★従業員の採用
募集・採用時の年齢制限は原則禁止!

採用内定は一方的に取消せるか?
雇入時の労働条件の明示は口頭でもよいか?
採用時の身元保証に有効期限はあるか?
採用時に戸籍謄抄本の提出を求めることはタブー
履歴書の様式が変更!
★試用期間
試用期間の長さはどの位にすればよいか?
試用期間を延長することはできるか?
試用期間満了時に本採用拒否できるか?
有期雇用契約期間を試用期間の代用とできるか?
試用期間中の社会保険はどうなる?
★定年
60歳未満の定年制を定めると定年がないものとみなされる
8割以上の企業が定年の引上げや継続雇用制度導入を実施済

★退職

早期退職制度の応募に会社の承認が必要との条件はつけられる
希望退職を募る際の留意点
退職勧奨を行う際の注意点
従業員の退職申出を拒否できるか?
有期契約従業員の途中退職は可能か?
従業員が退職を撤回してきたときはどうする?
労働者の請求があれば退職証明書の交付が必要

(○→会社向Q&A、●→個人向Q&A、◎→共通Q&Aです)
  •  従業員を募集・採用するときの年齢制限が禁止さるそうですが、本当ですか。

     雇用対策法が改正され、平成19年10月1日から募集・採用時の年齢制限が原則禁止になりました。具体的な実施細目については、まだ決まっていない部分が多いのですが、例外的な扱いはごく一部に限られるようです。
     したがって、今後は従業員の募集に際し、「応募資格−35歳まで」「正社員募集−20歳から40歳まで」のような募集はできなくなります。この取扱は、ハローワークを利用する場合のほか、求人広告や民間の職業紹介事業も例外ではありません
     今後は募集要項等に、「簿記資格2級以上」や「営業経験○年以上」のように、必要とされる労働者の適性、能力、経験、技能の程度など労働者が応募するに当たり求められる事項をできるだけ明示することが求めらます。
     詳しくは、厚生労働省のURL(PDF)をご参照ください。

     今回の改正には、フリーターやニートなど一部の労働者の応募の機会が閉ざされていることが背景にあります。就職氷河期に卒業し、已む無くフリーターやニートになっている人たちの正社員の道は未だに困難となっており、これらの若年層の中にも優秀な人はいるはずで、新卒採用が難しくなっているなか、発想を転換した若年者採用を試みることも一考ではないか思われます。


    【2007年10月】
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  •  採用内定は一方的に取り消せるものでしょうか。
    (A)
     採用内定は、「使用者が応募者に採用内定通知を発し、応募者が入社誓約書等を提出した時点で、採用予定日を就労の始期として、一定の事由による解約権を留保した労働契約が成立したと見なされる。」という考え方が一般的です。これを『解約権留保付労働契約』といいます。
     そして、「一定の事由による解約権の行使」については、「採用内定を取り消すことが客観的に合理的に認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる。」としています。
     具体的には、

    ● 内定者側の理由としては…
    (ア) 学校を卒業できなかったとき
    (イ) 健康診断に異常があったとき
    (ウ) 犯罪行為により起訴または逮捕されたとき

    ● 会社側の理由としては…
    (ア) 会社が破産したとき
    (イ) 一般社会通念上やむを得ない事由があるとき
    などがあるとされます。
     会社側都合の場合は損害賠償問題の発生も考えられますので、内定者には会社の事情等をよく説明して理解をしてもらうことが大切と言われています。

     以上のように採用内定は簡単に取り消せるものではありません。
     実務上は、
    (ア) 応募者の事前調査をきちんと行い採用の選考段階で選別を厳しくし、不適格者や意欲のないと思われる者を極力採用しない。
    (イ) 採用内定通知や誓約書等に、上記理由の他に(例えば、事前研修の不参加、研修中の成績不良、能力・適正を欠くことが判明した場合など)内定取消事由を合理的な範囲でできるだけ広げておく。
    などが必要かと思われます。

