【CHAPTER1−01】



崩壊した列車内 →  崩壊した列車の地点 →  作業員用通路 →  管制室 →  システム制御室前 →



《崩壊した列車内》

アルーア
 う………

 何だ?… いったい、何が

 もの凄い、衝撃だった…

 車両が一瞬、
 浮きあがるくらいの…

 そして激しい爆音…
 ただの脱線なんかじゃないわ

 まさか………
 誰かが線路を爆破したのか?

 だとすると
 いったい何のために?…

 …異端ども……

 教会に仇なすあの背徳者たちが
 今回の私のミッションを
 知って…

 破壊工作を企んだとしたら?

 ………

 …ここで考えていても
 はじまらないわ

 とりあえず
 周囲の状況を確認しなければ


アルーア
 誰!

レナ
 「ちょっと! ちょっと待ってったら!!」

 「…いや、いま外を通りかかったらさ。
 何か、人の気配がするじゃない?」

 「だから、誰か生きてたら助けてあげなきゃと
 思って…ね?」

アルーア
 彼女はレナ・スパーリング

 ミッション前に渡された
 教会の資料によると

 彼女はミナミのマフィア
 タオ・ファミリー幹部の
 女であるらしい

 そして週に一度は
 セントラル外れのベイエリア
 にある別荘で過ごしている

 今日はその帰りという訳だ

 確か、車内ですれ違った時に
 ふと香ってきた彼女の思念は

 歪んだ欲望と
 獣のような残忍さに
 いろどられていたけど…

レナ
 「まったく、いったいどうなってんのよ!?」

 「あんなひどい事故から生き残れてラッキー!
 って思ったけど…」

 「どこもかしこも行き止まり。サイアクだわ」

アルーア
 思念がまるで火花のように
 きらめいている

 『アルーアはダイブした』

レナ
 どいつもこいつも何よ
 ふざけやがって
 あたしをダレだと
 あの人に連絡さえ
 シット深いから
 でもヤバい
 あの人にばれる
 一晩中責められる
 何とか
 うまい言い訳を
 あいつも殺される
 あいつはいいけど

アルーア
 これが私の力…
 マインド

 対象が心を持つ者であれば
 深層思念にダイブして
 その心に干渉することができる

 もちろん、ただ単に
 思念を読み取るだけではない

 マインドを帯び、
 思念戦闘に持ち込んで
 相手の精神を破壊することも
 できる

 そうやって…
 教会に背く罪深き者どもを
 いままでに何人処分してきた
 だろうか…

 今回のミッションの内容も
 やはり、反教会をかかげる
 異端者の抹殺だ…

 逃げ場のない高速列車内…
 限られた乗客…
 そう困難ではないミッションの
 はずだった…

 この事故さえ、なければ…

レナ
 「ねぇ、あんた…
 よかったら、一緒に動いてあげてもいいわよ」

 「こんな訳のわからないところで、一人でいる
 のもさびしいんじゃない?」

 「ねえ…そうしない? 一人より二人の方が
 絶対イイって!!」

アルーア
 彼女の思念は
 激しいエネルギーを
 放射している

 良い悪いは別として…
 人を魅きつける力を
 持っているのは確かだ

 彼女をオトリとすれば
 ターゲットのガードもゆるむ
 かも知れないわ

レナ
 「まあ、そんな無愛想な顔すんなって!」

 「これでもあたし、ミナミのタオに顔が利くん
 だ」

 「ここであたしの役に立てば、外に出れた時に
 悪いようにはしないさ」

 「それじゃ、ま…ヨロシクね」






アルーア
 (※初回ダイブ時)

 死体になどダイブする
 べきではないわ。

 底知れぬ闇に呑まれる
 危険があるもの。






アルーア
 すでに死んでいる…

 確かミナミで人体改造の
 ショップを営んでいた男だ

 教会の資料ではAランク…
 つまり、ターゲットとして
 かなり疑わしいとされていた
 けど…

レナ
 (※共に行動している場合)

