【CHAPTER1−02】



→ 作業員用通路 →  管制室 →  崩壊した列車の地点 →  従業員用倉庫2 →  システム制御室前 →

→ 従業員用倉庫2 →  従業員用倉庫3 →  管制室 →  崩壊した列車の地点 →  システム制御室前 →

→ システム制御室 →  システム制御室前 →



《作業員用通路》

チャニ
 (※システム制御室前から戻ってきた時)

 「もうヤダ…。みんなバカよ…」

 「頭がおかしくなっちゃいそう」

 「教えて、おねえさん!
 みんなで力を合わせれば、助かるかもしれない
 でしょ」

アルーア
 チャニ・マハラチャニ

 リストによると…
 彼女はオセアノ・コミューン
 からの留学生らしい

 それもまだ十五歳でありながら
 三つの博士号を取得したとか…

 …もっとも、知能が高いから
 といって、生存能力も高い
 とは限らない

 知性とともに大きくなった
 プライドが、逆に生命を危機に
 陥れることも多いわ

 さて………
 あなたは、どうかしら?

 『アルーアはダイブした』

チャニ
 家に帰りたい
 みんな心配してるわ
 お母さんは一人ぼっちになる
 もし私が死んだら
 きっと助かるわ
 死にたくない
 もし私が死んだら
 きっと助かるわ
 死んだらどうなるの
 死んだらどうなるの
 死にたくない
 お母さんに会いたい

アルーア
 不安と恐怖。
 突然の事故に出会った者と
 しては当然の反応。

 しかし彼女は恐れる以外、
 なにもできない。
 だから人に頼らなければ
 ならないのね。

チャニ
 「ぜったいみんなどうかしてるわ。
 これじゃ絶対助かりっこない!」

レナ
 「どうして、どうして?みんな助けあわなきゃ!
 だってよ!!」

 「…ったく、バッカじゃねーの!?
 間違いないね。一番最初に死ぬよ、あいつ」



レナ
 (※管制室以外に移動した後)

 「あのババア…きっとヒザ抱えてがたがた震え
 てやがるぜ。ウケケケケ…」



《管制室》

フィオナ
 (※管制室以外に移動した後)

 「まったく何よ。あのチャニって子…。
 いったい何だっていうの!?」

 「私は歌手よ。
 悪い奴をやっつけるヒーローでもないし
 戦場を駆け回る勇敢な戦士でもない!」

 「それなのにあの子は…
 あの子は私に何をしろって言うの!?」

 「もしあんたたちも『一緒に頑張りましょう』
 なんてバカなことを言いにきたのなら…
 はっきり言っておくわ!」

 「私のことは放っておいて!」



《崩壊した列車の地点》

ジョー
 (※フィオナとの会話後)

 …いいケツしてるよな

 「しまった…。ばれちまったか…」

 「脅かすつもりはなかったんだが、
 お嬢さんたちの後ろ姿があまりにも美しくてね。
 ついつい、ふらふらと」

アルーア
 彼も乗客の一人。

 名前はジョー・ギブス
 新東京コミューンで、
 カジノを手広く手がけて
 いるらしい。

ジョー
 「う〜ん、見れば見るほど気に入った!」

 「まずそちらのダイナマイトなマドモアゼル…」

 「首筋をなめながら肌に溶けてゆくブロンド。
 男の肉を喰らうために造られたかのような残忍
 かつエロティックな唇…」

 「そして何よりも…
 惜しげもなくさらけ出したその豊満なバディ」

 「カンッ…ペキだ!
 おそらく、天上の神々でさえ思わず前を押さ
 えずにはおられまい…」

 「さらにお次は、こちらのクールなレイディ…」

 「キュっと締まったヒップも魅力的だが、
 なんのなんの正面のほうが、数千倍も美しい」

 「その憂いをおびた表情、冷たさの中にも
 静かな情熱を感じさせずにはおけない瞳…」

 「この地獄の底でこんなディーバたちを拝むこ
 とができるとは、人生なかなか捨てたモンじゃ
 ないな!」

アルーア
 こんな状況でも口説けるとは
 たいしたものね。

 緊張状態が続くと人間は
 口数が多くなると聞くけど
 彼の場合も同じなのかしら?