    【2004年8月】

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  •  従業員を雇入れる際の賃金や労働時間などの労働条件の明示は、口頭でもよいのですか。
    (A)
     労働契約そのものは口頭でも文書でも有効ですが、労働基準法では、使用者が従業員を採用する際に書面により明示しなければならない事項を定めています。
     労働基準法15条では、「使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金・労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」とし、さらに次の事項については書面の交付により明示しなければならないと定めています。したがって、次の事項について口頭で行なう労働契約は労働基準法違反となります。

    ★書面の交付により明示しなければならない事項
    (1) 労働契約の期間に関すること
    (2) 就業の場所および従事すべき業務に関すること
    (3) 始業・終業の時刻、所定労働時間を越える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換に関すること
    (4) 賃金の決定、計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期
    (5) 退職に関すること(解雇の事由を含む)

     上記の「書面の交付により明示しなければならない事項」については、労働契約書や労働条件通知書等で明示し労働者に交付しなければなりませんが、その他の労働条件については就業規則を明示するか交付することでも可能です。また、上記5項目の中でも、例えば「退職に関すること」など共通事項のような場合は、労働契約書や労働条件通知書に、「退職に関しては就業規則第○条による」という記載でもかまわないと思います。
     なお、パート労働者の場合であっても採用時の書面交付義務は、一般の労働者と変わりありませんので、ご注意ください。

     実態として、採用時の契約を口頭で行なっていたため、後日に言った言わないでトラブルとなるケースが後を絶ちません。法律で決められているということだけではなく、実務上、採用時の契約を文書で作成しておくことはトラブル防止上有効なことです。
     労働契約書の様式は特に決められたものはありませんので、各会社ごとに任意に作成することになりますが、労働契約書は契約書ですから、使用者と労働者相方の署名押印が必要です。一方、「労働条件通知書」は通知書ですから、使用者の労働者に対する書面通知ということになります。 (労働条件通知書のモデル様式は、厚生労働省のホームページをご参照下さい。)

    【2006年9月補正】
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  •  採用時の身元保証には有効期間があるのですか。
    (A)
     採用時に、労働者に第三者の身元保証書を提出させるケースがよくあります。身元保証契約は、労働者を採用したときに、本人の身上に関する保障を、第三者を入れて契約することをいいます。

     身元保証に関しては、「身元保証ニ関スル法律」により定められていますが、要約すると以下のようになります。
    1.身元保証契約は、成立した日より、期間の定めがない場合は3年、期間を定めた場合でも5年で終了します。
    2.身元保証契約に、5年を超えた有効期間の定めがあっても5年で終了します。
    3.当初定めた有効期間を更新し、最長の5年に延長することは可能ですが、この場合は延長することを保証人に通知する必要があります。

    【2009年1月補正】
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  •  採用時に、戸籍謄抄本の提出を求めてはいけないと聞きましたが本当ですか。
    (A)
     採用時に、戸籍謄抄本の提出を求める例が稀に見受けらますが、これらは不適当とされています。
     行政通達では、「就業規則等において、一般的に、採用時、慶弔金等の支給時等に戸籍謄(抄)本、住民票の写し等の提出を求める旨を規定している事例があるが(中略)、これらについても、可能な限り『住民票記載事項の証明書』により処理すること」
     「戸籍謄(抄)本及び住民票の写しは、画一的に提出又は提示を求めないようにし、それが必要となった時点(例えば、冠婚葬祭等に際して慶弔金等が支給されるような場合で、その事実の確認を要するとき等)で、その具体的必要性に応じ、本人に対し、その使用目的を十分に説明の上提示を求め、確認後速やかに本人に返却するよう指導すること」(昭50.2.17基発83号、婦発83号、平9.2.21基発105号)としています。

     したがって、戸籍謄抄本や住民票の写しで本人確認している場合は、住民票記載事項証明書に置換えるべきです。同和問題に絡むデリケートなことでもあり、人事・総務担当者としては速やかに是正すべきと思われます。


