現場から学ぶこと
多くの現場を見ることの意味
建築の実力をつけるには現場をたくさん見ることです。自分の持っている知識と知恵を最大限に使って、見ることを継続しているとだんだん気付くものが出てきます。それはあなたの住宅に対する力がついてきた証拠です。もてる知恵と現場を見学していけば必ず納得の得られるものが見えてくるようになります。
どんどん聞くこと
現場を見ると言っても、素人の方がただ見ているのでは理解できる範囲は限られています。現場に責任者(棟梁)が居れば、どんどん疑問点を聞いてみましょう。なぜ、そうなっているのかを知ることは大事なことです。
自分の考えとどう違うか比較する
ものごとは比較ということで決められていきます。家づくりも同じで、たくさんの現場を見て自分の感じたことと、聞いてみたことの比較で自分の判断を決定していけば良いと思っています。それゆえに正確にものを見ると言うことが大事になってきます。
間の感覚 空間の感覚をつかむ
他人様の家を見せていただくということは、たとえば自分の考えているスペースとの比較が出来るということです。
居間は何畳欲しいといっても体感ではわかりません。実際に他の家を見せてもらって広さや高さの比較をできるということは大きなプラスになることです。
流しのスペースや、階段のあがり、収納への移動、水回りの行動、裏動線など「お試し体験」はいくらでもあります。
動線の見方
動線とはお客さんのいるとき、家族はどう動けるかとか、風呂に入るときに着替えなどを持ってどう動けるか、家事作業にどう影響するか、生ゴミの出す経路はどこを通っていくか、などたくさんの行動要素を確認することです。
各所のアイディア
過去に建てられた方は各所に良いアイディアをもっています。見学の際にはそういう点をチェックし、自分に合っているかを検討していけば、それだけでかなりのハイレベルな建物が出来てしまいます。
そういう見方をしていけば、「見学」は宝の山です。
見ただけで判断しないで下さい
以前に、現場をみてもらった方が、だまって質問もせずに帰られたことがあり、その方は他の業者へ家を依頼されました。
別に個人的な理由で自由選択をされたのですから、我々がどうこう言う問題ではありません。しかし、あとから聞いた話では現場見学のときに、かなりの誤解をされていたようなのです。
その方の弁
「勉強会で言っていることと、現場でやられていることと中身が違う」ということらしかったのです。
我々はムクの木材を使って家を建てることを目指しています。しかし、最終的にお金を出すのは建て主さんです。予算的な折り合いがつかなければどこかで調整していかなければなりません。これも現実です。
この見学された現場でも建て主さんとの予算をつめる作業が長い時間検討されました。その結果、物入れや納戸の床などはレベルを落とそうという話しにまとまり、結果として「新建材」を使うことになりました。
このことは、我々にも一つの課題を与えてくれました。なぜ、こういう建物になったかなぜ、こういう仕様になったのかその途中経過を皆さんにお話ししていかなければ、受け手である皆さんにはその内容が伝わらないということです。
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ひたちなか商工会議所にて定例会