★就業規則全般
就業規則はどうしても必要か?
就業規則の届出義務がある常時10人以上の労働者の数え方
就業規則・労働契約・労働協約との関係
就業規則の作成は社労士の独占業務か?
★就業規則の効力と適用

届出していない就業規則の効力はどうなる?
労働者に周知していない就業規則の効力は?
出向社員に対する就業規則の適用は?
★就業規則の作成と留意点
就業規則の作成から手続きまでの流れ
就業規則作成上の留意点
就業規則には必ず定めなければならない事項がある

就業規則は定期的な見直しが欠かせない
就業規則は会社が勝手に変更できるか?
労働者の過半数代表者とは?

★その他
マイカー通勤規程は必要か?
(○→会社向Q&A、●→個人向Q&A、◎→共通Q&Aです)
  •  就業規則とは何ですか。どうして必要なのですか。
    (A)
     就業規則は、従業員の労働条件や職場規律などのルールをを具体的に定めたものをいい、会社の憲法ともいえるものです。
     労働基準法第89条では、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、(中略)就業規則を作成し、行政官庁に届出なければならない。(中略)変更した場合においても、同様とする。」として、使用者に就業規則の作成を義務づけています。
     このように労働基準法によって使用者に就業規則の作成を義務づけていますが、企業においては、従業員の労働条件等を統一して処理できることにより職場の秩序が維持でき生産性の向上が図れると同時に、従業員とのトラブル防止に役立つという大きなメリットがあります。また、従業員にとっても労働条件や職場のルールが定められることにより、安心して働くことができるというメリットがあります。

    【2011年3月補正】
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  •  10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成しなければならないそうですが、この10人の基準とは何ですか。
    (A)
     労働基準法第89条は、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、(中略)就業規則を作成し、行政官庁に届出なければならない」として、使用者に就業規則の作成を義務づけています。

     この条文でいう、「常時10人以上」とは、時として10人未満になることがあるが常態として10人以上の労働者を使用する場合をいうとしてます。次に、「10人以上の労働者」とは、必ずしも正社員だけでなく、パートや嘱託等も含めた人員とされます。また、その人員は会社全体でなく事業場単位で判断されるとしています。

     例えば、A会社の本社に8人、B支店に5人、C営業所に3人の社員のいる会社のでは、各箇所については、それぞれ10人以上の労働者を使用する事業場ではないため、A会社としてはいずれも就業規則の作成義務はありません。
     しかし通達では、「支店・営業所共それぞれに独立した事業と見られる場合においては作成義務はない」と言っていますで、支店・営業所が本社との組織的な関連や事務処理能力などを考え合わせて独立性がない場合は、A会社は合計で労働者が10人を超えることになりますので、就業規則を作成しなければならないとされます。

    【2011年3月補正】
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  •  就業規則と労働契約・労働協約の関係はどなっているのですか。
    (A)
     労働協約とは、会社と労働組合が労働条件等について合意したものを書面に記名押印したもので、就業規則よりも優先します。したがって、労働協約と就業規則の内容が異なっていれば、その部分は労働協約が優先されます。
     一方、就業規則は労働契約に優先します。仮に、就業規則の規定を下回わる記載のある労働契約書は、その部分については就業規則の規定が適用されます。

     就業規則、労働契約、労働協約の関係は、効力の強い順に次のようになります。
    労働協約>就業規則>労働契約

    【2011年3月補正】
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  •  就業規則の作成は社会保険労務士だけしかできないのですか。行政書士などから作成してもらうことはできないのですか。
    (A)
     就業規則の作成は、以下の理由から社会保険労務士の独占業務とされています。

    (社会保険労務士法第27条抜粋)
     社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号に掲げる事務を業として行ってはならない。

    (社会保険労務士法第2条第1号および第1号の2抜粋)
     社会保険労務士は、次の各号に掲げる事務を行うことを業とする。
    1 別表第1に掲げる労働及び社会保険に関する法令に基づいて申請書等を作成すること
    1の2 申請書等について、その提出に関する手続を代わってすること

