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              声明


 新井秀雄氏(提訴時・国立感染症研究所主任研究官)に対する厳重注意処分は、憲法21条で
定められた「表現の自由」を侵害するものであるため、新井氏は処分無効を求めて2001年(平成
13年)1月25日裁判を提訴した。本日、東京高等裁判所が、新井氏の主張を退け、処分無効を確
認しなかったことは、新井氏個人にとどまらず、私たちの社会にとっても悪しき判決と言わざるをえ
ない。
 そもそも、新井氏は自らの職場であった国立感染症研究所(以下、感染研)が、人口過密地域で
ある新宿区・戸山に移転・新築することは、ひとたび細菌やウィルスが周辺環境に漏れ出した場
合、多くの人命に危険が及ぶ可能性があると考え、従来より戸山での立地を批判してきた。このこ
とは、戸山の住民らが起こした差し止め訴訟において、原告側推薦の証人として、法廷の場でも
感染研の危険性を述べていたことからも明らかである。そして、新井氏はご自身の考えをより広く
国民に伝えるために、自ら執筆した「科学者として」を2000年(平成12年)11月に出版し、同書の
内容を取り上げた「週刊文春」の取材に応じたのである。こうした言論活動に対して、感染研は「当
研究所の研究内容や運営実態を歪曲し、幹部職員を事実に反して誹謗中傷する内容を発表した
ことは、当研究所の信用を著しく傷つけ、公務の円滑な遂行に支障を来たすものであり、誠に遺
憾である。」として2001年(平成13年)1月4日、文書による厳重注意処分を行った。
 感染研の危険性については、国内外の科学者多数も憂慮しており、感染研の立地・設備・管理
体制等を厳しく批判し、広く議論していくことは国民の健康と安全にとって大変重要なことである。
その際に、所内で日々研究活動を行っている科学者の視点も、私たちの議論に欠かすことの出
来ないものである。新井氏が科学者として、あるいは国家公務員として、国民の健康と安全を守る
意味で、自らの考えを述べてきたことは当然のことであった。こうした言論を厳重注意により弾圧
しようとした、感染研ひいては国の態度は、自由な議論ができて初めて達成される民主的な社会
を破壊するものであった。
 東京高等裁判所が、こうした感染研および国の姿勢を容認し、新井氏に対する処分を無効とし
なかったことは、言論弾圧を公然と認めるものであり、断じて許すことが出来ない。私たちは、可
能な限り多くの情報をもとに自らの健康と安全を守っていく権利があり、そのためには「表現の自
由」が保障されてこそ、民主的な社会を作っていくことが出来るのである。東京高等裁判所は憲法
21条の意味を軽視し、東京地方裁判所の判断の誤りを正すことが出来なかった。私たちは、新
井氏が「表現の自由」を保障した憲法21条に基づき、最高裁判所に上告するならば断固支持し、
東京高等裁判所の判決が破棄され、新井氏に対する処分が無効となるよう強く求めるものである。
また、感染研は、新井氏の指摘を真摯に受け止め、その立地条件も含め、安全性について点検し、
決してバイオハザードを起こすことがないよう求めるものである。

                                           2006年7月19日
                                           新井秀雄さんを支える会




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