません」と言っているのと同じことなのです。自信を持って決めたのなら24時間換気などは必要ないわけですし、入居直後は空気の入れ替えを積極的に行なって・・という指導もまったく要らないわけです。
これだけ見てもF☆☆☆☆マークをつけた製品がいかにあやふやなものであるかということは明瞭なのですがそういった雰囲気を感じさせないような文章つくりには脱帽してしまいそうなくらいの才能を感じます。これでまがりなりにも安全だという数値を示してしまったのですから、これらを守って建てられた家は安全だと思っても無理はなく、何かあったら・・と建て主が考えるのは当然だと思うのですが、行政は責任までは取りません。
それは上記に書かれたその他の汚染物質・・・うんぬんを書いているので、ことが起こっても原因は特定出来ないということにするわけです。
トップページへ戻る
コラム1086 2017年02月21日
行政の責任範囲はA
行政の責任範囲というものはすべてタテ割りです。「これはうちの管轄ではないから・・」というのが彼らの答えです。
建築資材の格付けをするのは国交省です。大臣認定と名がつくアレです。それによって健康被害が出ると動き出すのは厚生省です。それもかなり重篤状態があきらかになってからです。そこへ経済産業省が景気がどうのと絡んできます。
国交省で大臣認定をもらった建材は水戸黄門のような印籠をぶら下げた「お墨付き」を得たようなものです。集成材も木屑圧縮板も合板も、F☆☆☆☆マークを引っさげてHメーカーは何も問題がないかのような営業を繰り広げます。ここまでは誰も何の罪も犯しておらず違反の「い」の字もありません。
S48年のころ、いわゆる石油ショックというものがありました。日用品の売り場からトイレットペーパーが消えたという報道がされたころです。経済産業省は石油の節約を呼びかけました。その矛先が住宅の隙間をなくしてボンボン石油を消費するのを防ごうとしたのです。ここらあたりから隙間は悪だということになったのです。
このころすでに新建材というものが大量に出回っており、揮発物規制などと言うものは皆無でした。最初は誰もこれらによって健康被害が起きるなど予想もしていなかったし、起きても気付く人などいませんでした。そこまでは誰もわからなかったのですから無理もなかったと思います。
それにまだこのころは高気密などと騒がれる前でしたから揮発物も適度に薄まっていったのだと思います。しかし、それ以降、隙間を目の敵のようにし出してから何か変だという住宅異変が起こったのです。
1993年に大阪・寝屋川の入江さん一家がシックハウスにかかり、その後決定的な化学物質過敏症になってしまったのは住宅業界人なら知らない人はいません。その後Mホームは和解に持ち込んで1998年には家を買い戻すことになりました。その後に国交省で揮発物基準が策定されたのが2003年ですから10年もかかってやっとマニュアルが出来たことになります。
F☆☆☆☆マーク製品が出来始めたのもこの頃からであり、これによってハウスメーカーは免罪符を得たと勝機満々になりました。しかし、このF☆☆☆☆マーク製品も不完全なものでありながら作り手側には安全であるかのような表現を許し、建て主側には注意が必要だという生温いものに終始しました。
この生温さを払拭しようとしたのか24時間換気設備を義務付けたため、今まで以上に建て主は建築費を膨らませることになってしまいました。その後、火災警報器の設置もこれと同じようなものです。これによって違法ではない住宅を作れるようになって、しかも潜在的なシックハウス予備軍を大量に作り出すことになったのです。
トップページへ戻る
コラム1085 2017年02月20日
行政の責任範囲は
この国で家を建てようとすると必ず行政の承認を得なければ先に進めません。許可ではなく認めてもらうことなのでよく誤解されます。許可と承認がどう違うのかというとここで論議できないような内容になってしまうので省きますが、客観的に見れば、役所は責任をとらないということで落ち着くと思います。
要は法的に見て書類上の不備があるかないかという判断だけのことです。
一方で建て主さんは役所が許可を出したという捉え方をしています。そもそも、ここから大きなズレが生じます。「行政が許可を出したものなのだから間違いない」と思うのです。それならかつてのシックハウス問題も起こらなかったはずだし、F☆☆☆☆マーク製品も制限ナシで使えるなんてことはあり得ないはずなのです。
なぜ、F☆☆☆☆マーク製品を使えば問題なしとされるのか、消費者はそこのへんから正しく理解していく必要があります。昔々・・というほどの昔ではなく20年ほど前のこと、大手Mホームで建てて入居した家族全員が化学物質過敏症になってしまい、Hメーカーと裁判になったことがありました。
このHメーカーにしても自分で合板をつくって家に使っていたわけではなく合板メーカーから購入して部材として使っていたわけです。別の見方をすれば我々も合板メーカーから商品として仕入れて小売していたのですからこのHメーカーだけが特別なのだとは思いません。その意味では同類です。
