「失敗しない家づくり」勉強会 実践塾

間違ったクレームにならないために
ものには何でも需要と供給があります。それは消費者が求めるもの、業者がメーカーにもとめるものと分けて、ほぼ二通りになります。双方の考えていることがちょっとだけずれてくるとクレームが生まれてしまいます。そうならないための知恵と知識を持ってください。

今では特に乾燥材を指定される場合が多くなってきました。我々は業者からの依頼で木材を納品する立場ですから、要望があれば広範囲に仕入先を探して希望品を見つけます。もちろん、常時在庫として持っているものもあります。

なぜ、近年は乾燥材が要求されるかというと、消費者からのクレームが多くなってきているからなのです。「夜中に薄気味悪いくらいピリピリと天井裏で音がする」「これは欠陥ではないか」という内容です。

これに対して、きちんとした説明が出来ない「業者、納材屋」がいることです。それによって、余計なエネルギーを使いたくないと思っているメーカーは目先クレームにならないものを提供しようと努力した結果、現在のような接着剤のたくさん入った建築材が生まれるようになってきたのです。

欠陥だという意見(クレーム)は表面上もっともだと思えます。思えますというのは、木を知らない建て主さんが言ってくるのはという意味でです。
これら使われる材種、材の性質、または製材される仕方の違うものを不適切に使っているなどの場合はほんとうにクレームを招くことがあります。
これらはきちんとした事前説明がなければクレームとして成立するでしょうし、業者は手落ちといわざるをえないでしょう。

ただ、従来のセオリーを大事にして仕事をしている人は、こういったことはやらないでしょう。具体的にその例を勉強してみます。

木の特質 割れが起こる理由
成長過程の木は、とんがりコーンをかぶせながら上へ上へ伸びて同時に少しづつ横へ太っていきます。その一年一年が切ったときに見られる年輪です。

外へ外へ成長していくのですから、その輪はだんだん大きくなっていきます。年輪の数が成長した年数になります。年輪の間が広いということは成長が早いということです。

外へ行けば行くほど、当然ですが組織細胞の数も増えます。芯に近いところより外周のほうがはるかに細胞が多いのです。成長するときはこの細胞にたくさんの水分が含まれます。

切り倒されてからは、今度は水分が抜けていきます。細胞質(室)の中の水分が抜けるのと、組織そのものが持っている水分が抜けるのとで収縮がはじまります。

縮む方向も年輪(円周)方向と芯に直交する方向では率が違います。つまり、タテヨコ同じように縮むなら割れは生じないのですが、それでも外側のほうが細胞組織が多いので結果的に外側ほどおおきく割れることになります。

では割れは「悪者か」ということですが、解釈が二つに分かれます。結論から言えば、芯持ち材は強度的には変わらないということ。芯去り材はほぼ割れませんが、芯持ち材と比べれば若干強度が落ちます。
どちらも良い点とそうでない部分を持ち合わせています。

小屋裏からの不気味な音
夜中にピリッピリッと木材の割れる音が聞こえると、たしかに気持ちがいいものではありません。しかし、使われている素材が「芯持ち材」なら、それほど心配は要りません。
理由は芯持ち材は一本の中ではどこかがつながっていて、割れからばらばらになることはないからです。日本の木材は、この一本取りというものが圧倒的に多いです。

外国産のものは大きな木から角材をとっているのが多いのでこの逆になります。割れは少ないですが、ないわけではなく、これらの危険性のほうが大きいです。特に母屋、桁などの横もの材は国産のほうが良いと思っています。

柱が割れる
いわゆる「芯持ち」一本取りの柱は、横架材と同じく一本の木から製品になったもので、割れが生じたからといって簡単にバラバラにはなりません。最初に十分に乾燥させて割れを
出してしまえば、あとからの症状が出ません。
クロスが割れるというのは、こういう柱の割れにひきつられて壁が割れるということが多いのです。

床が縮む
乾燥材なのに床がすき間だらけだというクレームを聞きます。よく聞くと「人工乾燥したものなのになぜなのか」と言います。すき間の大きさにもよりますが、床の場合は米粒一個くらいあく場合だってあります。巾にもよりけりですが。

もともとムク材を使うのに、巾の広いものはむいていません。なぜならば、床というのは一枚の板の片側しかとめられないからもう一方が収縮の動く分だけ移動するのです。

昔から、腕のいい大工さんは4寸(12.0cm)くらいまでしか施工しませんでした。収縮と反りの問題があったからです。

夏の施工のときは素材をきっちり締めこみます。冬にどうしても縮みが出て格好悪くなるからです。

いま、機械乾燥が多い中でなぜ、クレームが減らないのか。それは木材を扱う人(営業マンや現場監督)が機械で乾燥したものだから、「乾燥品」だと思い込んでいるからです。

「木材はそんなに甘いもんやおまへんで」

人間だって同じ授業してわからん子もいるし、出来る子もいる。木材だって、同じ時間機械にかけたからといって、おなじに乾燥するものなんてないのです。

それを取り違えているから「乾燥品なのにおかしい」となるわけです。こんな状態では何度でも同じことを繰り返すし、勉強にもなりませんね。こんな担当にあたった人は不幸なだけです。

床が盛り上がる
世の中、新建材という複合フローリングがたくさん使われています。こういう時代が長くつづくと、大工さんもムク材の扱い方を忘れてしまいます。

私らも、夏(梅雨時)には床が膨れてしまって見てほしいという連絡をもらうことがあります。現場に行って見てみると、たしかに床が盛り上がっています。

この原因は木材の季節による収縮を計算に入れず、施工をしてしまったというケースが多いのです。冬にこういったムク材を施工するときは、梅雨時の膨張を考慮して少しゆるめに床をとめます。冬は材が十分に乾燥しているので、夏になって湿気が多くなると数%膨張するのです。

施工目安としては、厚い名刺一枚くらい隣の板を張る時にゆるみをもたせることです。

こんな知識を持っていたら、あなたはセミプロです。



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木を使いこなすための知恵@


こうして4ヶ月乾燥させれば、
家を建ててから
ピリピリ割れることも少ない。




ほとんどの木が乾燥してくると縮みだし
木質の素直なところに割れが生じる。




これはカナダの米松、木によって割れ方も
さまざま。




左 芯去り、真中と右は 芯持
さて、強度が高いのはどれ?
答え 真中と右。

それでは割れが出ないのは?
答え 左。



木は、円周方向と芯に直交する縮みの率が
違うから割れが生じる。




長い年月をかけて成長していく
人間のほうがよほどせっかちだ。






1cmの中に入る(数えられる)年輪の数が
上と下とではまるで違う。

どちらがいいのかって?
答え それは下のほうです。