    【注1】 上記1の別表第1に、労働基準法が含まれています。

    (労働基準法第89条抜粋)
     常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

    (社会保険労務士法第32条の2抜粋)
     次の各号にいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
    6 第27条の規定に違反した者

    (解説)
     労働基準法により、常時10人以上の労働者を使用する使用者については、就業規則の作成とその届出を義務付けられていますが、社会保険労務士法第2条第1号および第1号の2により、就業規則の作成および提出代行は社会保険労務士の業務とされます。この業務を、行政書士など社会保険労務士でない者が、他人の求めに応じ報酬を得て業として行うと、社会保険労務士法第27条違反で刑事罰の対象となります。

     また、常時10人未満の労働者を使用する使用者からの依頼に基づく就業規則作成についても同様に社会保険労務士の独占業務とされ、社会保険労務士でない者が、他人の求めに応じ報酬を得て業として行うと、社会保険労務士法第27条違反となるとの見解が示されています。(平成23年12月23日、基監発1221第1号)

    【注2】 一方、社会保険労務士法第27条但し書きで、「他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合はこの限りでない。」としており、同法施行令第2条で、政令で定める業務を公認会計士および税理士の業務としています。

     当該規定により、公認会計士および税理士が就業規則の作成および申請代行をできるか否かは疑義のあったところでしたが、全国社会保険労務士会連合会と日本税理士会連合会が平成14年4月に交わした確認書により、「社会保険労務士法第2条第1項第1号の2の業務(提出代行)及び同項第1号の3の業務(事務代理)は、付随業務ではないこと。」とされましたので、税理士は業として、労働社会保険や就業規則などの提出代行および事務代理はできないとされています。

    (参考) 税理士又は税理士法人が行う付随業務の範囲に関する確認書
     
     全国社会保険労務士会連合会及び日本税理士会連合会は、社会保険労務士法第27条但し書及び同法施行令第2条第2号に基づく付随業務の範囲に関する協議において、下記のとおり意見の一致をみたのでここに確認する。

    1 税理士又は税理士法人が社会保険労務士法第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を行うことができるのは、税理士法第2条第1項に規定する業務に付随して行う場合であること。
    2 (1) 上記1にいう税理士又は税理士法人が付随業務として行うことができる社会保険労務士法第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務は、「租税債務の確定に必要な事務」の範囲内のものであること。
      (2) 社会保険労務士法第2条第1項第1号の2の業務(提出代行)及び同項第1号の3の業務(事務代理)は、付随業務ではないこと。
    3 付随業務に関して疑義が生じた場合は、その都度、全国社会保険労務士会連合会と日本税理士会連合会との間で協議の上、解決を図ることとする。
     なお、年末調整に関する事務は、税理士法第2条第1項に規定する業務に該当し、社会保険労務士が当該業務を行うことは税理士法第52条(税理士業務の制限)に違反する。


    【2012年3月補正】
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  •  就業規則を労働基準監督署に届出なかった場合、効力はないのでしょうか。
    (A)
     労働基準法第89条は、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、(中略)就業規則を作成し、行政官庁に届出なければならない」としています。行政官庁とは所轄の労働基準監督署をいいます。それでは、労働基準監督署に届出なかった就業規則は、効力はないのでしょうか。
     判例では、「就業規則はこれを作成し、実施している以上行政官庁に届け出なくても、その効力に影響がない」として、仮に届出を忘れたとしても効力には影響しないとしています。ただし、届出をしないと労働基準法第89条違反にはなります。
     
     補足ですが、常時10人未満の労働者を使用する使用者については、就業規則の作成及び届出を免除するという趣旨ですので、作成することは自由ですし、労働基準監督署に届出ることも可能です。

    【2009年7月補正】
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  •  労働者に周知していない就業規則の効力はどうなるのでしょうか。
    (A)
     労働基準法第106条では、就業規則を「常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知しなければならない。」としています。
    【注】 ここでいう就業規則とは、就業規則という名前のものだけでなく、賃金規程や退職金規程などの社内規程や、就業規則の委任を受けて定めれた内規、また労働基準法で規定している労使協定なども含むとされます。