この当時も合板は画期的な製品だと思われていたし、コストを下げるにはとてもよい製品だと評価されていました。それ自体は間違いではないのですが住宅資材としては適材かというと別物だということです。このHメーカーもそんなことが起こるとは思ってもみなかったというのが本音だと思います。
結果としては裁判が長期になり最終的には和解になりましたが、この一家の健康状態はもとには戻らなかったということです。このことから我々は何を学ばなければならないかということです。行政が承認したものを図面どおりに作って問題がおきても行政は一切取り合わないと言うことです。
逆に言えば図面上に問題があるかないかだけのチェックで、違法でないものであれば何をどう使おうが建築基準法に沿っていればどんな健康上の被害が出るかは仕事の域外ですということなのです。これは特別に行政を非難しているわけではなくあくまでも法律に合致しているかどうかの判断で進められていることなのです。
まず、我々としてはそこの理解から始まらないとその後がすべてズレが大きくなっていくということです。
トップページへ戻る
コラム1084 2017年02月17日
短期間でまた足場がC
日本の建築は木を使っているのになぜ長期間健在でいられるのか。特に神社仏閣は客観的に建物を見るときに参考になる一つであります。
高温多湿の気候風土で木材を長持ちさせるには何と言っても乾燥していることが重要です。自然のお天気ですから100%濡れる事は避けられないにしても早く乾かすということは腐らせないことの必須条件です。それを忠実に守ってきたのがお寺であり神社であります。
ある意味、人間の住む住宅と仏像が入っているお寺さんは一緒には出来ませんが、建物の耐久性を考えるときには共通な点があると思ってよいと思います。地震に強く長持ちさせるということでは両者共通です。
そのもっとも良くわかる特徴というのが濡らさない工夫をしているという点です。それは屋根を深く設定し横殴りの雨風にも濡れにくくするということ。濡れ易いより濡れにくいほうが乾く時間もかからず腐朽菌の発生を抑えられます。そのうえで、腐ってしまったら取り替えられるようにしていたことです。
この点がログハウスとは違ったところであると言って間違いありません。
木材を早く乾かすには根っこのほうを上にして立てにして乾かすことです。木が生の場合は一番早くこの方法が乾きます。次にゆっくり乾かすには木を横にして隙間を空けて風を通すやり方が最良です。こうするとじっくりと水分が抜けていきます。しかし、乾燥までの時間はかかります。
木が腐るには適度な水と空気・温度が必要です。しょっちゅう濡れることが一番腐るもとです。この逆をすれば長持ちするということですが、この中で一番人間がコントロール出来るのが濡らさないということです。
この水(雨のこと)をコントロールできないのがログハウスなのです。建物事態の構造が雨水を溜めやすい構造をしている上、木の種類が比較的腐り易い樹種を使っているからです。そこに割れという水を含みやすい現象を抱えているのですから余程まめに保存剤等を塗り込む手入れをしていかないと腐朽菌の増殖を助けてしまうことになるのです。
トップページへ戻る
コラム1083 2017年02月16日
短期間でまた足場がB
ログと言うのは丸太という意味で、ログハウスと言うのはその丸太をほぼそのまま使って家にするという建築方法です。したがって、ムクのままで使うわけで割れと収縮が避けられません。
丸太の場合は割れがどこに出るかはかなり時間が経たないとわかりません。山に立っているときは水分をたっぷり含んでいて皮も付いていますから割れはゼロですが、伐採されて皮をむかれ徐々に乾いてくると組織が収縮しだして(丸太断面から見て)放射状の割れが出始めます。
皮を付けたまま徐々に乾かせば・・という方法も考えられますが、寒冷地である北欧なら可能かもしれませんが、日本では虫がつきやすくなり丸太そのものが商品にはならなくなってしまいます。形状的に丸太というのは表面積が一番小さく板や角と同じように乾きません。
そういう資材を使うのですから、現場に来てもなお乾燥状態が続くというのは理解できると思います。また、乾燥するのにも一応に乾燥するのではなく、それに伴なって起こる収縮もバラつきがあり、丸太によっては反りが出ることもあります。
そういったものを横にして積み重ねていくのですから素人が簡単にやれるものではないということはわかります。外国の人はそういう点は日本みたいにやかましくなく寛容なのであまり問題になりませんが、美的感覚の鋭い日本人は「割れる・反る・縮む」という点においてしばしクレームになる場合があります。
クレームの点はちょっと置いておいて、この割れることによる雨水浸入と反りなどで起こる微妙な隙間の雨漏り等が現状では防ぎようがないということです。もともと横にして積み重ねているのですから水のはけが悪いのは当然です。いつも適度な水分を抱えているのですから腐ってくださいと言っているのと同じことです。