 「うっわーー! すげーな。
 頭パックリいっちまってら…。へははは!
 ったく……カワイソーにね」

アルーア
 (※どこかを調べた後・車外へ出る前)

 それにしても
 車内がこの有様だとしたら

 外はいったいどんな状態に
 なっているのだろう…







 誰か助けてー
 いったい何が起こったんだ
 目が目がつぶれちまった…
 な 何も見えない!
 まずいことが起こった
 血よ 血が出たわ
 オレは死んじまうの
 針 針はどこに?
 神様…お助けください
 爆弾だ爆弾が落ちた!
 異端の仕業だ
 とりあえず生き残ることだ
 お母さん 助けて
 もういや…帰りたい…

アルーア
 パニックに陥っている
 乗客の中で一人だけ、
 落ち着いていた人物が
 いたわ

 ノイズがひどくて
 思念パターンを特定すること
 はできなかったけど…
 何者だろう?






アルーア
 奥に何かある…

 『念破針を入手した』

 これは…撃針

 延髄から視床下部に直接
 打ちこむことで思念を強化
 する思念波動増幅デバイス…

 それもこれは、通常のモノに
 比べ、ケタ外れに強力な神経
 パルスを放射する…

 マインド使い向けの撃針だわ

 そんなものが…
 どうしてこの列車内に?…

レナ
 (※共に行動している場合)

 「うわわ…何かヤバそーだな、おい!」

 「…ってお前もそんなの拾ってどーすんだよ!」

 「…まさか、お前それ、何かトンデモねえプレ
 イに使ったりするんじゃねえだろうな? え?
 ウケケケケ…」







アルーア
 奥にカプセルが落ちている…

 『リンを入手した』

 人工線虫だ…

 脳内に寄生させることに
 よって精神耐性を高める
 思念防御デバイス…

 思念戦闘を強いられる
 マインド使い特有の装備だ。
 でも…

 どうしてここにこんなものが
 あるんだろう?

 教会の精神工学技術の結晶
 ともいえるこの人工線虫…

 通常の者ならば、
 よほど重度の精神障害でも
 ない限り必要としないはず…

 どうして、そんなものが?…

レナ
 (※共に行動している場合)

 「何だよそれ! 気持ちワリーな…」

 「や、やめとけよっ!!
 そんなの拾うンじゃねえってば!!」

 「た、頼むからさ!
 それ持った手であたしに触ンなよな!」

アルーア
 (※針と蟲の両方を入手した後)

 さっきの撃針…
 そしてこの人工線虫…

 間違いない

 私以外にもこの列車に
 マインド使いが乗っていた…

 もし教会のマインド使いなら
 私にわからないはずがない

 ということは、敵だ…

 教会に敵対する勢力の
 マインド使いが…
 どこかにひそんでいる

 もしかすると…
 向こうはもう私の思念を
 キャッチしているかも知れない

 気をつけなければ…



《崩壊した列車の地点》

アルーア
 これは…
 思った以上の惨状だわ

 線路の基部が破壊されて
 とても通れるものではない

 こっちは
 横倒しになった列車が
 道をふさいでしまっている

 …事故が起こったといっても
 閉ざされた状況に
 変わりはないということか…

 ただ、皮肉なことに…。
 ターゲットに逃げられる
 可能性が少ない分…

 私にとっては好都合だ。
 とも言える

 なぜなら…
 今回のミッションでは
 ターゲットが誰なのか特定
 できていない

 わかっているのは
 この列車の乗客の一人が
 異端組織輝ける橋の幹部だと
 いうことだけ

 渡された資料も十名あまりの
 乗客リストのみだった

 そして私の任務は
 マインドを使って彼らの思念
 を走査しながら…

 その異端者が誰なのかを
 突き止め…
 処分することだ

レナ
 「ひゃはははは! すげーアリサマだろ!?
 ま、お互い死ななくてよかったって感じ?」









アルーア
 事故で完全に崩壊して
 しまってる。

 トンネルは完全に塞がれて
 いるようね。







アルーア
 (※チャニと話をする前)