 『アルーアはダイブした』

ジョー
 うひょ〜
 うひょ〜
 うひょ〜
 うひょ〜
 うひょ〜
 たまんねえ〜
 たまんねえ〜
 たまんねえ〜
 たまんねえ〜
 たまんねえ〜
 うひょ〜 ナイスバディ
 言ってみる価値はあるね
 うっ…がまんできない
 もしかして彼女らも?
 うひゃ 身体がもたないぜ
 どっちかとチューだけでも…
 見れば見るほどたまんねえ〜

アルーア
 性欲と緊張は比例するけど
 彼の場合は元々そういった
 性格みたいね。

ジョー
 「もしお嬢さん方が、このジョー・ギブスを
 少しでも気に入ってくれたなら…
 いつでもどこでも俺はOKだぜ!」

 「それじゃな。
 ジョー・ギブス、困った時にはこの名を思い出
 してくれよ」

レナ
 「すげーな、あのエロオヤジ…。
 こんな状況でよくあれだけの元気があるモン
 だよ」



《従業員用倉庫2》

アルーア
 (女の悲鳴)

 アンドロイド…

 (アンドロイドは扉の外へ逃げていく)

ヴィ
 「へ、へっ! …はあ、はあ、はあ…
 できそこないのアンドロイドが、人間の女みた
 いに…泣きやがってよ…へへ…」

アルーア
 こいつも生存者の一人。
 ヴィ・ラザフォード
 生体工学社WIL
 働いていたという技師だ。

 列車の中でこいつの心を
 少しのぞいてみたけど、
 殺人に戦場、
 そんな映像ばかり。

 匂いから本人が経験した
 ものじゃないのはわかる。

ヴィ
 「ふう…何だお前ら? へっ!
 そこらをうろついているやつは簡単にぶっ壊せ
 るぜ、一度やってみな」

 「…それはそうと、下のエレベーターだがな。
 かなりボロくなってるが、まだ動くことはたし
 かだぜ」

 「ケーブルもスイッチも故障していねえ」

 「それなのに動かねえ。なぜだかわかるか?」

 「エネルギーが来てねえんだな、これが」

 「ただそれだけの理由で、オレ達はここで
 のたれ死にってわけさ」

 「下層部のシステム制御室に入れさえすれば、
 脱出できるのによ。…ツイてねえなオレ達も」

レナ
 「ふっふ〜ん…。
 それにしても、なかなかイイ男じゃん」

 「趣味がゲスっぽいのはいただけないけど、
 ま、女の扱いにしても、男は少々ザツな方が
 いいってものよ。へへへへ…」

 「そんなことより、あれだよ、制御室!」

 「あいつ、制御室に行けば何とかなるって言
 ってたじゃん!」

 「…ほんとに何とかなりゃいいけどね…」



《システム制御室前》






アルーア
 (※ヴィに会った後)

 上に昇るエレベーター…。
 つまりここが最下層という
 わけね

 いまは動かないようだけど…

レナ
 「動かないエレベーターなんて、男と二人っきり
 の時くらいしか使いみちネーよな、ほんと」

 「やっぱ、あの男が言ったように…
 制御室を何とかするしかねえみたいだよ」



《従業員用倉庫2》






アルーア
 何かを埋めたような
 跡がある。

 『選択に戻ってXボタンで
     ダイブ開始    』







 死ぬのはイヤだ 血 赤い血が
 たすけてくれ
 死ぬのはイヤだ 血 赤い血が
 やつらが狂っちまった
 死ぬのはイヤだ 血 赤い血が
 みんな殺された
 死ぬのはイヤだ 血 赤い血が
 ここから出してくれ
 死ぬのはイヤだ 血 赤い血が
 苦しい 息ができない

アルーア
 何者かによって
 ここに閉じ込められ、
 死んでいった者の思念。

 このトンネル内で働いていた
 人間なのかしら。

 (画面レッドアウト)