水分を排除できない原因は他にもあります。もともと天然の木は長さ方向よりも巾方向の収縮が大きいのです。この巾に対して約1%ほどの収縮が起こります。30cm巾なら3mmが縮むことになるわけです。開口部の高さが2mなら20mm縮むのですから、日本での乾燥状態の実質開口は1980になってしまうということです。
当然のことながら20mmも違ってしまったら建具は開かなくなってしまいます。そこでこれを避けるために開口部には必ず緩衝部材をつけることになります。アルファベットのHのような部材を三方につけてその溝の中に動いても差し支えないようにログ部材を入れるのです。こうすれば伸び縮みしようとするログの動きを吸収できるのですが、残念ながらこの部材では雨じまいの点までは解決できないのです。
トップページへ戻る
コラム1082 2017年02月15日
短期間でまた足場がA
あまり雨の心配をしないで済む地区はそれをガードする施工はあまり必要ではなく、余計なことと判断されます。そして日本のような密集地での建築もほとんどありませんから火に対してもさほど重要視しません。
これが日本であれば屋根は最低でも燃えない資材を使うことという条件がつきますが、あちらではアスファルト系のシングル葺きでもOKだし米杉などの柾に割ったコバ葺きなどでも問題ありません。極端な話しですと中東のまったく雨が降らない地区だと屋根は平らで日射さえ防げればよいという考えで設計されます。
日本みたいにアメリカ・カナダ・欧州からの住宅が輸入される国も他では見られないと思います。地球が一律で何をやっても同じなら問題はありませんが、気温も湿度も違う国のものを簡単に「輸入住宅」と称して持ってきてしまうのも考えものです。
この近辺のログハウスはだいたい某一社が取り扱っています。しかし、その材種はどんな理由かわかりませんが欧州のホワイトウッドというモミ系の木が使われております。このモミという木が悪いというのではなく使い方の問題で、この比較的腐りやすい木をなぜ外部に晒す構造体に起用しているかということです。
これらの建物がきちんと木材保存剤が塗られるのは完成してからの話しです。ということは重なり目は保存剤塗料が浸み込んでないということであり、一番雨の抜けにくい部分が濡れっ放しになるということです。これを建て主さん業者の方はどう捉えているのか、是非とも聞いてみたいところですが、結果的に腐りに対するガードが甘いといわれても反論できません。
雨ざらしにした木を腐らせるのは横に寝かせた状態が一番早く結果が出ます。いくら保存剤を塗ったからといってもそれは五十歩百歩で大した違いではありません。それにもう一つの問題点があります。
トップページへ戻る
コラム1081 2017年02月14日
短期間でまた足場が
ここの事務所から二分くらいの所にログハウスで建てた家が三軒ほど点在しています。このうちの一軒が何か不具合でもあるのか2〜3年ごとに足場をかけてメンテナンスをしています。
たしか、最初のときは雨漏りだったと思います。というのも、北側の屋根の下の三角部分を新しいものに取り替えていたからです。この手のログは1F部分はファインカットログといって昔のような完全な丸太ではなく、ある程度機械で加工したものが使われています。そしてその断面は長方形のような形をしていてその長辺に丸みをつけたような角材を横に積み上げていったものです。
どこのログハウスを見ても共通しているのは屋根の角度が急なことです。この急な屋根下の三角部は丸太積みではなく束(つか)を立てたヤギリ部分にあたり、外から同じように見える板を張り付けています。この三角部はよほど屋根の出が大きくないと北からの雨にあたりやすくなります。
木張りの横張りは雨がはけにくく腐りやすい部位で重ねた部分に水が溜まりやすくなります。つまり、雨漏りと腐りの原因を二つ持っていると言うことになります。これらを避けるには屋根がたっぷり出ていて濡れないことが第一なのですが、ここの家はそれがほとんどなく無防備状態に見えます。
たぶん今回のメンテも雨漏りで間違いないと思います。
ログハウスと言うのは皆さんあこがれますが、日本の気候風土には合いません。もともとが乾燥地帯の腐る条件のほとんどない地区で培われた建物ですから、そのまま日本に持ち込んでくるとどうしても夏場の湿気と雨風に弱いという弱点をさらけ出してしまいます。
日本の建築なら柱が立ってそれに外壁などを打ち付けますから外壁が傷んだら部分修理が可能なようになっています。しかし、この建物は壁そのものが構造体ですので傷みが出たからといってそう簡単に交換が出来ないのです。
トップページへ戻る
コラム1080 2017年02月13日
今月の勉強会
今月は会議所の珠算検定試験の都合で実施日が一日繰り上がり、第二土曜日に行ないました。それも、日曜日の検定日の前ですでに机等が配列された中で一部を使わせていただくという形になりました。
お蔭で250名は入れるかと思うくらいの大きな部屋でやることになり、声が届くかなと心配しましたが何とか出来ました。
今回は14名の参加がありましたが、遠方よりおいでになられた方もいらっしゃり大変お疲れ様でした。
テーマは「予算」ということで、建築の流れからいうと終盤の詰めにあたる頭の痛い作業となる分野のお話しです。