 (何かを殴打するような音)

 この音は?…

 (扉を開けようとする)

 鍵が閉まっているわ。


 「うるっせえ!」

 (打撃音・連続、女の悲鳴)

 「ひゃは!…はっ!
 オレはいま遊んでんだ! ひゃはは!!」

 (打撃音・単発)

 「はあっ…はあっ…は、ひゃははは!
 ……邪魔、すんなっ!!」

 (打撃音・単発)

 「うらっ!」

 (打撃音・連続)

アルーア
 扉のすき間から
 濃い血の匂いがただよって
 くる…

 いったい中で
 何をやっているんだ?

レナ
 「あれ………女の悲鳴だよな?
 中でいったい何やってやがンだ?」



《作業員用通路》

フィオナ
 「まったく、イヤんなっちゃうわ…」

アルーア
 彼女はフィオナ・ハート
 確かリストには
 ブルースの歌手だとあった

 ミナミ・セントラルのバーを
 ベースにしながら…

 月に三回、新東京のクラブで
 ステージを持っているとか…

 それなりに有名な歌手のよう
 だけど、こんなアクシデント
 に巻き込まれるなんて…

 不運だったわね

フィオナ
 「まったくもう!
 出口なしって感じ。お手上げよ!」

 「下はガレキが崩れ落ちて足の踏み場もない
 どころか、エレベーターまで壊れてて動かない」

 「上の管制室にしても…
 まともに動くものなんてほとんどないわ!」

 「…おまけに男で生き残ってるのが変態のブタに
 薄気味悪いデカブツだけと来た日には…」

 「いっそ全財産教会に寄付して、シスターにでも
 なろうかって気分よ!」

 「よほど前世で神様にツケがあったんでしょうね。
 はっ!」

アルーア
 …感じる

 激しい口調の裏に
 ゆっくりとたゆたっている
 黒い想念…

 恐怖と悪意がいりまじった
 胸をむかつかせる匂い…

 彼女が…ターゲットなのか?

 『アルーアはダイブした』

フィオナ
 死体死体死体死体死体死体死体
 通信も壊れてた…
 通信も壊れてた…
 通信も壊れてた…
 頭が割れるように痛い
 もうイヤ 帰りたい
 私だけじゃない
 声がもどったのよ
 私だけじゃない
 みんな終わり…

 「何よ? あんた…」

 「いま、ものすごくおっかない目で私のこと
 見てたわよ」

 「ほんの一瞬だったけど…
 まるで心の底まで見通すような目で…」

 「…薄気味悪い…」

 「まったく、どいつもこいつも!
 マトモなヤツはいないの? ねえ!?」

 「私、上の管制室で助けを待つわ。
 こんなの、一人でいる方がずっと安心できるわよ」

 「…あんたたち、来ないでよね。
 薄気味悪いっていうか、怖いんだよ、なんか…」

 「線路向かいの倉庫にでも行ってみたら?
 さっきスキンヘッドのデカブツが入ってったわ」

 「あんたたちにゃ、お似合いかもね」

アルーア
 彼女、心に接触されたことに
 気づいたみたいね

 でも、どこか妙な感覚だった…

 もし彼女が異端者なら
 その思念の底には
 教会への激しい憎しみが
 渦巻いているはずだ

 しかしそれらしい思いは
 どこにも見当たらなかった

 彼女は、ターゲットではない
 のかも知れない

 ただ…
 彼女自体の思念のほかに
 他の誰か…

 ほとんどノイズでしかなかった
 けど…
 彼女以外の思念がひそんでいる
 かのように感じた

 もちろん、一回のダイブで
 すべてがわかる訳でもないが…

 もう少し慎重に接触する必要
 がありそうだ

レナ
 「…何だよ、あいつ?」

 「失礼なヤツだよな!
 コワイのは小じわだらけのオメーの顔だっつー
 の!!」

 「上に来ないでちょうだいって…
 誰が行くかよクソババア!!」

 「ず〜っと閉じこもってりゃいいんだ!
 …手前が上ならこっちは下だ、下に行こうよ!!
 な?」



レナ
 (※すぐに管制室に向かおうとした場合)

