「失敗しない家づくり」勉強会 実践塾

法律は建て主を守らない

昨今の住宅に関わる法律はどんどん細かくなっていきます。

行政が建築に関係するおおきなものに「確認申請」なるものがあります。
この「言い得て妙」な行為に、「申請を受理した」というおおきなマーク(ゴム印)が捺されて
返却されます。なにしろこの「受理」というマークがないと工事を始められません。
ただし、過疎地などの制限のない地区もあり、届出だけで済む地区もあります。
建築基準法という法律はきちんと守るところは同じですが、建ててはダメという地区や
建坪の制限がない等細かいところが違います。

このように市や町の関係してくるものと、国が決めた建物の決め事としての建築基準法が
あるなど、一軒の家を建てるには書類の審査がたくさんあります。
よく、建築許可がおりたという業者がいますが、正確には申請が受理されたということで
後々の解釈にズレが出てきます。

それは又別の機会に書くとして
建て主さんとしては、行政が書類をパスした(させた)というのだから、自分の建物は
完璧に良いものだと思いがちですが、実際はそう簡単ではありません。

この書類審査(受理)では見えない部分がたくさんあります。
風通しの良し悪しや水はけの良さ等ではまったく関与しない部分があり、家全体として
考えた場合にはそれらが反映されているとは限らないのです。

確認申請のほかにもたくさんの決め事があり、これから実施される「瑕疵担保履行法」と
いうものも、国土交通省の決めた法律ですが、住宅(建て主さん)の保護には100%とは
ならないのです。

この法律は10年間の期限内の補償ということで、それ以降は対象になりません。
補償内容としては、構造体の欠陥と雨漏りのことだけです。
雨漏りの現象は施工が悪ければすぐに結果が出るとしても、住宅の「構造体の欠陥」
となれば、そう簡単に現象が出るものばかりとは限りません。

今の住宅の構造体に使われているものに構造用集成材というものがあります。
大手ハウスメーカーから地域のビルダーまで巾広く使われています。
この素材は「ムク材の1.5倍の強度」などと言われ、完全無欠のごとく評価されています。
世の中の人の大多数が異論を唱えることはありませんが、私はこの裏に大きな危険が
潜んでいると確信しています。

接着技術の発達は世の中に大きな変化を興しました。一昔前には住まいに集成材が
使われるなど予想もしていませんでした。
乾燥度も高いし(接着するのですから乾燥していなければ不可能なので当然ですが)
寸法精度もハイレベルです。

それでは「大きな危険」とは何なのでしょうか。
それは接着は何らかの樹脂であるから、いずれ樹脂の劣化が起こるということです。
住宅は大きな建物なので重量物です。
それらの重量を家の寿命が終わるまで完璧に支えていく必要があります。
住宅はそうっと建っているわけではありません。たえず、自重を支えていながら
地震などの突発的な事態にも耐えていかなければなりません。

いつでも震度4位の地震は関東地区でも起きていますし、先日も(2008/05/08)
この地区(茨城県)では5弱の揺れがありました。
年に数回程度はこのくらいのレベルのものが起きています。

構造用集成材の使用はまだ20年にも満たないくらいの普及(使用)実績です。
当時と接着技術は格段に飛躍してきたとは言え、50年の実績があるとはまだまだ
言えないものです。

そういった結果の出ていないものが「1.5倍の強度」という宣伝文句で一人歩きして
何の心配もないかのように大量に使われています。

これは「不気味」の一言に尽きると思います。

一般の人(多くの建て主さん)は、住宅はローンが終わった後までもつものと
考えていると思います。しかし、残念ながら私の考えはノーです。
この「1.5倍の強度」が大きな脅威になると思っています。

接着力は、現在は確かに強固です。しかし、これには経年変化がまったく考えられて
いません。
人の命を守るための住宅としては初期強度ばかり優れていても何の役にも立ちません。
解体されるときまで耐えうるものでなければならないはずです。

強固な集成材から接着を取ったら何が残るか。答えは小さな木片だけです。
「つながり」のなくなった木片はどうなるのでしょうか。バラバラになるだけです。
それらが家の重量を支えているのですから大問題なのです。

25年で接着寿命が来るのか、35年なのか、誰にもわかりません。
それだけの経過した実績がないからわかるはずがないのです。
バラバラになる確率の高いもの「構造用集成材」
そういったものに命を預けてしまっていいのでしょうか。

いつかは分からないが、いつかは「そのとき」が来るのです。
とっくに瑕疵担保補償が切れてしまって、崩壊した家は誰が責任を取るのでしょうか。
失われる命はいったい誰が責任を取るのでしょうか
「ムク材の1.5倍の強度」と言った人はどう責任を取るというのでしょうか。
それらを認定した国や外郭団体はどう対処するのでしょうか。

こういう根本が何も変わっていないのに、世の中は今度は長期優良住宅と言い始めました。
こうなると、国も行政も業者も、もう「立派な詐欺師」です。


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