これまでに建てられた方の資料を参考に、予算の練り直しはどういうところから進めたらよいのかということ、何を変更して何を変えたらいけないのかなど多局面から見たものの考え方をお話しいたしました。大手Hメーカーの契約の誘導の仕方や、表示価格の見えない部分などもあわせてお話しいたしました。
来月は木造住宅を得意とする設計士をゲストにお招きして専門的な分野を突っ込んで勉強してみたいと思います。どうぞお時間の許す方はご参加いただきますようお願い致します。実施日は3/12(日)10:00からです。
直近で日付・部屋等の変更が出る場合があります。当HPの案内やミニコミ紙情報をご確認のうえおいで下さい。
トップページへ戻る
コラム1079 2017年02月07日
脳ミソの退化A
前述の試験日は2/5に行なわれました。 いまはネットの時代、もう解答番号がHPに掲載されていました。試験は法規が12問、無線工学が24問でおこなわれました。合格ラインはそれぞれ8問、15問以上。
自己採点の結果は「不合格」、何というか今回は凡ミスが多かったです。こけたのは「法規」のほうだけ、あと1問届きませんでした。工学問題は21問正解で問題なかったのですが、法規は理屈なしの暗記もので脳ミソの弱点がここに出てしまいました。
この年齢ですから忘れるのは得意、よって直近まで集中して法規を詰め込んだのでしたが、いざ試験となると妙にあがってしまい、なんでもない問題につまづいてしまいました。2013年に二アマの試験を受けたときにはそれほど感じなかったのですが、今回は変に焦りがでて心ここにあらずでした。
何度見てもだめはだめ、また次回の挑戦です。
トップページへ戻る
コラム1078 2017年02月06日
脳ミソの退化
年金受給者の年齢になると極端に就職口がなくなると言いますが、よほど特殊なコネか技能がある人でないと雇う側でも採用しません。
確かに、自分でも各方面での衰えは自覚できるものがあります。もの覚えの力が徐々に衰退していくのがわかる、覚える以上に忘れるスピードが早くなる、全体を見渡す能力が低下する、瞬間的な判断が鈍る・・・。高齢者の事故が急増中というのも納得出来ると思います。
そんな中で支出だけは減らないとなれば、採用率が低いのを覚悟で何らかの就職活動をやらねばなりません。となると何かの資格を持っていたほうが有利と考えます。
もともとこの木材業界は何かの資格がなければ出来ないというものではなく、今のような資格時代になる前から職業として存在していましたから何の不思議もなく仕事をしてきました。ただ、近年、配送・構内作業でリフトやユニッククレーンなどを使うので後付のように取得しないといけないようになりました。
そういうふうな環境なのでこの業界は周りから求められるものが少なく特に勉強をしないと取れない資格というものがほとんどありませんでした。求められるものがなければ努力も必要ありませんが、それで自分の人生が終わっていいのかと自分自身に問うてみると何かすっきりしないものがありました。
そんな考えからまったく今までの職業とは関係なく別の世界の業種でプロとして使える資格を取ってみようと一年位前から計画したのです。
しいて言えば電気の分野が若干得意かなと思い、第一級陸上特殊無線技士のクラスを狙うことにしました。
今は本屋さんまで行かずとも、ネットでいろいろな勉強資料が得られるので便利な時代になりました。過去の試験問題から解説まであり、あるところは懇切丁寧な理論まで解説してくれるものもあります。こうして資料の収集にはあまり困らないくらい入手できたのですが、その先が問題でした。
脳ミソがついていかないんです。
トップページへ戻る
コラム1077 2017年01月27日
詐欺すれすれB
損害を被ったときには保険で補填するという方法がありますが、この手の保険はあまり耳にすることはありません。でも、これだけトラブルになってくると需要と供給で決まる資本主義ですから、新商品として売り出されるかもしれません。
いずれにしても大福帳の帳尻はマイナスになり、入居者がいない限り持ち出しの状況は何ら好転することはありません。この辺の家賃相場を見ても5万円以下と言うのはほとんど聞きませんから、2部屋空くと毎月10万円の持ち出しになってきます。
お金を貸すときはニコニコしていても回収には厳しいのが金融機関の掟です。返済が数回ほど滞ればブラックリストに載り、貸し付け金全額を返せと言われます。出来なければ物件差し押さえで競売されるという筋書になります。多少の違いはあっても金銭消費貸借というものはそういうふうに出来ています。
かくして、預貯金をはたいて、他に換金できるものがあれば売り払い相続物件を死守することになるのですが、需給バランスが最初から崩れているものはどうあがいても黒が白にはなりません。
この場合、消費者の立場だと思っているオーナーは、実際は事業者とにみなされており、説明されていなかったとか、聞いていないと言っても第三者から見ればプロとプロの取引と見られ、いわゆる消費者救済とかの扱いはなかなか受けられないと思います。
