5:マウント・クックとご対面
(2003年4月8日)


 快晴の朝! テントの中は、動けないほどキンキンに冷えている。テントには霜が降りて、外の草も真白だ。コヘルの中の水も凍っていた。それでも、晴天はありがたい。

 氷河なのか、万年雪なのか、はたまた数日前の雪なのか…。朝一番の日射しに、山がピンク色やらオレンジ色に染まり、ヒマラヤのような迫力あるシーンだ。
 すがすがしい気分。きのうまでの沈んだ気分は、なんだったのか…。

 きょうの目的地は、ミューラー・ハットだ。マウント・クックの展望台。そして、このフッカー・バレーも見おろせるはずだ。

 8時過ぎにテントサイトを出て、目的地についたのは昼過ぎ。
 登り、登り、登り…。急斜面の連続だ。そんな厳しいトレイルの中でも、2か所だけ素晴らしいビュー・ポイントがあった。

 まずは、1時間余りでついたシアリー・ターンズ。ここには小さな池があり、水面に映る雪山がとても美しい。湖岸に張った氷がプチプチと音をたててとけてゆく。どこからか聞こえてくる流れの音。小鳥のさえずり。風が草を揺する音。自然に囲まれている実感を満喫するには最高の場所だ。
 猛烈に急なスイッチバックの疲れをしばし忘れる。

 もう1か所は、東に向いていたトレイルが、南へ向きを変える所だ。
 ここは、急な登りも一段落して、ホッとひと息つける雰囲気に満ちているが、日陰には霜が残っていた。冷たい風が吹き抜けていて、高山そのもの。体が冷えてきて長居はできない。
 正面に、氷河のシワシワが、手にとれるほどに近くに見えている。氷河を見るには、ここがベストポイントだ!。

 また、このトレイルの上部は、ほとんど高い木がないので、急な斜面から振り返れば、いくらでも谷の絶景を堪能することができる。素晴らしい。

 ミューラー・ハットからもう少し登って行けそうな山がある。が、巨大が岩がゴロゴロしていて、トレイルが見えない。ないのか。どのハイカーも道を探しているが、ほとんどはそこを終点としているようだ。標高は1700mほどだが、寒い。
 ほぼ360度の大パノラマを満喫。

 なんとか、天気が回復してくれて良かった。本当によかった。  バスの中の日本語の解説によると、マウント・クックを見られずに帰る人も少なくないという。実際に、ボクと同じバスでやってきた人は、ほとんど、マウント・クックの姿を見ずに、ここをあとにしている。寒いテントの中で、待っていたカイがあった。


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happy trail