7:ルートバーン・トラック
(2003年4月11日〜13日)


 いよいよ、本格的トレッキング…、と言いたいところだが、ニュージーランドでは、トレッキングのことを「トランピング」というので、これから先は、現地語で統一しようと思う。
 というわけで、本格的トランピングのスタートだ!


(初日:4月11日)… … …

 きのう、予約したバスが迎えにきてくれるのは、このキャンプ場(Queenstown Lakeview Holidaypark)から歩いてい3分程度のところだ。
 5時半に起きて、暗いうちから撤収を済まし、かなり余裕を持ってその場所へと向かった。

 7時を過ぎても、ダウンタンで目立つのは観光バスやトランピングの客を乗せるバンばかり。トランピングが国民的レジャーであるとともに、観光で成り立っている街であることを実感する。

 家族連れもやってきた。2人の子供は中学生か高校生ぐらいで、パパはそろそろ体力的に追い抜かれそうな歳に見える。しかし、巨大なザックを背負って、「トゥ・マッチ・フード。ヘビー!」と言って笑ってみせるあたりは、まだ余裕といったところか。楽しそうでうらやましい。

 ボクと、ひとりのアジア人の女性以外は、すべて西洋人で、バスの乗客は20人ほど。途中、ユースホステルで数人をピックアップして、ワカティプ湖の東岸をトレイルヘッドめざして北上した。

 その車窓から見える湖の対岸の山並が美しいのなんのって、もう言葉が出ないくらいだ。スプーンでえぐられたような小さな谷に、濃密なわた雲が、ちょこんとおさまっているのだ。とても存在感があり、風景にとけこんだ雲だ。
 バスの窓がもう少しきれいだといいのだが…、泥はねや、ムシの死骸、あげくの果てに蜘蛛の巣まで。ちょっと残念である。

 途中、グレノーキーという小さな集落でコーヒー・ブレイク。冷えた朝にはありがたい。そこで、バスを乗り換え、トレイルヘッドのルートバーン・シェルターについたのが、クイーンズタウンをでて2時間後だった。

 トレイルヘッドから2時間ほどたった昼過ぎには、軽いアップダウンをこなし、今夜のテントサイト、ルートバーン・フラッツに到着。
 水道と小さなトイレがあるだけの簡素なテントサイト(写真)は、山小屋からは少し離れていてとても静か。それにしても、大自然の中は気持ちいいもんだ。が、サンドフライに悩まされる。


(2日日:4月12日)… … …

 猛烈に冷えたねぇ〜。テントのわきを流れる川からは、湯気のように煙りがたちのぼり、テントは露で…、じゃなくて霜だ! シャリシャリのシャーベットをかぶったように、シャリシャリになってるぅ。
 そんな冷え込んだ谷のテントサイトも、朝日が射し込むととてもとても幻想的な風景にかわった(写真)。これがあるから、寒くてもやめられないんだな、山暮しを。
 結局、ここのテントサイトは4張りだけ。スカスカ。山小屋が充実しているニュージーランドではテントはマイナーな存在のようだ。ありがたい。

 さて、きのうは、川沿いの傾斜のほとんどないトレイルだったが、きょうは500mほど登って、全行程は13km余りだ。気合いを入れねば。

 歩き始めて2時間余りの急斜面で、ルートバーン・フォールズ・ハットに到着。山小屋利用の人は、きのうのうちに、ここまで歩いているため、きょうの行程が楽だ。ここにテントサイトがないのが残念…。下の谷の眺めが素晴らしい。

 そこからは、円形劇場のように削られたなだらかな谷のような台地を登りつめ、もうひとがんばりすると、レイク・ハリスだ。簡単に書いてしまったが、この1時間半ほどは、結構消耗してしまった。
 時期が時期だけに、草はほとんど茶色くなっていたが、真夏はかなり見ごたえのある花畑になるのではないだろうか。レイク・ハリス(写真)は、青が美しすぎる。

 さらに、小さなアップダウンを30分ほど進むと、ハリス・サドル(1277m)だ。ニュージーランドでは、峠のことを「サドル」という。馬の鞍みたいだからだ。
 ここのシェルターに荷物をデポして、コニカル・ヒル(1515m)を往復した。
 頂上からの眺めは絶景! ホリーフォードの流れが刻んだ谷の向こうに、かすかに海が見えた。すでに昼を回っていて、少々霞んでいたのが残念。山小屋利用者は、午前にうちに、ここまで来て、今よりも素晴らしい景色を楽しんだに違いない。ちょっと悔しい…。

 峠でひと休みしたら、先を急がねば。もう2時を回っている。ここまで登ったぶんを、これから下らねばならないのだ。
 結局、テントサイトのマッケンジー・ハットについた時には、夕方5時を回っていた。薄暗い。肌寒い。

 午後に歩いたハリス・サドルから、南へ向かうトレイルは、深い谷を挟んで対岸にそびえる山並の景色が美しく、このルートバーン・トラックのハイライトではないだろうか。きょうは、がむしゃらに歩いたが、機会があったら、ゆっくり歩きたいものだ。

(3日日:4月13日)… … …

 けさも、パリパリにテントが凍った。夜中に凍るというわけではなく、朝、撤収の最中に、凍ってくるのだ。空は明るいが、森の中には、まだ日が射さない。日が射し込むまでは、どんとんと気温が低くなっているように感じる。
 そんな霜まみれのテントを撤収して、きょう最初の遊覧飛行の爆音を合図に、8時半に出発! まだ寒い。

 きょうも、進行方向の右手に、谷と、その向こうの山並を眺めながら南を目指す。きのうよりも、標高が低く、きのうほどの眺めはないが、それでも、時折、美しい風景がボクの足をとめてしまう。
 11時、ホーデン湖に到着。湖を渡る南風が冷たい。湖畔にたつホーデン・ハットの掲示板に天気予報が張ってあったが、どうやらあすから崩れるようだ。残念。

 正午、キー・サミットに到着(写真)。ここは、ルートバーン・トラックから少々はずれているサイド・トリップ。なだらかの頂上にいくつか湖があって、360度の大パノラマだ!
 バスの迎えの時刻までかなり余裕があったので、2時間ほども滞在してしまった。いい所です。オススメのポイントだ。

 午後3時過ぎに、デバイトという名のトレイルヘッドにたどりつき、定刻に迎えにきれくれたバスが、ボクをティ・アナウの街に運んでくれた。
 サンキュウ、ルートバーン!


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happy trail