 「…って何で上に行くんだよ!?
 おいおい…カンベンしてくれよ…」

 「………ま、いいか。
 その方があいつもイヤがるだろうしさ。
 ウケケケケ…」

 「いや! アンタのその根性のクサレ具合…
 なかなかいい感じだよ! 気にいった!!」

 「さ、…んじゃ行こうか?
 きっとヒス起こしてキーキーわめきまくるぜ!
 あのババア…」



《管制室》

レナ
 (※すぐに管制室に来た場合)

 「ほう…ここが管制室か…。
 結構ひろびろしてて、いい感じじゃん」

 「あたしらもさ、ここでしばらくのんびりさせ
 てもらおっか?」

フィオナ
 「何よ、あんたたち…」

レナ
 「ケハハ! 来た来た!!」

フィオナ
 「上がってくるな!って言ったでしょう?」

 「私のことは放っておいて!」






アルーア
 ?
 強い思念を感じる…

 『選択に戻ってXボタンで
     ダイブ開始    』







 通信も壊れてるわ…
 なんでつながらないのよ…
 頭が割れるように痛い
 死体死体死体死体死体死体死体
 もうイヤ 帰りたい
 声がもどったのよ
 絶対脱出してみせる
 なにか方法があるはずよ
 赤い血がいっぱい白い床にこびりついていた
 前の席の子供が…あんな、ひどい…
 前の席の子供が…あんな、ひどい…

アルーア
 これは…
 フィオナの残留思念

 まるで、気も狂わんばかりの
 激しい生への欲望と…

 背後にゆっくりと迫っている
 死への恐怖…

 絶望的な状況に陥った人間の
 典型的な思念パターンだ

 (※アンドロイド戦前)

 これほど無防備な思念の中に
 も、異端を匂わせるものは
 感じられなかった

 とりあえず、彼女はリストから
 外してもいいかも知れない

 それにしても
 作業員は全員どこへ行って
 しまったのだろう?

 これだけの事故が発生したと
 いうのに、
 何の反応もないなんて…


 (※ルラード戦前)

 テス! テス! 応答せよ!
 こちら旧路線エリア!

フィオナ
 (※フィオナ戦前)

 「来た! 来たわ!!…
 救助隊が…救助隊が来たのよっ!!」

 「こちら…事故現場!! 事故現場よ!
 閉じ込められてるの! お願い助けて!!」


 (※ルラード戦前)

 ぶっこわれた操縦室に・・・
 俺の名は・・マコト・・・

 クソ!・・ア・・・ロイド・
 封鎖された・・・

アルーア
 (※ルラード戦前)

 …切れたわ。

 それに旧路線エリア…
 操縦室って言ってたわね

 まるで何かに襲われているよう
 だったけど…

フィオナ
 (※フィオナ戦前)

 「マコト?…」

 「封鎖?…」

 「誰よ、そいつ…」

 「救助隊じゃないの?…
 私を助けてくれるんじゃないのっ!!」

 「バカじゃないのコイツ!!
 …こっちに助けをもとめてどうするのよっ!!」

 「ああ…やっぱりロクでもないヤツばっかり」

 「ここで救助隊を待つしかなさそうね…」

レナ
 (※共に行動している場合)

 「ぎゃはははははははは!!
 アホかこのババア?」

 「勝手に期待して勝手に早とちりして…
 おまけに勝手に落胆したと思ったら…」

 「とことん勝手に毒づいてやがる」

 「…どうせ自分だけ生き残れりゃいいと思って
 ンだろうけどさ」

 「そんだけ根性くさってりゃ、大丈夫。
 ちゃんと神様は地獄に突き落としてくれるさ」

 「ケハハハハ!」









アルーア
 この付近一帯の画像だわ。
 モニターで見るかぎりでは
 地震や火災などの災害は、
 起こっていないみたい。



《システム制御室前》

バイオレット
 「何よ、これ。壊れてる…」

 (金属を殴打する音)