建てさせる業者が見込み予想の書類を作って返済計画までやっても、融資されれば返済責任はあくまでオーナー自身になるわけで、あとからこんなはずじゃなかったといっても社会的に通用はしません。
建設に同意した時点でオーナーの負けです。
本来、余剰地であればそれを物納しても残りはゼロにはなりませんが、こういうことをやってしまうと元の財産すべてが吹き飛ぶことにもなります。せっかく節税になると思って喜んだのもつかの間、丸裸になってから営業マンにうまくやられたと悔やむことになります。
トップページへ戻る
コラム1076 2017年01月26日
詐欺すれすれA
ちょっと前まで、「仕事をお世話します。それには当教室に通って受講することが必須です」とうたった教材詐欺のような出来事がありました。まったく同じではありませんがこのアパート建設勧誘も非常に似ています。
そもそも、相手の業者は建物を建てて利益を得ようとしているわけですが、確実に需要があるなら自分で別会社を作ってそこにサブリースすれば何の問題もないのです。しかし、そこに入居率というリスクがあるから安全な部分だけとって不安要素の部分は他人に押し付ける仕組みを考えるのです。
どんな大手でも供給過剰状態では入居者のいないところからはお金が上がってきません。それは子供でもわかることです。どう転がっても入居保証というのは成り立たないはずなのです。そこの契約書には保険の勧誘契約みたいなとてもとても見えにくい細かい字で裏の仕組みが書かれているのですが、そこまで読んで理解する人はいないのでしょう。
オーナーとしては目先に相続という大きな支出問題を抱えているだけに合法的に減額できる仕組みを見せられれば誰だって心が動きます。入居率のことも保証しますと言われたらなおさらです。しかし、ビジネスの世界ではそんなお人好しな行為は存在しません。
この世の中、言葉という便利なものがあり、入居率が良いといっても採算が取れるかどうかは金額設定の高低次第で、率をキープしたからと言って採算が取れることにはつながりません。そこの地区にはそれなりの相場があり高ければ敬遠されてしまいます。入居保証というのはそこの意味のギャップを突いて来ます。
詳細説明は出来ませんが赤字のものは自腹を切らなければつじつまが合うことはないということです。そういう内容が契約書には書かれているということです。30年保証をつけようがつけまいがオーナーとしての収入は確約されたわけではなく、勝手にオーナーがそう思い込んでいるだけということなのです。
仮に借り入れナシで建てられる人は単なる収入が少なくなるだけで借入金返済の義務がないですから窮することはありません。しかし、ほとんどの人が銀行借り入れで資金を賄っていますから入居者の空きは返済金の不足へと直結します。
トップページへ戻る
コラム1075 2017年01月25日
詐欺すれすれ
最近、増えているのがアパート経営トラブルだといいます。ご存知のように少子化は全国的な現象になっていますが、それでも経済は回せ回せで必死になっています。そういうアパート建設業者と相続が絡んだ資産を持った人が関係してくる、いわば「渡りに舟」から生まれたような関係でしょうか。
自分の住んでいる所以外にある程度の土地を所有していた人が亡くなって相続が発生すると、片田舎の地価がべらぼうに安いところならほとんど問題がないのでしょうが、ほどほど利便性のよいところならけっこうな相続額になります。
非課税額を超えるようなら何らかの対策をしておかないと預貯金が足りない場合などは税金の支払いに窮するケースが出てきます。これがアパート建築業者の狙い目で、格好の営業攻勢の的になります。
土地の所有は法務局にいけば誰でも閲覧できます。そうするとどこの誰がこのケースに当てはまるかいちいち近所の人たちに聞き込みをしなくても資料が手に入ります。
その資料をもとにロボットのように訓練された営業マンは存命な親と子に合法的節税策を指南します。大概の人は建設資金をまかなえる預金はありませんから借り入れをさせるように仕向けます。ここでオーナーがためらうのが入居者の空き問題です。
銀行の返済については、満室賃貸収入の八割を目安として設定します。10部屋で2部屋以上の空きが出ると持ち出しになってしまい、ソロバンが合わなくなってきます。今時の事情からいえば過剰気味といわれている需給関係が今後も改善するなどということはまずありえません。
オーナーだってそのことくらいは計算できます。そこで営業マンたちはサブリース・入居率保証を付けるといいます。例えば4部屋空いていても八割を割らないように保証しますという契約をつけるのです。部屋が空いていてもカバーしてくれるならとオーナーはその気になってしまいます。
かくして、見込みの薄い入居者区域であってもアパート建築は旺盛となり、やる気もなかったオーナーは目出度くアパート経営者となり、請け負った業者はホクホクになります。しかし、この後に悲劇が始まります。
トップページへ戻る
コラム1074 2017年01月19日
不適材不適所C
何が不適かを判断するのはやはり経験だと思います。売る側はそれをわかっていると思うのですが、何せ競争に勝たねばなりません。その競争に勝つために同じように見えることはどんどんコスト優先で中身を変えていっているといった方が正しい表現といえるでしょう。