    【2011年2月】
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  •  履歴書の様式が変更されたとのことですが、詳細を教えてください。
    (A)
     履歴書の様式は日本工業規格(JIS)で決められていますが、履歴書の一部様式変更について、平成20年2月20日付の官報で告示されました。具体的な変更点は以下のとおりです。
    (1) 保護者欄が削除された。
    (2) 「志望の動機、特技、好きな学科など」欄の名称が、「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」に変更された。
    (アピールポイントの文字が追加されると共に、同欄の記載幅を拡大。)
     なお、履歴書を無料でダウンロードできるサイトもあるようです。

    【2008年3月】
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  •  試用期間は、どの程度の期間行えばよいのでしょうか。
    (A)
     一般に、試用期間を3〜6ヶ月程度にしている企業が多いようですが、試用期間については、特に制限している法律も見当たらないようですので、何ヶ月にするかは各々の会社の実情によることになります。
     ただし、「見習社員として6〜9ヶ月の見習い期間を設け、さらにその上に試用社員として6ヶ月〜1年の試用期間を設けたケースは、合理的範囲を超えている。」という判例もありますので、あまり長すぎる試用期間もどうかと思います。基準は、貴社における従業員としての適正と能力を判断する必要かつ最小限の期間とすればよろしいかと思います。
     なお、実務上は、試用期間についても就業規則でキチンと定めておくことに加え、事前に「試用誓約書」を取るなどをしたらよいでしょう。

    【2006年4月補正】
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  •  試用期間を延長することは可能でしょうか。
    (A)
     意味もなく試用期間を延長することはできません。
     ただし、試用期間中に当該試用社員が傷病などのために長期の休業が発生し、決められた試用期間中に従業員としての適格
    性を判断できなかった場合、従業員としての適格性に疑問があるが試用期間を延長して判断しようとした場合、従業員として不適格であるが勤務態度が改まるのを期待して試用期間を延長した場合など、正当の理由があれば試用期間の延長や更新も可能とされています。
     一方、試用期間の短縮は労働者にとって不利益となりませんので問題ありません。

     実務上は、就業規則等に試用期間を短縮または延長することができる旨の条文を追加しておけば万全です。

    【2004年8月】
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  •  試用期間満了時に本採用拒否することはできますか。
    (A)
     判例では、試用期間中を解約権留保付の特約期間とし、「会社の留保解約権の行使は、客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当として是認されうる場合のみに許される」としていますので、会社の都合や一方的な解雇を否定しています。反面、「会社が試用社員を本採用拒否することは本採用となった正社員を解雇する場合に比して会社の裁量が多く認められる」として、正社員の解雇より解雇権を広く認めています。

     個々のケースについて見てみましょう。
     まず、試用社員が傷病等により復帰のめどが立たないような場合は本採用拒否は可能でしょう。
     試用社員の出勤不良(無断欠勤、遅刻、早退等)や協調性不足、反抗的態度などの場合は、いきなり解雇や本採用拒否をせず、まず口頭注意、譴責等で様子を見、会社の判断に間違いないことを確認してから解雇や本採用拒否の順序を踏んだ方が無難です。能力不足については、能力不足が客観的に証明できれば可能と思います。
     いずれにせよ、試用社員を解雇や本採用拒否をする場合は、本採用拒否を行なわざるを得ない証拠や資料を十分に用意した方がよいと思われます。

     トラブルを防止する一つの方法として、就業規則や誓約書等に「試用期間中の解雇」の条文を設けて、通常の解雇事由より厳しい解雇事由を定めておくという方法もあります。いずれにせよ、試用期間中に試用社員の見極めをシッカリしておかないと、不良社員を抱えることになりますので、上司や人事担当者の役割は大きいといえます。