 「壊れてるわ…このエレベーター…」

 「だって動かないもの…
 スイッチ押しても動かないもの。
 だってこんなに」

 (金属を殴打する音)

 「こんなにカチカチ押してるのにぃっ!」

レナ
 「スイッチ押してるって…
 お前ドア蹴りまくってンじゃねえかよ…」

バイオレット
 「壊れてるわ…このエレベーター…」

アルーア
 ………
 彼女はバイオレット・メリル

 さっき車内で会った時は
 銀行家の娘だと言っていたが…

 それは明らかに嘘だ

 ミッション前に教会から
 渡された資料によると…

 彼女はミナミ・セントラルの
 貧民街に生まれ、十八歳の時に
 新東京へ移住…

 そしてちょうど十日前、
 およそ十年ぶりにセントラル
 へと戻ってきたのだ

 新東京にいた間、
 彼女が何をしていたのかは
 わかっていない

 しかし、新東京コミューンは
 教皇布告によって異端の地
 断罪された場所…

 そんな地に十年も住んでいて
 神への信仰が残っているはず
 はない

 何を企み、実行したところで
 不思議はないだろう

 ただ気になるのは、
 車内で会ったときにかいま見えた
 彼女の心だ

 そこに漂っていたのは
 暗く重い不安の影…

 そして、死者を感じさせる
 深く黒い闇…

 その心にダイブした訳では
 ないが…
 彼女が最近生死を左右する
 危険に遭遇したのは確かだ

 嘘をついていることよりも
 心に巣食うあの闇…
 どうも、気になるわ

 おびえてはいるものの
 パニックに陥ってはいない
 ようだし…

 悪いけど、少し心の底を
 のぞかせてもらうわね

 『アルーアはダイブした』

バイオレット
 どうして私がこんなめに
 どうして私がこんなめに
 さっき影が走っていった
 鳥みたいな声
 頭がおかしいのかしら?
 制御室の方から聞こえてきた
 制御室 制御室
 制御室制御室制御室
 制御制御制御室室室
 何かいるんだろうか? 何かいるんだろうか?
 何かいるんだろうか?
 何が!?
 何が!?何が!?何が!?

 「え?… え??
 な、何よ! そんな怖い眼でにらまないでよ!」

 「それよりあなた…いま私に何か…した?」

 「はは…は! そ、そんな訳ないわよね?
 …ちょっと目まいがしただけだわ!」

 「ごめんなさい。邪魔したわね」

レナ
 「…あの女、何かヘンだぜ。
 心がバカになってる、っていうか…」

 「事故のショックがデカ過ぎて、壊れちまった
 のかも知れないな」






アルーア
 (※ヴィに会う前)

 上に昇るエレベーター…。
 つまりここが最下層という
 わけね

 いまは動かないようだけど…

レナ
 「…確かに、どーにも動きそうにないね」

 「チクショーーッ!
 どっかにメカに強いヤツでもいればなあ…」

 「配線とかプラグとか電圧とかさ、そーゆー話
 聞いてもジンマシンが出ないようなヤツ」

 「そーゆーヤツが見れば、何とかなるかも知ン
 ないかもよ?」

アルーア
 メカニックやエンジニア、か…
 そういえば、乗客リストの中
 に職業が技師という男がいた

 車内でチェックした時の
 その思念の匂いは

 とてもほめられたものでは
 なかったけど…

レナ
 「ホントにふんづまりだよな。
 前にも一週間以上出なかったことあるけど…」

 「それ以上の息苦しさとウットーしさだよ。
 こりゃあ…」

 「まだ調べてないところはどこだっけ?
 上の方はもう全部見たっけか?」





アルーア
 『ポータブルGPSを入手した』

 ナビゲーションのような
 ものかしら?
 トンネル内のデータが
 入っているなら嬉しいけど。

 『メニューのマップから
  現在地を確認できます』



《CHAPTER1−02》



或る記録の残滓