コストを下げるには、工事を簡単に早く仕上げることです。そのために適した部材が選ばれ使われていきます。それらが工事全体を見渡せば勝てる商品を作ることになります。
簡単に早く仕上げるには大工作業の範囲を減らすこと、つまり大工さんの手がかからないようにすることに尽きます。そのためにはプレカットという機械加工が必須になってきます。これによって上棟までの大工さんの手間が大幅にカットできます。
そのプレカットを駆使するために適しているのが「寸法がピッタリで、反りもネジレもしない、おまけに刃切れの良い物」が好まれるわけです。その代表的な資材は何と言っても集成材と合板でしょう。世間の住宅で今やどこでも見られる光景がこの集成材と合板を使った建物になっています。
このほかに付け加えるならば「価格の安いもの」という条件がもう一つ加わります。この最大公約数がHメーカー・ビルダーの扱っている建物の現状であるといって間違いありません。そこには建て主さんにとって大事だからとか建物にとって良いことだからという考え方は入りません。
我々資材屋から見れば、土台に目粗な米松などは不適材です。柱もモミ系の木は不適です。桁(梁)も欧州赤松のような木は不適です。屋根野地にも合板は不適です。もちろん床下地材に1mも飛ばした上に厚い合板をぺたっというのも不適です。
何がどのようにして使われだしたか、その理由は必ず存在します。しかし、それが誰のためにやられているのかということとは一致していません。特に住宅に関してはそれが顕著なのです。
トップページへ戻る
コラム1073 2017年01月18日
不適材不適所B
近年の住宅建築の中身というものは、契約形態が建築内容を変化させてきたといっても言い過ぎではありません。その大きな要因を占めるのが住宅展示場です。それは文字通り「完成品」を見て決めているからです。
完成したものを見て決めるということの裏側には売り手側にとって非常に都合の良いことになります。形さえそのように見えれば問題があることに気付かず「いいわね!」ということになっていき、契約するのにもがぜん業者側が有利になります。
当然のことながら、消費者はその裏側が判らないのですから意見の言い様もありません。例えば「和室」を見てみると、柱はきちんと見えて壁も塗り壁があるように見える。畳も入っているし天井もあがっている。でも、その中身は柱があっても柱のように見える薄い板がくっついているだけ。
しかも、その板も超薄い単板(たんぱん)が集成材に貼ってあるだけのものだったりします。壁は塗り壁のように見えるクロスで、近づいて爪でカリカリやってみないと見分けがつかないほどの優秀な柄のものが石膏ボードの上に貼ってあります。
イチイチ左官屋さんが塗ったりしていません。大工さんがボードをパタパタと張って、クロス屋さんがあとからささっと仕上げるだけです。
畳も皆さんの意識にあるような畳ではありません。今の住宅は現場作業を効率よくやるために、床を先に作って動きやすくします。この床はどこも平らで段差ナシに作ります。そのため、そのうえに張る仕上げ材は同じ厚みのものでないとバリアフリーではなくなってしまうため、畳もフローリングと同じ厚みのものにしてしまいます。本来、60mmあるはずのものが15mm程度の薄い畳のようなものが入ることになるのです。
厚みが薄いということは藁(わら)の床(とこ)ではなく、石油系の樹脂製品が代わりに使用されます。薄いということは反りも出易いので反らない製品が使われています。そのうえに畳表(たたみおもて)がのっているのですが、この畳表もビニール製だったり紙製ものだったりが使われていたりしますからただ見ていたのでは区別がつきません。
持ち上げてみない限り厚みの違いに気付くこともないし、表面に触れてみなければ畳表材の違いが分からないし、正座してみなければ硬さに対しての違和感にも気付きません。従来から当たり前のようにあった和室の調湿機能すらもなくなっています。
中身が変化するのは時代の流れとしても、その質までが変わってしまうのでは何のための住まいなのか。見ただけで決めてしまうというのはとても危険なバクチだと思います。それも”当たりのない賭け”のようで・・・。
トップページへ戻る
コラム1072 2017年01月16日
不適材不適所A
住宅には部所の数だけ適材適所が求められます。
土台・・・硬く潰れず、腐りにくく、シロアリにも対抗出来得るもの
柱・・・・曲がらずしっかり重量を支えられる、シロアリにも強いもの
桁・・・・上からの曲げ重量に耐えねばりのあるもの
小屋組み・・・屋根重量を支え温度変化の結露等に強いもの
屋根野地・・・瓦直下の結露を小屋裏へ透湿出来るもの
構造体には最低でもこのくらいの適性が求められると思っています。しかし現実はプロがやっているにもかかわらず、はてなマークがつくようなことばかりです。
適材の意味には調達できる範囲も含まれます。今では高級建築の代名詞みたいになってしまった数奇屋造りという建築様式がありますが、これはごく近所の手近に間に合う材料を使って建てるという意味を持っていたものです。