    <注意点>
    ● 本採用拒否を行うには試用期間が設定されていることが前提ですから、採用時に雇用(労働)契約書や就業規則などで、試用期間を例えば3ヶ月とかをキチンと明示しておく必要があります。そうでないと、採用日から本採用とみなされます。

    ● 本採用拒否の意思表示は試用期間終了前に行なわなければなりません。何も意思表示をせずに試用期間が過ぎてしまうと、自動的に本採用されたとみなされます。試用期間中の解雇や試用期間満了時の本採用拒否であれば、通常の解雇より解雇権を広く認めていますが、この場合は既に試用社員ではありませんから、正社員と同様の解雇の扱いとなり解雇が難しくなります。

    ● 本採用拒否する場合の手続きですが、試用期間開始後14日以内であれば、労働基準法21条の規定により解雇予告手当や解雇予告なしで即時解雇できます。しかし、14日を超えている場合は試用社員であっても、解雇予告手当を支払うか、30日前までに解雇予告を行う必要があります。

    【2011年5月補正】

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  •  試用期間中であっても解雇や本採用拒否は難しいと聞いています。そこで、当社では採用前に有期雇用契約期間を設け、労働者の適正を判断したいと思いますが可能でしょうか。
    (A)
     試用社員の本採用拒否に関する裁判の傾向は、一般に正社員に比べ解雇権を広く認めていますが、無制限に許されるものではなく、「客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当として是認されうる場合のみに許される(最判 S48.12.12 三菱樹脂事件)」としています。

     貴社では、試用期間に代えて有期雇用契約期間を設け、適正がない場合は期間満了により雇止めをと考えておられるものと思います。
     これについては、神戸弘陵学園事件(H2.6.5最判)で、「使用者が労働者を新規に採用するに当たり、その雇用契約に期間を設けた場合において、その設けた趣旨・目的が労働者の適正を評価し、判断するためのものであるときは、右期間の満了により右雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間は契約の存続期間ではなく、試用期間であると解するのが相当である」と判示しています。
     貴社では、採用前の有期雇用契約で労働者の適正を判断するとしていますので、当該有期雇用契約は試用期間と解されることになろうかと思われます。

     これについては、「月刊社会保険労務士」2006年2月号の記事、「司法講座D有期契約と試用期間/鈴木祐治著」に次のような記述があます。
     「試用雇用契約を締結する場合には、使用者は労働者に対し、雇用期間を含めた労働条件を書面により明示し、いわゆる試用期間としての位置づけではなく、あくまで期間満了により雇用契約はいったん終了し、労使双方がその後も労働契約関係の維持継続を望む場合には、新規の契約を締結して初めて期間の定めのない労働契約となることを、誤解のないように十分に説明することが重要である。(中略)また、試行雇用契約終了後に本採用する場合には、必ず新たな雇用契約書を作成することも重要である。」

     社会保険では「2ヶ月以内の期間を定めて雇用する者」、雇用保険では「31日以上雇用される見込みのない者」はそれぞれ社会保険、雇用保険に加入しなくてもよいとしていますので、採用しても直ぐに辞めてしまう従業員も少なくないことから、上記の手続きをキチンと踏みつつ、短期の有期雇用契約を結び様子を見ることも可能と思われますが、実務的には難しいような気もします。

     なお、2カ月以内の期間を定めて使用される者の解雇、および試みの使用期間中の場合の採用後14日以内までの解雇は、解雇予告の適用除外とされていますので、解雇予告手当の支払い、または30日前までに解雇予告を行なうことの必要はありません。(労働基準法第21条)

    【2012年4月補正】
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  •  試用期間中の社会保険(健康保険、厚生年金保険)はどうなるのですか。
    (A)
     正社員として本採用する前に、試用期間を設けることはよく行われていますが、社会保険(健康保険・厚生年金保険)は試用期間中でも被保険者となります。雇用保険でも同様です。