 思念密度が高まっている。

レナ
 「おい…何か、いきなり寒くなってねえか?」

 「何か…すっげえイヤな感じだよ。ねえ?…」

アルーア
 生への執着がよほど
 強かったみたいね。

 (戦闘:怨みの塊)

 暗い……ここから出せ…
 死死死死死ねぇぇぇぇぇ
 ギャャャャ…消える…私が…

 (戦闘終了)

 床の中に金色の光る
 何かが見える。

 『血のついたカギを入手した』

レナ
 「…いま、お前何かした?
 何だか、お前の周りをモヤみたいなのがフワフ
 ワしてたような気がするけど…」

 「ハ!…ヒャハハハ!!
 いや、何でもないよ。気のせいだって!!」

アルーア
 無理もない…
 思念戦闘は常人の目には
 見えないから…

 ただ、おぼろげながらも
 何かを感じたということは

 彼女にもわずかながら
 思念波動を感じ取る力がある
 ということだろうけど…
 別に不思議ではない

 その程度の力なら
 持っている者は決して少なく
 ないもの…



《従業員用倉庫3》













アルーア
 『識別カードを入手した』

レナ
 「おい、これ…まさか…制御室のキーカード
 じゃねえのか?」

 「あのスキンヘッドが言ってたじゃん。
 制御室から電源を入れることが出来りゃ、あの
 エレベーターが動くかもってさ!」

 「早く行ってみようぜ! ははは!!
 …おい、何ボケっとしてんだよ!!」






アルーア
 子供?…

 (笑い声)

 ちがう。これは…
 閉所作業用の
 Eタイプアンドロイドだ

 …壊れている。
 いや、壊されたのか?

 何らかの理由で
 行動制御ユニットを
 破壊されたのだとしたら…

 誰が?
 何のために?…



《管制室》

フィオナ
 (※識別カード入手後)

 「あまり出たり入ったりしないでくれる?」

 「外でうろうろしてるアンドロイドの
 注意を引きたくないの」

 「わかったなら、早く出ていってよね」



《崩壊した列車の地点》

ジョー
 (※識別カード入手後)

 「うげぇぇぇ…胃の中の物をもどしそう
 だぜ…」

 「あのスキンヘッドの野郎、絶対どうか
 してるな…」

 「俺にアンドロイドの残骸を見せて喜ん
 でやがるんだ」

 「悪いことは言わん。あいつに近寄らな
 いほうがいい」



《システム制御室前》






アルーア
 (※識別カード入手後)

 上に昇るエレベーター…。
 つまりここが最下層という
 わけね

 いまは動かないようだけど…

レナ
 「制御室に行けばこいつも動いてくれるさ!
 さ、早く制御室に入ろうぜ!!」







レナ
 (※識別カード入手後)

 「やっとだな。やっとこれで外に出れるかもだ。
 キャハハハハ!!」

 「…と、その前に…」

アルーア
 何!

 これは…思念攻撃…

 まさか…

レナ
 「ヒャハハハハハ! 油断したねえ? ん?」

 「ビックリしたよ、まったく…。
 事故の衝撃で大事なムシと針を落っことしちま
 って…」

 「…取りに帰ったら、お前がいたもんだからさ」

 「教会のマインド使いが狙ってるって話は聞い
 てたし…うすうすアヤシイとは思ってたんでね」

 「それなら逆にお前と一緒にいた方が、動きよ
 うがあると思ったのさ」

 「マインド使いは身近な者の思念を感知しよう
 としない。…なぜなら、流れ込む思念にわずら
 わされたくないからさ」

 「大した頭脳プレーだと思わない? ん?」

 「まあ、列車の中で死んでいた男…。
 あいつはあたしのダミーとして乗せておいたん
 だけど、まさかあんなにあっさり死んじまうと
 はね…」

 「あればっかりは誤算だったよ。へへ…」

 「それにしても…てっきりダマされたろ?
 え?」

 「ま、自分でいうのも何だけど、あたしのマイ
 ンドはあんたのとは比べ物にならないくらい…
 ショボショボでさ」

 「それでも、フイうちを喰らわせりゃ…
 少しの間ガックリさせるくらいはできる」

 「その間にあたしは逃げさせてもらおうって…
 ま、そういう訳よ!」

 「お前たちには悪いけど、この地の底でゆっくり
 死んでくれ…」

 「ヒャハハハハハハ!
 それじゃ、これはありがたくいただくよ!」

 『レナは識別カードを奪った』

 「そんじゃね、バイバイ!」

 (レナ、制御室へ)