茶室などは丸太を使っているケースが多いですが、これもわざと丸太にしているわけではなく、近所から集めてきたもので間に合わせたという質素さを表しているものです。
そういうものが使われていても基本は塗り壁ですから丸太の接点、つまり曲面などの仕上げには好都合だったわけです。
今はこういうことが逆に高級になってしまったのですから歴史の流れを感じます。
近所の材を使うということは非常に大事なことです。世間ではエコとか言われながら地球の反対側から船で運んできても「木材を使っているからエコだ」と言われたりしますが、これでは意味がまったく通っていません。
材の調達は近所が基本で、間に合わないものは遠くのものを使うというのがセオリーだと思います。そのうえで使う場所に適した材の選択がなされること、それがもっとも効率の良い建築ということになるはずなのですが、現場サイドでは逆転しています。
技術の進歩は新しい資材を作り出しますが、適材という基本を無視した使い方になってしまったのは経済的効率が優先されすぎてしまった一種の弊害だと思います。集成材然り、合板然り、木屑圧縮板然りです。これによって失われた「木造だったからこそ得られたもの」がたくさんあるのですが、それは語られることはありません。
これはけして消費者が望んでいるものではなく100%作り手側の都合によるものです。
トップページへ戻る
コラム1071 2017年01月12日
不適材不適所
今の住宅建築において、土台に何が使われるべきか、柱には何が適しているかなどという点において要件を満たしているHメーカー・ビルダーはどれくらいいるでしょうか。おそらく限りなくゼロに近いといえると思います。
少し前に近所の団地内で見た建物の土台には米松の目粗が使われておりました。その後、通ったときにはネットで見えないように囲われてしまい中を覗き見ることは出来なくなりましたが一事が万事、大体想像がつきます。
このビルダーはローコストを売りにしてTV宣伝もしている業者です。この業者だけが特殊なのではなく、今の住宅の販売方法が「完成したもの」を見せて契約する流れになっていますので、建て主さんはその中身を知って決めているわけではないのです。
我々の世界ですと、土台というものは柱を受けるものですからかなりの重量を背負います。そのためには横に敷かれる木は潰されにくいものが適材だと考えられています。それらの条件を満たすものは、昔ならクリなどの硬い木が利用されましたが、今では入手困難の樹種になってしまいましたから、次の候補としてヒノキ材が使われているわけです。
単なる硬い木なら他にも広葉樹などであるのですが、建築用の適材・汎用性としては条件が揃わず候補から外されてしまいます。広く皆が使えて価格もそこそこということが建築での使用条件になります。
この業者の使用している米松目粗材は量は確かに豊富にあり価格もそこそこで汎用性としてはあるのですが、材質の適・不適という点で不合格です。私らだったらまず使わないという樹種です。
なぜ、不適になるのか・・・それは土台が柔らかいと柱がくい込みを起こし、厄介なことに他の壁が取り残され、窓などがあるとアーチ型に変形してしまうのです。こうなるとサッシをいくら調整してもぴたっと閉まらず、鍵もかからないという現象を引き起こしてしまう可能性があるのです。
トップページへ戻る
コラム1070 2017年01月11日
消費税押し問答
年末の28日、仕事納めの日に税務署に行って来ました。以前書いた消費税申告の中身についての件で、「戻す・戻さないでくれ」とか押し問答したことについての決着をつけてきました。
こちらとしては売上ほか雑収入などでの仮受け分と仕入れ・販売経費の仮払い分とを相殺した差額が納税分となるので総額的な間違いというのはないのですが、あちらさんはあくまで申告書金額に基づいて計算した額が優先されると主張していました。
26日の月曜日午前中に電話していろいろ話したのですが、こちらに来てくれないと困るの一点張りで、来れないなら税務署側の計算で差額を還付すると言うのです。
返されても困るので、「それじゃあ、午後から資料を持っていきますから待ってて下さい」と言ったら、午後は出張で留守になると言うし、明日も一日出張で都合が悪いというのです。「それじゃあ、明後日の28日はどうなんですか」と聞くと、「大丈夫です」ということになり、結局は仕事納めという日になったのです。
結局、何が原因で誤差が出たかと言うと、当期処理した貸し倒れの金額の税金分の誤記でした。要約するとこうです。仕入れや売上は期末に消費税分を分離処理します。一方で売掛金の増減というのは税込みで分離されません。
数期前に支払人死亡と夜逃げされた二件を当期に貸し倒れ処理として申告書から減算しました。このときに、本来ならば国税分は8%ではなく6.3%分を減額すべきだったのです。ですから、途中の控除額が多くなり納税額が見かけ上誤差分だけ還付という数字が出てしまったのです。