     日々雇い入れられる人や、2カ月以内に期間を定めて使用される人などは社会保険に加入できないことから、2カ月の試用期間中は、健康保険・厚生年金保険に加入しない事業所もあるようです。
     しかし、試用期間が終了した時点で雇用契約が終了する訳ではなく、引き続き本採用へと雇用契約が継続される訳ですから、本採用を前提とした試用期間とした以上、社会保険に加入しなくてもよいとすることはできません。年金事務所の調査でも、よく指摘される事象です。

    【2012年2月補正】
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  •  60歳未満の定年制度を定めるとどうなるのですか。
    (A)
     60歳未満の定年年齢を設けることはできません。60歳未満の定年制を定めていた場合は、定年制がないものとみなされます。

     定年とは、従業員が一定の年齢に達したことを理由として自動的に雇用契約を終了させる制度をいい、退職に関する事項の一つとして就業規則の絶対的記載事項とされていますので、定年制を実施する場合は就業規則等に定める必要があります。したがって、慣行などによって定年制を実施している場合などは、法律上の定年とは認められません。

     ところで、定年制のない会社が新たに定年制を採用することは、従業員の既得権を侵害することになるのかという問題があります。
     この点について最高裁判例では、「労働契約に定年制の定めがないということだけはただ雇用期間の定めがないというというだけのことで、労働者に対して終身雇用を保障したり、将来にわたって定年制を採用しないことを意味するものでなく、(中略)労働者にその旨の既得権を認めるということはできない」と判示し、既得権侵害ではないとしています。
     また、例えば65歳の定年年齢を60歳に引き下げるというように、定年年齢を引き下げる就業規則の変更は可能かという問題もありますが、この場合は、労働条件不利益変更の問題が生じることになろうかと思われます。

    【2006年12月補正】
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  •  平成18年4月から定年の引上げや継続雇用制度の導入が事業主に義務づけられましたが、実施状況はどの程度になっていますか。
    (A)
     平成16年12月1日に「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、平成18年4月1日から定年の引上げや継続雇用制度の導入が事業主に義務づけられました。
     厚生労働省によると、平成18年6月1日現在、51人以上規模のうち84%の企業がこれらの措置を実施済みとしています。内訳は、継続雇用制度を導入とした企業が86%と最も多く、このうち希望者全員を対象とする継続雇用制度導入が4割、継続雇用対象者の基準を労使協定で定めた企業が4割となっています。厚生労働省では今後、未実施の51人以上規模の企業に対し、個別指導を集中的に行うとしています。

    (参考) 改正高年齢者雇用安定法9条
     「定年の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置のいずれかを講じなければならない。(1)当該定年の引上げ、(2)継続雇用制度(注1)の導入、(3)当該定年の定めの廃止
    (注1) ただし、(1)(2)を行う場合は、特別支給の老齢年金の支給開始年齢に合わせ、以下のように段階的に行ってもよいとされています。
     ・平成18年4月〜平成19年3月=62歳
     ・平成19年4月〜平成22年3月=63歳
     ・平成22年4月〜平成25年3月=64歳
     ・平成25年4月〜=65歳
    (注2) (2)の「継続雇用制度」とは、現在雇用されている会社に定年後も引き続き雇用されることを希望する社員を、定年後も引き続き雇用することをいいます。いわゆる再雇用制度や勤務延長制度などがそうです。 (改正法の詳細は、厚生労働省のホームページを参照ください。)

    【2006年12月補正】
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  •  早期退職制度を導入しようと思っていますが、優秀な人材の流出を防ぐため会社の承認が必要との条件をつけることは可能でしょうか。
    (A)
     可能です。「早期退職制度」(早期退職優遇制度ともいいます)は、退職金を増額するなどの好条件をつけることによって、高齢で給与の高い社員の自発的な早期退職を促し、会社の活性化と人件費の削減を図る制度です。また、従業員サイドから見ても、セカンドライフへの取組みが早めにスタートできることや、希望職種への早期転職ができるなどのメリットがあります。一般に50歳以上とか55歳以上とかの年齢条件をつける場合が多いようです。

