4.ふたご座神話(後):三神、体育館裏の攻防〜貧乏くじ界の帝王・ハーデス

(→続き)…そして、そのころ冥界の裁判所では、 
 
アイアコス「大変だーー!!
亡者が一人、ハーデス様の神馬を奪って裁判所をジャックした!!よく分からんが『弟のポルックスにもう一度でいいから会わせろ!』と言って暴れまわってるぞおおおーーー!!!!」 
 
ミノス
「そんな元気な亡者がいるか!!だいたい、ハーデス様にしか御せぬ神馬に乗れる人間など、いるはずが…!」 
 
ラダマンテュス「……”馬御するカストル”だ。あの射手座のケイローンですら、理性を打ち捨てカストルに背を許したという。」 
 
ミノス「まったく何なんだ!?この前の
ハーデス様マジ切れ事件で冥界ががれきの山になって、やっと復興したかと思えば…!」 
 
ヘルメス「ハーデス様、大変ですー…ッ!」 
 
ミノス「今度は何だ!?」 
 
ヘルメス「冥界の門の前に、兄君のゼウス様と、弟君ポセイドン様がいらっしゃっております!曰く、
『ハーデス、ちょっと顔貸せや。』だそうです!」 
 
ハーデス「…し、しかし…私がここを離れている間に、また誰かがペルセフォネーをさらいに来たら…?」 
 
ヘルメス
「あんたがキレたらヤバいことは三界中に響き渡ったから大丈夫です。とにかく急いでいらして下さい!お二方とも『うだうだ抜かしてっとお前んち爆破してサラ地にすっぞ!?』ってな勢いですから!!」 
 
ハーデス「……;;…タナトス、後は任せた…」 
 
タナトス「俺も行きます!ミノス、後は任せたぞ!」 
 
ミノス
「まったく今日はなんだというのだーッ!?こんなことならもう一生デスクワークをしていたいわーッ!!」 
 
・・・・・・・・・・・・ 
 
冥界の門の前 
 
ゼウス「――おお、やっと出てきおったわ、あの引きこもりめが。――久しいな!ハーデス」 
 
ポセイドン「兄上!1000年ぶり!」 
 
ハーデス「……。」 
 
ゼウス「フ、相変わらずのようだな。ところで、ものは相談なんだが…先ほど、カストルという少年の魂が、お前のもとに逝ったと思うのだがな…それを、地上に返してくれぬか?」 
 
ポセイドン「頼む、兄上!あの人間は私も気に入っている。海の支配権をやるという約束までしたのだぞ!」 
 
ハーデス「……」 
 
ゼウス「なあ、弟よ。
私の娘のペルセフォネーを妻にできたのは、一体誰のおかげだったかな?ん?」 
 
ポセイドン「奥さんにあること無いこと吹き込んでやってもいいんだぞ?兄上が
500歳まで寝小便たれてたとか 
 
ハーデス「……;;」 
 
まさに体育館裏の攻防な感じで、結局、『ポリュデウケスの命を半分カストルにあげて、二人は地上と冥界を一日おきに行き来する』ってことで和解が成立。 
 


タナトス「ディオスクーロイ
(カストルとポルックスのこと)よ!スパルタの王子だか何だか知らんが、この冥界に来たからには、タダ飯食らいというわけにはいかんぞ!貴様ら、得意分野は何だ!?デスクワークか!?法務か!?」 
 
ポルックス「得意分野?まあ、俺は素手でのケンカと破壊活動かな」 
 
カストル「僕は馬の気持ちを理解することだ。」 
 
タナトス「なるほど。つまり貴様らは
冥界の仕事においては小さじ一杯の馬糞ほどの価値もない男どもと。そういうわけか!」 
 
ポルックス
「てめぇ馬糞をバカにしてんじゃねぇよ!兄貴は馬が大好きなんだ!馬糞だって大好きだぞ!!」 
 
カストル
「人をスカトロマニアみたいに言わないでくれないか。確かに馬は大好きだが、馬糞に特別の感慨は無い!だいたい、今は馬糞がバカにされているのではない。我々がバカにされているのだ! 
 
ポルックス「何っ!?そうなのか!?」 
 
カストル「タナトスよ!我らを馬糞あつかいとは聞き捨てならん!我ら双子は、天界においてはゼウス様により双子座としての地位を、海界ではポセイドン様により船乗りの守護神としての地位を授かり、また人間界では軍神、歓待の神としての職能を賜っているのだぞ!」 
 
タナトス
「それだけ掛け持ちできるなら冥界でも何かやってくれて良くないか!?だいたい、貴様らは異父双生児で四つ子なのに、『双子座』って何だ!?それなら俺とヒュプノスの方がよっぽど双子座にふさわしいわ!このタダ飯食らいどもが!!」 
 
ポルックス「ほざけ!!貴様らと違って俺と兄貴はなぁ、
童貞喪失も一緒!死ぬときも一緒!そして命さえ分けあった仲なのだぞ!」 
 
タナトス
「結婚しちゃえよ!!アホか!!畜生、俺などなぁ、弟のヒュプノスから一度たりとも『兄上』と呼ばれたことがないわ、先に結婚されるわ、俺が死に掛けていた時も奥さんといちゃこいているわで散々なのだぞっ!」 
 
ハーデス「………タナトス、そろそろ仕事に戻…」 
 
カストル「ハーデス様、そこにいらしてたんですか。存在感皆無で全然気づきませんでした。 
 
タナトス「ハーデス様!ちょうどいいところに!!おい、ディオスクーロイ!俺はお前たちのことを正式にハーデス様の法廷に訴える!!覚悟しておけよ!!」 
 
カストル&ポルックス「「のぞむところだ!」」 
 
ハーデス「…
(…仕事増えてる…)」 
 
 
 
―――この双子ほんといいよ…、冥界にとばっちり食らわせまくり、ハーデス様に貧乏くじ引かせまくり、あのアテネの町を廃墟にしといて、女神アテナの加護もあり、かつゼウス、ポセイドン、ハーデスの三大神とコネクションがあり、かつ双子座、船乗りの守護神、軍神、歓待の神、人間であり、英雄であり、そして神でもあり、明けの明星であり、宵の明星であり、テュンダリダイ(テュンダレイオスの子ら)にして、ディオスクーロイ(ゼウスの子ら)…肩書きスゲー!! 

そしてハーデス様、哀れ…。