     また、労働契約法第7条では、「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定めらている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。(略)」と規定しています。したがって、就業規則に記載してある労働条件等を有効とするためには、まず周知していることが前提であるといえます。

     労働者への周知方法は、省令(施行規則第52条の2)で次のように定めています。
    1. 常時作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること
    2. 書面を労働者に交付すること
    3. 磁気テープ、磁気ディスクその他これに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること
     
     上記のように、就業規則を個々の労働者に交付することまでを義務としていません。したがって、就業規則を各作業場に1部常備しておくことや、パソコンのある環境へCD-ROMなどを1個用意しておけば周知したことになります。

    【2011年5月補正】
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  •  出向社員は出向元・出向先のどちらの就業規則が適用になるのでしょうか。
    (A)
     出向社員であっても、業務上の指示・命令は出向先で受けることになりますから、原則として出向先の就業規則が適用されます。ただし、異動や退職・解雇など身分上の事項に関しては出向元の就業規則が適用されます。

    【2011年3月補正】
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  •  就業規則の作成手順について教えてください。
    (A)
     就業規則を作成し、手続きをするまでの流れと注意点は概ね以下のようになります。

    1、 
    就業規則の案文を作る
     就業規則は、会社の規模や業種、労働実態などに応じそれぞれ内容が異なります。
     したがって、モデル就業規則をそのまま自社の就業規則とするようなことは避け、自社に適した就業規則を作成する必要があります。また、労働基準法第92条は、「就業規則は法令又は当該事業場に適用される労働協約に反してはならない。行政官庁は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができる。」としていますので、就業規則は、労働基準法をはじめ関連法規や労働協約に反したものであってはなりません。
     就業規則の作成には、かなりの時間と労力が必要となりますので、就業規則の案文を作る際は、就業規則に精通した社会保険労務士に相談された方が良いと思われます。

    2、 
    労働者代表の意見を聞く
     労働基準法第90条では、「使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない」としています。
     「意見を聴く」とは、同意を得るとか協議を行うことを意味していません。労働者代表の意見を尊重することは望ましいとしても、その意見を取り入れるかどうかは会社の判断です。

    3、 
    就業規則を所轄の労働基準監督署に届ける
     労働者代表の意見書を添付して、就業規則を所轄の労働基準監督署に届けます。なお、意見書には労働者代表の署名又は記名押印が必要です。労働者代表から意見書の提出を拒否されたときは、意見を聴いたことを客観的に証明した事情説明書を添付します。就業規則の内容が法令等に違反していなければ労働基準監督署で受理されます。

    4、 
    就業規則を従業員に周知する
     労働基準法第106条では、就業規則を「常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知しなければならない。」としています。「その他厚生労働省令で定める方法」とは、磁気テープ・磁気ディスク等に記録し、かつ各作業場に労働者がその内容を常時確認できる機器を設置することをいいます。

    5、 
    就業規則を活用する
     せっかく就業規則を作っても、これを放置しておくケースがよくあります。これでは宝の持ち腐れどころかマイナスに作用することがあります。
     ベストの方法は、管理者に自社の就業規則の内容を理解してもらうことです。それを、部下の指導等に活用すれば職場規律が保たれるだけでなく労務管理も容易になり、必ずや会社の発展に良い方向で影響するようになります。

     まお、就業規則を変更するときも、上記と同じ手順になります。

    【2009年7月補正】
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  •  就業規則を作成する際の注意点はありますか。
    (A)
     就業規則をキチンと運用することによって、従業員のやる気や組織風土の改善、また、従業員とのトラブルなどの会社のリスク管理にも大きな効果を発揮します。ただし、就業規則は会社の憲法ともいえるものですから、いったん労働基準監督署に届出て受理されると、その就業規則の内容は会社の最低基準とされ、就業規則に記載された内容を順守しなければなりません。