それを担当者に説明して再計算してもらったら確かにこちらの言い分が正しいとわかったのですが、それでも国税分・地方消費税分とか分けて計算していくために最後に出る税額が百円未満切捨てにより、200円の還付が出てしまいました。
今回の納付についても端数が出ていて雑収入処理をしたので、それは還付しないで翌期の充当にしてほしいと言ったのですが、今期のものは今期に返さなくてはいけないと言われ、好きにしてくださいということで帰ってきました。
一応、前に話したことを今回もクドクドと言ってきましたが、なぜ8%の計算を単純にそのままやらせないのか。なぜ、6.3%と1.7%とか複雑に分けるのか、もっと簡潔にしてほしいと話してきましたがまず修正される見込みはないでしょうね。
わざと税理士に頼まないと出来ないようにしているのでしょうね。
大事な彼らの再就職領域ですからね。私は意地でも頼みませんけどね。
トップページへ戻る
コラム1069 2017年01月09日
今月の勉強会
以前は15日と決まっていた成人式もいつからか日曜日にくっつけることになって、この日も含めて「祭日」という意義があまり持てないのは私だけなのでしょうか。若い女性が晴れ着を着ておしとやかに歩く姿はおめでたいという気持ちと過ぎ去った世代の違いをしみじみと感じさせられます。
さて、今月も予定通り勉強会を開きました。参加は11名、遠い所から参加された方もいらっしゃり、大変お疲れ様でした。テーマは「資材・素材」ということで2時間たっぷりお話させていただきました。
同じ形(住宅)に見えても、工法が変化してきたことによって、使われる資材が想像以上に変わってきて、それが建物寿命にどういうふうに影響するか、また、安全であるべき居室空間の空気環境への影響などあまり言われない情報の部分についてお話しいたしました。
どこまで皆さんに伝わったかわかりませんが、少なくとも自分の希望していないところの変化と言うものを感じていただけたのではないかと思います。
さて来月はその延長の「予算について」です。またお時間の許す方はご参加下さい。
トップページへ戻る
コラム1068 2017年01月07日
消石灰・・
一昨日、ちょっとフリーの時間が出来たので家人と久しぶりに千波湖へ散歩に行って来ました。昨年、水戸市内の大塚池で鳥インフルエンザが発生したので、この千波湖も厳重警戒のたて看板がいたるところで見られました。
鳥に触れないで下さい
えさをあげないでください
自転車は乗り入れ禁止です
遊歩道に出入りするときは靴底を消毒してください etc.
「消毒って何?」と疑問に思い、よく見てみると遊歩道に出入りするところには必ず白い玉粒のような消石灰が敷かれていました。よくテレビで見る消毒というと噴霧器や液の染み込んだマットをのぼって感染しないようにするという光景は見ましたが、消石灰でやると言うのは知りませんでした。
上記のほかに気になったのは「化学物質過敏症の方は充分注意してください」という別の場所に立っていた但し書きでした。消毒のために敷いた消石灰の過敏反応を意識してのことと思いますが、一昔前までは考えられなかったことです。それだけ行政も訴えられたら大変だと考えているからでしょう。
自転車は乗り入れ禁止と言うのにここを一周する間に数人ほど違反者がいてこれまた驚きました。きっと字が読めないのでしょうね。貸しボート屋さんはこの影響なのか完全なお休み、誰一人としてボートに乗っている人はいませんでした。これもこの騒ぎの影響なのでしょう、お気の毒です。
以前来たときはカラスがとても多くいたと思いましたが今回はほとんど見ませんでした。どこかに出張していたのでしょうか。それとも命の危険を感じて寄り付かなくなったのでしょうか。頭の良い鳥だから後者かも知れません。
そういえば駐車場が半分くらいは空いておりガラガラ状態でしたね。私らのとなりに止まっていた軽自動車には若い男性がひとり、エンジンをかけたままシートを倒して寝ていました。まわりには食べた弁当の袋なのか、たくさん散らかっており、車上生活者なのかなと思うほど気味が悪かったです。
お正月、この時期だからきっといっぱいだろうなと思っていたのでちょっと拍子抜けな散歩でした。
トップページへ戻る
コラム1067 2017年01月06日
謹賀新年
みなさま 明けましておめでとうございます。
今年はカレンダーの具合で休みの短いお正月が多かったようで4日からスタートしたところも多かったようです。住宅業界のスタートも昨年よりのんびりしていたような雰囲気でした。
プライベートでは
24時間365日、孫の世話から逃れられない日は今年も間違いなく続きます。長男孫は今日から学校で始業式、2番目3番目孫はすでに昨日から保育園に行き始めました。
生後4ヶ月から面倒を見てきた3番孫も最近保育園でおパンツ訓練に入ったようで、ときどき「おもらししちゃった」とちょっと足を広げ気味に言うようになりました。今年はウンチもお便所デビュー出来るかどうか楽しみです。
おもちゃでは相変わらずお兄ちゃんと五分五分の取り合いをしていますが、泣くのはいつも下ばかり。2才の年齢差は一生縮まらないことを脳ミソで理解できるのはいつのことになるやら・・。
それでは今年もよろしくお願い申し上げます。
トップページへ戻る