4:足ならしに山へ
(2003年4月5日〜7日)


(4月5日)… … …

 マウント・クックに着くなり降り出した雨に、やむ気配はない。テントの中でムダな時間が過ぎてゆく…。

 ボクが滞在しているのは、フッカー・バレーのテントサイト。ひと晩NZ$5とリーズナブルだ。アメリカのナショナル・パークなどのキャンプ場と同じで、入り口においていある封筒に料金を入れ、ポストのようなものに入れておくというシンプルなレジ。
 荒れ地のような広々としたサイトには、時折、様子見の車が入ってくる程度で、ほとんど滞在者はいない。もう、秋を通り過ぎて、冬が近づいているような寂しい雰囲気だ。


(4月6日)… … …

 寝る、食う、本を読む、ポストカードを書く…。広大な自然に囲まれているとはいえ、今のところのボクの暮らしの全ては、小さなひとり用のテントの中で進んでいる。寒い…。丸一日をテントの中で過ごし、明るいうちに肩までシュラフにもぐった。


(4月7日)… … …

 マウント・クックに着いて2度目の朝。雨はやんでいた。

 周辺の山並が雪化粧しているではないか!

 寒いはずである。朝食後、歩き出してみた。行き先は、フッカー・バレーの東にそびえるウェイク・フィールドという尾根。氷河の近くの山には、天気の回復を待って登ることにして、きょうは足ならしといった感じのノリだ。この天気では、あまり気分がのらないのだが…。

 ダートの道を1時間近く歩いて、やっとトレイルヘッド。そこからは壁のような急斜面にかわる。雲の中に入って行っても面白くないので、雲の手前までで、きょうのところはおしまいだ。
 1時間足らず登っただけだが眺めが素晴らしい。氷河に削られた谷は、日本のようなV字ではなく、広々としたU字。少々感動だ。
 そんないい気分をぶちこわすように、キーアが、人をバカにしたように叫びながら、飛び交っている。

 同じ日の午後、テントサイトに日が射し込んできた。マウント・クックで初めての日射し。荷物を全部、あたりに広げて、大乾燥大会を始めた。やっぱり日射しはありがたい。

 もちもの一式がすっかり乾き、ごきげんな夜だ。見なれない星座の写真をとったが、その星座は、あとになって、逆立ちしたオリオン座であることがわかった。


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happy trail