アルーア
 くっ………

 まさか彼女が
 異端の幹部だったなんて…

 あの激しい感情は
 思念の深層をかくすための
 カモフラージュだったんだ

 (何かが潰れるような音、女の悲鳴)

 何だ?

 (制御室から血塗れのレナが現れる)

レナ
 「…ぐ…う、ぐ…」

 「何だ、よ…チクショウ…」

 (レナ倒れる)

アルーア
 レナ…
 死んでいる?

 ひどい…。
 後頭部がグズグズに砕けて
 しまっている…

 いったい、中で何があった?



《システム制御室》

アルーア
 (戦闘:アンドロイド)

 ウフフッ アタラシイ オモチャダワ…
 ウフ…アナタ…ギィ…手ヲ切ってアゲル…
 グギィィィィィ…死…ぬのは…イヤ…

 (戦闘終了)

 あのアンドロイドには、
 死を感じ恐れる意識の
 揺らぎがあった。

 未成熟な心ではあるが、
 人間と同じ構造をしていた。

 人間の感情を人工的に
 生成するほど今の科学は
 進歩してないわ。

 しかもアンドロイドが、
 マインドを使えるなんて…。

 いったいなぜアンドロイドが
 心を持っているの?

ヴィ
 「おやおや、どうやってこの部屋に
 入ったんだ?」

 「俺が何度も試したのに、ビクとも
 しなかったんだぜ」

 「ククククク、あんた魔法でも使った
 のかい?」

 「まあいい。これでやっと脱出できる
 ってものだ」

 「予想どおりエネルギーは完全に生きて
 いやがるしな」









 19:45 第七トンネルにて爆発事故
 20:00 災害臨時対処本部設置される
 20:30 教会機動部隊及び民間救助隊出動
 20:45 異端組織輝ける橋犯行を否定
 21:00 未だ復旧の見通しなし 生存者不明
 21:15 内部との連絡不通 教皇声明発表















 首や手足がコロコロと転がる
 死体がいっぱい
 一つ二つ三つの目玉
 死体死体死体死体死体
 痛いのかしら?
 血でお化粧しましょう
 きっとキレイになれるわ
 たくさんの血を入れるの
 冷たい身体 まるで赤い人形みたい
 脳みそがグチャグチャ
 腕が変な方向に曲がってたわ

アルーア
 幼児的な思考と残虐性…。
 猟奇殺人犯に多く見られる
 思念タイプだ。

 性欲に結びつかない
 破壊行動っていうのは
 珍しいケースだけど。

 アンドロイドがそういった
 心に目覚めていることの
 ほうがおかしな話だわ。















アルーア
 電力供給システムの
 起動スイッチがある

 『 システムを起動させる
  システムを起動させない』

 (※『システムを起動させる』を選択した場合)

 『構内の各設備に電力が
     供給された   』



《システム制御室前》






アルーア
 (※システム起動後)

 もう電力は供給されている
 ようだ

バイオレット
 「なになにそれ? もしかして私たち
 外に出れるの?」

 「もしかしてあのエレベーター、地上に
 つながってるかもしれないじゃん!」

 「他の人たちにも言ってきてやろっと!」

アルーア
 人間はどうして無意味な
 希望的観測をするのだろう?

 現実はどこにつながっているか
 わからないエレベーターが
 動いただけなのに。

 地上ならもちろんいいが、
 もっと悪い場所だという事も
 考えられるのだから。

 (※獣の咆哮のような音)

 いま確かに誰かが
 私の心に触れた…。



《CHAPTER1−03》



或る記録の残滓