     希望退職等を募った場合に、優秀な人材が手を挙げて、辞めてほしい従業員ばかりが残ったという話もよく聞きます。「早期退職優遇制度では会社の承認を必要とする条件をつけることは適法」という裁判所の判断もありますので、早期退職制度を導入する場合は、優秀な人材の流出を防ぐという意味からも、会社の承認を必要とするなどの条件をつけた方がよいと思います。
     また、制度導入に伴い、就業規則や退職金規程の見直しも行なう必要があります。

     早期退職制度は、整理解雇のような指名解雇を行うなどの積極的なリストラ策ではなく、あくまで従業員の自主的な退職を促すという消極的なリストラ策です。したがって、個々の従業員に対して肩たたきをするというようなリストラ策には適していません。

    【2004年8月】
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  •  会社の業績が悪化し、余剰人員削減のため希望退職の募集を行おうと思っています。留意すべき点について教えてください。
    (A)
     「希望退職制度」は、一般に整理解雇の前段として行われることが多く、早期退職制度などと比べより緊急性の強いものです。早期退職制度と同様、退職金を増額するなどの条件を付けて従業員の自発的な退職を誘い、人件費の削減を図ります。
     具体的には、会社の適正従業員構成を想定した上で、募集する人員、対象従業員の範囲、条件、募集期間、退職日などを決定し実施します。対象従業員の範囲は、例えば50歳以上としたり、特定の職種の従業員とすることもできます。
     募集期間開始の前に説明会を開いて、会社の状態や希望退職を募集することになった経緯、退職金等の条件の内容などを従業員に説明し理解を得ます。労働組合がある場合は、事前に労組への説明も必要です。

     希望退職は人件費の削減が大きな目的ですから、給与額の高い中高年齢者層から多数応募があれば効果が大となります。したがって、年齢が上がるごとに退職金の割増率を高くする、再就職のあっせんをする、年次有給休暇の買上げを行うなどの条件を勘案しながら希望退職を募ります。

     概して、希望退職の場合は会社に残ってほしい従業員ほど募集に応募して来ることが多いという問題点があります。そのため個別面談などの場で、「あなたは会社に必要な人間だ」などシッカリと伝える必要があります。場合によっては、希望退職制度の適用を受けられるのは会社の承認が必要との規定を設けることも有効な方法です。
     注意すべきは、希望退職の上乗せ条件を小出しにするようなことは避けるべきです。従業員が次を期待してしまい、思ったように希望退職者の応募がなされなくなる可能性があります。一般的に、1次募集・2次募集・3次募集など募集の回を重ねるごとに退職金の割増率を低くすることなどがよく使われます。したがって、希望退職の場合は、最初の制度設計が重要なポイントとなります。

    【2004年8月】
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  •  会社の業績悪化のため希望退職を募集しましたが、思ったように応募者が集まりません。そこで退職勧奨を行いたいと思いますが、注意点はありますか。
    (A)
     退職勧奨も一般に整理解雇の前段として行われますが、通常はまず希望退職の募集を行い、次に退職勧奨というのが一般的です。整理解雇を行うに際しても、その前段に希望退職や退職勧奨を行ったかどうかも「解雇回避努力」をしたかの判断とされます。

     「退職勧奨」とは、会社が個々の従業員に対して、従業員の自発的な意思による退職を働きかけることをいいます。したがって、退職勧奨は使用者と労働者の労働契約の合意解約との位置づけであり、解雇ではありません。会社が業績悪化のため人員整理を行うことがやむを得ない場合等に、退職勧奨により従業員がこれを理解し、自発的に退職することについては、何ら法律に触れることはありません。