     他方、就業規則はいつでも変更することができますが、現行より下回った内容に変更すると不利益変更とされることもあり、簡単には行かないこともあります。したがって、最初に作成する就業規則は、法の最低基準に則して作成した方が良いと思われます。労働者に利益となる変更はいつでも難なくできます。

     就業規則の作成は、モデル就業規則や最近ではパソコンソフトやインターネットからもダウンロードでき、作ろうと思えば案外簡単にできますし、
     モデル就業規則そのままを労働基準監督署に届出た場合でも、法令に違反してなければ労働基準監督署は受理します。しかし、そのような就業規則は、会社に必要でないものが書いてあったり、必要なものが書いてなかったりするケースが多々あります。
     また、モデル就業規則には努力義務規定を掲載してある場合が多く、そのままそれを届出れば、会社はその記載内容の実施義務を負います。せっかく作った就業規則が、会社のリスクとなってはどうしようもありません。したがって、安易にモデル就業規則等をそのまま使用することは避けるべきです。

     就業規則は、法律で定められているから作成するというより、会社にとって労務管理やリスク管理等のために最重要なツールです。就業規則の内容は、一言一句吟味して作成する必要がありますので、やはり就業規則に精通した社会保険労務士に依頼した方が良いでしょう。一時のコスト削減を考えて安易な就業規則を作成してしまっては、会社にとって大変なリスクとなります。

    【2009年7月補正】
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  •  就業規則にはどんなことを定めなければならないのですか。
    (A)
     労働基準法第89条は、、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。」としています。この、次に掲げる事項については、以下の3パターンがあります。

    1. 絶対的必要記載事項
     就業規則を作る際に必ず定めなければならない事項です。
     (1) 始業および終業の時刻、休憩時間、休日・休暇、労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合は就業時転換に関する事項。
     (2) 賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切り・支払の時期、昇給に関する事項
     (3) 退職に関する事項(解雇に関する事項を含む)

    2. 相対的必要記載事項
     定めがある場合には、必ず記載しなければならない事項です。言い換えれば、定めがなければ記載しなくともよい事項です。
     (1) 退職手当を支給する場合は、適用される労働者の範囲、退職手当の決定・計算・支払の方法・支払の時期に関する事項
     (2) 臨時の賃金(賞与)等および最低賃金額の定めをする場合には、これに関する事項
     (3) 労働者に食費・作業用品等の負担をさせる定めをする場合には、これに関する事項
     (4) 安全・衛生に関する定めをする場合には、これに関する事項
     (5) 職業訓練に関する定めをする場合には、これに関する事項
     (6) 災害補償・業務外の傷病扶助に関する定めをする場合には、これに関する事項
     (7) 表彰・制裁の定めをする場合には、これに関する事項

    3. 任意的記載事項
     その他、記載しても記載しなくてもよい事項です。従業員が守るべき服務規律などの記載が考えらえますが、任意記載事項の充実の善し悪しで、就業規則の質が判断されるのではないかと思われます。

    【2011年3月補正】
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  •  当社の就業規則は、作成してから10年以上経過していますが一度も見直しをしたことがありません。定期的な見直しは必要なのでしょうか。
    (A)
     法律で決められているから已む無く就業規則を作った、あるいは、労働基準監督署から指導を受け仕方なく見直しを行なった、などの他動的な理由により就業規則の作成や見直しを行うという企業も少なくありません。しかし、これは休眠している就業規則です。

     就業規則は本来、法律で決められているから、労働基準監督署に言われたから作るというものではありません。就業規則は、会社の発展に寄与するために作るものです。
     就業規則を有効に活用すれば、規律ある職場風土が保たれ、労務管理上のトラブルも微小に抑えられ、会社の発展に必ず良い方向に影響します。そのためには、安易にモデル就業規則などを使わずに、精査した貴社独自の就業規則を作ることが大切です。

     労働関係の法令は暫時改正していますので、就業規則をそのまま放置しておくとすぐに陳腐なものになります。就業規則を生きたものとして活用するには、法改正や経済活動、時代の動きに迅速に対応できるよう、少なくとも2〜3年に1回は見直しが必要とされます。できれば、就業規則は専門家である社会保険労務士に依頼すれば万全でしょう。