     ご質問の退職勧奨の注意点は、その退職勧奨に業務上の必要性があり、かつ適正に行なわれたかどうかがポイントとなります。
     したがって、退職勧奨も希望退職と同じく、退職金の上乗せや年休の買い上げなどの条件を付けて勧奨するのが一般的ですが、従業員が退職勧奨に応じる意思がないのに執拗な説得を繰り返すとか、虚偽や誇張した情報を与え判断を誤らせたり、強迫によるような場合などは不法行為となる恐れがあります。また、退職勧奨基準を男女別に設けたり、結婚退職や出産退職を迫るなども均等法違反となりますのでご注意ください。
     いずれにせよ、退職勧奨は使用者と労働者の労働契約の合意解約との位置づけですから、民事上のことであり、トラブルが生じた場合は裁判等で決着をつけることになるでしょう。

    【2006年9月補正】
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  •  従業員(正社員)が退職を申し出てきました。会社としては、その従業員に辞められると困るため退職を拒否することはできるのでしょうか。
    (A)
     退職を拒否することはできないと思います。
     民法第627条第1項では、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」としています。
     このように、民法の規定は労働者の一方的な意思表示で退職することを認めています。言い換えれば、労働者は2週間の予告期間を置けばいつでも辞めることができるということになります。
    【注】 月給制の場合は異なる取扱いとなります。同条第2項では、「期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。 」としています。したがって、月給制の場合は月の前半までに申し出ることで翌月の初日から退職できることになります。

     それでは、民法の規定の2週間を超えるような、例えば「従業員が退職しようとするときは、1ヶ月前に申し出なければならない」とするような就業規則は無効かという問題があります。
     この点についての判例(昭37.4.23 浦和地裁熊谷支部、大室木工所事件)では、「民法第627条第1項を廃除する特約は(中略)労働者の退職申立てを承認しない合理的な理由がある場合の外は、使用者はその承認を拒否しえないという限度でその効力を認めるべきである」とし、この合理的理由については、「業務引継ぎの必要がありかつ、会社が後任者を雇入れるための必要最小限の期間」であるとしていますので、このような就業規則でも、あながち無効ともいえないとされます。
     したがって、「従業員が退職しようとするときは、1ヶ月前に申し出なければならない」とする就業規則を作成すること自体は可能としても、2週間後の退職を固持する労働者に対して、就業規則を根拠に、1ヶ月を経過しないと退職を認めないということは無理と思われます。1ヶ月という期間は、従業員に対する精神的な抑止力になれば良い程度に思われた方が良いのではないでしょうか。

     ただし、労働者が一方的な解約告知で直ちに退職するような場合(例えば、労働者が2週間の予告期間を置かないで一方的に退職したような場合)は、労働者は過失なき使用者に生じた損害を賠償する責任が生じるとされます。この場合の損害は、使用者が代わりの労働者を雇えなかったり、雇うためにより高い賃金を支払わなくてはならなかったりすることから生じる損害等をいうとされています。したがって、使用者が具体的に損害を受けた場合には損害賠償請求も可能です。

    【2009年4月補正】
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  •  契約社員ですが、会社は有期契約期間を根拠に退職を認めてくれません。途中退職することは不可能なのでしょうか。
    (A)
     貴方のような有期労働契約(期間の定めのある労働契約)における、契約期間の途中退職(解約)については、以下の取扱いとになります。

    1. 労働基準法第137条により、貴方と会社が結んだ労働契約が1年以上であるならば、1年を経過した日以後であればいつでも退職は可能です。(ただし、満60歳以上の労働者および高度の専門的知識等を有する者は除きます。)
    【参考】 労働基準法第137条
     『期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る。)を締結した労働者は、(中略)民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。』

    2. 上記に該当しない場合は、原則として途中解約はできませんが、民法の規定により、やむを得ない事由があるときは途中解約が可能です。ただし、労働者の途中退職によって使用者が具体的な損害を受けたときは、使用者は損害賠償請求ができるとしています。また、逆に使用者側からの途中解雇についても、残存期間の賃金について損害賠償請求の対象となり得ます。
    【参考】 民法第628条
     『当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。』

    3. 有期雇用契約期間満了後、双方の異議なくそのまま継続されることがよくありますが、こういった場合、前の契約と同一の条件で更新されたみなされます(黙示の更新)。この場合は、民法第628条の規定により、2週間前に予告すれば退職は可能です。
    【参考】 民法第629条第1項
     『雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第六百二十七条の規定により解約の申入れをすることができる。 』

    【2011年3月補正】
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  •  従業員が一度提出した退職願を撤回してきました。どのように対応すればよいのでしょうか?
    (A)
     退職は、労働者の一方的な労働契約の解約告知とみる場合と、合意解約(双方が合意のうえ、
    労働契約を解約する。)とみる場合があります。
     
    <労働者の一方的な労働契約の解約告知の場合>
     労働者が退職の申出をすれば、撤回の余地はありません。

    <合意解約とみる場合>
     会社が労働者からの退職の申し入れを承諾するまでは、労働者はいつでも退職願を撤回できるされます。(ただし、会社が承諾する前であっても、退職願の撤回により会社が不測の損害を被るなど信義に反する特段の事情が生じる場合には、退職願は撤回できないとされています。)
     会社が承諾した後は、労働者の一方的な意思により退職願を撤回することは特別の事情がない限り認められないとするのが通説です。
     特別の事情とは、退職願の提出において、
     (ア) 心裡留保が認められる
     (イ) 錯誤による
     (ウ) 強迫による
     (エ) 詐欺による
    などです。そこで、労働者が詐欺だの錯誤だのと言って退職願を覆してくる例が多々あります。この場合、裁判例などでは、詐欺や錯誤などが認定がなされたケースはあまりないようですが、会社側敗訴の例もない訳ではありません。

    <労働者の一方的な解約告知なのか、合意解約の申入れなのかの判断>
     「労働者による退職又は辞職の表明は、使用者の態度如何にかかわらず確定的に雇用契約を終了させる意思が客観的に明らかな場合に限り、辞職の意思表示と解すべきであって、そうでない場合には雇用契約の合意解約の申込と解すべきである。」という判例が参考になります。

     貴社のケースでは、当該従業員が退職届を提出し会社がこれを承諾していたのであれば、当該従業員は退職の撤回はできませんが、人事権のない直属の上司等が一時的に預かっていた場合などは会社の承諾とはみなされませんので、要注意です。
     実務上は、退職を申出た労働者には速やかに退職届を提出させる、また、退職届が提出されたら人事権者名で「退職承認書」などを交付しておけば万全でしょう。また、誰が人事権者であるかなどを、周知しておいた方が良いと思われます。

    【2011年3月補正】
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  •  退職した従業員から退職証明書の交付を請求されました。退職証明書の交付は行なわなければならないのでしょうか。
    (A)
     労働基準法22条は、「労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。」としています。
     したがって、貴社の場合も従業員から請求があれば退職証明書を交付する義務があります。ただし、労働者が請求した場合ですから、労働者からの請求がなければ退職証明書を交付する必要はありません。

     退職証明書の記載事項は、次の5項目です。
     (ア)使用期間、
     (イ)業務の種類、
     (ウ)その事業における地位、
     (エ)賃金、
     (オ)退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)

     ただし、労働者の請求した事項に限るとしていますので、例えば、労働者が(ウ)についての記載を望まない場合は(ウ)についての記載はできませんし、また、(オ)の解雇の理由の記載をしないように請求した場合は、解雇したという事実のみを記載することになります。労働者が単に退職証明書の交付を請求した場合は、この5項目について全て記載すればよいと思いますが、一応本人から確認を取ったほうが良いでしょう。
     交付する時期については、遅滞なくとしていますので、速やかに交付すべきと考えます。また、離職票を交付したからといって退職証明書の交付義務を免れるものでもありません。
     退職証明書のモデル書式は、厚生労働省のHPから入手できます。 

    【2006年6月補正】
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(by 佐藤正社会保険労務士事務所)