    【2012年3月補正】
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  •  就業規則は会社の都合で勝手に変更できるものでしょうか。
    (A)
     就業規則の作成・変更については、過半数労働組合または労働者の過半数代表者の意見を聴かなくてはなりませんが、同意まで必要としません。就業規則の作成・変更手続きとしては、労働者代表の意見書を添付して、所轄の労働基準監督署に提出しますが、仮に労働者代表から意見書の提出を拒否されたときは、意見を聴いたことを客観的に証明した事情説明書を添付すれば受理されます。

     しかし、労働条件の低下を伴う就業規則の変更については不利益変更とされる恐れがあります。
     労働契約法第10条では、「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他就業規則の変更に係る事情に照らし合理的なものであるときには、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めところによるものとする。(略)」としています。

     労働契約法第10条は、最高裁の判例法理に沿って規定してありますが、「合理的なもの」についての判断は、以下の判例(最判 S43.12.25 秋北バス事件)が参考になるものと思われます。
     『合理的な理由とは如何なるものをいうかついては、
    (ア) 労働条件を低下させないことによる経営上のデメリットはどうか。
    (イ) 同業他社に比べ自社の水準はどうか。
    (ウ) 代替措置が講じられており、労働者の被る不利益は小さいか。
    (エ) 従業員の大半はやむを得ないと思っているか
    等を総合判断することとされ、個々の労働者の同意までは必要としないまでも、引き下げる必要性を十分に説明・協議し、少なくとも労働組合や従業員代表の理解は得る必要がある。』としています。

     ただし、就業規則の不利益変更について争いがあり労使で白黒をつけたい場合は、最終的には民事上の手続きとして、裁判等で決着ということになると思われます。

    【2008年10月補正】
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  •  「労働者の過半数を代表する者」の定義について教えてください。
    (A)
     労働基準法第90条は、「使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない」としています。
     この場合、過半数を代表する労働組合があれば問題ないのですが、労働組合がない場合や、あっても過半数労働者の加入がない場合などは、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選任しなければなりません。

     過半数代表者については、次のいずれにも該当するものとされています。(労働基準法施行規則第6条の3)
    (1) 労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
    (2) 法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出されたものであること。

    【注】 管理監督者は上記(1)のように過半数代表者とはなれませんが労働者には該当しますので、管理監督者も含めて過半数代表者の選出を行います。

    【2012年3月補正】
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    当社は社員にマーカー通勤を認めていますが、口頭での許可としており、特にマイカー通勤規程などもありません。問題はないのでしょうか。
    (A)
     マイカーの利用を通勤のみに限定するなら問題はないと思われますが、業務上の使用を禁止することは特に重要です。会社が業務上の使用を認めたとなると、従業員が交通事故を起こした場合に、会社も使用者責任を問われるのが一般的です。
    【注】 やむを得ず、マイカーの業務使用を必要とするような場合は、少なくても専用規程の整備は必須と思われます。

     会社は従業員に対する安全配慮義務がありますから、会社がマイカー通勤を認める場合は、少なくても許可制にすべきと思われます。
     この場合の許可基準には、運転免許証の確認に留まらず、少なくとも自動車任意保険の加入確認は必要です。最近の任意保険は、「主にレジャー使用」、「主に通勤使用」、「主に業務使用」などと使用種別に応じ、保険料を安くしている例も見受けられますが、レジャー使用の場合は保険金が下りないこともありますので、この場合は、通勤使用以上であることも確認する必要があります。
     また、自動車任意保険の更新は1年ごとであることから、許可申請も少なくても1年ごとに行った方がよいと思われます。

     従業員が許可申請を行わない場合や任意保険に加入しない場合などは、会社の駐車場を利用させない、通勤手当を支給しないなど、マイカー通勤規程等に規定すれば万全でしょう。ここまでシッカリやっているのなら、会社が責任を問われることはまずないと思われます。


    【2011年8月補正】
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(by 佐藤正社会保険労務士事務所)